東京喰種√0   作:ウェズン

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お気に入りが3件…だと?メチャクチャ嬉しくて某死神漫画風になったウェズンです。
いや〜、こんな文才がメチャクチャな作品をお気に入りしてくださるなんて恐縮する他ありません。もしよろしければ今後とも応援お願いします。


#012

 服部と咲原が『(キャット)』の話をしていた頃、晴人と唯奈はデパートにて昔の…晴人がまだ学校に通っていた頃の話とその後の話をしながら晴人の服を探していた。

 

 

「へ〜、俺がいなくなってからそんなことがあったのか」

 

「うん。それにしても、ハルくんが突然学校を辞めた事にはすごく驚いたなぁ」

 

 

 どこか悲し気な雰囲気で晴人が学校を辞めた話をすると、分かりやすい動揺を見せる。

 

 

「あ、あ〜、まああの頃は、ちょっとな」

 

 

 晴人が学校を辞めたのは理由があった。だが、理由が理由なだけあってその事は亜蓮以外には…否、亜蓮にもなるべくなら言いたくない。

 

 

「ふーん、そっか、ならいいよ。今はこうして会えただけでも嬉しいから」

 

 

 ほっ、と胸を撫で下ろす。この理由は亜蓮以外ももちろんそうだが、その中でも唯奈だけには絶対に言いたくはないため、話を閉めてくれてよかったと思う。

 

 

「(俺が学校を辞めた理由ね…あの頃の俺は…)「キャッ!」おっと、すまねえ」

 

 

 晴人が昔の事を思い出しかけた直後、買い物の途中らしき二人の高校生位の女子と遭遇し、肩と肩がぶつかってしまう。

 

 

「ちょっと、大丈夫!?」

 

「う、うん大丈夫」

 

 

 喰種の体である晴人は少し人間とぶつかったぐらいでは倒れないが、人間の方は簡単には倒れてしまい床に尻餅をつく。

 相方が倒れたのを、もう片方の黒に少し青っぽい色がかかった髪色の女の子がその子に手を差しのべる。

 晴人はもう一度謝ろうと少し屈もうとしたところで、ある匂いに気づく。

 

 

(! この匂いは…!)

 

 

 ばっ、と黒髪の方の女の子を顔だけ上げて見ればそちらも気づいたのかこちらを驚いたような警戒したような目で見ていた。

 

 

「(…こっちを見てる…やっぱり喰種か、ってあれ? あの子どっかで…ってそれよりも)すまない、よそ見していた。大丈夫か?」

 

 

 晴人はその黒髪の女の子をどこかで見たことがあるようだが、とりあえず先に倒れた金髪の女の子に謝る。

 

 

「あっ、はい大丈夫です」

 

「そうか、なら良かった(こっちを警戒しているなあの子、この子を喰うとでも思っているのか。しかし、どこで見たんだったか…)」

 

 

 どこで見たことがあったのか思い出そうとする晴人だが、なかなかに思い出せない。だけど、ふとその子からいいコーヒーの香りがするとその瞬間にはっ、と思い出す。

 

 

「なあ、あんたってもしかして『あんていく』で働いている従業員か?」

 

 

 彼女は晴人の行きつけの喫茶店『あんていく』の従業員のようだ。晴人がそのことを言えば、黒髪の女の子は意表を突かれた様な表情になる。

 

 

「えっ、あっはい、正確にはバイトですけど」

 

「おお! やっぱりか~。あそこのコーヒー美味いからすげぇ好きなんだよなぁ」

 

 

 『あんていく』の従業員はいきなり自分のバイトの勤め先の話になったのが以外過ぎたのか警戒心がなくなっていた。

 

 

「(それにしても、隣の金髪の子って人間だよな…? 従業員さんの喰いもんか? …いや、『あんていく』の喰種達は平和主義の喰種で構成されているから、人間を襲ったりしない筈。ならば純粋なただの友達か)ところで、なんでこんなとこにいるんだ? ここは14区だぞ。アンタって20区のもんだろ?」

 

 

 晴人は警戒が解けたのを見て、何故わざわざ遠い14区へ、喰種達にとっても危険地帯なこの場へ来たのかと、二重の意味の質問を『あんていく』の従業員にする。

 

 

「は、はい。今日ここに来たのは、友達がここでしか買えない物があって、それを買いに私もついて来たんです」

 

 

