ハイスクール・フリート ―霧の行く先―   作:銀河野郎のBOB

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Happy Birthday! レオちゃん!

先月のヒメちゃん以来、約1か月半ぶりのお誕生日記念です。

本日、5月18日はレオちゃんこと若狭麗緒ちゃんのお誕生日です!

レオちゃんは機関室4人娘の一人、金髪とピンクのカーディガンが目立つ女の子ですね。
赤道祭では同じ機関室組のソラちゃんと司会をやったり、OVA前編では機関室4人娘共通の趣味である麻雀をしていたり、なかなか存在感のある子でないでしょうか。

そして何より私のレオちゃんのイメージは、いんたーばるっ1巻にあったレオxリンですよ!

今回のお話もそんなレオxリンのお話です。
前に書いた「特別編⑪ 四つ葉でハッピー!」と連動する内容となっていますので、よろしければそちらも読んでいただければわかりやすいと思います。

それでは、どうぞ!


特別編㉓ お返しでハッピー!

 2017年5月18日午後3時

 

 -麗緒side.-

 

 若狭

「んー! 小テスト終わったー!」

 

 私、若狭麗緒はグーっと身体を思いっきり伸ばす。朝からの小テスト続きで凝り固まっていた肩や首の凝りが解れていく。今の私は、心も身体も解放感に満ちていた。

 すると後ろの列に座っていたサクラから声をかけられた。

 

 伊勢

「レオお疲れー。それで、テストの感触はどうだった?」

 

 若狭

「そーだねー。今回はいい感じだったよ。そういえば、事前にクロちゃんから教えてもらっておいたところが結構出てたよね?」

 

 伊勢

「あ、やっぱり。私もそう思ったよ。クロちゃんに感謝感謝ね」

 

 黒木

「いいのよお礼なんて。みんなで勉強したんだから」

 

 二年生になっても私たち機関室組の勉強を見てくれるのは相変わらずクロちゃんだ。テスト前になると機関長共々クロちゃんに泣きつくのが恒例となっている。一方のクロちゃんも最初こそ嫌そうな顔をするものの、元々面倒見の良い性格からか毎回ちゃんと見てくれる。おかげで私たちは何度も赤点の危機を脱しているのは間違いない。

 

 広田

「ところで、ルナが机に突っ伏しているのは無視でいいのかしら?」

 

 駿河

「ふみゅー、もう、だめぇ」

 

 ソラに言われて視線を移すと、ルナが机と濃厚なキスでもしているかのように突っ伏していた。ちなみにこの光景もテスト終了時の恒例となっている。

 

 若狭

「いつも通りじゃん」

 

 伊勢

「いつも通り、よね」

 

 黒木

「いつも通りね」

 

 広田

「ま、いつも通りか」

 

 駿河

「ちょっとみんな酷くない!?」

 

 機関室組一同からの総ボケを食らったルナはたまらず突っ込みを入れてきた。

 

 柳原

「なんでぃ騒がしいな。テスト明けくらい少しは落ち着いたらどうでぃ?」

 

 若狭

「あ、ごめーん機関長。テスト終わって浮かれちゃったらつい」

 

 柳原

「ったくよぉ……」

 

 先ほどから会話に入ってきていなかった機関長は呆れ半分に私たちを見ていた。艦に乗っている時は誰よりも元気で騒がしい機関長だが、締めるところはしっかりしてくる辺りはさすが長だと思う。

 するとその機関長が切り出してきた。

 

 柳原

「それより、この後どうすんだ? 寮に戻って早速はじめちまうか?」

 

 黒木

「え? まだ早いんじゃないの? 始めるなら6時頃とかじゃない?」

 

 若狭

「あ、それなんだけど――」

 

 ???

