のんのんびより すろーらいふ   作:おりぃぶおいる

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第2話

雪が溶け、冬の終わりを感じながらも肌寒い。

まだ田植えのすんでいない田園風景。

 

そんな中を

ガタンゴトン、ガタンゴトン

車輪がレールの継ぎ目を通過する際に発する独特の音を、独特のリズムで刻みながら走る一両編成の電車の中。

 

乗客はたった二人のみ。

 

腰くらいまであるだろう綺麗な黒髪、それとは対照的な白いロングワンピース。

軽い防寒程度に羽織る紺のカーディガン。

清楚な印象を受ける女性。

 

もう1人は、女性の膝枕で眠る同じ黒髪の幼い女の子。

こちらは動き安さ重視なのだろう長袖Tシャツにジーンズ。

コートを布団代わりにしている。

 

外の景色を眺めながら、ワンピース姿の女性はあることを思い出していた。

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

楓「は?東京?」

 

とある日の夕暮れ。

茜色に染まる空の下で、神社の階段に腰掛ける二人の少女。

そのうちの一人、加賀山 楓はどこか間の抜けた声をあげる。

ひぐらしの鳴き声が響き渡る秋の日の出来事。

 

ーーー《桂木 彩花》小学五年生ーーー

 

彩花「うん。ウチ東京にいく。」

 

楓「いつ行くんだよ?てか何で?」

 

ウチの言葉に楓は更に質問を続ける。

 

彩花「いっぺんに聞かないでよ。えっとね、お父さんが転勤で東京に行くんだって。こっちにいられるのは二月の終わりくらいまで。」

 

楓「そっか。」

 

楓は寂しそうに顔を俯かせる。

そんな彼女を見て、ウチは楓と約束をする。

 

彩花「ちゃんと帰ってくるから。

いつになるかは分からないけど、絶対帰ってくるから。

だから、待っててくれる?」

 

こんどは恥ずかしそうに顔を赤くしながら答える

 

楓「ああ、待ってる。てか店継ぐつもりだからな。わたしはここを離れる気はねーよ。」

 

楓らしくぶっきらぼうに。

その言葉がすごく嬉しくて、ついウチの頬が緩んでしまう。

 

彩花「ふふ、でも引っ越すのは二月だし、今はもっと遊んでよう!」

 

ウチは勢いよく立ち上がる。

 

楓「分かったよ。付き合ってやる。」

 

彩花「え?何?その告白されて嫌々OKみたいなセリフ。」

 

楓「そういう意味じゃねーよ。で?明日はどこいくんだ?」

 

先ほどまでの暗い雰囲気を忘れて明日の予定を立て始める。

 

『とにかく今を楽しもう』と。

 

彩花「そだねー。秘密基地とか作ってみない?」

 

楓「別にいいけど、一からか?」

 

彩花「いや、おじいちゃんが使ってない小屋があるから、それ使って良いって。」

 

楓「このみやひかげも誘うか。」

 

家路に着きながら交わす、こんな会話も楽しかった。

 

△▼△▼△▼△▼

 

ワンピース姿の女性、《桂木 彩花》は、

『ガタンゴトン』と先ほどから変わらず刻み続けるリズムに揺られながら、自身の膝で眠る女の子の髪を優しく撫でる。

 

彩花(懐かしい。それでも昨日のことのように思い出す。)

 

そして呟く

 

彩花「みんな元気にしてるかな。」

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