ハイスクール・フリート ―霧の行く先―   作:銀河野郎のBOB

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お待たせいたしました。

第七話でございます。

今回はタイトルの通り、告白回!
アニメで言うと6話になります。

……過度に期待させてもあれなので、一応言っておきます。
恋愛とか百合なそういう展開ではございません!><
期待していた人には申し訳ないです。m(_ _)m
自分には恋愛モノとか百合モノを書けそうな気がしない……

それでは、どうぞ!


第七話 告白でピンチ!

 2016年4月14日午後8時

 

 -ムサシside.-

 

 私とアケノが武蔵の状況確認から戻ってきて、すでに1時間ほどが経っていた。

 私は晴風の甲板の上で夜風に当たっていた。

 

 ヤマトに言われて休んでいる間、先ほど調査した武蔵のことを考察しつつ、私は他に考えていたことがあった。

 アケノが幼馴染の知名もえかを救出に行こうとしていた時、それを止めるために私がアケノに言った言葉、

 

「人間は互いを想い合い、守るもの」

 

 かつてお父様が教えてくれたものだ。

 でも、私はまだお父様のことを晴風のみんなの誰一人にも話してはいない。

 ヤマトも初めて晴風のみんなに会った時、お父様の事を話すのを避けていた。

 理由は、わかっている。

 ヤマトは私に対する印象を悪くしないために、そのことだけは言わないようにしてくれている。

 でも、あの時のアケノとのやり取りを通して、この四日間で晴風のみんなの事を好きになっていることに気が付いたことで、同時に私には後ろめたい気持ちが生まれていた。

 いつまでも、私の過去をみんなに隠していていいのか。

 ヤマトは霧の総旗艦として、嫌われることも覚悟して、みんなの前で霧の正体を明かした。

 その結果、私たちはみんなに受け入れられて、こうして良い関係を築くことができた。

 だからこそ、まだ隠し事をしている自分の事が嫌になってしまうのだ。

 でも真実を明かすと、みんなに嫌われてしまうかもしれない。

 そうなってしまうことが、今になって怖くなっていることに気づいてしまった。

 やっぱり、ヤマトはすごいな。

 私の憧れのおねえちゃんだ。

 私は、どうしたらいいんだろう。

 みんなに隠しごとをしたくない気持ちと、明かして嫌われたくない気持ち、その板挟みになってしまっている。

 

 ムサシ

≪……そろそろ、医務室に行こうかな≫

 

 いつまでも沈んでいては仕方ないと思い、私は例の生き物の調査を手伝うため、ヤマトとミナミがいる医務室へ向かおうとした。

 その時、一人の大きな人影が私の目に映った。

 

 

 

 -洋美side.-

 

 黒木

≪少し、言いすぎちゃったかな……≫

 

 私、黒木洋美は先ほどのお風呂場での艦長、岬さんとのやり取りを思い出していた。

 

 元々、私は岬さんに対して不満を持っていた。

 宗谷さんを差し置いて艦長に選ばれたのにも関わらず、艦長らしいことはほとんどせず、機関室にはいつも無茶ばかり要求して、挙句は艦を放って一人スキッパーで飛び出すなんてこともしてきた。

 そして今日、またもや飛び出そうとしたところを宗谷さんが怒声をあげてまで制止したのにも関わらず、結局飛び出していった。

 その結果、海に落ちて全身が濡れたため、機関科の時間帯にお風呂へ入ってきた。

 私はそんな艦長への不満を抑えきれず、お風呂場で怒りを彼女にぶつけてしまった。

 それは先ほど艦長と別れるまでずっと続けていた。

 そして、甲板で夜風に当たって頭が冷静になっていくにつれて、自分の行いを後悔するようになっていった。

 

 黒木

≪後で、謝りにいったほうがいいかな……≫

 

 そんなことを考えていると、艦首の方から歩いてきた一人の小さな人影が目に映った。

 

 ムサシ

「ヒロミ?」

 

 影の正体は、四日前から晴風で一緒に過ごすようになったムサシさんだった。

 姿は可愛い少女に見えるが、実は人間じゃない、でもやっぱり可愛いと思えてしまう、そんな不思議な子。

 昨日艦内を案内した際に色々話をして仲良くなったばかりだ。

 ムサシさんは私に近づき、顔を覗き込んできた。

 こういう仕草もなんだか可愛いわね。

 

 ムサシ

「どうしたの? なんだか浮かない表情をしているわね」

 

