未踏召喚://インデックス   作:白滝

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※注意事項

割と禁書側の設定の原型がなくなっています。
キャラクターの人間関係も原作と異なり一新しています。

ご了承下さい。







オープニングX-02 夏休み最後の日

(Opening X-02 Open 07/31 08:30)

 

 

 

「朝ですよー、先生」

 言葉こそ優しかったものの、フライパンをしゃもじでカンカン鳴らしながらエステルからモーニングコールを受ける。それも、台所からとかではなく、耳元で。

「……………」

「おっ、やっぱり起きた。打ち止め(ラストオーダー)の言った通りですね」

 打ち止め(ラストオーダー)のやり方にケチをつけるべきか、それを素直に聞くド天然なエステルにキレるべきか。イライラと不機嫌な気持ちが募り、否応なく彼の目は冴えてしまう。

 鼓膜の痛みに顔をしかめながら、悪態をつくのさえ面倒なように一方通行(アクセラレータ)はベッドから体を起こした。その場で寝間着を脱ぎ始めると、わわっ!と慌ててエステルが彼に背を向けた。

「せっ、先生!?少しは、こう、男女間のモラルとかそういうのが、」

「どォでもいい。奴らから情報は吐かせられたか?」

「あ、はい。やっておきました」

 一方通行(アクセラレータ)が着替えている間に、数時間前に拉致した不良共を尋問した結果をエステルが説明していく。

「先生の嗅覚は流石ですね。彼らは『ガバメント』の命令で2週間前からこのトイドリーム35に潜っていたそうです」

 『召喚儀礼』の業界は、三大勢力によって統治されている。『ガバメント』もその一つ。世界の警察を謳う正義の味方を自称する者達の集まりだ。そして、かつての一方通行(アクセラレータ)を地獄に突き落とした『蟻塚計画』の首謀者でもある。

「2週間前……俺らがこの街に来た時期と被る。狙いは打ち止め(ラストオーダー)の回収だろォな。奴らの規模は?どォして召喚師を寄越さずにダークマターなンかで武装させている?」

「彼らも詳しい事は知らされてないようで、組織の『上』とも繋がっていないみたいでした。そもそも打ち止め(ラストオーダー)の霊媒体質についても知らないようで。……『ガバメント』の関係者かもしれないですけど、『ベツレヘム計画』の尖兵とは限らないかもしれませんよ?」

「……電話をかける。オマエはガキのお守りをしてろ」

「あっ、先生。朝ご飯が冷めてしまいます。打ち止め(ラストオーダー)も、先生と一緒に食べるまで待ち続けてるんですから」

「鈍いな。だから『ガキのお守りをしてろ』と言ったンだ」

 そう言って彼は自室からエステルを追いやり、携帯電話でとある人物と連絡を取る。

 電話はいきなり保留状態にされた。

「Fallere825」

 それが合言葉だった。

 保留状態を解除され、電話口から陽気な男の声が飛んできた。

『にゃー……朝っぱらから男にモーニングコールを喰らうなんて気持ち悪いぜい』

「トイドリーム35に潜伏している『ガバメント』について情報を寄越せ」

『……ったくお前は、世間話ぐらいできないのか。今日は休日だ、仕事の話なら別料金だぞ』

「俺に暇の相手を求めるほどオマエの人生が寂しいンなら同情ぐらいはくれてやる。数時間前にダークマターで武装した『ガバメント』と接敵した。心当たりはあるか?」

『人使いの荒い小僧だ。ちょっと待ってろ、同業の連中と情報交換する』

 そう言って電話先の男が受話器から離れた。

 彼は、一方通行(アクセラレータ)が贔屓にしている『召喚儀礼』の業界の情報屋だ。それも、所属不明のアワード99『背中刺す刃』。三大勢力のどこに所属しているのか誰も知らず、もしかしたら全てに所属しているのかもしれないと噂される謎多き人物だった。

 しばらくして『背中刺す刃』が電話口に戻ってきた。

『待たせたな。「ガバメント」の連中と連絡を取った。お前の言っている「ベツレヘム計画」の尖兵もこの街に潜り込んでいるが、規模は小さいな。高アワードの召喚師を数人雇っているだけだ』

