ハイスクール・フリート ―霧の行く先―   作:銀河野郎のBOB

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Happy Birthday! じゅんちゃん

本日2/5はじゅんちゃんこと日置順子ちゃんのお誕生日です。

誕生日記念も19作目、もはや本編どっちだレベルです(ごめんなさい)
本編云々については、今回の後書きに少し書かせていただきましたので、一読ください。

さて、じゅんちゃんと言えば砲撃三人娘の一人ですね。「バキュン」が口癖なのが結構印象的な子だと思います。

今回はじゅんちゃんの好物が「鹿肉」というなんともレアな食材であることをネタにしてみました。

それでは、どうぞ!


特別編⑲ お肉でハッピー!

 2017年2月5日午後5時

 

 -順子side.-

 

 日置

「おぉ……! これは、たまりませんなぁ」

 

 私、日置順子は今まさに幸せの絶頂にいる。その理由は、目の前のテーブルに広げられた「あるもの」のおかげだろう。

 人はそれを「もみじ」と表現することもあるが、それも納得がいくほど美しい赤色をしている。余計な白い筋などほとんどない、純然たる赤だ。そんな「あるもの」は私の大好物だが、滅多に食べる機会のない貴重なもの。それが今、目の前にある。こんなに嬉しいことはないだろう。

 

 日置

「お父さん、お母さん、この鹿肉、おいしくいただきます!」

 

 そう、「あるもの」とは両親から誕生日プレゼントで送られてきた鹿肉のことだ。その量、なんと500g。しかも、最近では地盤沈下で国土が減ったため大変貴重になった国産のエゾシカのお肉なのだ。いくら誕生日だからといってさすがに奮発しすぎな気がするが、両親曰く「学校でお勉強頑張ってるから、ご褒美だよ。お友達とみんなで食べてね」とのことだ。

 

 日置

「さてさて、そろそろひかりちゃんとみっちんがうちにくるころのはずだけど……」

 

 時間は夕方の5時。これから砲雷科のみんなをうちに呼んで、私の誕生日パーティをすることになっている。

 

 ピンポーン

 

 日置

「お、噂をすれば」

 

 見計らったかのようなタイミングで呼び鈴が鳴った。私は部屋の入口の鍵を開けた。

 

 小笠原

「じゅんちゃーん! お誕生日おめでとー!」

 

 武田

「きたよー」

 

 日置

「待ってたよー。さぁさぁ、あがって」

 

 私のクラスメイトで、同じ射撃指揮所で切磋琢磨する仲間であるひかりちゃんとみっちんだ。私は早速二人を部屋の中へ入るよう促した。

 真っ先に部屋に上がったひかりちゃんは、早速テーブルにある鹿肉を興味津々に見ていた。

 

 小笠原

「うわぁ、おっきいお肉。ねぇ、これ何のお肉?」

 

 続いて、みっちんも鹿肉を見て驚いた様子を見せていた。

 

 武田

「牛とか豚とは違うよね? もしかして、順子が好きって言ってた鹿肉?」

 

 日置

「みっちん、あったりー! そうそう、鹿肉だよ」

 

 小笠原

「へー、初めて見たかも」

 

 初めて見る鹿肉にひかりちゃんはますます興味を持ったらしく、目を輝かせていた。

 

 武田

「こんな量、一人じゃ食べきれないでしょ?」

 

 日置

「まぁね。だから今日の誕生日パーティでみんなと食べようと思ってさ」

 

 私がみんなで食べようと言うと、ひかりちゃんが飛びつくように私に尋ねてきた。

 

 小笠原

「え! 食べていいの!」

 

 日置

「うん。うちの両親もみんなで食べてねって言ってたからね。きっとバキュンと撃ち抜かれるくらい美味しいから、期待してよね」

 

 武田

「へー。それは楽しみね」

 

 小笠原

「それで、どんなお料理にするの?」

 

 日置

「ふふーん。今日はみんなで囲んで食べれるもみじ鍋にするよ。寒い冬にぴったりのお料理だよ。二人とも、準備手伝ってくれる?」

 

 小笠原、竹田

「はーい」

 