 いけない、さっきまで沈んだ気持ちになっていたのが顔に出ていたようね。

 すると、ムサシさんが私に尋ねてくる。

 

 ムサシ

「もしかして、お風呂場でアケノと何かあった?」

 

 一瞬、身体がこわばってしまった。

 まさか、私の悩みを一発で当ててきてしまうとは思わなかった。

 この子、昨日話をしていて気付いたが、人の痛いところを的確に突いてくるのだ。

 ムサシさんはじっと私を見上げて様子を伺っている。

 普段はほとんど閉じられて見えない彼女の綺麗な赤い瞳に、私は飲み込まれていた。

 

 黒木

「う、うん、ちょっとね……」

 

 思わず本当のことを言ってしまった。

 するとムサシさんはうつむいて、少し寂しそうな顔をしていた。

 何か、変なことを言ってしまったかな?

 そう考えていると、ムサシさんが私に話かけた。

 

 ムサシ

「ねぇヒロミ、少し私と話をしない?」

 

 

 

 -ムサシside.-

 

 私はヒロミを連れて、今はだれも使っていない教室に入った。

 電気をつけて、適当な椅子に向かい合って腰かけた。

 

 黒木

「どうしたの、ムサシさん? 急に話がしたいって」

 

 ヒロミは私に聞いてきた。

 私は先ほどお風呂に入っていた時にアケノと何かあったと聞いて、私はヒロミの真意を確認してみたくなっていた。

 でも、他の人に聞かれるのもよくないと思い、この教室を使うことにしたのだ。

 私は単刀直入にヒロミに尋ねる。

 

 ムサシ

「ねぇ、ヒロミはやっぱりアケノが艦長なのが嫌なの? 彼女よりマシロの方がいいと思っているの?」

 

 すると、ヒロミは少し驚き、困惑した表情で私を見ていた。

 ヒロミがマシロのことを気に入っていることは、昨日艦内を案内してもらった時になんとなくだがわかっていた。

 そして、私がアケノの事を聞いた時、ヒロミはマシロを気にしながら話をしていた。

 だから、ヒロミはそう考えているんだろうと思って、尋ねてみたのだ。

 

 黒木

「う、うん。正直、そう考えてしまったことはあるわね」

 

 ヒロミから予想通りの返答が返ってきた。

 考えたくなかったけど、やっぱりヒロミはそう思っていたのね。

 私の中に、何とも言い表せない不安が押し寄せてくる。

 ヒロミはあいつらみたいな人じゃない、そうわかっていても不安になるのだ。

 

 黒木

「たぶん気づいていると思うけど、私、宗谷さんにすごく憧れているの」

 

 するとヒロミが私に語りかけてきた。

 どうやらマシロとのことを話してくれるようだ。

 私は彼女とちゃんと向き合って、話を聞くことにした。

 

 黒木

「きっかけは親に連れられて行ったブルーマーメイドフェスタだったわ。嫌々連れて行かれて少し苛立っていた時に出会ったのが、フェスの手伝いをしていた宗谷さんだったの。最初はぶつかってきた宗谷さんに一言文句を言ってやりたくて、後を追っていたわ。でも、色んなイベントで活躍する彼女を見ていて、いつの間にか惹かれていったの。宗谷家の人だからじゃない、宗谷ましろさんという人に憧れを抱くようになっていたわ」

 

 意外とヒロミとマシロの出会いは最近のものだったらしい。

 でも、最初のイメージが良くなかったなんて、今では全然考えられないわね。

 

 黒木

「それをきっかけに横須賀女子海洋学校に進路を決めて、そして入学式の日に宗谷さんと同じクラスになれたとわかって、とっても嬉しかった。でも、宗谷さんは艦長ではなかった。艦長になっていたのは、岬さんだった」

 

 ヒロミは少しつらそうな表情をしてうつむいている。

 でも、ヒロミはしっかり私を見て話を続けていく。

 

 黒木

「正直、最初から私の中の岬さんの印象は良くなかったの。宗谷さんこそ艦長にふさわしいって思っていたから、それを差し置いて艦長になるなんて、受け入れがたかった。その後も、機関室に無茶言ってくるし、艦を置いて一人で飛び出すなんて話を聞いて、どんどん不満が貯まっていった。そして、さっきお風呂場で顔を合わせた時、それまで貯まっていたモノを抑えられなくなって、岬さんに、全部吐き出してしまったの……」

 

