今まで投降したブロリーSSに違わず、勢いのみで作られたこの作品のブロリーも割とMADなノリで動きます。
おふざけ作品なのでベジータのように「こんなことがあってたまるかぁ!」と言う方はブラウザバック願います。
???「同じパターンとは、芸のない奴だ……」
星の民すら恐れたとされる伝説の星晶獣を求めてナタデ島と呼ばれる島にやってきたグランたち。
そこは水晶の産地として有名で、グランたちは星晶獣を探しつつ村人に混ざって水晶の採掘を手伝っていた。
「それにしても、本当にきれいな水晶ですね」
「だな。どれもぴっかぴかに透き通ってるぜ」
「けど、ここに星晶獣が本当にいるのかな」
いつものようにビィ、ルリアとともに行動していたグランが手にしたピッケルを振るい、新しく水晶を採取する。
島を訪れてから今日で三日目。漠然とした気配を追って探しているが、それらしきものはどこにも見当たらない。
「うーん。星晶獣かどうかはわかりませんけど、不思議な力の反応がこの近くにいるのは間違いないです」
「まあ、ゆっくりやってこうぜ――おっ、グラン。そこの水晶抜けそうじゃねぇか?」
「あ、本当だ」
ビィの指摘で何故か抜け落ちそうになっていた水晶を抜きとるグラン。その瞬間――
ビギッ! ボゴォ!
「うわっ!?」
「きゃぁ!?」
「なぁ!?」
何故か水晶の刺さっていた壁が崩れ、壁の下からなんと水晶の壁が姿を現した。
「すっげぇ! これ全部水晶かよ!」
「わぁ! とってもきれいです!」
壁全体が水晶という幻想的な空間に一同が感嘆の声を上げる中、ふと壁の上から気配を感じる。
なんだろうと揃って頭を上げると、グランたちは信じられない光景を目の当たりにする。
「な、なんだこりゃ!?」
「人が、水晶に埋まってる!?」
「人……いえ、この気配は私がずっと感じていたものです!」
水晶の壁の中で2メートルに届くかという筋骨隆々の大男が眠るように埋まっていることに驚きを隠せないグランたちだったが、ルリアの言葉でこれが目的の物であるとわかり喜色を浮かべる。
「けどよ、どうやって掘り出すんだ? この水晶、他のと違ってメチャクチャかってぇぞ」
「確かに……。ピッケルの方が先にダメになりそうだ」
「うーん……水晶ごと持っていくのも大変そうですね……」
掘りだそうにも水晶はまるで鉄のような硬度を持ち、ピッケルどころか並の武器ですら傷をつけることは叶いそうにない。
かといってルリアの言うように水晶ごと持ち出そうとしても壁全体が同じ水晶で出来ており、持ち出そうとすればとんでもない大きさの代物になってしまう。
「どうする? 一度グランサイファーに戻るか?」
「……そうだね。一度みんなに見つけたってことを知らせて、それからどうするか考え――」
不意にグランの言葉が切れ、ルリアとビィは不思議そうに首を傾げる。彼の視線が一点に注がれているのに気づき、二人も振り返る。
そこには水晶の中の男が目を開き、その瞳で三人を見つめている姿があった。瞬間、
カッ!!
「うわっ!」
「きゃあ!」
「うわぁ!」
グランたちが驚くよりも先に三人の視界を強烈な光が奪う。
突然のことにグランは目をやられながらも、咄嗟にルリアを守るように前へ出る。そこへ地鳴りが発生するとともに前方からビシビシと何かひび割れる音が上がり、弾かれるように水晶が砕かれる音が洞窟内に響いた。
閃光が収まり視界が戻るのを感じながらグランたちは目をこすり、状況確認を始める。
足元には砕かれたことで大小さまざまな大きさとなった水晶の破片がちりばめられており、視線を上げていった先には――。
「……誰だ、お前たち?」
――水晶の中にいた男によく似た金髪の大男がこちらを見据えて口を開いていた。
◇
――自力で目覚めた? しかもあんなに硬い水晶を自分で砕いて出てきた? でもなんで黒髪黒目が金髪碧眼に?