「れ、レオちゃん!」

 

 機関長の一言でみんなでこの後の予定について話そうとしていた時だった。その話を遮るように私を呼ぶ声がしたので、声がした方を向いてみた。そこに立っていたのは――

 

 若狭

「あれ、リンちゃん。テストおつかれー」

 

 知床

「う、うん。お疲れ」

 

 晴風クラスの航海長にして、私の友達であるリンちゃんだった。リンちゃんとは一年前のあの海洋実習の時、とある出来事をきっかけに仲良くなり、それ以降二人でよく遊びに行く機会も多かった。去年10月のリンちゃんの誕生日の時には、私が悩みに悩んで選んだ髪飾りをプレゼントとして渡したりもした。ご丁寧に手紙まで添えて。

 最初に彼女にしては珍しく大きな声で私に話かけてきたリンちゃんだが、私を含む機関室組6人の視線が一斉に向けられると少し困惑した表情になっていた。私の名前を呼んだのだから、私に用があるのは間違いないと思う。

 

 柳原

「ん? どうしたんでぃ航海長? レオちゃんに用があるんだろ?」

 

 知床

「あ、うん……」

 

 なかなか話出さなさいリンちゃんに痺れを切らしたのか、機関長がリンちゃんに尋ねる。この機関長の一言がきっかけになったのか、リンちゃんは私としっかり目を合わせていた。

 

 知床

「れ、レオちゃん。今からちょっと、いいかな?」

 

 若狭

「え? まぁ、大丈夫だけど……ってうぉ!?」

 

 私が返事を返し切り前にリンちゃんは私に手を握り、引っ張っていた。

 

 知床

「マロンちゃんごめんね。ちょっとだけレオちゃん借りるね」

 

 柳原

「お、おぅ。いってらっしゃい……」

 

 突然の出来事に呆気をとられた機関長以下五名は、私がリンちゃんに引っ張られていくのをただ眺めているだけだった……。

 

 

 

 リンちゃんに引っ張られてやってきたのは、誰もいない校舎裏だった。

 するとリンちゃんは私の手を放すと、申し訳なさそうな顔をしていた。

 

 知床

「ご、ごめんなさい! 突然こんなところに連れてきちゃって」

 

 若狭

「あ、あー平気平気。ちょっとびっくりしちゃったけど、全然大丈夫だから」

 

 知床

「そ、そっか。よかったぁ」

 

 リンちゃんはホッとした表情をしていた。

 それにしても、リンちゃんはどうして私をこんなところへ連れてきたのだろう。

 

 するとリンちゃんは懐かしそうに辺りをぐるっと見回す。

 

 知床

「ねぇ、レオちゃん。ここ覚えてる?」

 

 若狭

「え?」

 

 私はリンちゃんの質問の意味がわからなかった。こんな校舎裏でリンちゃんと何かをしたという記憶が私にはなかった。

 

 知床

「そっか。あの時のレオちゃん、ちょっと慌ててたから覚えてないのかな? そうだなぁ……」

 

 なかなか思い出すことができない私に対して、リンちゃんは頭につけている髪留めを見せるようにかがんだ。そこには普段つけている白い花ではなく、四つ葉の装飾のついた髪留めがあった。私にはその髪留めに覚えがあった。

 

 知床

「どうかな? これで思い出してもらえるかな?」

 

 若狭

「え、これって私がリンちゃんの誕生日に……あ!」

 

 私はようやくこの場所がどこであるのかを思い出した。

 去年の10月29日、リンちゃんの誕生日に私この校舎裏までリンちゃんを連れてきた。そして私はこの場所で今リンちゃんがつけている四つ葉の髪留めをプレゼントしたのだった。

 

 知床

「よかった。思い出してくれたんだね」

 

 若狭

「う、うん。すっかり忘れちゃってたよ」

 

 あの時はとにかく人目が付かない場所でプレゼントを渡したいと思っていたから、この場所で渡そうとは考えていなかった。だから今の今までこの場所のことを覚えていなかった。

 

 知床

「去年の私の誕生日のあの日、急にレオちゃんに教室から連れ出されたと思ったら、こんな人気のない校舎裏に連れてこられてすっごくビックリしたんだよ。そ、それに、壁ドン、までされちゃったし……」

 

 若狭

「えぇ!? そ、そんなこと、しちゃってた? うわぁはずかしぃ」

 

 必至なってあの時のことを思い出そうとする。まさか私がリンちゃんに壁ドンしてたなんて。そう考えると申し訳ない気持ちになってきた。

 

 知床

「でもね、レオちゃんにこの髪留めをもらった時、とっても嬉しかった。誰よりも早く私にプレゼントを渡したいんだって気持ちがすごく伝わったよ。それに、この手紙まで書いてくれたよね」

