今回は帰郷編の最後ですので、いつもより長くなっております。
後、UA3万ありがとうございます。
Haiji side
午前6時。
俺達ハピネス組と、メモリー、そして織斑千冬含む何名かの教員が学園から少し離れた駅に到着した。
駅前に二台の車が止まる。二台からそれぞれ一人ずつ見た目が少年のくらい男と、高校に入ったばかりくらいの少女が降りてきた。どちらもハピネスにいた頃に見たメンバーだ。
「お待たせ致しました。ハイジ様、マドカ様、メモリー様はこちらの車へ。イチカ様はそちらの車へご乗車ください。」
少年が言う。
俺達はその言葉に誘われるように車に乗ろうとする。
「待て、なぜ同じ車に乗車しない。貴様等は同じ所へ向かっているのだろう。ならば、なぜ別れて乗る必要がある?」
それを織斑千冬がそれを止めた。
わかっていた。その質問をされることが。だが、誰も言われるまで言うことはなく、俺もそのつもりがなかった。
「織斑先生、貴方には関係ないはずですが。」
イチカの言葉はいつも以上に棘があった。
「すまない。私は
「ハイジ、それじゃあ。俺はもう行くよ。」
織斑千冬の言葉まで遮り、イチカの様子がいつにも増しておかしかった。何か焦っているそんな感じがする。
(昨日、何かあったのか?)
昨日の夜に織斑に呼ばれた後、すぐに俺は自分の部屋に戻ったが、その時にに何かあったのかもしれない。
「おい待て、イチカ。お前さっきからおかしいんじゃないか?
なんでそんなに焦っているんだ。」
近づき異変を伝えるが、イチカからの返答がない。俺はさらに近づきイチカをこちら向けた。
「おい、イチカ。どうしたんだよ⁉︎」
笑っていたが、目に光は無く、殺意だけが滲みでていた。
「要件はそれだけかい。なら『
イチカは笑顔でそう言ったが、やはり口調が変わるくらい不機嫌になっている。
「兄さん!」
「何かな、マドカ?」
隣にいるマドカが声をかけたが、イチカはその嗤いをやめない。マドカはその様子に驚きながらも一言、
「兄さん、いってらっしゃい。」
と告げた。
その一言にイチカは
「いってきます。」
と告げ、一人俺達とは違う車に入っていった。
「なあ、マドカ。あれでよかったのか?」
「いいんですよ。
兄さんは『ちゃんと』話してくれると言ってましたから。」
笑顔でそう言われ、少し言葉が止まった。
「何やってるの?さっさと乗りなさい。」
メモリーは俺とイチカの会話中に車に乗ったらしい。
「俺達も行くか。」
その後、俺達も車に乗り、IS学園を出発した。
だが、その時は、まだ知らなかった。
イチカのこの一週間が、一ヶ月後に起こる世界全てを巻き込んだ喜劇とも悲劇とも取れる騒動のきっかけになるだなんて。
Haiji side end
??? side
「よかったのですか?」
私、白石美桜は、まだぎこちない敬語を使い、後部座席の上司に聞いた。
「何を.........かな?」
上司のイチカ・ハイドンは質問の意図を理解していて、その上でくだらないというように笑った。
「貴方は、何故家族に何も言わないのですか?」
私はもう一度意図を確かめるようにはっきりと言った。だが、上司の変わらない雰囲気に『
「何故、家族に言わないだって。笑わせないでくれるかな。言ったところで無駄だよ。」
その表情に希望は無く、ただ一つの自嘲した笑みだった。
「無駄ってなんでですか⁉︎」
その表情が私をイラつかせた。
「無駄だよ。
ふざけるなと言いたかった。でも言えなかった。
私はこの人に約二年間部下としてついて来た。きっと私は、喜んでいたのだろう。怒っていたのだろう。哀しんでいたのだろう。苦しんでいたのだろう。色々な感情がめまぐるしく心で揺れる。
「もういいでしょう。僕も少し疲れました。少し眠らせていただきます。到着したらまた起こしてください。」
そう言って、彼は眠った。私の様子を見て、呆れたのだろうか?
