とある魔術の日常?   作:置物

49 / 54
三十六話

入院四日目

頭に歯型が付いた上条、海より帰還する。足釣ったかどうか聞いたら海自体入ってないらしい。

「お前は海に何しに行ったんだ?」

「バカンス気分で行ったら周りの人間の中身と見た目が入れ替わってて、それが大規模魔術のせいだったから解決に尽力してたら二日が終わってた」

「お、お疲れ」

上条の不幸は平常運転だったようだ。せっかくのバカンスだったのに可哀想だ。

「しかもその魔術でインデックスの見た目が青髪になってて色々やったら戻った時にその時の記憶があって今に至る訳です」

「お、お疲れ」

ちーんと沈む上条。

なんというか…お疲れ。

 

 

 

 

 

 

 

入院五日目

杖なしでも歩けるようになった。この回復ぶりにはカエル顔の医者も少し驚いていた。

カエル顔の医者に二日早い仮退院を頼み込んでみた。少し考えた後、机の引き出しからチョーカーのような機器を出し手渡された。

「これ何ですか?」

「これはチョーカー型能力演算補助装置でね?君、まだ能力演算厳しい状態だろ?」

確かに、まだ脳が二日酔い(酒は飲んだことない)のようなムカムカする感じがして演算が難しいけど、こんなの作れるって凄すぎだろ。この人技術者にもなれるとか万能か。

「なにかあったらその横のボタンを押すことで妹達に演算を代理してもらえるから。あぁ、ちゃんと彼女達には許可は取ったよ?」

「この場合借りってことになるんでしょうか?」

「なるに決まってるじゃないですか、と美管は明後日の買い物が楽しみだなぁと貴方を見ながら言います」

「私は特に何も要りませんので、とミサカ11192号はここで自分の良い子アピールをします」

俺の後ろにいつの間にか腕を組みながらふんすと鼻息を出す美管とピシッと背筋を伸ばして立つミサカ11192号がいた。

「お前達はいつの間にいたんだよ…」

「貴方いる故に我有り、と美管は少しいじった有名な命題を我が物顔で言います」

「ミサカ20000号に付いて行ったら貴方を見つけました、とミサカ11192号は正直に答えます」

美管って20000号なんだ。てことは妹達の中で末っ子?とどうでもいいことを一瞬考えた後チョーカーを付けて立ち上がる。

「ふーん。ま、これ起動させなければいいだけの話だけどな」

「能力演算状態は十分しか持たないから気をつけるんだよ?」

「一秒も使わずにこれを返して見せますよ」

カエル顔の医者の注意に返答した俺は久々の病院の外へウキウキしながら歩き出す。

「あと門限は三時だからね?」

「今時の小学生でもそんな早くねぇよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日前から雲一つない晴天の空。地面スレスレに見える陽炎。夏休み最後の思い出作りの為に歩き回る学生達。

あぁ、夏だなぁと思うのはこれで何度目だろうかと思いながら、明日から学校だなぁと憂鬱になる俺は三色アイスを舐める。

課題のない休みが終わると思うと本当に憂鬱以外の何物でもない。まぁ俺は怪我で夏休みがあと二日あるみたいなもんだからまだいいが。

「そういえば上条の奴、ちゃんと課題終わらしてるのか?」

俺の見舞いに来るくらいだから終わってるのか、または課題の存在自体忘れてるか。

「まぁ、あんだけ密度の濃い日々を過ごせば、忘れるのも無理ないか」

もし終わってなかったら課題を見せて上条に貸しを作るのもいいかもな。(注:自力でした量は美管にしてもらった分の1/4以下です)

「っと、噂をすれば」

等間隔に植えられた街路樹の一つの影の下に、上条と見るからにいいとこの坊ちゃんと言ったような少年が向かい合っていた。

「おーい、上(ゴンギン!)条?」

上条と向かい合っていた少年が持つ石で作ったナイフのような物から見えない何かが射出され、俺の横にある違法駐車の自動車に当たったかと思うと、自動車に焼印のようなものが刻まれ、自動車をバラバラにした。大雑把に切り裂かれたと言った『破壊』ではなく、パーツを一つ一つ丁寧に『分解』されたと言ったような状態だった。

