東京喰種√0   作:ウェズン

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もうテスト近いからまた更新遅くなると思います。とにかく、14話どうぞ。


#014

「オオオォォオォォッ!!」

 

 

 二人による格闘戦は凄まじかったが、雄叫びを上げての赫子のぶつかり合いも凄まじい。晴人の方が数で勝っているもの、『暴食の悪魔(グラトニー)』は赫子を巧く使い数による不利を完全に無くす。

 そして、晴人は『暴食の悪魔(グラトニー)』から来た赫子の一撃を防ぎ、格闘戦に切り替える。その格闘戦は相変わらず凄まじい速さ…いや、さらに速い格闘戦を繰り広げる双方。

 

 

「…本当に凄いね、これでも、結構、本気出して、いる方なんだけどねっ!」

 

 

 これだけ速い格闘をしながらも『暴食の悪魔(グラトニー)』まだどこか余裕が有りそうだ。

 一方晴人は、これがもう限界なのか、彼とは違いまるで余裕が無く喋る余裕も無い。

 

 

「……ッ! ……ッ!」

 

 

 しばらくその速さを維持しつつ格闘戦を続けるが、

 

 

「フッ、ハッ!」

 

 

 わざと大振りに脚を振った『暴食の悪魔(グラトニー)』は晴人から一旦距離を取り、様子を伺う。

 

 

「はぁー、はぁー、はぁーっ」

 

「…大分消耗しているね。無理もないか、普通なら、羽赫の喰種は体力の消耗が激しく、今頃なら完全にばてて動けなくなっている筈だからね。

 その点、キミの場合かなり頑張っている方だね。ボクの格闘に追い付こうなんて、そこいらの喰種では到底できないことなのに、キミはギリギリながらも見事ついてきている」

 

 

 やはり、まだ余裕の様で落ち着いた解説をする。

 

 

「はぁ、はぁ。ハッ、だったらなんだよ。はぁ、まだ倒れてないのが残念だってか? はぁ、はぁ」

 

 

 どれだけ息切れても笑って挑発する晴人。

 

 

「…疲れてても口だけは達者のようだね。ならいいさ、本当はもう少し易しくしようかと思ったけどやめだ、今度こそ、殺してあげるよ」

 

 

 そう言った『暴食の悪魔(グラトニー)』は再び赫子を出す。だが、その数は三本ではなく、六本だった。

 

 

「…! テメェ、まだそんなに赫子があったのか…!」

 

 

 流石はSSレート喰種と言うだけはある。

 そして、『暴食の悪魔(グラトニー)』は仮面でわかりづらい薄い笑みを浮かべながら赫子の先を全て晴人に向けると、凄まじい速さで飛び出してくる。

 

 

「‼︎ クッ…オオッ!」

 

 

 晴人も赫子を出して同じ様に突っ込んで行く。

 二人が互いにぶつかれば、鉱物同士か鉄か何かが思い切り当たる様な鈍い音が静な夜に鳴り響く。

 ぶつかり合うのは一回だけでは勿論なく、止まってはまた体の向きを変えてまたぶつかり合う。

 

 

「オオオオオオォォッ‼︎‼︎」

 

 

 晴人はまた雄叫びを上げてぶつかり合う。もう既に晴人はガス欠間近であるが、それでも尚体を無理矢理動かしてまた激突する。

 

 

「クッ! よく持つじゃないか。それに、なんだか威力も増してきている様だ。これは本当にまずいかもね」

 

 

 流石の『暴食の悪魔(グラトニー)』にも余裕でいられなくなってきた様で、仮面でわからないもの焦っている表情が想像できる。

 

 

「ぐうぅっ!(もうそろそろ限界だ…! だけど、ここでへばる訳にはいかねえぇ!)」

 

 

 お互い激突し合い身体中に傷が増えていく中、晴人はもう限界が来て、体は悲鳴を上げているものの、それでもその体が止まることはない。そして、

 

 

