東京喰種√0   作:ウェズン

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この頃、FGOのイベを必死こいてやっていたのが嘘みたいに飽きたウェズンです。なんで飽きたのかって?そりゃ、もう報酬全部貰ったからだよ。


#008

「はっ、はっ、はっ」

 

 

 捜査官の動きを封じ少女を連れ去っていくと言う、仮面無しではかなり危険な作戦を成功した晴人は、少女を脇に抱えながら先程よりも遠くへと走っていた。

 

 

「はっ、はっ、はぁっ。流石にここまでくれば大丈夫だろ。はぁ、はぁ」

 

 

 かなりの距離を走ったのか、喰種の彼でさえ疲れていた。

 

 

「ふぅ〜、いや〜ようやく一息つけ、オグゥッ‼︎」

 

 

 一息ついて上手くいったことに額についた汗を拭いて安心しようとしたら、いきなり腹へと衝撃が走る。

 

 

「テッメェ…! 何しやがる…!」

 

 

 その腹へ衝撃を与えたのは脇に抱えてた少女がやったことだった。

 

 

「…なんでじゃましたの」

 

 

 少女は子供らしく不貞腐れながらなぜ邪魔をしたのかを聞く。それに晴人は自分の妹に叱るように言う。

 

 

「バーカ、んなもん決まってる、あのままじゃ絶対に白鳩を殺すだろうと思ったからだ」

 

「…なんで、そんなことでじゃまされなきゃいけないの」

 

 

 少女は納得がいかないようで、不満を洩らす。こうも不貞腐れては対応するのがなかなかに面倒だと思う晴人だが、

 

 

「はぁ〜。たくっ、あのなぁお前が白鳩を殺したら更に強力な白鳩がやって来るだろうから、お前を殺してでも止めなきゃいけないの」

 

 

 根気強く子供を叱る大人のように語尾を強めてそう言う。

 

 

「…つよいはとがきたって、たおせばいいもん」

 

「いやだからなぁ、はぁ〜」

 

 

 が、いまいち効果がないようでどうしたもんかと悩む。

 

 

「…まあ、なんだ、邪魔したのは悪かったよ。人間を生かすか殺すかなんて俺ら喰種にはどうでもいいことだしな」

 

 

 だが、悩んだところで、やはり彼らは喰種。彼らにとって人間は殺す殺さないより、喰うか喰わないかである。

 喰種において当たり前の事だが、晴人はどこかそのことを忘れかけていた。なんでだと、思うが、捜査官を…人間を助けようとしたからそう思っただけだと、言い訳してその考えを振り切る。

 

 

(はぁ〜、思えば何で殺さずコイツを連れて来たんだろ…。俺は助けに来たんじゃない、コイツを殺すために来たんだ。ならあの時、コイツの邪魔でも何でもして白鳩に殺させりゃよかったのに、何で助けだしちゃったんだか)

 

 

 晴人は自分が今何をしているのかわからなくなってきていた。

 

 

「…まあ、どうでもいいか」

 

「なにが?」

 

 

 「なんでもねえよ」と、言い晴人は少女を脇から離して降ろす。

 

 

「ねえ、これからどうするの?」

 

 

 解放された少女は背の高い晴人を見上げて唐突に尋ねる。

 

 

「どうって、なにが?」

 

「また、たたかうの?」

 

 

 殺し合いを再開するのかと、問われて晴人は少し悩む。

 

 

「そうだな…今日はもういいかな。疲れたし」

 

 

 本当に疲れたような声で言った晴人に「そっか」と、少女は戦意が無いのならもうどうでもいいのか、そう言った後去ろうとする。

 

 

「なんだよ、何も無いんかい」

 

「なにかほしいの?」

 

 

 「いや、別に」と、引き止めたもののどうでもよかったのか適当に言う。ただ、晴人は最後に聞いておきたい事があり、そのことのために引き止めた。

 

 

「お前、名前は? まだ聞いてなかっただろ」

 

「? なんでそんなこと聞くの?」

 

