ハイスクール・フリート ―霧の行く先― 作:銀河野郎のBOB
二日連続の投稿、今回はまたもや特別編です。
本日は7月25日、そうです、もかちゃんこと知名もえかちゃんの誕生日!
当初はミケちゃんのだけアップして、もかちゃんのお話は作る予定はありませんでした。
ですが、25日が近付くにつれてやっぱり書きたくなりまして、結局書きました。
今回もアルペジオ要素は、ほぼ0です (いいのか、これで^^;
それでは、どうぞ!
2016年7月25日午後7時
-もえかside.-
岬
「もかちゃん! 今日は楽しかったね!!」
知名
「うん、そうだね」
今日は7月25日、私の誕生日。
学校も先週から夏休みに入っていたため、朝から幼馴染のミケちゃんと二人で街へ出て一緒に遊び回った。
そして、さっきまでミケちゃんが予約していたレストランで、誕生日会を楽しんだ。
お誕生日ケーキやプレゼント、色々ミケちゃんにしてもらっちゃった。
知名
「ミケちゃん、今日は色々ありがとう。とっても嬉しかったよ」
岬
「そんな、先週私の誕生日パーティで楽しませてもらったお礼だよ」
そう、先週7月20日はミケちゃんの誕生日だった。
私はミケちゃんが艦長をしている「晴風」のみんなが開催した誕生日パーティにサプライズゲストで参加させてもらった。
ミケちゃんの紹介で仲良くなった副長の宗谷さんからお願いされて参加したが、あの日は夜遅くまで楽しんだ。
そして、その時に私は感じた。
ミケちゃんは、こんなにたくさんの仲間が、家族ができていたんだって。
私たちは入学直後の航海演習でRATtウイルスの騒動に巻き込まれた。
私が艦長をしている直教艦「武蔵」のみんなもそのウイルスに感染してしまい、艦のコントロールができなくなってしまった。
私を含む4人だけは艦橋にすぐ閉じこもったため感染を逃れたが、そこから約1か月もの間、狭い艦橋の中での生活を余儀なくされた。
毎日が不安で4人で励まし合いながらなんとかやり過ごしていたが、私たちを助けに来てくれた東舞校の教員艦やブルーマーメイドの艦を攻撃してしまう武蔵の姿をずっと見ていて、もう私たちはダメなんだと思い始めていた。
そんな時、私たちを救ってくれたのがミケちゃんたち晴風クラスだった。
晴風は偶然にもウイルスの感染を逃れ、その後も命がけの戦いを生きぬいていた。
そしてウイルスの対抗策を見つけ、同じくウイルスに感染していた比叡、アドミラル・シュペーの生徒を救い、最後には艦の命を懸けて武蔵のみんなを救ってくれた。
そして、その中心にはいつもミケちゃんがいた。
ミケちゃんは晴風の艦長として、みんなを引っ張って数々の危機や困難を乗り越えていったと、宗谷さんや他の晴風クラスの子たちから聞いた。
さらに、航海の途中に偶然出会った霧の艦隊という異世界からきた人たちとも手を取り合い、私たちを助けるために協力してくれた。
そして、晴風に関わった人たちが口を合わせて言っていたのは、ある一つの言葉だった。
「海の仲間は家族」
かつて、両親を海難事故で失ったミケちゃんと孤児院で出会った時に、私が教えた亡くなったお母さんの言葉だった。
ミケちゃんはその言葉でみんなを救ってきたんだ。
知名
「やっぱり、ミケちゃんはすごいなぁ……」
岬
「? もかちゃん、何か言った?」
思わず、心の言葉が口に出ていたようだった。
私は首を横に振って、ミケちゃんの言葉を否定した。
私も入学試験で主席になり、武蔵の艦長に選ばれたことで周りからすごいとよく言われている。
でも、私にはその言葉を素直には受け取れなかった。
ミケちゃんに比べたら、私なんてまだまだ足元にも及ばない気がする。
騒動の後、私も武蔵クラスのみんなとたくさん交流を深めて、とても仲良くなった。
でも、やっぱりミケちゃんたち晴風クラスには敵わないと思ってしまう。
私はまだ、武蔵のみんなと家族になれたという実感を持てずにいた。
岬
「もかちゃん?」
声に気づくと、ミケちゃんが心配そうな表情で私を見ていた。
いけない、せっかくの誕生日に沈んだ気持ちになっちゃダメだよね。
知名
「ううん、なんでもないよ、ミケちゃん。ほら、もうすぐ寮だよ」
いつのまにか私たちが下宿している学生寮が目の前に見えていた。
夏休みに入って多くの生徒がそれぞれの実家に里帰りしているため、寮の明かりはまばらだった。
武蔵クラスのみんなもすでに多くが里帰りしている。
この後は、私の部屋でミケちゃんとお泊り会だ。
寮に入って自分の部屋へ向かおうとした時、突然ミケちゃんに呼び止められた。
岬
「待って、もかちゃん。お泊り会の前にちょっと私についてきてくれるかな?」
なんだろう?