 

 リンちゃんが私に見せてくれたのは一通の手紙だった。それは四つ葉の髪留めと共に私がリンちゃんに渡したものだ。

 

 知床

「私、レオちゃんと友達になれてとっても良かったと思ってるよ。だから、これからもずっと大切な友達でいてほしいな。約束!」

 

 リンちゃんが言った言葉、それは私の手紙に書いた文と同じものだった。あの時私が伝えた想いをリンちゃんは思い出の場所でちゃんと返してくれた。私は嬉しい気持ちで一杯になっていた。私は思わずリンちゃんの手を取っていた。

 

 若狭

「うん、もちろんだよ! これからもずーっと友達だよ、リンちゃん!」

 

 知床

「レオちゃん、うん!」

 

 私たちはしばらくの間、お互いの手を握り続けた。

 

 

 

 それからどれくらい時間が経っただろうか。名残惜しそうに手を放すと、リンちゃんは手にしていたカバンの口を開き始めた。

 

 若狭

「ん? リンちゃんどうしたの?」

 

 知床

「あ、ちょっと待ってね」

 

 リンちゃんはカバンの中から一つの小さな包みを取り出すと、私に差し出した。

 

 知床

「はいレオちゃん。お誕生日おめでとう!」

 

 リンちゃんは満面の笑みを浮かべていた。私はリンちゃんの手からプレゼントの包みを受け取った。

 

 若狭

「ありがとうリンちゃん。ねぇ、開けてもいい?」

 

 知床

「もちろんだよ」

 

 私は早速包みを開けてみた。中に入っていたのは、リンちゃんが普段している髪留めについている白い花と同じものがついているヘアバンドだった。

 

 若狭

「うわぁ、可愛い! すごくいいじゃんこれ!」

 

 知床

「えへへ。私の時にはレオちゃんが四つ葉の髪留めをプレゼントしてくれたから、今度は私と同じ白い花のヘアバンドを渡そうって決めていたんだ」

 

 私は早速リンちゃんのくれたヘアバンドをつけてみることにした。リンちゃんに救い出してもらった思い出深い四つ葉のヘアバンドを頭から外し、白い花のヘアバンドを頭にかけた。

 

 若狭

「ど、どうかな? 似合ってる?」

 

 知床

「うん! すっごく似合ってるよ、レオちゃん!」

 

 リンちゃんはとても嬉しそうに褒めてくれた。その笑顔が私には天使のように見えた。

 

 知床

「あ、そろそろ私戻らないといけないんだった。レオちゃん、日曜の誕生日パーティは楽しみにしててね」

 

 若狭

「もっちろんだよ。リンちゃん本当にありがとう。ヘアバンド大切にするよ」

 

 知床

「うん! それじゃ、バイバイ」

 

 そう言い残すと、リンちゃんは校舎裏から去っていった。

 

 一人残った私は再びリンちゃんが渡してくれた包みに手を入れた。実は包みにはヘアバンドの他にもう一つ、あるものが入っていた。私は中からそれを取り出した。

 

 若狭

「手紙、か。リンちゃんったら、こんなところまで私の真似しなくていいのに」

 

 私は手紙を開いて、中身を読んだ。

 

 そこにはこう記されていた。

 

 

 

 レオちゃんへ

 

 お誕生日おめでとう!

 去年は海洋実習後のドタバタでちゃんとお祝いできなかったけど、今年はちゃんとお祝いできてよかったです。

 

 私、レオちゃんにあの時のお礼とお返事をしたいと思います。

 

 去年の私の誕生日にレオちゃんからもらった四つ葉の髪留め、とっても嬉しかったよ。

 それにお手紙まで書いてくれるなんてビックリしました。

 あの時はレオちゃんが慌てて戻ってしまったから、お礼とかできなかったよね。

 だから、ここで改めて言います。

 

 プレゼント、本当にありがとう!

 

 これからもずっと大切なお友達でいてください。約束だよ!

 

 知床鈴

 

 

 

 私は手紙を読み終えると、静かに校舎裏から歩き出していった。

 

 幸せな気持ちを胸いっぱいに抱えて――

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