未踏召喚://インデックス   作:白滝

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※『召喚儀礼』に関して、敢えてビリヤードに例えて説明しています。
 書き忘れていましたが、フロイラインは小フロver.です。


※誤字報告ありがとうございました。





ステージ02 二人羽織りの撞球劇

(Stage 01 Open 07/31 09:34)

 

 

 

 9階建ての高層マンションは、その直方体を縦に穴を空けるようにロの字の構造になっている。その8階の柵を中心点に、一辺が20メートルの『人工霊場』が真横に展開されていた。

 召喚師当人達からすれば、巨大なトンネルの中に『人工霊場』が張られているように感じるだろう。一辺が20メートルとはいえ、マンションの中庭のように開けた空間なのだ。『人工霊場』の天井も床も側面も、全てがちょうどマンションの柵に囲まれている。まるでアスレチックな遊具の中だ、と表現できるかもしれない。

 とても狭い、屋内戦レベルの近接戦闘になるだろう。

「フロイライン、ぬいぐるみは隅に置いときな」

「はい。……いい子に、してて」

 大きな真っ白なカブトムシのぬいぐるみを抱き枕のように抱えていた少女が、『人工霊場』の隅にぬいぐるみを座らせる。

「ガキはどうした?」

「マンションの玄関の外です。ここは死角なので打ち止め(ラストオーダー)は気付かないと思います」

 僥倖だ、と白髪の召喚師が吐き捨てた。 

 召喚師達は一瞬よりも短い刹那の中で、『人工霊場』のあちこちに現れた球体状の闇――36ヶ所の『スポット』の位置情報を精確に記憶に刻み付ける。

 召喚師『一方通行(アクセラレータ)』と依代エステル=ローゼンタール。

 召喚師『雷神トール』と依代フロイライン=クロイトゥーネ。

 対峙する2組の中間地点の頭上に、ミラーボールのように赤く輝く塊――――『薔薇』が出現した。

 同時、一方通行(アクセラレータ)と雷神トールの手元に、3つ白球が浮かび上がる。

 それが戦いの火蓋を切る合図となった。

 現代的なデザインの杖を逆手に握った一方通行(アクセラレータ)が、それを手元の白球――――『白棘』にぶつける。弾かれた『白棘』は、頭上の真っ赤なミラーボール『薔薇』へ一直線に突き進んだ。

 『薔薇』とは、『花弁』と称される破片が組み合わさった水晶のようなものだ。これを砕かなければ『召喚儀礼』は始まらない。

 しかし、それを雷神トールは許さない。

「―――霊木コーティング」

 彼はベルトに提げたいくつもの小袋から粉末を指で一つまみし、握りしめていた鉄パイプに擦り付ける。同時に、手袋をした彼の手の平からパリパリと青い電光が弾けた。

 いわゆる化学蒸着(Chemical Vapor Deposition)。プラズマを用いてあらゆる物質の表面をコーティングする技術だ。

 彼はただの鉄パイプをブラッドサインに変化させ、手元の『白棘』を一方通行(アクセラレータ)と同様に打ち出した。

 二人の放った『白棘』が、空中で衝突してあらぬ方向へ軌道を変えていく。『薔薇』の粉砕を目論んだ一方通行(アクセラレータ)の意図から外れていく。

「ハッ、小細工が好きな野郎だ」

「格下は乱戦、ってのが相場だろ?」

 結局のところ、『召喚儀礼』とは立体的なビリヤードのようなものだ。それぞれの召喚師(プレイヤー)が、互いにブラッドサイン(キュー)を握って、手元の『白棘(手球)』を打つ。打ち出した『白棘(手球)』であちこちに散らばっている『花弁(的球)』を間接的に弾き、『スポット』へ入れる。

