ハイスクール・フリート ―霧の行く先― 作:銀河野郎のBOB
第九話でございます。
土日はシン・ゴジラをIMAXで見て大興奮の主ですw
おかげで執筆がおろそかになりかけましたが、なんとか書いたぞ!
今回は、アニメ6話と7話の間でのオリジナル展開。
見どころは、みなみちゃんがめっちゃしゃべるぞな!
パーフェクト天才少女、みなみちゃんのターン!
それでは、どうぞ!
2016年4月15日午前8時
-明乃side.-
私たちの乗る晴風は、現在北マリアナ諸島内にある小島の湾内で錨を降ろして停泊している。
昨夜に起こった晴風艦内の電子機器が一斉に故障した事件。
その原因となったネズミのような生き物について、美波さんからクラスのみんなに説明をしたいというお願いを受けて、私はこの小島に艦を泊めることにした。
今はみんなの朝食が終わり、教室に全員を集め終わったところだ。
教壇には私とシロちゃん、ココちゃんの三人が立ち、みんなが私の言葉を待っていた。
岬
「みんな、昨日は艦内の総点検に協力してくれてありがとう。早速だけど、各担当から点検の結果の報告をお願いします」
私はココちゃんに視線を送り、次へ進めるよう促した。
納沙
「えー、では砲雷科、航海科、機関科、主計科の順に代表者から報告してください」
ココちゃんがみんなに指示する。
まずは砲雷科の代表でひかりちゃんとりっちゃんが席を立った。
小笠原
「主砲三基の旋回、装填、発射の各装置に問題なかったよ。あと、射撃指揮所を含めて捜索したけど、ネズミみたいなのなんていなかったよ」
松永
「魚雷発射管も一番、二番ともに異常なしでーす。あのネズミも見つからなかったよ」
まずは主砲と魚雷に異常がなかったことにほっとした。
特に主砲は、この前長10cm砲に換装したばかりだから、いきなり壊しては提供してくれた明石に申し訳が立たないところだったよ。
次は昨日、装置故障が発生した航海科からめぐちゃんが答えた。
宇田
「えーと、昨夜に電探と通信、そして砲雷科の方だけど水測が一時故障したけど、復帰後は特に問題なしです。ネズミもあの時捕まった子以外は確認できなかったよ」
よかった、原因であったあの子が捕まってからは特に問題なさそうだね。
次は機関科、機関長のマロンちゃんと美化委員長のヒメちゃんが席を立った。
柳原
「クロちゃんから話聞いて、機関組全員で操作室とかエンジンルームとか全部調べたけど、特に問題なし。ネズミなんて一匹も見つからなかったぞ」
和住
「こっちはモモと一緒に倉庫の中を確認したけど、ネズミなんていなかったよ」
機関室も倉庫も問題なしだね。
艦の中枢である機関がダメになったら、もうどうしようもなくなるところだったけど、何もなくてよかった。
最後は主計科、ミミちゃんからの報告だね。
等松
「私たちはミカンちゃんたちのいる調理場を中心に確認したけど、壊れたところも100%ないし、ネズミもいなかったよ。付近の廊下にもね」
一通りの報告が終わった。
ココちゃんがタブレットに報告内容を記入していく。
とりあえず、今のところ故障個所もなく、ネズミもあの子以外にはいないみたいだね。
私も含めて、クラスのみんなも安心した様子だ。
宗谷
「みんな、報告ありがとう。それで、ここからが本題なんだが」
シロちゃんがいよいよ切り出してきた。
すると、教室の後ろの方で座っていた美波さん、ヤマトさん、ムサシちゃんの三人が立ち上がり、教壇に上がってきた。
宗谷
「これから鏑木さん達から例のネズミについて調査結果を報告してもらう。今後の我々の行動に大きく影響する内容であるそうなので、よく聞いておいてほしい」
シロちゃんが話し終えると、教室内にピリッとした緊張感が張りつめていた。
そして、美波さん達が教壇の真ん中に立った。
鏑木
「みんな、今日は私の呼びかけに応じてくれて感謝する。早速これからこのネズミもどきについて話をさせてもらうぞ」
すると美波さんは厳重に閉じられたケースを教壇の机の上に置いた。
中には昨日五十六が捕まえたあの子が入っていた。
ヤマト
「話の途中でわからないことがあったら、遠慮なく質問してね」
ヤマトさんが促すと、早速誰かひとりが手を挙げた。
晴風の美化委員を務めるモモちゃんだ。
青木
「早速なんすけど、さっきの「ネズミもどき」ってどういうことっすか? 今そこにいるやつはどうみてもネズミっすよね?」
確かに、昨日のムサシちゃんや美波さんはネズミとは断言していなかった。
何か違うのだろうか?