「もう、お互い限界に近い、これで終わりにしようか」

 

 

 と、一旦止まった『暴食の悪魔(グラトニー)』は決着をつけようとまた距離を取り、最後の一撃をしようと赫子を構える。

 晴人も一度止まり、今にも倒れそうなぼろぼろの体を赫子で押さえて、対抗するように構える。

 

 

「はぁ、ハぁ、ハァァッ!」

 

 

 晴人は最早なにも話せなく、ただ相手に向かって一撃入れることしか考えられなくなっている。そして、

 

 

「ハァッ!!」

 

 

 『暴食の悪魔(グラトニー)』が鋭い叫びを上げて突撃し、

 

 

「ガアアアアアァアアァッ!!」

 

 

 晴人がそれに重なる様に飛び出し、二人はぶつかっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ…ううん…」

 

 

 外が明るくなりかる少し前頃、14区のアパートの一室にて、唯奈は出かけてる太陽に照らされ目が覚めベッドから起き上がる。

 

 

「…あれ? ここって、私の部屋…」

 

 

 目覚めた唯奈は一人で暮らすには十分、という程度の広さの部屋を見渡す。

 

 

(おかしいな? 私は確か、ハルくんと買い物に行って、その帰りだった…)

 

 

 そこで、ふと目覚める前の事を思い出す。

 

 

(! そうだ、私は帰りの途中であの黒い仮面の人に襲われたんだ…!)

 

 

 思い出した唯奈はもう一度部屋を見渡す。

 

 

「?(だったらなんで私はここに? …あっ、そういえば)」

 

 

 唯奈は朧気ながら少し見えたことを思い出す。

 

 

(あの時、ハルくんがいた様な…)

 

 

 朧気なためそこまでハッキリとは覚えてないもの、晴人が唯奈に背中を向けて立っていたこと、それだけは覚えていた。

 

 

(だったら…ここまで連れてきてくれたのはハルくん? …でも、それじゃあ…)

 

 

 晴人は自分の住んでいる場所を教えた覚えが無い筈、なのにここに運ばれたと言う事はここが自分の部屋だと知っていたということだ。

 まさかと、思う唯奈だが、現状それしか考えられない。疑問に思うが、もしそうなのであればいつかお礼をしなければとも思う。

 

 

「…あっそうだ、今何時だろう」

 

 

 一先ずその事は置いといて、今日は学校がある日のため今の時間を確かめてみれば、調度5時頃だった。まだそんな時間のためもう少し寝ようかと思うが、もう寝れなさそうなため起き上がりゆっくりと登校する支度をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 唯奈がいるアパートの外では晴人が唯奈のいるカーテンが開けっ放しの部屋をどこか悲し気な表情で見つめていた。

 

 

「……もう、大丈夫そうだな」

 

 

 見つめていた晴人は踵を返して帰路につく。

 

 

(……あの時)

 

 

 晴人は『暴食の悪魔(グラトニー)』と最後にぶつかり合った時の事を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガアアアァアアァッ!!」

 

 

 俺と『暴食の悪魔(グラトニー)』がお互いぶつかり合った時、

 

 

「ガッ、あっ…」

 

「…………」

 

 

 俺は奴に一撃与えたもの、そこまで深く入らず、逆に身体が崩壊するんじゃないかってくらいの一撃を諸に食らった俺は地面に倒れて…奴に負けた。

 

 

「…ボクの勝ちだね。まあ、完全勝利とはいかないけど」

 

 

 確実にダメージが入ったらしく血が噴き出しているが、奴は平然と立っていた。

 

 

「ふぅ、でも今回はキミの勝ちでいいよ。何せ、戦って思ったけどキミSレートだね? だんだんと妙に強くなっていたけど。まあとにかく、ボクにここまで傷つけたんだ、同じレートだったら多分負けてたと思うよ」

 

 

 あの戦いの最中、奴は俺の実力を正確に測っていた。つまり、奴にとってこの程度の戦いはそんなことができる程余裕を持てたということだ。

 