 すると、昨晩の不良達の一件にてエステルの体が化け物に変化したように、この世ならざる異世界の住人『被召物(マテリアル)』を依代に憑依させる事ができる。

 しかし、一方通行(アクセラレータ)の目の前に相対する男は、そういった定石に捉われない型破りの擬人化そのものだった。

「先生、最初の一手を妨害する気です!」

 『薔薇』を砕いて『花弁』を散らす。その、最初のワンアクションを封じる妨害行為。

 慌てるエステルに一方通行(アクセラレータ)はいちいち反応しなかった。

 彼は続けざまに手元の『白棘』を放つ。今度は2球同時。2球ともマンションの壁へ衝突させてワンバウンドさせた変化球。それらが『薔薇』に肉薄する。複雑に組まれたショットの軌道を、同時に処理するのは難しい。

 けれど、

「おいおい、そんな捌き方で俺達を追い抜けると思ってんのか?」

 不敵に笑う雷神トールが、背後のある水道管の鉄パイプを無造作に蹴り飛ばす。バキリと折れた鉄パイプを拾い、化学蒸着(CVD)を利用した霊木コーティングを施して依代のフロイラインへ投げて寄こす。

「? 二人で、やりますか?」

「ああ、一緒にやろう」

 そんな会話を交わした二人が、それぞれのブラッドサインで『白棘』を打ち出した。

 単純明快。

 一人で同時に処理するのが難しいのなら、二人で個別に処理すればいい。何もブラッドサインで『白棘』を触る事ができるのは召喚師だけではないのだ。確かに『白棘』が浮かび上がる場所は雷神トールの眼前だけだが、ならばフロイラインもそれを弾けばいい。

 雷神トールとフロイラインがそれぞれのブラッドサインを振り回し、一方通行(アクセラレータ)のショットを妨害していく。またもや彼の意図を逸れ、『白棘』が無駄に消費される。

「――――エステル、奴の依代を妨害しろ」

「はい!」

 フロイラインの元にエステルが突撃する。腰から抜いたのは三日月型のククリナイフ。一度目を瞑り、「すまない…!」と呟いてフロイラインの喉元に突き立てようとする。

「おっと、俺が相手になるぜ」

 そんなフロイラインの前に、雷神トールが立ち塞がった。交差と同時、ククリナイフの切っ先と鉄パイプが火花を散らす。刃こぼれしたククリナイフにたじろいだエステルの隙を見逃さず、雷神トールが彼女へ蹴りを突き込み床へ転がした。

 まるで無邪気な子供のように。いや、例えるなら一昔前のヤンキーのように。

 雷神トールは意地の悪い、しかし屈託のない表情を敵であるこちらに向けてくる。

「……立てそォか?」

「ケホッ、コホ……、大丈夫です。それより、彼らの戦法は」

「これで終わりじゃねェ。二人で召喚師の真似事ができる技量があンのなら、もっとふざけた事までしやがるはずだ」

 言葉の意味はすぐに理解できた。

 雷神トールがブラッドサインを振り回して一方通行(アクセラレータ)のショットを妨害する一方で、その依代のフロイラインの瞳孔がキュルキュルと機械的な拡縮を繰り返す。カメラのフォーカスを合わせるような、無機質めいた様相だった。

「まね。学習。召喚師の、真似」

 ぶつぶつと呟く彼女の視線は、雷神トールの一挙手一動を精密機械のように観察(コピー)していく。

「どうだ、フロイライン!たまには召喚師の真似事も楽しいだろう?」

「楽しい?真似?……うん、多分、楽しいはず?です」

 雷神トールと微妙に意思疎通できていないフロイラインが、『人工霊場』を所狭しと駆け回る。マンションの柵を梯子のように登り、壁さえ蹴ってアクロバットな挙動を取る。そして、今まさに虚空で静止し消滅しかけていた『白棘』をブラッドサインで打ち出していた。

「打ち終えた『白棘』を拾い、再利用してるのか!?」

「クソが……『防護円』を張れない以上、俺が肉体的なサポートを受けて走り回る事はできねェ。異常な学習速度を持つ依代の方が危険だ、オマエは先に依代を潰せ」

「……頑張ります!」

 刃こぼれしたククリナイフを構え直し、『人工霊場』を縦横無尽に猫のように跳ね回るフロイラインの背を追う。しかし、彼女の眼前にまたしても雷神トールが立ちはだかる。ブラッドサインを振り回し、『白棘』を打って一方通行(アクセラレータ)のショットを妨害しながらエステルの凶刃を捌き切る。