鏑木
「ではそこから話そうか。この生物の遺伝子構造を調べた結果、普通のネズミの持つものとはいくつかの違いが認められた。だから私はこいつを「ネズミもどき」と呼称している」
遺伝子までもう調べているなんて、さすがは美波さんだね。
鏑木
「そして、同時に厄介なこともわかった。こいつは人為的に遺伝子を操作して生まれた存在、つまり人工的に生み出された生き物ということだ」
教室内のみんなは驚きの表情を隠せない様子だ。
この子が人の手によって作られた生き物だったなんて、誰も予想していなかった。
鏑木
「どこの誰がこんなものを作ったのかはわからんが、問題はこいつが持つ二つの厄介な特性だ」
きっとここからが美波さんがみんなに伝えたいことなんだろう。
みんなもそれを察して、静かに美波さんの言葉を待っている。
鏑木
「まず一つ目が、こいつが非常に感染力の高いウイルスを保有していることだ。ウイルスは体内だけじゃなく体表面にも存在していて、肌に触れるだけで簡単に感染してしまう。しかもこいつは感染から発症までの潜伏期間が非常に短い。そして、砲術長の血液から同じウイルスが検出されている。だから、先日砲術長が暴れたのはこのウイルスによる影響が高いと私は考えている」
立石
「うぃ……」
タマちゃんが隣に座るメイちゃんのパーカーの裾を掴んでおびえた表情になっている。
西崎
「待って待って! それじゃあ今のタマは大丈夫なの?」
メイちゃんが手を挙げて、美波さんに問い詰めてきた。
もしかしたら、またタマちゃんが暴れちゃう可能性がある。
そうなったら、今度は大丈夫なのかな?
鏑木
「安心してくれ水雷長。その心配はない。どうやらこのウイルスは海水に触れることで急激に力を弱める性質があるようだ。砲術長が暴れた時、一度海に落ちただろう? その時に弱まったおかげで、免疫によって排除されたようだ。今は砲術長の暴走の心配はない」
西崎
「よ、よかった~ タマ、よかったよ~」
立石
「あ、ありがと、メイ」
メイちゃんがタマちゃんの手をしっかり握って安堵の表情を浮かべている。
一方タマちゃんはメイちゃんが心配してくれたせいか、少し嬉しそうな表情をしている。
でもよかった、もう心配はなさそうだね。
鏑木
「では続けるぞ。このウイルスは感染の初期段階では海水によって力を弱めることができる。だが、時間がたって体内でウイルスが増殖、体内環境に適応すると、海水は有効な手段ではなくなる。だから艦長、今後このネズミもどきに触れてしまった際の対策として、艦内に海水で洗浄できる場所を常備することを提案する」
美波さんは私に対して、ウイルス対策案を提案してきた。
岬
「そうだね。早めに準備しておかないといけないね。ヒメちゃん、モモちゃん、この話が終わったら、何か大きな容器に海水を入れて医務室近くに置いておくよう準備しておいてね」
和住
「わかりました!」
青木
「了解っす!」
私はヒメちゃんとモモちゃんに指示を出した。
これで、ウイルスについてはなんとかなりそうだね。
杵崎ほ
「あ、あの~、私たちから」
杵崎あ
「質問いいですか?」
すると、ほっちゃん(杵崎ほまれ)とあっちゃん(杵崎あかね)の双子姉妹が質問をしてきた。
杵崎ほ
「そのウイルスって食べ物からも感染しちゃうんですか?」
杵崎あ
「毎回食材を海水に漬けてからってなると、食事の質に問題がでちゃうんだけど」
それは、大問題だ。
せっかく二人とミカンちゃんがおいしく作ってくれる食事が、おいしくなくなっちゃうのは困る。
鏑木
「それも大丈夫だ。確かに食べ物にウイルスが付着してもしばらくは生きている。だが、ウイルスが活発に活動するのは常温下に限られている。加熱処理さえしっかりやってくれれば、ウイルスは死滅する。だがサラダとかの生で提供するものについては、今後対策を考える必要があるな」
杵崎ほ
「それなら安心だね。サラダとかは温野菜とかにしたら大丈夫そうだし」