やはり、私にはこの人が理解できない。
Mio side end
Ichika side
昨日は結局眠れなかった。
織斑の言葉はイラだち、あの
その結果、友人や部下に当たりさらに自己嫌悪に陥った。そんなことを考えて、もう少しで救われると思い直したところで、睡魔に襲われた。
浮かぶ光景はいつもより少年が成長していた。
一人の少年が修行をして、いやそれはただの修行ではなかった。少年はただ力を求め続ける。
『さっさと
天界獣が口を開け、その
そこからは圧巻だった。目の前の少年は三番目の試験を受け、穴から飛び出してくる槍の雨を避け続けた。それはきっと何時間も続いたのだろう。少年が目標を殺し外に出る頃には日が暮れ、少年も倒れ込んでいた。
少年は何日も何日も、覚醒臓器に入り修行した。普通では考えられない怪我もしていた。だが、少年は治療獣を使い、何度も直し、そしてまた覚醒臓器に入っていった。
天界獣は、それをただ黙って見ているだけだった。その姿は、僕にはとても苦しそうに見えた。
ある日、男が現れた。
『君に能力を与えよう』
その男は自分が『ーーーーーー』の部下だといい、少年に能力を与えようとしてきた。
『じゃあ僕は、“ーーーー”を“ーーーーーー”変える能力にします』
男はその能力を聞き説得しようとしたが、少年にはその後能力が与えられた。
『ズドンッ』と音がなり、光景が消え去っていく。
「おい、どうした⁉︎」
運転していた部下の美桜に聞く。
「到着したはいいんですが、目の前に大きな人参が⁉︎」
その言葉で前を見ると、目の前の人参から『不思議の国のアリス』を彷彿とさせる格好をした女と、銀髪の少女が人参の中から出てきた。
「久しぶりだね。いっくん!」
女、『篠ノ之束』は確信したようにそう言った。
(何故こうなった)
Ichika side end
Tabane side
今から数年前、いっくんはどこかにいなくなってしまった。
いっくん対しての暴行は知っていたが、いっくん自体あまり気にしていなさそうだったから、放っておいた。
そしたらいっくんは、いつの間にかいなくなってしまった。
それからいっくんの周りの人は後悔して、私に頼み混んできた。
私には理解できなかった。何故こうなった原因達が私に頼ってくることが。だけど、いっくんは好きだったから探した。
でも、何年も探しても見つからなかった。
悔しかった。
私にはできないことがなかったから、悔しくてたまらなかった。
ずっとずっと探して探して探し続けた。
けど見つからなかった。
きっかけはほんの些細な事だった。
二年前、私はいっくんは
この事件でいっくんはもう死んでいると思っていた。
ハピネスのとある発表を聞くまでは.........
ハピネスが男性IS操縦者を見つけた。その写真には、学生時代にちーちゃんの両親の写真を片付けていた時に見た、ちーちゃんの父親にそっくりだった。
私は急いで調べた。でも、ハピネスのガードは固くて調べることができなかった。
だから、急いで次の行動へと移した。
IS学園で、クラス対抗戦なるイベントがあることを知った。そして、その時に、『ISをたくさん送っていっくんかどうか確認しよう』と考えた訳だ。でも、ISのほとんどを壊されてしまった。唯一遠隔操作していた二機のISでなんとか
調べた結果、イチカ・ハイドンがいっくんの遺伝子と合致した。
このことをちーちゃんに伝えたかった。でも、いっくんのことを考えると、とてもじゃないがそんなことは言えなかった。伝えたくても伝えられなくて、ぼかしながらいっくんであるってちーちゃんに伝えた。
ちーちゃんは私の言うことを聞かずに、イチカ・ハイドンに話しかけた。ちーちゃんは気づかなかったが、イチカ・ハイドンに動揺しているのを、ちーちゃんに取り付けられている監視カメラで見えた。
そのおかげで、イチカ・ハイドンがいっくんだって確信した。だから私は、いっくんに会いに行く機会を待った。
チャンスはすぐに訪れた。
私はいっくんがIS学園を、少しの間出て行くことを知った。その日程を確認し、当日すぐに追いかけて行った。
私はいっくんにどう話そうかくーちゃんと話ながら会いに来た。
「久しぶりだね。いっくん!」
そして私は人参のロケットから飛び降りた。
Tabane side end
Ichika side
目の前の存在に、つい溜息をついてしまいそうだった。
(後、
目の前にいる篠ノ之束は俺を『織斑一夏』だと言った。
(確信しているな.........どうする?とりあえず、いつも言っていることを言っておくか)
「俺は織斑一夏ではありませんよ。篠ノ之束博士。」
確信している篠ノ之束を見て、俺はもう殆ど諦めているが、いつも言っている言葉を言う。
「いや、いっくんだよ。だって、IS学園の時にとったいっくん遺伝子が一緒だったのに、いっくんじゃあないなんておかしいよ!!!」
(あの時か⁉︎)
半信半疑だが、IS学園を襲撃された時に髪の毛を切られた。その時に採取されたのだろう。
(仕方ない)
諦める。
目の前にどんな人間であろうと、遺伝子まで調べられたらどうしようもない。だが、
「俺は一応『織斑一夏』ですよ。」
「やっぱりそうじゃん!!!