私は言われるがまま、ミケちゃんの後に続いた。
そして、辿りついたのは学生寮内にある食堂だった。
岬
「さぁ、もかちゃん。扉を開けて」
私はそっと食堂の扉を開けた。
パパン!
「知名さん! お誕生日おめでとう!!」
知名
「え!?」
突如鳴り響いた破裂音と拍手。
食堂で待っていたのは、武蔵クラスのみんなだった。
しかもクラス31人全員が揃っていた。
知名
「え? だって、みんな夏休みに入ったら実家に帰るって」
状況が呑み込めない私の前に一歩出てきたのは、航海科の吉田親子さん、砲雷科の角田夏海さん、主計科の小林亜衣子さんの三人だった。
RATt騒動の時、武蔵の艦橋で私と一緒に立て籠もった子たちだ。
吉田
「実は1か月ほど前に、岬さんから今日が艦長の誕生日だからお祝いして欲しいって頼まれまして」
知名
「ミケちゃんが!?」
小林
「岬さん、艦長にばれないようにクラスのみんな一人一人にお願いしていたんですよ。そしたらみんな協力することになって、それからこっそり準備していました」
角田
「ごめんね。実家に帰るって話、みんなで話し合って決めた嘘だったの。艦長を驚かせたくて」
そうだったんだ。
私のために、みんなが。
すると、ミケちゃんが私に話しかけてきた。
岬
「もかちゃんを驚かせたくて頑張ってたんだけど、私の方が先にもかちゃんに驚かされちゃった。だから、これはお返しだよ♪」
イタズラが上手くいった時のような顔で私を見ていた。
ほんとに、ミケちゃんには敵わないなぁ。
吉田
「艦長、パーティの前に私たちから伝えたいことがあります」
吉田さんの言葉で、武蔵クラスのみんなが私の前に並んだ。
吉田
「私たち、艦長が知名さんで本当によかったと思っています。ありがとう」
知名
「え!?」
角田
「知名さんはあの航海演習の時、私たち三人を咄嗟の判断でウイルスの感染から救ってくれた。それから1か月間、不安で押しつぶされそうな私たちを何度も励ましてくれた。自分だって不安なのに、いつも私たちやクラスのみんなのことを真っ先に考えてくれた。そんな姿にすごく勇気をもらったんだよ」
小林
「それに、騒動の後もクラスのみんなの様子に気を配ってくれて、みんなが仲良くなれるように頑張ってくれていた。そして本当にクラスのみんなが仲良くなることができた。みんな、知名さんに感謝しているよ」
クラスのみんなから拍手が上がった。
みんながそんな風に思ってくれていたなんて、全然気が付かなかった。
岬
「ね? みんなもかちゃんのことが大好きだって。もかちゃんはみんなのお父さんになれてたんだよ。もかちゃんとみんなは家族になれていたんだよ」
知名
「ミケちゃん、みんな……」
ミケちゃんの言葉に私は思わず涙を流していた。
そうか、私はちゃんとみんなと家族になれていたんだ。
それに気づくことができて、私はすごく安心していた。
岬
「さぁ! パーティはこれからだよ! もかちゃん、早くいこう!」
ミケちゃんが私に手を差し伸べている。
クラスのみんなも笑顔で私を迎えてくれている。
知名
「うん!」
私はミケちゃんの手を握り返し、一緒に食堂の中に入った。
ありがとう、ミケちゃん。
私に大切なことを気づかせてくれて。
やっぱり私は、まだミケちゃんと晴風クラスには敵わないと思う。
でも、私だってこれから武蔵クラスのみんなと一緒に頑張って、ミケちゃんたちに追いついてみせるんだから。
だから待っててね、ミケちゃん!
私の大切な、そして大好きなミケちゃん。
前のミケちゃんよりは短めでしたが、いかがだったでしょうか。
普段はミケシロ派な自分ですが、ミケモカも捨てがたいですねぇ。(ぉぃ
武蔵クラスについてはみんな優等生って以外全然わかんないですが、もかちゃんが艦長ならきっと仲の良いクラスになっているだろうと思って、今回の話みたいな感じにしてみました。
作中にもありますが、アニメに出てきたもかちゃんと一緒に武蔵の艦橋に立て籠もった3人、これを書くために色々調べてたら3人の名前が出てきてびっくりしました。
11話のEDにも名前が出てなかったので、ないものだと思ってました。
まさかよりによって買い逃していたメガミマガジンに情報があったとは、油断も隙もない!
今後もかちゃんや武蔵クラスをピックアップした作品展開に期待したいですね。
それでは、また本編でお会いしましょう。