杵崎あ
「うんうん。ミカンちゃん、お話終わったら三人で献立の見直しやろうよ」
伊良子
「うん、やろうやろう」
早速炊事委員の三人で動いてくれるようだ。
きっと三人なら、こんな時でもちゃんと安全でおいしいものを作ってくれるよね。
鏑木
「一つ目の特性については以上だ。ここまでで他に何か聞いておきたいことはないか?」
美波さんが一度確認を取ったが、ここで手を挙げる人はいなかった。
ウイルスに関してはみんな理解できたみたい。
鏑木
「では次の話に移ろう。もう一つこいつには厄介な問題があると言ったが、それはこいつの生体電流が放つ電磁波だ。この電磁波の影響で周囲にある電子機器に異常が出てしまうことがわかった。昨夜の艦内の電子機器故障の騒ぎ、原因はこいつだったというわけだ」
美波さんがネズミの入っているケースを手の甲でコツコツと叩いた。
鏑木
「この電磁波の影響に関しては、隣に居るヤマトさんとムサシさんのおかげで詳細なことがわかった。霧の艦隊というのは本当にすごいものだと改めて感心したぞ」
ヤマト
「そんな、それなら私達だって医療に関しては今まで全く縁のない話だったから、ウイルスには気が付かなかったわ。お互いが力を合わせた結果よ」
鏑木
「あぁ、その通りだな」
今の二人の会話、なんだかとっても大切なことのような気がする。
全く違う種族である人と霧の艦隊が手を取り合って、片方だけではできないことをやることができたんだ。
これが初めてヤマトさん達と会った時に言っていた、人と霧の共存の大切な一歩なのかもしれない。
すると、マロンちゃんが手を挙げて何か言いたそうな顔をしていた。
柳原
「なぁ? 今そこにネズミもどきがいるけどよ、そのケースに入っていてもまた電子機器がおかしくなっちまうんじゃねぇのか?」
マロンちゃんの言う通りだ。
でも、あの三人が何も対策せずにここに連れてきているとは思えない。
ヤマト
「それなら大丈夫よ、麻侖さん。このケースには私のナノマテリアルで電磁波を外へ通さないコーティングを施してあるわ。だから、施錠していれば電磁波が漏れることはないわ」
柳原
「そうかい。それなら安心だな」
マロンちゃんはヤマトさんの答えを聞いて、納得してくれたようだ。
鏑木
「ナノマテリアルという素材は本当に興味が尽きない。陸に戻ったらぜひ研究させてほしいものだな。おっと、話が逸れてしまったな」
美波さんは話をまたネズミのことに戻した。
鏑木
「本来、生体電流というのは自律神経の作用を整えたり、傷の再生を活発にさせたりするなど、身体にとって重要な役割をしている。だがその大きさは微弱で身体の外へ漏れ出るようなことはありえないものだ。だがこいつの生体電流は異常なほどに大きい。だから、周囲にまで影響が出てしまうんだ」
それってつまり、私たちが普段使っている腕時計や携帯電話なんかが持っているだけで壊れてしまうってことだよね。
それは不便だなぁ。
鏑木
「ここでさっき話した一つ目のウイルスとの関係性が出てくる。ウイルスに感染した者はネズミもどきの放つ電磁波の影響を受けて生体電流のパターンがネズミもどきと同じになってしまう。それと同時に意志の制御ができなくなる。そうなれば、この前の砲術長のようになってしまうわけだ。しかも影響を受けているのは意志の部分だから、記憶には残るという厄介なものだ」
私はタマちゃんにチラッと目線を送ってみると、コクコクと頷き返してきた。
美波さんが言っていることは間違いないようだ。
鏑木
「以上が現時点でこのネズミもどきについてわかっていることだ。わからないことがある人は後で個別に私に聞いてくれ。では、次はムサシさんから話があるそうだ」
美波さんがネズミの入ったケースを持って教壇の真ん中から移動すると、隣にいたムサシちゃんが入れ替わりで教壇の真ん中に立った。
ムサシ