 ヒロミは少し震えながらも、一言ずつ絞り出すように私に話してくれた。

 そうか、マシロへの憧れがあったからこそ、アケノが艦長をしていることがなかなか受け入れられずにいたのね。

 

 黒木

「でもね、今ムサシさんに話しているうちに気づいたの。私、岬さんに自分の理想を勝手に押し付けていたんだって。宗谷さんに憧れるあまりに、岬さんに対して、宗谷さんを全て上回らないと認めないって考えてしまっていた。でも、岬さんも私と同じ新入生で、しかも艦長って誰よりも大変な役目を頑張っているんだよね。さるしまやシュペーの時も、なんとかピンチを乗り越えようと頑張っていたんだと思う。さっきの武蔵の時に飛び出したのも何か理由があったんでしょ?」

 

 ムサシ

「ええ、武蔵の艦長がアケノの大事な幼馴染で、最初は彼女を助けようとしていたわ。でも、実際に武蔵に向かった時は、私が彼女に調査のためにお願いしたの。だから……」

 

 黒木

「そっか。大事な人が武蔵に乗ってたんだ。私だってマロンが武蔵に乗っていたら、きっと同じことをしていると思う。それなのに、岬さんだけ責めるって、やっぱりひどいよね……」

 

 ムサシ

「ヒロミ……」

 

 ヒロミは自分の後悔を私に話してくれた。

 ヒロミはきっと賢い人なんだ。

 自分のしたことをちゃんと振り返って、自分で間違いに気づくことができるなんて、たぶんすごいことだと思う。

 

 黒木

「だから私、岬さんに、艦長に謝りにいかないといけない。言い過ぎちゃってごめん、って」

 

 ムサシ

「……ヒロミは、すごいわね」

 

 黒木

「そ、そんなことないよ。自分が悪いって気づいたから、謝るだけだよ」

 

 ムサシ

「そうよね、それなのに私は……」

 

 黒木

「?」

 

 ヒロミは自分に胸の内を正直に明かしてくれた。

 私はそんなヒロミにちゃんと自分の事を言わないといけない、そんな気がしていた。

 怖いと思う気持ちはある、でも今はちゃんとヒロミに話したい。

 私は勇気を出して口に出す。

 

 ムサシ

「ねぇ、今度は私の話も、聞いてくれる?」

 

 

 

 -洋美side.-

 

 私が自分の胸の内を明かした後、ムサシさんから話があると言ってきた。

 きっとそれを話したくて、私を教室へ連れてきたのかな?

 

 ムサシ

「今から話すことは、まだ晴風のみんなの誰にも話してないことなの。ヒロミが、初めてなの……」

 

 私に初めて話してくれることなんて、よっぽど大切なことなのかな?

 すると、ムサシさんが私に尋ねてきた。

 

 ムサシ

「ヒロミは、私とおねえちゃん、ヤマトの関係ってどう思う?」

 

 黒木

「え? そうね、私にはとても仲の良い姉妹に見えるけど」

 

 私がそう答えると、ムサシさんはとても寂しそうな表情をしていた。

 

 ムサシ

「そうよね、今は確かに仲が良くなったと思うわ。でもね、私たち、この世界に来るまでは今みたいな関係じゃなかったの。私が、一方的にヤマトを嫌っていたわ」

 

 意外だった。

 ムサシさんがヤマトさんを嫌っていたなんて、今の関係からは想像できない。

 何があったんだろう。

 

 ムサシ

「初めてみんなと会った時、メンタルモデルを作ったのは戦術のためだってヤマトは言っていたけど、本当は違うの。全ては私たちがお父様と呼んだ人、千早翔像と出会ったことが始まりだったの」

 

 ムサシさんは、昔を思い出すように私に教えてくれた。

 ヤマトさんとムサシさんがメンタルモデルを作ったのは、その千早翔像さんという人と意思の疎通を図るためだった。

 人類側の艦隊で潜水艦の艦長をしていた千早さんは、二人と対話することで霧との戦いを終わらせ、共存の道を探りたいと思っていたらしい。

 最初は二人とも戸惑ったけど、交流を通して仲良くなっていき、特にヤマトさんは千早さんの考えに賛同していくようになったという。

 でもムサシさんは、ヤマトさんの行動がアドミラリティ・コードに反するものだと思い、徐々に危機感を覚えていった。

 

 ムサシ

「でもお父様が私たち二人の事を姉妹として認めてくれたの。そして、我々は家族なんだって。そう言われた時から、私もお父様に歩み寄ろうとしていたの」

 

