The Boundary of Emptiness 作:朱莉
方向性はないけど続きがないわけではない。
俺たちが玄関に着くとほぼ同時に呼び鈴が鳴る。扉自体はセイバーに開けてもらうことになり、俺は玄関先が見える位置に捌けた。ランサーが新手と言っていた、なら来るのは魔術師だろう。
扉を開けると同じ学校の有名人が佇んでいた。……遠坂? なんでこんな時間に? というか俺の家、知ってたっけか?
「マスター。彼女は知り合い?」
知り合いというか一方的にだぞ? うちの学校に居るやつで知らないのは居ないくらいにはな。なんで遠坂がここに?
「彼女はマスターだからよ。そうよね?」
「そうよ。で、ここに槍をもった男が来たはずだけど?」
「それなら追い払ったわ。貴女がここに来た理由はそれだけ?」
「少し話したいことがあるの。時間取れる?」
「どうするのマスター。私は貴方の意思を尊重するわ」
まだ何も感じないんだろ?
「そのマスターからはね」
うん? どう言うことだ?
「彼女のサーヴァントからはひしひしと感じるわ。私のマスターを殺したいってね」
「は? ちょっとどう言うことよ」
「隠れてないで出てきたらどうなの?」
セイバーの声に遠坂の後ろから褐色肌の大男が現れた。
「敵のマスターを警戒していただけさ。当たり前のことだろう、セイバー」
「敵意を表さないと警戒出来ない未熟者……と思われてしまうわよ、その、アーチャーで合っているかしら?」
「さて、どうだろうか」
「セイバーは私、ランサーは先程の、バーサーカーにしては理性があり、キャスターにしては魔力がない、アサシンには見えず。怪しいのはライダーとアーチャー。なら私の勘でアーチャーかなって。違ったらごめんなさい」
「それであってるわ。それとうちのサーヴァントの馬鹿は忘れてちょうだい。今は話し合いの時間よ」
「協力者でもないのにか?」
「今はね。そんなこと言ったら協力者なんて作れやしないわよ……うちのサーヴァントが不安なら令呪を使うけど、どうする?」
いや、使わないでいい。それは大切なものだろ?
「そうだけど、必要なら使うわ」
「マスターがそう言うなら私は従うわ。居間で大丈夫よね?」
他の部屋はランサーのせいで散らかっているからな。先に案内しておいてくれ。
「待ってマスター。私も手伝うわ。……さて、アーチャーのマスター?」
「うん?」
「場所を伝えるから座っていて貰える? 無愛想だと思うけれど、それは散らかっているからなの。座布団は目についたやつで、お茶請けは机の上にあるわ」
「は? ちょっと」
「話し合い、するんでしょう。なら問題ないわよね? 居間だけは片付いてあるから綺麗な部屋に入ってくれればいいわ」
すまない遠坂。思いの外散らかっててな。客人には悪いが少し待っててくれ。
「警戒はしていたけれど、もてなす準備はしていなかったの。謝るわ、ごめんなさい」
「え、なに、この状況」
「凛」
「……なに?」
「今は行こう。此方の常識と彼方の常識には壁があるようだからな。まともに相手をしていたら疲れるぞ」
「そういうことよ、アーチャーのマスター。これから長い話、始まるんでしょう?」
「そうなると思う」
「なら今は頷いておいて。私のマスターの為にもね」
「はい?」
「……場所は彼処で問題ないか?」
「えぇ、そこで大丈夫よ」
「凛、行くぞ」
「あ、ちょ、待ちなさい、アーチャー」
二人が居間に向かうのを見送ってから台所に向かう。ランサーから盛大に逃げたせいで散らかり具合が半端なかった。ガス台自体に異常がなくて本当に助かった。
「貴方は紅茶を、私は緑茶を作りましょう。好みに添えるように」
破片とかには気を付けてな。こっちも気を付けるから。……というか緑茶作れるのか?
「わかってるわ。勿論、マスターもね? それに緑茶なら簡単よ。本当に下手でなければね」
それは確かだと思うが。セイバーは料理できるのか?