「じゃあ次は私からの報告ね。昨日私はアケノにお願いして、大型直教艦武蔵の状況調査を行ってきたわ。船体にスキャンを行った結果、武蔵の生徒31人全員の命の無事を確認、艦の方もわずかな損傷が認められる程度でほとんど無傷と言ってもいいわ」
武蔵のみんなが無事であると聞いて、クラスのみんなもほっとした様子だ。
でも、報告をしたムサシちゃんの表情はあまりいいものではなかった。
ムサシ
「でもここからが問題。確かに命の無事は確認できたけど、そのうちの大半の子たちの生体電流に異常が見られたわ。全員の生体電流の波長が一致していて、電流値の大きさは通常時をはるかに上回っていた」
先ほどまで安堵していたみんなの表情が、困惑のそれに変わっていた。
でも、生体電流の異常ってさっき美波さんが話していたことだよね?
それってつまり、
ムサシ
「以上のことから、武蔵はこのネズミもどきに侵入されて、生徒の大半がウイルスに感染して意志の制御ができなくなっていると推測できるわ。それに厄介なのが、感染した全員の行動は、生体電流によって一つの方針に決められていると思われること。内容はおそらく、自分たち以外の存在の排除、といったところでしょうね」
まだ推測とはいえ、ムサシちゃんから語られた武蔵の異常行動の理由。
もしタマちゃんのウイルス感染があの時点で防げなかったら、晴風のみんなも武蔵と同じようになっていたかもしれない。
そう考えると、恐ろしさで身が震えてしまう。
ムサシ
「正直、状況はかなり厳しいわね。彼女たちの命を見捨てる選択肢がない以上、できることは暴走する武蔵の足を止めて、艦内に突入して一人一人助けていくしかない。でも、それが困難なことは昨日の東舞校の教員艦の苦戦をみればわかると思うわ」
私たちは昨日、教員艦が武蔵相手に為すすべなく一方的にやられている姿を目撃している。
直に見ていない人もいるが、すでに話を聞いているのかみんなの表情は暗くなってしまっている。
ムサシ
「それにこの問題は武蔵に限った話じゃない。あなた達が実習初日に受けた教官艦さるしまからの砲撃、その後のアドミラル・シュペーとの戦闘、そして横須賀女子海洋学校の多くの艦船が行方不明になっている事件、今この海で起きているこれらの事件は、全てこのネズミもどきが引き起こした大規模災害と考えられるわ。おそらく、集合場所だった西之島新島近辺にネズミもどきを作った連中の何かがあって、そこから周囲にばら撒かれたのでしょうね。正直ひどい話よ」
ムサシちゃんは、美波さんが抱えているケースを憎らしげに見ながら話した。
私たちはたまたま遅刻をしたから難を逃れたが、さるしまに乗っていた古庄教官や、すでに集合場所に集まっていた他の同級生のみんなは巻き込まれてしまった。
その場にたまたまいたせいで巻き込まれてしまうなんて、納得できないよ。
すると、教室の後ろの方からミーちゃんが立ち上がった。
ミーナ
「では、我が艦アドミラル・シュペーのみんなも、ウイルスでおかしくなってしまったということか?」
ムサシ
「ええ。みんなから聞いたシュペーの話をまとめると、そう考えるのが妥当よ。ミーナ、シュペーから脱出する前にネズミを見たとか捕まえたっていう話はなかったかしら?」
ミーナ
「いや、そういった報告は受けていない。みんなが突然言うことを聞かなくなって、そして晴風へ攻撃を始めたんじゃ。ワシは艦長、テアの指示で備え付けの小型艇でなんとかシュペーから脱出したが、テアはみんなを止めるために艦に残った。では今頃、テアも……」
納沙
「ミーちゃん……」
シュペーの艦長さんや仲間のことを思い、辛そうな表情をしているミーちゃんに、ココちゃんが前から移動して傍に立って心配している。
大切な艦の仲間たちがこんなことになって、一人だけ助かっているのはきっととても辛いのだろう。
みんなもあまりに規模の大きい話に圧倒されている。
このまま私たちは何もできないの?