「なるほど。格下の乱戦とは良く言ったもンだ」

「そういう事だ。あの伝説的な『イリーガル』アワード972『一方通行(アクセラレータ)』を前にして、まともに『召喚儀礼』でやり合えるなんて思ってねえさ……だったら、まともに『召喚儀礼』で戦わなきゃいい」

 こうなれば、一方通行(アクセラレータ)は追い込まれる。あらゆる『花弁』や『白棘』を掌握して弾道計算し、未来予知に匹敵する演算能力を発揮する彼にも、この状況はどうしようもない。

 再利用される『白棘』、動き回る2人の召喚師。たったそれだけの要因で、10万通り近く予測できていた演算パターンが、3憶通り以上まで膨れ上がる。掌握し切れない。

 召喚師と依代、二人羽織りの『白棘』回収戦術。

 そして、敵の依代を直接攻撃して気絶に追い込む喧嘩戦法。

 単純に召喚師が二人いれば済む話ではない。『白棘』と敵の依代を同時に相手にする雷神トールの体術。及び、彼の思考に合わせてそれに完璧に追従する召喚師としてのスキルを精密に再現するフロイライン=クロイトゥーネでなければ成し得ない戦法。

 手元の3つしか『白棘』を扱えない一方通行(アクセラレータ)と異なり、雷神トールはフロイラインと協力して数十個もの『白棘』を支配する。

 演算能力で敵わないのならば、それを上回る物量でゴリ押せば良い。

 このままでは一方通行(アクセラレータ)は己の武器を封殺され、依代のエステルは気絶するまで彼らに嬲られ続ける。彼女が気を失ったら最期、『召喚儀礼』に敗北してペナルティを受ける事になる。

「はぁ、はぁ、はぁ……くそ、私が、頑張らなきゃ……ッッ!!」

 何度も床を転がされ、額や唇を切って血を流しながらもエステルは懸命に立ち上がる。打撲による鈍痛が体にどんどん蓄積していき、既にその脚がガクガクと小刻みに震えていた。

 励起手榴弾(インセンスグレネード)により展開される『人工霊場』の制限時間は10分。既にその半分が経過していた。

「大丈夫です、先生……私が気絶しなければ、とりあえず負ける事はない……!!あと5分、耐えてみせる」

 雷神トールの鉄パイプをククリナイフで受け止め、しかし刃が完全にへし折られて彼女の顔に直撃する。それでも彼女は怯まない。そのまま彼のブラッドサインを奪おうと掴みかかるが、ダメージでおぼつく彼女の足取りでは簡単に躱されてしまう。

 対して、一方通行(アクセラレータ)は冷静に戦況を見据えていた。フラフラになっているエステルを見て、大きく息を吐き、目を閉じる。

 そして、呟く。

「……チェックメイトだな……」

 そう呟いて、彼はその手に握るブラッドサインを手放した。カラン、カランと、乾いた音を立てて『人工霊場』の上を転がるそれは、柵の隙間に斜めに引っかかった。無表情の一方通行(アクセラレータ)は、降参したように両手を頭上に挙げている。

 思わず、その場にいた三人が茫然と彼を見つめた。

 エステルの唇がプルプルと震え出す。

「ど、どうしてですか、先生!?まだ私は大丈夫、戦えます!!ここで諦めたら、打ち止め(ラストオーダー)はどうなるんですか!!」

「落ち着け」

「……その子の体はボロボロだ。彼女の身を案じた賢明な判断だが……失望したぜ。『イリーガル』アワード972『一方通行(アクセラレータ)』、お前の実力はその程度か?」

