未踏召喚://インデックス   作:白滝

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エンディングX-02 彼の知らないもう1つの結末

(Ending X-02 Open 07/31 20:44)

 

 

 

「相も変わらず、冒涜的なまでに美しい」

 この世も誰も名前を知らない『被召物(マテリアル)』。

 『ベツレヘム計画』を主導した『聖なる右』は、それをただ『ANGEL(ドラゴン)』と呼んだ。

 地面から立ち上る稲妻の中心に佇み、金髪をたなびかせる女性。その肢体を包み込むような純白の装束には光輝を、頭上に浮かぶ天輪の環には畏怖を、そしてその背中から伸びる真紅の翼には懺悔の概念を包括する。

 『イリーガル』の狂犬、一方通行(アクセラレータ)に盗まれてしまった『聖なる右』の未完の最高傑作であった。

 いや、未完も昨日までの話。

 ただ今から始まるのは、第四の扉を叩き、歴史を塗り替える儀式。

 『聖なる右』の横に寄り添う拷問服を纏った赤装束の少女が緊張に顔をしかめる。

「第三の質問ですが、ここで『総体』に直接干渉するのですか?」

「『ベツレヘム計画』は建前上は『ガバメント』主導だが、俺様の真意に気付かれたら三大勢力が全て敵に回る。数年越しにようやく奪還に成功したメインディッシュだ。行儀良くスプーンとフォークを構える俺様ではない」

 そう言って、『聖なる右』は両手を広げて眼前の異形を讃えた。

 『聖なる右』からの最終信号(ラストオーダー)を待ち受ける器の少女へ、贄としての感謝と礼節を告げる。

「光栄に思え、肉塊。お前の価値は無事刈り取られるぞ」

 そう、彼が呟いた時だった。

 

 

「そんな事のためには、その子は渡せねえな」

 

 ザッ!と、彼らの眼前に一人の少年が立ちはだかった。

 少年は丸腰で、励起手榴弾(インセンスグレネード)はおろかブラッドサインすら携帯していない。

 ハンマーやノコギリを腰のベルトから引き抜いて構える依代の少女を、咄嗟に『聖なる右』が手をかざして制止を促す。

 彼の顔に、珍しく緊張の色が浮かび、額に汗が浮かんでいた。

 依代の少女も初めて見る顔だった。

「……その顔、その雰囲気……『ガバメント』のブラックリストで見覚えがあるぞ。俺様の『ベツレヘム計画』も大概だが、貴様のやり方も常軌を逸している……確か、アワード1000へ到達せずに『向こう側の住人』になる外法の中でも頭一つ抜けた最悪の邪法『神浄』の――――」

 対して、その先を聞きたくないように少年が首を振って否定する。

「俺はただの普通の高校生だよ。それでもお前らの好きな『召喚儀礼』とかいう枠に当てはめたいのなら、『フリーダム』アワード1『幻想殺し(イマジンブレイカー)』とでも呼んでくれ」

 そう言って、少年は拳を固く握りしめた。

 励起手榴弾(インセンスグレネード)とブラッドサインを構える『聖なる右』に、余裕の色はない。

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

「なんだ、これは……」

 一方通行(アクセラレータ)の命を受けて『聖なる右』を追跡していた情報屋『背中刺す刃』は、目前の惨状を見て困惑していた。

 眼前には、これから一戦交えるつもりだった『聖なる右』が既に気絶しており、『ANGEL(ドラゴン)』と化していた依代の少女、打ち止め(ラストオーダー)は元の人間の姿に戻って気を失っている。

 辺りにはクレーターがあちこちに生じており、壮絶な戦いがあった事が推察された。

 こんな事をする第三勢力も、それが可能な人材にも心当たりはない。

 彼の長い裏稼業の人生の中でも、『聖なる右』を相手にここまで完膚無きまで叩き、尚且つ、得体の知れない『ANGEL(ドラゴン)』を文字通り打ち倒すなど、並大抵の召喚師ではないはずだ。

 その上、周囲の破壊の痕跡に反し、誰も怪我を負っていなかった。

 彼は打ち止め(ラストオーダー)を抱きかかえ、その場を後にする。

「……いや、もしかすると……」

 彼はとある都市伝説を思い出していた。

 『情報屋』の中で、同業者達の間で囁かれる真偽不明な噂話があった。

 