急いでちーちゃんに伝えないと!!!」
目の前の女性が喜ぶ。それはどうしても俺は辛かった。
「ちょっと待って下さい。」
「何かな、いっくん?」
俺はハイジにも言った真実を告げる。
「俺は『織斑一夏』であって、『織斑一夏』ではないんだよ。」
「ちょっといいんですか⁉︎」
美桜が言う。もうどうしようもなかった。
「いいんだよ。」
目の前の女性が止まる。
「どう言うこと?」
(ああ嫌だ)
あの話をするのが嫌だ。
「少し話を聞いてくれませんか?」
だが、俺は話さなければならない。だってそれは、大切なことだから。
俺は俺の過去とハイジにした話を彼女伝えた。
「嘘だ!!!」
(この顔だ)
女性がヒステリックに叫ぶ。
嘘だと言って信じなかった人。今の
それを見て俺は、どうしようもなく辛くなった。
その後は兄さんを筆頭に俺に対し、きっちりと面倒を見てくれた。それでもきっと今でも俺を仲間だと認めない奴等もいると思う。だから、もう二度と見ないように
もう二度と見ないと思っていた
「嘘だと言ってよ、いっくん。
そんなオカルトなことありえないんだよ。
だから嘘をと言ってよいっくん。」
泣きながら縋る女性を見て居た堪れなくなる。女性の背後にいる少女は話を聞いて驚き、楽しんでいたが目の前にいる篠ノ之束を見て居た堪れなくなったらしい。
背後から大きな影が降りて来た。
「お迎えにあがりました。イチカ・ハイドン様。おっとその二人は?」
目の前に神補佐の背の小さな男性が降りてくる。
「少し待ってくれませんか?」
「よろしいですよ。時間はまだありますから。」
神補佐に断りを入れ、目の前の女性に
「事実は小説よりも奇なりって言うけど、本当だったんだね。」
泣いた顔でそう言う。
「私はいっくんの頃の大切な感情を戻せるように機械を作るよ!
きっと上手くいくから待ってて!!!」
飛び立とうとするのを止める。
「待って下さい篠ノ之束さん。
俺と一緒に天界に行きませんか?」
伝えなければならないから。
「何かな、私は急いで作らなきゃいけないんだ。天界に行く余裕なんてないんだよ。」
目的は一緒だから。
「今回天界に行く理由は『
篠ノ之束の表情が驚きへと変わる。
「できるの?」
「出来ます。織斑一夏だった頃の自分に何を言われるかわかりませんが、それでもいいならついて来てくれますか?」
きっとこの女性にも『織斑一夏』だった頃の自分は辛く当たるだろう。けど、俺は『織斑一夏』に対して泣いた女性を連れて行きたかった。
「いいよ、それでも。
いっくんにもう一度会えるなら、ついて行ってあげる。
いいよね、くーちゃん?」
「私は束様の意思に従います。」
後ろのくーちゃんという少女の了解を得た。
「すみませんが、二人乗ることってできますか?」
「大丈夫です。貴方の部下として乗ることで大丈夫なら、天界のことを余り言いふらしたりしなければ大丈夫ですよ。」
神補佐も話を今回の件を知っているのか、話が早かった。
「大丈夫だよ!束さんは絶対に言いふらしたりなんかしないよ!!!くーちゃんも大丈夫だよね。」
「はい、大丈夫です。私も絶対に言いふらしたりしません!!!」
二人は大きな声でそう言った。
「美咲もいいか?」
最後に美桜に聞く。
「仕事としては駄目と言いたいですが、神補佐にも大丈夫と言われたなら仕方ありません。私も連れて行ってあげたいですから。」
美桜は呆れているが、それを受け入れていれてくれた。
「わかりました。四名様、傘に乗ってください。天界に行きます。」
俺達は大きな傘に乗って、天界へと向かって飛んで行った。
Ichika side end
??? side
もうすぐイチカが帰ってくる。
もう少しでこの大切な日々が終わりを告げる。
いつか来ると思っていたが、このいつかが来るなんて思いたくなかった。信じたくないと思うと同時に嬉しくもある。きっと心のどこかで苦しくもあったのだろう。贖罪は終わりを告げよう。きっとそれは大切なことだから。
??? side end
次回、記憶編突入