 雷神トールは溜め息をつき、見損なったぞと呟いた。

 丸腰となった一方通行(アクセラレータ)の眼前まで接近し、雷神トールは全体重を乗せてトドメだと言わんばかりに彼の顎を思い切り蹴り上げた。

 一方通行(アクセラレータ)の華奢な身体が、蹴り飛ばされて空を舞う。エステルの悲鳴がマンションの中に反響した。

 ブリッジを描くように後方へ落下する一方通行(アクセラレータ)は、しかし、その瞬間に確かに笑みを浮かべていた。

「――――そォだ、この高さが欲しかった」

 怪訝な顔を浮かべる雷神トールは分からない。この蹴りの一撃を、一方通行(アクセラレータ)が誘導していた事に。杖をつく彼にはどうしても自力で助走をつけるできない。

 なればこそ、敵を挑発し、敢えて攻撃を受ける。そうされやすい位置に移動し、相手の歩幅から計算してそうされやすい距離を把握し、そうされやすい言葉を選んだ。

 では、何のために?

 空を舞った一方通行(アクセラレータ)は、落下する自身の勢いに全体重を乗せ、床に転がしていた自分のブラッドサインに向けて、思い切り拳を叩きつける。

 てこの原理。

 柵に斜めに挟まっていたダークマター製のブラッドサインが、一方通行(アクセラレータ)により上から思い切り踏んづけられた事で急激に跳ね上がった。

 ギィン!!という甲高い音が炸裂し、彼のブラッドサインが引っかかっていた柵の金属棒の一本が壊れて外れ、勢い良く『人工霊場』内を跳ね回る。

 通常、ただの物体が壊れてもフィールドオブジェクトとして『人工霊場』は壁として機能せずに透過される。だから、特に雷神トールは注意を向けなかった。

 しかし。

 直後、柵の破片が、『人工霊場』の壁に激突してバウンドした。

「な、に―――――!?」

 つまり、そこに召喚師本人の意思が介在しているという事。

「しまっ―――――」

 気付いてからではもう遅い。『人工霊場』を跳ね回る鋭利な金属片が、フロイラインの肌を裂きながら牽制する。彼女の進路を妨害され、思わずその足が止まる。

 その上、マンション内部に張られた『人工霊場』は通常よりも狭いのだ。普通ならこれほど反射を繰り返す事などないが、そうした地形を一方通行(アクセラレータ)は巧みに利用した。

「ここまで演算し切っていたのか……」

 床から身を起こした一方通行(アクセラレータ)が、血の唾を吐きながら引き裂くように笑った。

「ここまで、だと?ハッ……"―――――『フリーダム』アワード901『広く流離う者』、オマエの実力はその程度か?"」

 雷神トールの額に、冷や汗が浮かぶ。

 周囲を見渡して、気付く。

 柵の金属片と同様に、現代的なデザインの杖が『人工霊場』を跳ね回っていた。そして、その過程でフロイラインが拾い漏らした『白棘』を巻き込みながら弾き飛ばし、数回のバウンドを経て『薔薇』に直撃させた。

「なん、だと―――――ッッ!?」

「何も召喚師が直接手で握ってなければブラッドサインで『白棘』を触れられねェ訳じゃねェ。野球で打者がバットを放り投げてもボールに当たればヒットになる。同じ様なもンだ」

 まず始めに、てこの原理で柵を破壊して金属棒を跳ね飛ばし、ちょこまか動くフロイラインを牽制。その状況で彼女が拾い漏らす『白棘』を予測演算し、それを拾って『薔薇』へ届かせるためにブラッドサインを手で弾き飛ばす。さらに、跳ね回るブラッドサインが『花弁』を『スポット』へ叩き込むようにする。

 この三手を同時にこなす状況を、状況がリアルタイムで変化する戦場でセッティングする。2本の棒を同時に弾き、それぞれ別々の意図で数百手先まで支配する。

 ここまで演算できて、ようやく一方通行(アクセラレータ)と対等。

 彼らの前で、エステルの姿が輪郭を溶かしながら冒涜的な化け物へと変貌する。

 危機感に突き動かされ、雷神トールは咄嗟に一方通行(アクセラレータ)目がけて鉄パイプを叩き込んだが、彼の眼前で弾かれる。

 『防護円』。召喚師をあらゆる障害から守るバリア。

 思考を切り替え、彼はフロイラインと協力して近くに滞空する『花弁』を『スポット』へ叩き込んだ。フロイラインが鉄パイプを放り捨て、その姿形が異世界の住人『被召物(マテリアル)』へと変貌する。