 ムサシさんの顔が少し赤くなっているようだった。

 きっと、ムサシさんは千早さんのことが好きだったのね。

 すると突然、ムサシさんの表情が急に暗くなり悲しそうな顔になってしまった。

 

 ムサシ

「でも、それはすぐに終わってしまった。あの日、お父様が殺されたことで」

 

 黒木

「え!?」

 

 千早さんの霧との共存を目指す考えは、彼の部下の人たちには受け入れられなかったらしい。

 そして千早さんは、ヤマトさんとムサシさんのいる目の前で部下に銃で撃たれて亡くなった。

 

 ムサシ

「その後のことは、よく覚えていないわ…… 気が付いたら、お父様を殺した奴らを私はみんな殺して、彼らが乗っていた艦を砲撃で沈めていたの!」

 

 ムサシさんはすごく辛そうに、吐き出すように私に言ってきた。

 その時の彼女の気持ちなんて、私には想像できなかった。

 でも、きっと耐えられないほど辛かったんだろう。

 

 そこから、ヤマトさんとムサシさんの関係は悪化していった。

 千早さんを殺されたことで人間を憎むようになったムサシさんは海洋封鎖を強行するようになり、一方のヤマトさんは千早さんの遺志を継いで人類との共存を進ようとしていた。

 次第に二人の距離はどんどん離れていってしまった。

 

 ムサシ

「そして、あの大海戦が行われる前日、私とヤマトは直接対決することになったの」

 

 そんな、二人で直接ってそれって……

 

 ムサシ

「私は自分の艦隊を率いて、ヤマトに対して集中攻撃をしかけた。一方、ヤマトはたった一隻で、こちらには一切攻撃をしてこなかったの。私は無抵抗のヤマトにひたすら攻撃していった。そして、私は、私は……っつ!!」

 

 黒木

「ム、ムサシさん! 無理しないで」

 

 ムサシ

「いいのっ、ちゃんと、言う。私は、ヤマトを、沈めたの! 私が、殺しちゃったの!!」

 

 ムサシさんは、涙を流しながら言い放った。

 その姿は普段の妖艶な雰囲気などない、見た目通りの一人の小さな子供だった。

 

 ムサシ

「それから後のことは、ヤマトがこの前教えた通り。だから本当は、ヤマトは何も悪くないの。人類を追い詰めたのも、苦しめたのも、全部私だったの。でも、ヤマトは優しいから、私を庇って自分が悪いって言った。だから、このことを隠していたヤマトを嫌いにならないであげて! 全部、私のせいなの……」

 

 黒木

「ムサシさん……」

 

 ムサシ

「それに私、ヒロミのこと、疑ってしまったの。ヒロミがお父様を殺した奴らみたいに、アケノに何かするんじゃないかって」

 

 え!?

 突然私のことを持ち出してきたので、思わずびっくりしてしまった。

 

 ムサシ

「私、アケノに海の仲間は家族って言われた時、彼女にお父様の姿を重ねるようになったの。でも、ヒロミがアケノに不満があるって聞いて、すごく不安になった。そして、さっきアケノと何かあったって聞いて、いてもたってもいられなくなった」

 

 そうか、だからあの時、岬さんのことをどう思っているのか聞いてきたのか。

 ムサシさんは、岬さんが千早さんと同じ目に合うんじゃないかって不安だったんだ。

 

 ムサシ

「私、みんなと出会ってまだ四日しか経ってないけど、みんなのことが好きになっていたって気づいたの。だから、ヒロミがあいつらみたいなことするはずがないってわかっていた。でも、疑いは消えなかった。それに、ずっとヤマトに甘えてみんなに自分のことを隠してた。話してしまったら、みんなに嫌われるんじゃないかって。私、最低よね。ごめんなさい、ヒロミ、みんな……」

 

 涙を流して私に謝ってきたムサシさん。

 そうか、この子はずっと苦しかったんだ。

 ヤマトさんを沈めてしまったこと、私を疑ってしまったこと、そして今まで自分のことを隠していたこと、その全部を告白して私に謝ってくれているんだ。

 彼女の言葉に対して、私がしてあげることはもう決まっていた。

 

 黒木

「ムサシさん、ありがとう」

 

 ムサシ

「え?」

 

 私はムサシさんの小さな体を抱き寄せた。

 ムサシさんは突然のことで、何が起こっているのか理解できていないようだった。

 