 目的は先程晴人が倒してしまった金髪の方の女の子の買い物の様だ。晴人はなるほどと、心の中で相槌を打つ。

 

 

「(しっかしまあ、よくこんなとこに友達連れて来れたな従業員さん。ここといえば喰種でさえ認める危険地帯に他ならないってのに。まあ、だから従業員さんも自分がついて行くのをちゃんと条件にしたんだろうな。金髪の子が誘ったと言う可能性もあるけど)そっか! なら本当にすまなかったな、友達さんとの買い物の邪魔をして」

 

「いえ、お気になさらず」

 

 

 晴人は知りたいことが知れればもういいのか別れを告げて唯奈の方に歩いて行く。

 

 

「それじゃ、今度また店に寄るから、そん時はコーヒーよろしくな〜」

 

 

 振り向き気味に景気よく晴人が言えば「は、はい」と、完全に想定外の事を言われた『あんていく』の従業員はただ頷くしかなかった。

 

 

「…あの人知り合い?」

 

「いや、知らない人。でも、私がバイトしている店によく来るお客さんみたい」

 

 

 『あんていく』の従業員は後ろ姿の晴人を見る。

 

 

(……アイツ、妙な匂いがしたな。そんなにヤバい匂いじゃ無かったけど、でも何か普通の喰種とは違う様な…一応警戒はしておくか)

 

「へー。まあ、そんなことより早く調理器具買おっかっ!」

 

 

 晴人が過ぎ去って行った後、二人の女子高生は晴人のことは気にせずまた買い物を再開する。

 

 

「ハルくん、さっきのあの子達誰?」

 

「ん? ああ、俺の行きつけの店の従業員とその友達だ」

 

 

 晴人が唯奈の元に戻れば唯奈はさっきまで晴人と話していた二人の事を聞くと、「へ〜、行きつけの」と、唯奈は二人の事よりも"行きつけの店"に興味を持ったのかさらに聞いてくる。

 

 

「ねえ、ハルくんのその行きつけのお店ってどんなお店?」

 

「どんなって…普通の喫茶店だ」

 

 

 どんな店か聞かれ、つい人肉を提供してくれる店と答えそうになるが、とっさに飲み込む。

 

 

「そうなんだ。…ねえ、そこのコーヒーって美味しい?」

 

 

 と、更に興味を持ったのか唯奈がコーヒーの話をしだした。その瞬間、晴人は目を光らす。

 

 

「美味しいか、だと? ああっ、当然だ! あそこのコーヒーは絶品だ! あの香り、あの苦味、そして何よりも一切手抜き無しとはっきりわかるあの美味さ! どれをとっても最高のコーヒーとしか言えない。流石は作っているのがぐー…はっ‼︎」

 

 

 晴人が一気に『あんていく』のコーヒーのことを熱く述べようとしたら、危うく喰種が作っているということまで言ってしまいそうになり咄嗟に口を抑える。

 

 

「ぐー?」

 

「い、いやっ! なんでもない! なんでもない、気にしないでくれ」

 

 

 晴人は手でなんでもないと言う様に手を前に出して誤魔化す。だが、誤魔化しても何か感づかれるかと冷や汗をかくが、

 

 

「ふーん。…ねえ、そこのコーヒーそんなに美味しいなら私も飲んでみたいな、今度一緒に行ってみていい?」

 

 

 どうやら気づいてない模様で心の中で一息つき安心する。

 

 

「あ、あ〜、いいぞ、今度また一緒に行こうではないか」

 

 

 焦りがまだ抜けてなく口調が微妙におかしくなっている晴人だが、また唯奈と出かける約束ができて嬉しい思いになる。

 

 

「よし、約束だよっ! あっ、ねえハルくん、こんなのはどうかな?」

 

 

 唯奈は晴人に約束を取り付けたら目的である晴人の服を買おうと目についた一着を手にとって見せてくる。

 

 

「お〜、なかなかにいいんじゃないか? この柄は嫌いじゃないし」

 

 

 唯奈は今時の女子高生らしくなかなかにいいセンスを持っていて、彼女が選ぶ服は万人が気に入りそうなものばかりである。

 

 

「そっか、ならこれも買っちゃおう」

 

 

 そう言って買い物籠に入れる。そんなに衝動買いしていいのかと、思う晴人だが、そんなことはお構い無しな様だ。そして、気づけば買い物籠の中には上下十着以上の服が入っていた。おまけに、どれも結構高めな服ばかりだ。