 

「ぐっ、クソッ!」

 

 

 その事が悔しい俺は立ち上がろうとしたが、体は既に限界以上に酷使された上にさっきの一撃を食らいもう立つことは不可能だった。

 

 

「もう止めときなよ。わかってるよ、キミがもう既に限界を迎えていることなんて」

 

 

 だが、このままでは唯奈が喰われると思った俺は身体から妙にひび割れる様な音をたてながら尚も立とうとする。

 

 

「…それでも立とうとするか。本当に面白いねキミ。…特別だ、その子は喰わないであげるよ。感謝しなよ? 本来ならボクは一度捕らえた獲物は絶対に逃さないからね。それじゃ、今度会う時はもっと強くなっているのを期待しているよ」

 

 

 そう言った奴は俺に背を向けて暗闇に消えて行く。

 

 

「がっはっ、はぁ、はぁ、ユ…イナ…」

 

 

 俺は一先ず奴の事はもう考えないようにして、唯奈の所まで這いつくばって行って、体を少し上げて膝で立って唯奈を見る。見る限り唯奈には目立つ傷はなくただ気絶されただけのようだ。恐らく奴は生きた状態のまま喰べたかったんだと思う、ああいうのは味がどうのとか新鮮さだどうとか煩いからな。とにかく、俺はまだ綺麗な体で安心した。

 

 

「はぁ、はぁ、よっと」

 

 

 目立つ傷が無いのが分かれば、俺は回復用の人肉を食べてから、戦う際に唯奈の側に置いた紙袋と一緒に唯奈を持ち上げ、住んでいる所を匂いで探り運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(…その後、俺は唯奈を部屋のベッドに寝かせた)

 

 

 ギリッ、と奥歯を食い縛り自己嫌悪に浸る晴人。

 

 

「クソッ、クソッ!(唯奈を危険な目に遭わせてしまった。こんな事が無いようにってあの時俺は学校を辞めたのに…!)」

 

 

 晴人は唯奈を…自分の好きな人を危険な目に遭わせないように関わりを絶つために学校を辞めた。だが、今回の様に唯奈は自分が関わった事によってか分からないにしても、自分が関わらなければ『暴食の悪魔(グラトニー)』と言う凶悪な喰種に襲われないでいたと、そう思わずにはいれない晴人は自分が赦せないでいた。

 

 

「…もっと強くならねえと…そうしなければ、俺は護れな…」

 

 

 何気ない一人言を途中で切れふと晴人は『暴食の悪魔(グラトニー)』から言われた事を思い出す。

 

 

『キミはあの人間(食料)が余程大切なようだね。喰種らしくない』

 

 

「…喰種らしくない、か。クソッ、本当どうすれば」

 

 

 晴人は迷う。喰種と人間は絶対に交わることを許されない、故にどれだけ仲良くやっててもいつか必ず敵対する。いつの日か亜蓮に言われた言葉だ。晴人はこの事は確かにそうだと同意できる事だった。だが、その晴人は今、人間を護ろうとしている、いつか敵対するのにだ。

 完全に矛盾してしまっている。いずれ敵対するなら深くは関わらず殺す時に殺す、そうしなければいけない、たとえどれだけその人間が好きでもだ。

 

 

「…何て事だ、見事に半端野郎じぁねえか俺。笑えねえなこりゃ」

 

 

 故に、晴人はいつまでも迷っている。喰種なら喰種らしくしていなければいけない。そうしなければいつ捜査官に殺られるか分からないからだ。

 だが、それでも唯奈だけは喰いたくない。そんな矛盾に板挟みになっている晴人は頭の中がこんがらり痛くなってきた。

 

 

「はぁ…とりあえず帰るか」

 

 

 これ以上考えても仕方なく、紙袋を大切に持って、今日は帰って自宅で身体を休めることにした晴人は暁を横から浴びながら帰路につく。

 そして、夜は明ける。




それではご感想等お待ちしております
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