 曰はく、かつてアワード1000へ到達し、この世全ての迷い人(アリス)の救済を願った召喚師がいたらしい。

 

 曰はく、かの召喚師は世界を跨いで自ら新たな法となり、世界の一部と化したらしい。

 

 曰はく、その未踏級はただ一つだけアワードを有し、導かれた者へそれを授けに訪れるらしい。

 

 

 曰はく、そのアワードの名は『幻想殺し(イマジンブレイカー)』というらしい。

 

 

 

 

 




【Facts】


◆この世界で最も救いを欲していたアリスは『総体』。しかし、彼女の願いを聞き届ける人間はいなかった。















(Postscript Open ??/?? ??:??)

 あとがき



 はい、という訳で久し振りの完結作品でした。
 最近はpixivに投稿する事が多かったので、ハーメルンのあとがきで独り語りするのも何だか久し振りな気がします。
 まずは恒例の裏話から。
 「未踏召喚://ブラッドサイン」と「とある魔術の禁書目録」のクロスSSは、最初は私の妄想ではありませんでした。しかし、とある方の妄想が面白くて「自分もやってみたい!」となりまして、ぱぱっと最初の章のワンシーンを書いたのが始まりでした。
 そこで偶然にも感想を貰えまして、じゃあしっかりお話を組んで最後まで突っ走ってみようと思いここまで至った次第です。
 ……ぶっちゃけると、途中からは感想貰うよりもただ自分が妄想して書く作業が楽しかったので、異様に執筆のモチベーションが高かったですww
 お話自体も「ヒロインを連れ去りに刺客がやって来て、それを撃退する」という少年漫画チックな単純なシナリオだったので、展開を考える際にあまり悩まくて良かったというのもあります。このSSはキャストの配役と設定のクロスのさせ方がメインで、お話自体にどんでん返しとか作らなくてもいいかなぁ、という打算も少し…(汗)

 ではキャラごとにコメントを。

◆一方通行
 「城山恭介と同じスペックの人間は、禁書でいったら誰だろう?」と考えた結果、真っ先に思い浮かんだ人です。個人的には、上条さんがスマートな倒し方をしてしまうのはイメージが合わなかったんですね。
 とりあえずこの世界の時系列を並べると、
 ①『蟻塚計画』の被検体になり、風斬氷華を直接その身に召喚できるようになる。この時期にホルモンバランスが崩れて白髪赤眼で杖をつかなきゃ歩けない体になる。
 ②自身の力を使って『ガバメント』への復讐を始め、『0930事件』を起こす。この時、上条さんに救われて『ガバメント』を抜ける。
 ③『イリーガル』に所属して『グループ』を結成。召喚師として歩み始める
 ④『ベツレヘム計画』を知り、打ち止めを助ける。『グループ』を抜けて個人で逃亡生活を続ける。ここで土御門からエステルを紹介される。
 といった感じになります。霊媒体質あるのに召喚師をやっていられる理由は、一方通行は風斬専用の霊媒体質であり、余計な悪霊が憑りつきようがないためです。


◆エステル
 一方さんの依代を誰にしよう?と考えた際、『戒めの象徴』がそもそも似合わないキャラが多い気がして、そん時に思い浮かんだのがこの子でした。
 コミック掲載分ではまだ情報が少なくて口調など多々勘違いしていましたが、概ね漫画本編通りのキャラクターにできたんじゃないかなぁと思っております。
 『死者の鎧』に関しては、最初はアタッチセイントにする予定でしたが、バードウェイの登場を決意した時点で万能な未元物質にキャストは譲りました。


◆土御門
 味方その①にして、本編で名前を出さなかった人その①。「所属不明でアワード99の情報屋」は、特に考えもなくぱっと出てきた設定でした。『グループ』のメンバーで、一方通行の過去を良く知る一人です。残念ながら出番少なかったですが、当初は土御門の戦闘シーンも作ろうかと思っていました(依代を考えるのが面倒でした)。候補は蜘蛛の女王(新約7巻で登場した仲介屋)。