 今日のパーティメニューは、鹿肉料理と言えばこれ、という定番の「もみじ鍋」だ。すでにお鍋に使う白菜やえのき茸、お豆腐などの食材は用意してある。

 私とひかりちゃんは鹿肉や野菜を包丁で切り分ける作業を、みっちんはお鍋の出汁を作る作業を担当することになった。

 

 小笠原

「そういえば、三人で料理するのって初めてじゃない?」

 

 武田

「あー、そうだよね。普段は主計科のお料理食べてるからね」

 

 日置

「みかんちゃんたちのお料理、ほんとに美味しいよね。艦の上で食べるとおいしさ倍増だよね」

 

 小笠原

「だよねー。あ、椎茸切り終わったよ」

 

 私たち三人はみかんちゃんたちの美味しいお料理の話題で盛り上がりながら、着々とお鍋の準備を進めていった。

 

 

 

 そして、一時間後。

 テーブルの上には、鰹節とだし昆布からとった出汁を入れた鍋がクツクツと湯気を立てている。その横には、一口サイズに切り分けた白菜や椎茸、えのき茸などのお野菜、そしてメインである鹿肉が並ぶ。鹿肉は薄くスライスして、長ネギや白髪ネギを芯にして巻かれている。定番のもみじ鍋の食べ方だ。

 

 日置

「よーし、完成! 二人ともありがとね」

 

 小笠原

「なんのなんの。これくらい余裕だよ」

 

 武田

「それじゃ、あとは残る三人を待つだけだね」

 

 そう、みっちんのいう通り、お誕生日パーティの参加者はまだ全員揃っていない。あと三人、もうそろそろ来てもよい時間のはずだがまだ到着していなかった。

 

 ピンポーン

 

 すると、またもや丁度良いタイミングで呼び鈴が鳴った。

 

 小笠原

「お、ベストタイミングじゃん」

 

 日置

「私が出てくるから、二人は待ってて」

 

 私は急いで玄関へと向かった。

 扉を開けると、そこには二人の人影が立っていた。

 

 松永

「お待たせー。もしかして待たせちゃった?」

 

 姫路

「かよちゃんとうちゃ~く。いや~遅くなってごめんね」

 

 日置

「大丈夫! むしろバキュンとベストタイミングだよ。さぁ上がってよ」

 

 魚雷発射管担当のゆるふわガールズ、りっちゃんとかよちゃんを早速部屋へと招き入れる。その時、私は最後の一人が一緒にいないことに気が付いた。

 

 日置

「あれ? マリコーと一緒じゃないんだ?」

 

 姫路

「あ~、万里小路さんは自室から取ってくるものがあるから先にじゅんちゃんのお部屋に行ってくださいだって」

 

 松永

「とっておきのものをご用意しましたって言ってたよー」

 

 あの超お嬢様のマリコーがとっておきと言うくらいだから、そんじょそこらのものじゃないものを持ってきてくれるのだろう。私の期待は否応にも高まっていた。

 

 小笠原

「あ、りっちゃんとかよちゃんだ! おつかれー」

 

 松永

「いやー、待たせてごめんねー」

 

 部屋に上がったりっちゃんとかよちゃんはひかりちゃんとみっちんに軽く挨拶をする。そして、すぐさまテーブルの上のもみじ鍋へと視線が移る。

 

 姫路

「お~、お鍋だ~。ねぇねぇ、何のお鍋なの?」

 

 武田

「もみじ鍋だよ。鹿のお肉の鍋ね。順子の実家から鹿肉がきたから、みんなで食べようって」

 

 松永

「鹿肉かー。私初めてだよー。かよちゃんは?」

 

 姫路

「私も~。楽しみだね、りっちゃん」

 

 二人は初めての鹿肉に期待いっぱいのようで、早く食べたいという表情をしていた。

 

 日置

「さて、後はマリコーの到着を待つだけだね」

 

 小笠原

「あれ? マリコーまだ来てなかったんだ」

 

 姫路

「自室に戻っただけだから、もうすぐ来るはずだよ~」

 

 すると、三度目の呼び鈴が鳴る音がした。私は再び玄関に行くと、扉の向こうには最後の待ち人の姿があった。

 

 万里小路

「お待たせして申し訳ありません。万里小路楓、ただいま到着いたしました」

 