「となると、下っ端を使った包囲網か」

『だろうな。俺達召喚師ってのは、保有するアワードが100を越えると一般人には認識されなくなる。視界に捉えている間なら会話も可能だが、視界から外れた途端に忘れ去られる」

 異形の存在を受け止められるほど、一般人の精神は強くはないからだ。それは、『アワード』という形無き報酬を魂に刻み付けられた召喚師に対しても同様。魂の形が異形に近づいている召喚師は、精神の防衛本能により一般人には忘れ去れてしまうのだ。

『召喚師を認識できる人間ってのは限られている。つまり「ガバメント」の連中はアワード保持者を片っ端からかき集め、ティッシュ配りのアルバイトやら、清掃員の爺さんやら、夜遊びするヤンキー共に偽装させて街に派遣していたんだろう』

「昨晩の不良共は、初見で俺に気付いていなかったが」

『だから、そのレベルの末端を敢えて使ったんだろ。末端となってる本人達も、まさか自分達が斥候になってるなんて知らされてないだろうさ。お前が気付いてないだけで、昨晩の不良だけじゃなく様々な場所で様々な人物にお前の動向が捕捉されてただろうよ』

「…………」

『こうなった以上、逃げ遂せるのは不可能だな。腹を括って、「ガバメント」直属の刺客を真正面から潰すしかないぜい。得意だろ、その手が血に染まるのは』

「金はオマエの口座に振り込ンでおく」

『おいおい、イラついて話を終わらそうとするなよ。あぁ、そうだ。打ち止め(ラストオーダー)に気をかけるのはいいが、あいつは元気か?俺の紹介した依代、エステル=ローゼンタールは』

「何かにつけて勘が鈍くてどこかズレている面倒な奴だ」

『お前がそれを言える身の上かよ。可愛げのある子、って言い回しができないのかね』

「最近はやたらと懐かれて困ってンだ。本気で面倒になったらオマエに引き取らせる」

『……あのなぁ。まぁ、お前に理解しろなんて今更言っても無駄だろうがな。仲良くやってけよ。困った事があったら追加料金でいつでも答えてやるぜい』

「なら刺客の情報を探っておけ」

 返事も聞かずにそのまま通話を切った。

「お腹が減って待ち切れないから、あの人のベーコンエッグのお皿の上からベーコンを一枚こっそり泥棒してみる、とミサカはミサカはご飯でジェンガ遊びをする背徳的行為を楽しんでみたり!」

打ち止め(ラストオーダー)、お皿を回しながらベーコンを引っ張れば摩擦を減らせるかもしれないぞ!」

 隣の部屋から聞こえる少女達の声を聞いて、一方通行(アクセラレータ)は溜め息をついた。

 ベッドに立てかけていた現代的なデザインの杖を手に取り、彼は自室のドアを開けた。

 

 

 

 




【Facts】


◆召喚師は、魂に刻まれる形無き報酬『アワード』を有する。この数が多いほど『召喚儀礼』の実力者である事を意味する。獲得アワードが100を超えると一般人に認識されなくなる。

◆『召喚儀礼』の業界は、『ガバメント』『イリーガル』『フリーダム』という三大勢力によって統治されている。

◆一方通行は『ガバメント』主導の『蟻塚計画』の被験者であり、その唯一の生存者である。しかし、現在は『イリーガル』に所属している。関係あるか不明だが、彼はチョーカー型の首輪で自身を戒めている。

◆一方通行達は2週間前にトイドリーム35にやって来た。同時期に、打ち止めを追い駆けて『ガバメント』の尖兵が街に潜り込んだ。

◆アワード99『背中刺す刃』は所属不明の情報屋である。一方通行にエステルを紹介したのも彼。

◆『ベツレヘム計画』の被験者である打ち止めには特殊な霊媒体質があるらしい。彼女の回収を目論み、『ガバメント』が高アワードの召喚師を雇って刺客を差し向けている。刺客の人数は不明。




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