「……あかん。これあかんやつや」と何故か関西弁で危険だと口にしてしまう。

だって不可視の攻撃で当たったらバラバラだよ?バラバラ。正に一撃必殺じゃん。人体に当たったらどんな風に分解されるんだよ。

しかも今のは恐らく説明出来る科学じゃなく説明出来ない魔術。明らかに厄介事だ。

上条はこの場で戦うのは得策ではないと踏んだのか、脇道へ脱兎の如く走り、ナイフを持った少年も脇道に走って消えた。

あー、やだやだ。なんだってこんなとこ目撃しちゃったんだよ俺、と己の幸運値に嘆く。

「無かったことにしてどっか行くとかいう選択肢あるけどさ、それじゃあ友達見捨てたのと同じだしな」

あぁだりぃと頭を掻き、あと少しの三色アイスを口にコーンごと頬張り、上条の消えた脇道に走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はいかっこよく脇道入りましたが二人を見失った俺です。

脇道の先の裏路地が複雑に入り組んでてどっちに進んだかすら全く分からないですはい。

「あー、こんな時に目覚めてくれないかなぁ俺の第六感」

既に超能力に目覚めてるのに更に第六感も目覚めないかなとか自分でも何言ってんだ?って思うけども。

「高い所から見れば分かるだろうけど…能力使うには演算補助装置使わないといけないから…」

脳裏に浮かぶは目に光が灯っていない人を財布呼ばわりする馬鹿。

「ちっ、これは本当に大事な時に使おう」

俺の事>上条の事と計算式が成り立った俺は能力を使わず辺りを走り回る。非情?あいつならきっと何とかすると信頼してるんだ。

「とは言ったが、唯一の手がかりがバラバラになった室外機だし。なんか大きな物音でも起きないかなぁ」

と半分冗談で言ったら遠くから何かが崩れる音が空気を振動して裏路地に響く。

俺は瞬時に演算補助装置無しでその音がどこから来たかを逆算、おおよその発信距離を掴む。

「っ…!」

頭は痛いが方向と距離は大体分かった!

「糞!案外近いじゃねぇかよ!」

立ち眩みのように揺らぐ視界とまだ完治しない肩を気にせず、裏路地の奥へ奥へと走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裏路地を抜け、大通りの向かいの裏路地を通り、角を曲がったそこはシャベルなどの建築機材が占拠した狭い路地で、とても通れそうになかった。

近くの工事中のビルが先の音の中心だと思う為中をそっと覗き込む。ビルの中は少しの砂埃とあちらこちらに鉄骨が刺さっていて、まるで剣の墓場のような幻想的な雰囲気を醸し出していた。

「守ってもらえますか、彼女を」

鉄骨と鉄骨の間に挟まった、顔の半分が崩れた少年が上条に向かって懇願するように言う。

「いつでも、どこでも、誰からでも、何度でも。このような事になるたびに、まるで都合の良いヒーローのように駆けつけて彼女を守ってくれると、約束してくれますか?」

上条は何か一言告げ、首を縦に振る。

何を言ったか聞こえなかったが、少年は苦笑していた。

「解決したっぽいな…。なら、門限まであとちょっとだし帰るか」

俺は来た道を戻り、病院に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?今なんて?」

「君の怪我の治りが順調以上みたいだからね?明日は始業式だろう?明日仮退院にしようと思うんだ」

俺の夏休みは普通の学生と同じように今日で最後になりました。

そうと知ってればもっと遊んでたのに!!




御坂「私の出番がカットされた…」
草木「まぁこれ俺視点だしな。仕方ないだろ」
麦野「ざまぁないわねぇ超電磁砲?」
御坂「うっさいわね本編登場回数0回のおばさん」
麦野「あ″ぁ″ぁ″!?テメエその口を××して××して×××してやろうかぁ!?」
草木「(触らぬ麦野に祟りなし…)」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。