 日置

「待ってたよマリコー」

 

 早速マリコーを部屋に招き入れる。

マリコーの腕には自室から持ってきた発泡スチロールの箱が抱えられていた。

 

 日置

「その箱が部屋から持ってきたもの? 発泡スチロールだから、食材かな?」

 

 万里小路

「そうですね。きっと日置さんが喜んでくださるものですよ」

 

 マリコーの言葉に期待値はバキュンと上限突破してしまいそうな勢いだ。

 

 部屋に入ると、マリコーはひかりちゃんとかよちゃんから熱烈な歓迎を受けた。きっともみじ鍋を早く食べたくて仕方ないのだろう。

 そして、マリコーがテーブルの上のもみじ鍋に気が付いた。

 

 万里小路

「これは……もしかしてもみじ鍋ですか?」

 

 日置

「お、さっすがマリコー。これが鹿肉だってすぐわかるんだね」

 

 さすがお嬢様と感心する私だったが、当のマリコーは少し困惑した表情をしていた。一体どうしたか、そう尋ねようとした時、マリコーは手にしていた発泡スチロールの箱を開け始めた。ひんやりとした冷気に包まれて中から出てきたもの、それは。

 

 日置

「これって、鹿肉?」

 

 万里小路

「はい。日置さんが大好きだとおっしゃっていたのでご用意したんです」

 

 マリコーが用意したとっておきとは、なんと両親からのプレゼントと同じ鹿肉であった。どうやら実家の知り合いに北海道で鹿の猟をしている人がいるらしく、その人にお願いして送ってもらったものらしい。

 

 万里小路

「ど、どうしましょう。わたくし、日置さんのご両親と同じものを……」

 

 プレゼントが被ってしまったことにマリコーは大きく動揺していた。どんなことでもさらっと流すマリコーが動揺するという非常にレアなシーンだが、このままでは可哀そうだと思った私はフォローを入れることにした。

 

 日置

「謝ることなんてないよ。私の好物のこと、ちゃんと覚えていてくれたんだよね。とっても嬉しいよ。ありがとう、マリコー」

 

 万里小路

「日置さん……、ありがとうございます」

 

 マリコーの顔に笑顔が戻った。その様子に、私を含めたみんなは安堵の表情を浮かべていた。

 

 小笠原

「よーし! 全員揃ったし、じゅんちゃんの誕生日パーティ始めようよ!」

 

 姫路

「もみじ鍋~もみじ鍋~。早く食べようよ」

 

 武田

「待って待って。万里小路さんが持ってきた鹿肉はどうするの? お鍋にするにも、巻くネギもうないよ?」

 

 松永

「そのまましゃぶしゃぶしたらいいんじゃないのかなー?」

 

 日置

「それもいいけど、折角だから別のも作ろうよ。ステーキとかも美味しいよ」

 

 万里小路

「では、わたくしもお手伝いさせていただきますね」

 

 私の提案で、マリコーの持ってきた鹿肉はステーキにすることになり、今度は六人全員で賑やかにお料理するのでした。

 

 こうして、16歳の誕生日の夜は、楽しい楽しい時間になった。

 

 

 

 ちなみに、もみじ鍋も鹿肉ステーキもバキュンと美味しかったよ!

 やっぱり鹿肉は最高だね!




特別篇では久しぶりな後書きです。

さて、気が付けばもう二月、一月終わってしまいました……

最近、感想の方で本編更新を望む声が多くてすごく嬉しいと思う反面、皆さまに長らくお待たせしてしまっていることを大変申し訳なく思っています。

本来なら言葉でなく行動で示すべきなのですが、それができない自分が非常に情けないです。

というのも、昨年10月から始まったリアルの多忙な日々、それまで続けていた本編投稿のリズムの乱れ、その他諸々の影響のせいか、ごく最近まで本編の執筆へのやる気、意欲を完全失っていました。

文面上では頑張ると言っておきながら、実際は全然頑張れていませんでした。

続きを待っている皆さまには大変申し訳ありませんでした。

しかし皆さまの声をいただいて、今後はちゃんと行動で皆さまの期待に応えられるにしたいと、再度奮起しました。

引き続き応援していただければ幸いです。
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