 

 

「え、えっと、こんなに買って貰っていいのか? 何だか高級そうなものもあるけど」

 

 

 喰種はその食性故、食費がかからないためバイトなどをしてればかなり儲かるが、晴人はバイトもしてない上に所持金の工面は亜蓮にされているためそこまで金は持ってない。

 

 

「大丈夫だよ。私が全部払うから」

 

 

 こんなどう考えても高いであろう金額を全部払えることに驚くが、そんなことよりも、

 

 

「いや、それは流石に申し訳ない。それに、女に払わせるのは男としてどうかと思うし」

 

「でも、払えるの? これ結構な値段だと思うんだけど」

 

 

 男の意地を見せようとする晴人だが、いつの間にか唯奈は既にレジで会計していて、その値段を見て絶句する晴人。そして、懐を確認するが、

 

 

(2370円…これじゃあどうやっても五分の一ぐらいしか払えねえよ)

 

 

 何度も確認するが、どう足掻いてもその金額が変わるわけもなくどうするか悩む。

 

 

「………頼みます」

 

「うん、わかったよ」

 

 

 結局唯奈を頼るしか方法は無かったが、それでもと、最後の意地で自分の持ってきている金を全部出す。

 

 

「なんというか、すまねえな。こんなに買って貰ってさ」

 

 

 申し訳なさと感謝が入り混じった表情の晴人とご機嫌麗しい唯奈。その二人はもう用が済んだのでデパートから出て行こうとしていた。

 

 

「ううん、そんなに気にしなくてもいいよ。それに今日はもともと服を買いに行こうと思っていたしね」

 

 

 唯奈は久々に服を大人買いしようとしていたようで、公園に行ったのはあくまでもついでであったが、そこで晴人と会うことができ、それで初めて男の人の服を選ぶという新鮮なことができて今回は有意義な時間を過ごせたようだ。

 

 

「なら良かったよ。(はぁ、それにしても、もう金がなくなりやがった。こんな早くなくなるのは初めてだ)」

 

 

 でもと、今買ってきた服を入れた紙袋を見る。

 

 

(これで少しは高校生らしくなれるかな。てか、そもそも高校に通ってないから高校生じゃないか)

 

 

 それでも、こうして買い物ができたのは新鮮らしく、いい体験になったなと思う晴人。そして、外に出ればもう夕日も沈み暗くなり始めていた。

 

 

「もう暗いな。今日の方は帰るか」

 

「うん、そうだね」

 

 

 ある程度まで一緒に隣り合って歩いていた二人は、交差点を境にそれぞれ別の方向に歩き出す。

 

 

「それじゃ、またな。最近は喰種とかが物騒だから路地裏とかには絶対に行くなよ」

 

「大丈夫だよ、これでも合気道やっているんだから! それじゃあ、またね」

 

 

 あ、合気道やってんのね、と以外にも格闘家だったことにどこかうすら寒く感じる晴人。二人は手を振りながら別々の方向に歩く。

 

 

「♪~(さて、こんなに買ってきたから亜蓮の奴驚くだろうな。それにまた出かける約束もしたし、今日は良い日だ)」

 

 

 別れてからしばらく、晴人が亜蓮に何て言って驚かそうか考えながら楽しそうに帰路についていた時だった、

 

 

 キャアアアアアッ

 

 

「!!?? 今のはっ…‼︎」

 

 

 喰種の耳でようやく聞こえる程度の声であったが、確かに唯奈の悲鳴が聞こえてきた。

 聞こえた瞬間、晴人は咄嗟に帰路とは反対方向に向きを変えて弾丸の様に走り出していた。

 

 

「はっ、はっ、はっ、クソッ(別れてからまだそんなに経っていない、なら!)」

 

 

 晴人はまだ間に合うと思いながら全速力で走る。喰種の…それも羽赫の中でも強い部類に入る晴人が走っている様子を周りにいる人達には強い風が吹いている様にしか見えない。

 

 

「はっ、はっ、はぁっ! 間に合えぇ!!」

 

 

 晴人は聞こえた方向に向けて様々な建物の角を曲がって行く。そして、晴人が唯奈の元についたと思ったら、そこには…

 

 

 

「…っ! お前は…!」

 

 

 

 不純物の無いただただ黒いフルフェイスの仮面を被った喰種が街灯に照らされ立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その足元に唯奈を寝かせて

 

 

 

 

 




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