「できるかと聞かれると、微妙としか言えないわね。無難におにぎりなら……と答えとくわ」
少し気になるな。もしよかったら今度作り合わないか?
「機会があればね。でも今は客人をもてなしましょう」
それもそうだ。折角協力的なマスターが来てくれたんだ、それなりに利用させてもらおう。あっちの条件を飲みつつな。そう言えばセイバーは頷きトレイを持ってお茶を運んでくれる。着物姿も相まって、様になっていた。
歩きながらでいいから質問いいかセイバー?
「勿論よ、マスター……と言いたいところだけれど、それは彼女たちと合流してから、もしくは彼女たちが帰ってからでもいいわよね?」
……それもそうか、すまない、今は忘れてくれ。
――――
「まさか、こうまでもてなされるとは思いもしなかった。さて、この緑茶は誰が作ったものかな?」
「それは私、初心者だけれどね。紅茶はマスターよ」
「成る程。毒の類いを警戒したが、無駄のようだ。骨の髄まで私たちとは違うようだからな」
「でも正直に門を潜った者に対する心構えだと私は思うわ。戦争だとしてもね」
話をぶったぎるようで悪いんだがその辺にしてくれ。……それで、ここに来た理由はなんだ? セイバーの言う通り、此方に敵意はないぞ。聞きたいこともできる限り答える。
「じゃあ先に聞きたいことが。……あなた、魔術師だったの?」
いや、俺は魔術師ではない。少なからずかじった覚えはあるが、魔術師になりきれなかった半端者さ。できる魔術だって高が知れてる。胸を張ってそうだと言えるほど嗜めてすらいない。聖杯戦争という単語さえ、セイバーに教わるくらい離れて育った素人さ。
「なら聖杯戦争のルールの方は? どこまでサーヴァントから聞いたの?」
「巻き込まれただけなら教会に助けてもらえる。それを伝え忘れてたわ。どうするのマスター?」
聞いたのはその辺りだけだ。令呪の有用性とかな。協会というと、街のはなれにあるやつだよな?
「そうよ。そこの神父が取り決めを行っているの」
「直ぐに行動も良いのだけれど、戦争は夜。朝に行くのもいいかもしれないわ」
それもそうだな。…戦争は夜って?
「朝は秘匿が難しいのよ。それ以外にも理由はあると思うけど」
「…本当に巻き込まれただけなのね」
「魔術に関しては私も知らないことだらけだから……貴方は理由わかる?」
「それを私に聞いてどうするつもりだね?」
「貴方もここに居てくれているのだから饗さないとね。会話するのが嫌ならもう話さないわ」
「…そう言うわけではないが」
「そうね。今は敵同士だから後で機会があれば話しましょう。貴方とは相性が悪そうでしょうし」
「…なに?」
「能力の、ね。武器は造り出すのでしょ?」
「……なるほど。君の方が上手だったか」
「もう少し備えないと。手持ちが少ないと警戒されるわ」
「は? ちょっ、なんで」
「ごめんなさい、アーチャーのマスターさん。警戒を強めないでくれると嬉しいわ。仲良くしたいから指摘したの。マスターから愛想を尽かされないためにね」
愛想もなにも、俺としても方向性が決まるまでセイバーには居てもらわないと困るんだが。
「式って呼んでくれると嬉しいわ。クラス名も良いのだけれど、貴方には名前で――」
「名前ってそれ貴女、真名」
「関係ないわ。私は未来のサーヴァントだもの」
未来? どういうことだ?
「正確には違うのだけれど、これからの結果によっては私が生まれるかもね。とかそういうのなの」
「…つまり君は現段階では存在しないのか」
「さて、どうでしょうね」
終わり方が雑。
式さんの好感度最大値が上がったことにより投降。六もたまってないけど。
らっきょの内容掠れ掠れなので無垢ってだけしか覚えてないから多分次もきつい。中身見直す時間もない。
だからなんだと言えば、特にないのだけれど。