◆打ち止め
 今回の世界ではベツレヘム計画で2万人の魂を宿せられました。ドラゴンに干渉するための装置ですね。これを許せなかった一方通行が彼女の身柄を引き取っており、『ガバメント』が奪還しにやって来る、という物語の自然な導入を作る配役。
 個人的には、一方さんとエステルと打ち止めの三人のやり取りが家族感あってとても好きです。新約本編でもエステルとの絡みがあって欲しいです…

◆トール&フロイライン
 刺客その①。「フリーダムっぽい禁書キャラ」で真っ先に思い付いたのはトール。依代も特に悩まずフロイラインに。鉄パイプをブラッドサインにしたり、HOアニメ最終回で登場したCVDを設定に絡められたのも楽しかったです。
 戦法も喧嘩スタイル。これはフロイラインを活かそうとしたら自然となった戦法だったんですが、トールに馴染んだ気がして満足です。

◆オリアナ
 味方その②。本編で一方さんと絡みないけれど、隠れ家を紹介して追手を撒くという設定が『追跡封じ』に合っていたので採用。一方さんの過去を良く知る人。

◆バードウェイ&マーク
 刺客その②。当初はフィアンマだけだったのですが、召喚爆撃で設定が絡められるのでもったいないなぁと悩んでいた矢先、「模倣神技って名前はアタッチセイントのコンセプトそのものじゃん!2つも設定絡められるぞ!」と気付いてしまい、咄嗟に採用。急遽、3組の戦いになりました。アワードは771でしたが、これはバードウェイの魔法名と同じです。

◆フィアンマ
 刺客その②にして、本編で名前を出さなかった人その②。「第三の腕をブラッドサインにする」「アワード『ミカエル』によって強制的に依代は低音へ親和性が高くなる」は当初から思いついていた設定。
 私のSSではかなりの頻度で登場するキャラですが、敗北シーンが書かれたのは今回のSSが初めてな気がします。依代をサーシャにするのは結構悩みました。最初はオッレルスにしようと思ったんですが、それだと強すぎて一方さんでも出し抜けない気がしたので没案に。
 ベツレヘム計画を主導するラスボスチックな立ち位置ですが、ラスボス自体は木原に譲る形になりました。

◆木原数多
 当初から刺客は三大勢力から一人ずつにしようと決めていまして、トールを刺客に決めた後、すぐにこいつを三人目に決めました。旧約13巻のシーンをとにかく再現したかったというのと、マイクロマニピュレータと少女使いの設定を絡められそうだったから、というのが理由です。
 原作本文を抜粋してすり合わせるのは結構大変で、一番苦労しました。

◆美琴
 この世界では紫電さん。漫画レールガンで登場した雷神モードですね。

◆風斬氷華
 真っ先に「被召物として登場させよう」と思いました。
 「悪風を斬り払う銀氷の華」を召喚言語で書きたかったのですが、数時間苦闘した後、断念しました。

◆総体
 かつては人間。アワード1000を獲得し、「根源に眠る救済願望」を司る存在として新たな被召物となった人。この世界では白き女王みたいな暴虐チートは存在しないため、特別ポジの存在をどうしようか考えていたら生まれた設定。実は上条さんの設定が決まった後で釣られて設定が決定した人。
 自分の依代になる打ち止めに肩入れしていますが、この世界ではクローン人間は登場してないのであまり関係ないです。
 「じゃあ何で一人称がミサカなの?」というツッコミは無しの方向で…(汗)

◆上条さん
 本編で名前を出さなかった人その③。
 ただの一般人。ただし、総体さんの救済願望に導かれ、偶然にもアワードを獲得してしまった不幸な少年。
 授けられたアワードによって魂が変質していて、その右手だけが人間ではなく被召物と化しています。
 上条さん本人は召喚師を名乗っているけれど、どっちかっていうと霊媒体質を持った依代に近いです。




 以上になります。
 全体的にまともな召喚儀礼をやっていませんでしたが、これは私の趣味です。始まる前の駆け引きが好きなんですよ。
 また、このSSをハーメルンに投稿した理由は、禁書ファンにも未踏召喚://ブラッドサインを布教したかった、という想いがありました。そのために説明もかなり頑張ったんです!(それでも分かりづらかったかもしれませんが)
 本編も盛り上がりを見せてますし、禁書が好きな方なら十分楽しめると思います。是非!






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