 

 晴人は「なんとなくだ」と、適当に言い早く言うよう促す。

 

 

「ふ〜ん、そっか。でもね、あいてのなまえをきくときはじぶんからいうんだよって、ならわなかった?」

 

 

 このガキ生意気だなと、青筋を浮かべてイラつくが堪えて自分から名乗る。

 

 

「俺は桐崎 晴人だ。覚えておけ」

 

 

 晴人が名乗ると少女は、興味が無いような生返事をし、

 

 

「わたしはねとうの ななみ(塔信 七実)っていうの。たてもののとうにしんじるでとうの、ななつのみでななみだよ」

 

 

 と、分かりやすく漢字も教えながら名乗れば、晴人は「ご丁寧にどうも」と嫌味を言うような返事をする。

 

 

「はると、おにいちゃん、かぁ。うん、おぼえたよ」

 

 

 そんなことは気にしない少女…七実は一つ一つ噛みしめるように言いしっかり覚えようとする。

 

 

「それじゃあばいばい、はるとおにいちゃん♪また、たたかおうね」

 

 

 七実は最後に恐ろしいことを言って去っていく。

 

 

「…できるならもう一生戦いたく無いわ」

 

 

 と、項垂れるがそうもいかなく、依頼のためまた戦わなければいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからしばらく経ち、夕暮れ頃。晴人は自宅に帰って風呂場へ直行し、あらゆるところが破け、切れている服を脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。

 

 

「はあ(結局のところ、依頼の方は失敗か。…まあ、別に期限がある訳じゃないからまた挑戦すればいいだけなんだが…)」

 

 

 それでも晴人はなんだか悔しいようで、ムシャクシャしていた。

 

 

(ああ、クソッ。油断はしてない筈だったんだが、ここ最近負け無しだったからどっかかしらで油断してたのかもなぁ。はぁ)

 

 

 今回の負けはかなり悔しいようで、イラついた様に頭を洗う。

 しばらくそんな状態が続き身体も洗うが、そうそう悔しがってばかりもいられず、さっさと風呂に入って早く寝て今日の疲れを癒したいと思う。

 

 

「ふぅ〜。あ〜早く寝よ寝よ…ん?」

 

 

 晴人は風呂から上がって着替えて寝ようとタオルを肩に掛けて寝室に行くが、その時に玄関からドアが開く音がした。

 

 

「お〜、帰って来たか亜蓮」

 

 

 誰が来たのか確めに玄関に行けば、ドアを開けたのは晴人の兄、亜蓮だった。

 バイトが終わり帰って来た亜蓮は晴人を見て「ああ、ただいま」と、簡単に言って風呂場へ行き、晴人は階段を上がり寝室に入る。だが、

 

 

「晴人、少しいいか」

 

 

 亜蓮は風呂場へ行ったと思ったら、何故か晴人の寝室へ来た。若干でわかりずらいが、焦り気味で。

 晴人はなんで来たのか既に検討がついていて、もう来たかと思った。

 

 

「…なんだ」

 

 

 ベッドの上で座る晴人は振り向かず言う。そんな晴人に「これは」と、言って亜蓮が見せたのは、風呂に入る前に着ていた晴人のズタズタになった衣類だった。チラリと横目で見た晴人はやっぱりかと、この事を読んでいたため、すぐにこう答える。

 

 

「今日、とある喰種からの依頼で喰種を殺しに行ったんだ。だけど、相手が思いの外強くていたる箇所をやられてな。おまけに白鳩共も来たもんでどうにかこうにかして逃げてきたんだ」

 

 

 晴人は亜蓮に誤魔化しは効かないことをわかっているため、今日あったことを簡潔に正直に全て話した。

 

 

「そうか…晴人」

 

 

 亜蓮に呼ばれ「なんだ」と、言って亜蓮が言おうとしてることを耳だけ傾けて聴く。

 

 

「俺はお前のやりたいことを止めるつもりは無い。お前の道を信じているからな。だが、一つだけ約束してくれ、絶対に生きて帰るということを」

 