武蔵にいるもかちゃんや同級生の子たち、そしてシュペーの人たち、みんなを助ける手段はもうないの?
パンッ!!
突如、教室内に大きな音が響いた。
それはムサシちゃんが自分の手を叩いて鳴らしたものだった。
ムサシ
「みんな、諦めるのは早いわよ。武蔵は確かにウイルスに感染しているけど、アケノの幼馴染で武蔵艦長の知名もえかを含む4人が奇跡的に感染していなかったの。今、その子たちは武蔵の艦橋で立て籠もっているわ。様子を見た限り、おそらく食糧と水は確保できていると思う。時間は限られるけど、まだ助け出すチャンスはあるはずよ」
もかちゃんが私たちに向かって手を振っている姿を私は確かに見た。
それを見てまだ助ける手段があると確信していたことを、私は思い出した。
そうだ、まだ望みあるんだ!
ムサシ
「シュペーのことだって、今ここにミーナがいる。それもまた奇跡よ。だから、シュペーだって絶対助けられるわ」
ミーナ
「ムサシ……、そうじゃな。ワシが諦めたらワシを送り出してくれたテアに申し訳が立たん。ワシはシュペーの希望となるためにここにきたんじゃ。だから、最後まで諦めるわけにはいかんな!」
納沙
「『そうですぜ! ミーナの姐御。今こそ根性見せてやる時じゃけん、絶対身内のもん助け出してやりましょうぜ!!』」
落ち込んでいたミーちゃんも元気を取り戻したみたい。
隣にいたココちゃんもいつもの芝居で盛り上げてくれている。
広田
「で、でもさ、具体的にはどうやって助け出すの? 何の対策もなしじゃダメでしょ」
若狭
「だよね? 立石さんの時みたいに感染した人に海水ぶっかけるとか?」
伊勢
「でも時間がたったら海水じゃダメって、さっき美波さん言ってたよ」
駿河
「え!? じゃあどうするの?」
機関科仲良し4人組のソラちゃん(広田空)、レオちゃん(若狭麗緒)、サクラちゃん(伊勢桜良)、ルナちゃんが話し合っている声が聞こえた。
海洋実習初日に感染してしまっているなら、もうすでに10日近くたってしまっている。
おそらく、もう海水で治すことはできないだろう。
黒木
「4人とも落ち着いて。みんなに話したってことは、その辺についてはもう考えてあるんでしょ、ムサシ?」
ムサシ
「さすがね、クロ。それについてはミナミとヤマトが説明するわ」
ムサシちゃんが美波さんとヤマトさんに促した。
鏑木
「現在、私たちはウイルスの抗体の作製、そして今回の件に関する報告書および抗体の資料の作成を始めている。報告書と資料は、ブルーマーメイドに抗体の量産を依頼する時に必要になる。抗体はできる限り早めに作製する予定だ。まずは一週間、時間をくれ。急がないと感染がさらに広がる恐れがあるからな」
教室中から驚きの声が漏れる。
まさか、晴風の中でウイルスの抗体まで作っちゃうつもりだなんて。
美波さん、本当に何者なの?
納沙
「でも、たった一週間でなんとかなるものなんですか? 製薬会社だって、新しい薬を作るには年単位で時間を使うんですよ。それに、海水以外の対抗策が判明していないのにどうやって新しい対策を見つけるんですか?」
ココちゃんは矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。
すると、ヤマトさんが一歩前に出てきた。
ヤマト
「幸子さんの質問に関しては、すでに別の糸口は見つけてあるわ。それが、この子よ」
ヤマトさんの腕には五十六が抱えられている。
五十六が解決の糸口って、どういうことだろう?