 雷神トール側は、食する花(lvz・j)

 コスト4、音域は『高音』。

 一方通行(アクセラレータ)側は、始祖の赤(b)

 コスト1、音域は『低音』。

 コストは『被召物(マテリアル)』の強さと同義。フロイラインの優勢。

 ただし、

音域(ぞくせい)の相性で負けている、だと……」

 どれほどコストが大きくても、音域(ぞくせい)の力関係に抗う事はできない。

 『高音』は『低音』に弱い。

 慌てた雷神トールとフロイラインが、どの『花弁』を弾いてどの『被召物(マテリアル)』を召喚するのかまで予想できなければこんな芸当は不可能だ。

「……ここまで予測済みか。お前の"……チェックメイトだ"という発言は、俺達を指していたのか」

 3メートル大の赤い粘液の塊が、タコのように根を蠢かせて這いずり回る食人花を抉り穿つ。コスト差を無視する強靭な一撃。

 それを見て、雷神トールは全てを悟った。

「……最期に教えてくれ。どの段階で逆転のセッティングが完了していた?」

「オマエが依代に2本目のブラッドサインを渡した時点で、既にこの構図を想定してセッティングに取り掛かっていた」

「なるほどね……伝説通りのイカれた野郎だぜ。未来予知なんて噂されるだけの事はある」

 意外にも、雷神トールは晴れやかに敗北を受け入れていた。

 彼がブラッドサインを手放した直後、食人花の体内の『人郭』が砕かれ、フロイラインが『被召物(マテリアル)』としての姿を失う。

 勝負は決した。

 『召喚儀礼』による敗北のペナルティ。己の奉ずる神が目の前で惨殺された衝撃を受ける。一撃で精神を破壊されて昏倒する。

 『人工霊場』が消滅し、重力が元に戻った事で気絶した雷神トールとフロインラインが地上へと墜落していく。一方通行(アクセラレータ)は近代的なデザインの杖をダーツのように投げ放ち、落下する二人の衣服を射貫いて途中の階下の柵に引っかけた。

「はは……先生、ちゃんと二人を助けるんですね」

「奴らに死なれたら情報源を失う。これを機に引き出せる情報は引き出すぞ」

 そう告げて、変わらぬ調子で一方通行(アクセラレータ)は階下に続く階段へと歩いていく。杖を投げてしまった彼は、歩き方がどこかぎこちない。

「ふふっ……両手を上げた時はビックリしました。けど、先生を信じてよかった」

 エステルは彼の肩を借り、腕を回して一緒に階段を降りていった。そんな彼女の嬉しそうな横顔を見て、彼はぽつりと呟いた。

「……よくやった」

「? 何がです?」

「奴らの攻撃を良く耐えた。たまには役に立つじゃねェか」

 先生が私を褒めるなんて珍しい事もあるもんですね、と。はしゃぐエステルを無視して、彼は何度目かの溜め息をついた。

 

 

 

 

 




【Facts】

◆『薔薇』は『花弁』の集合体。これを砕いて『スポット』に入れる事で、召喚師は自身と契約した依代に『被召物』を憑依させる事ができる。

◆『薔薇』や『花弁』に触れる事ができるのは『白棘』のみ。その『白棘』に干渉できるのは召喚師の持つブラッドサインだけ。

◆『人工霊場』の制限時間は約10分。

◆依代が意識を失うと、自動的に『召喚師儀礼』に敗北する。敗北時、己の奉ずる神が惨殺される衝撃を受ける。絶望的忘我状態とも称され、1日以上その状態が続く。

◆『被召物』にはコストと音域によりランク付けされている。コストが大きい程強く、3つの音域により三つ巴のタイプ相性が存在する。



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