 黒木

「とても辛いことだったのに、私に話してくれてありがとう。そんなことがあったんじゃ、私のことを疑ってしまうのは仕方ないもの。だから、私はムサシさんのこと、許してあげる。だって、私もムサシさんのこと、好きだもん」

 

 ムサシ

「ヒロミ……、ヒロミぃ」

 

 ムサシさんは私に身を寄せて泣いていた。

 私はムサシさんが泣き止むまで、そっと頭をなでてあげた。

 

 

 

 黒木

「ムサシさん、落ち着いた?」

 

 ムサシ

「ええ、ごめんなさい。とても見苦しい姿を見せてしまったわね」

 

 よかった、いつものムサシさんの調子に戻ってくれたみたい。

 でも、さっきまでの泣いている姿のムサシさんも結構可愛かったな、っていうのは内緒だ。

 

 ムサシ

「ねぇヒロミ、さっき私が話した事なんだけど……」

 

 黒木

「うん、みんなには内緒にしておくよ」

 

 ムサシ

「ありがとう。でも、いつかみんなに話すから」

 

 黒木

「じゃあ、それまでは私とムサシさんだけの秘密ってことね」

 

 ムサシ

「フフッ、そうね」

 

 私とムサシさんはお互いの胸の内を明かして、さらに仲が良くなったように思う。

 今ムサシさんと一緒にいると、なんだかとても落ち着く。

 それにやっぱりムサシさんとても可愛いし、ずっと抱いていたいって気持ちになってしまう。

 って、私ったら何考えているのかしら。

 

 ムサシ

「ねえ、ヒロミ?」

 

 黒木

「え!? な、何、ムサシさん」

 

 ムサシ

「ええと、その「ムサシさん」って呼び方、やめてほしいの。なんだか他人行儀みたいで」

 

 ムサシさんから意外な提案がきた。

 確かにせっかく仲良くなったんだし、さん付けはちょっと距離を感じてしまうわね。

 

 黒木

「じゃあ、ムサシ、でいいかな?」

 

 ムサシ

「うん、それがいい」

 

 黒木

「じゃあ、私のことも、クロ、って呼んでよ。仲のいい人はみんなそうやって呼ぶから」

 

 ムサシ

「わかったわ、ク、クロ?」

 

 黒木

「ええ、ムサシ!」

 

 私は思わずムサシに抱き着いた。

 ヤマトさんがムサシを可愛がって抱き着いちゃう気持ち、今だとすっごくわかる。

 今度、ヤマトさんにムサシのことをいっぱい聞いちゃおうかな。

 もちろん、ムサシに内緒でね。

 

 ムサシ

「そ、それよりもクロ? アケノのとこに行かなくていいの?」

 

 黒木

「あ、そうだったわ。ていうか、艦橋に行こうとしていた私をここに連れてきたのムサシじゃない」

 

 ムサシ

「あら、そうだったわ」

 

 私たちは笑い合った。

 あぁ、ムサシと仲良くなれて本当によかったな。

 

 ムサシ

「じゃあ、私も一緒に行っていい?」

 

 黒木

「ええ、一緒に行こう、ムサシ」

 

 私とムサシは教室を出て、岬さんのいる艦橋へと向かった。

 

 さっき、ムサシは自分の過去はいつか晴風のみんなに明かすと言っていたけど、本当はこのままみんなには明かさないでほしいと思っている。

 だって、私だけが知っているムサシの秘密なんだもん。

 ずっと私だけの秘密にしたいって思っていることだけは、私はムサシに明かさなかった。

 




第七話、いかがだったでしょうか?

ムサシの成長に大きく関わる話なので、うまく表現できてるか不安です。

今回、クロちゃんをピックアップしてみました。
アニメ本編だとツンツンしたイメージが強い子ですけど、漫画版とかいんたーばる読んでいるとすごくかわいい一面持ってる子なんですよね。
実際、今回の話書くために色々見てると、どんどんクロちゃん好きになってました。

晴風メンバーで誰をムサシと特に仲良くさせるか考えた時、艦橋組を除いて候補として出たのが、マロンちゃんとクロちゃんでした。
で、ミケちゃんとの関係性もあり、クロちゃんが晴れて選ばれて、今回の話になりました。
今後はムサシはクロちゃんと一緒にいることも多くなっていく予定です。

次回、第八話はミケちゃんとクロちゃんの仲直り、そして例の黒幕がまた出てくる!?

次回も読んでいただけると嬉しいです。
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