ヤマト
「五十六ちゃんは、これまで晴風に現れた二匹のネズミもどきさんを両方捕まえているわ。つまり、この子はネズミもどきさんに触れてウイルスに感染しているはずなの。でも、昨夜五十六ちゃんの血液を調べたらウイルスは検出されなかった。つまり、人間じゃないネコの五十六ちゃんには、ウイルスに対する抗体をすでに持っている可能性が極めて高いと考えられるの」
なんと、五十六にそんな秘めた力があったなんて。
すごいよ、五十六!
宗谷
「まさか、たまたま乗り込んできたこいつがこんな形で役に立つなんて」
ムサシ
「そう、これは本当にとんでもない確率の奇跡なのよ。今の晴風にはネズミもどきに対抗できる手段が完璧なまでに揃っている。これまで晴風はこいつのせいで大変な思いをしてきた。けど、その解決手段は今ここにあるわ。そして、武蔵やシュペー、他の艦を救うためにはみんなの協力が不可欠よ」
ムサシちゃんの言葉に、みんなの目がやる気に満ち溢れていく。
みんなの口からは、「やってやる!」「頑張るぞ!」と心強い言葉が出ていた。
ムサシ
「これで私たちの話は終わりよ。後はアケノ、あなたの出番よ?」
ムサシちゃんが私にバトンを渡してきた。
みんなの視線が私に集まる。
私は昨日、みんなと一緒にもう一度頑張ると心に誓った。
そして、これからみんなで目の前の大きな困難に立ち向かうことになる。
私は立ち上がり、教室を全部見渡した後、深呼吸をして言った。
岬
「私は、みんなを救いたい。武蔵も、シュペーも、他の艦だってそう。だって、海の仲間は家族だから! そのために、みんなの力を貸してほしいの。私、昨日はみんなにたくさん迷惑かけて、自分の未熟さを思い知らされた。でも、このままじゃ終われない。だから、みんな、もう一度わたしを信じてついてきてほしい。お願い!」
「おー!!」
私の言葉に、みんなは肯定の返事を返してくれた。
宗谷
「艦長、あなたがそういうなら、私も全力で艦長についていきますよ」
岬
「シロちゃん、ありがとう!」
これから、みんなで一緒にやっていくんだ。
私は昨日の決意をさらに強く固めた。
-ムサシside.-
アケノの言葉にみんなが奮い立っている。
これからここにいる全員で立ち向かっていくんだ。
ならば、私もやらなければならないことがある。
みんなのために私ができること、それは……
ムサシ
≪そろそろ、本格的に使うことを考えないといけないわね……
私の艦、超戦艦ムサシを≫
Happy Birthday かよちゃん!(フライング)
明日8/2は、かよちゃんこと姫路果代子ちゃんの誕生日!
今回は番外編作る余裕なかったので、先にお祝いさせてもらいます。
かよちゃん、のんびりした口調でかわいいですよね。
本作でもそんな雰囲気出せるようにしたいです。
ていうか、この後8/5にタマちゃん、8/8にマロンちゃんの誕生日って、先月並に誕生日ラッシュやばいんですけど(汗
今回の第九話、いかがだったでしょうか?
今回は全編通して黒幕ネズミの説明回でした。
アニメでわかる部分に自分独自の解釈を加えてみました。
これ変じゃね?ってとこあるかもしれませんw ・o・;
その時は教えていただけるとありがたいです。
で、ここでちょっと一つ報告。
この第九話で、晴風クラス31人全員に台詞を与えることができました!
多くは一言だけとか、なんか卑怯くさい感じですが……
でも個人的に目標の一つにしていたことなので、達成できてほっとしてます。
これからもなるべくみんながしゃべれるよう、構成づくりを頑張っていこうと思います。
次回、第十話は、
超戦艦としての力の封印を解くことを決めたムサシ。
そんな時、学校から連絡がきて……
ついに、超戦艦ムサシの秘密が明かされる!?
次回も読んでいただけると嬉しいです。