 

 晴人は亜蓮からの願いに「…わかった」と、言い頷く。

 

 

「そうか、ならばいい…」

 

 

 亜蓮は寝室から出て行くが、「最後に」と体は部屋の外に向けたまま顔を晴人の方に向けて続ける。

 

 

「お前が死ねば悲しむのは俺だけではないということを、しかと覚えておけよ」

 

「………」

 

 

 それだけ言うと、完全に寝室から出て風呂場へと階段を降りていく音を鳴らす。亜蓮がいなくなってから晴人はベットに寝転がり先ほどの約束について考える。

 

 

(生きて、ね。できれば俺もそうしたいけど、毎回は無理だと思うがな…ま、でも最低限できるようにはしとこう)

 

 

 そうやって区切りをつけた晴人は明日に備え、早く寝ようとベッドの中に入る。

 

 

(あ〜、なんだろ、今日はもうだりいなぁ。…にしても、亜蓮の野郎、やっぱり知ってやがったか…教えた覚え無いってのに。はぁあっ、そんなこと考えてもしゃあねえし、もういいからいい加減寝よう)

 

 

 晴人は疲れていたため、大きく欠伸を一回してそのまま静かに眠っていく。

 

 

(なんか今日はいい夢でも見れそうだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢を見た…いつの頃のかはわからない…けど、俺がまだ小さい頃だったのは覚えている…

 

 

『ほら、行っておいで』

 

『………』

 

『どうしたの? 行かないのかい?』

 

『…行きたくない』

 

『そんなこと言わないで。ほら、亜蓮は行ったよ』

 

『いいもん。行ったってアイツと違うって、みんないじめるもん』

 

『そっかぁ。う〜ん、困ったなぁ……! なら、あの子はどうだい』

 

『……?』

 

『ほら、あの子だよ、あそこにいる女の子』

 

『…女となんて遊びたくない』

 

『その言葉使いはよしなさい。いいじゃないか、恥ずかしいのかい? でも、あの子ひとりぼっちみたいだからさ、ね? だめかい?』

 

『…わかった』

 

『うん! それじゃ、行っておいで』

 

『……………ねぇ』

 

『……?』

 

『…遊ぼ…』

 

『…! うん!! 遊ぼっ!』

 

『……僕』

 

『?』

 

『僕、晴人』

 

『! はるとくん? そっか! いい名前だねっ! 私はーーっていうのっ』

 

『そっか、ーーだね』

 

『うん! よろしくね! ハルくん!』

 

『…ハルくん?』

 

『うん! はるとくんだからハルくん!』

 

『そ、そっか…うん、よろしくーー』

 

『うん、それじゃあ、何して遊ぼうかなぁ』

 

『ねぇ、なんでーーはひとりでいたの?』

 

『えっ? えっとね、うん…私ね、おかしいの』

 

『おかしい?』

 

『うん、ねぇハルくんはぐーるって知ってる?』

 

『…! うん…』

 

『みんなね、ぐーるは悪い奴らだ! っていうんだ』

 

『…うん、みんなそう言ってるね』

 

『でもね、私は違うと思うの』

 

『…! なんで?』

 

『だってね、ぐーるは生きたいからにんげんを食べちゃってるんだよね!』

 

『うん、そうだよ…』

 

『だからね、私たちと同じだと思うんだ!』

 

『? どうして?』

 

『だってね、私たちだってお肉を食べているでしょ?』

 

『うん、そうだね』

 

『そうだよね! でもね、そのお肉はお牛さんだったり豚さんだったりするんだよ。ね、同じでしょ?』

 

『……うん…そう、だね…っ』

 

『? どうしたの? お腹痛いの?』

 

『ううん、大丈夫だよ。ありがとうーー』

 

『ううん! いいよ! ハルくん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あり、がとう…」

 

 

 朝…未だ夢から覚めきってない晴人は…目元に涙を溜めて呟く。




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