様々な疑問がグランの頭で渦巻く中、意を決したようにルリアが男に問いかける。
「あの、あなたは星晶獣なんですか?」
「ん? 星晶獣ってなんだぁ?」
「えっと、星晶獣っていうのはですね、昔星の民が従えたとても強い力を持った存在なんです。あなたは違うんですか?」
「俺が星晶獣? 違う、俺はブロリーです」
ブロリーと名乗った男に話が通じそうだと判断し、グランたちは改めて自分たちに沸いた疑問を一つずつ解消することにした。
質問内容をまとめ、まずビィが先陣を切る。
「なぁなぁ、おまえどうして水晶の中で眠ってたんだ?」
「わからん」
「……そ、そうか、じゃあしかたねぇな」
思考の余地が一切ない即答をされたもののビィの言う通り、わからないものは仕方ないと今度はルリアが問いかける。
「えっと、あの水晶、とっても硬かったんですけど、どうやって出てきたんですか?」
「ん? 硬いのか? これ」
落ちていた手のひらほどの破片を一つ広い、ブロリーはフンッと己の感覚で
握りつぶされた水晶はブロリーの手の中で粒子レベルにまで粉々にされ、砂のようにさらさらと零れ落ちた。とんでもない馬鹿力に一同は言葉を失い、同時にこれなら自力で出てこれたのも納得だと本能的に理解した。
そして最後にグランが最も気になったことについて尋ねる。
「最初にブロリーさんを見つけた時は髪も瞳も黒かったはずなんですけど、なんで金髪になったんですか?」
「水晶から抜け出すのに念のため
「す、超サイヤ人?」
新たに出てきた聞き慣れぬ単語に首を傾げる三人。
もう少し踏み込んだ質問をしてみようかと、グランが口を開こうとするのとほぼ同じタイミングで新しい声が響く。
「団長さん! 今すぐここから離れるんだ!」
現れたのは近くの村で水晶の採掘を仕切っている男性で、グランたちの協力を受け入れた人物だ。その慌てた様子にビィが尋ねる。
「離れろって、何があったんだよ」
「帝国兵が君たちを出せって押しかけてきたんだ、だから早く――「ほう、そんなところにいたのか」――っ!?」
村人の後ろからさらにエルステ帝国の兵を引き連れ、明らかに毛色の違う鎧を身につけた男が現れる。幾度となく帝国兵と相対したグランたちは、その男がどういう者なのか直ぐに理解した。
「おいおい、よりにもよって指揮官がインペリアルソルジャーかよ!」
「ふっふっふ、貴様らは完全に包囲されている。おとなしく投降すれば、命だけは助けてやらんこともないぞ」
いきなりの降伏勧告にグランとビィは忌々しそうに下唇を噛み、ルリアは不安そうにグランに寄り添う。
その様子を眺めていたブロリーだが、指揮官から声がかかり視線を向ける。
「そこの一般人、怪我をしたくなければ今すぐこの場から立ち去れ。そうすれば見逃してやるぞ?」
「…………」
僅かな沈黙をおいてブロリーが移動を始め指揮官の隣を通り過ぎるルートを進む。その次の瞬間――
「ふん!」
がすぅ!
「ぶほぉ!?」
突如、指揮官が真横に吹っ飛び水晶の壁に直撃する!
取り巻きの兵士たちは隊長がいきなりはじけ飛ぶという予想外の事態に一瞬呆然とし、思い出したかのように上官の元へ駆け寄る。
「た、隊長! ご無事ですか!?」
「い、いかん! ぶつかった衝撃で兜が歪んで外れんぞ!」
「ぐっ、私は問題ない! それより何が起こった!?」
全員が一斉にさっきまで指揮官がいた場所に目を向けると、そこには張り手を振り抜いた状態のブロリーが虫けらでも見るような目で指揮官を見下ろしていた。
「娘を怖がらせるような奴が俺に命令するな」
「き、貴様! その化け物の肩を持つというのか!?」
「化け物?」
「そうだ! そいつは星晶獣を呼び出して意のままに操る化け物なのだ! そしてそこの小僧どもは化け物の味方をし、帝国に刃向かった愚かな犯罪者どもだ! 邪魔建てしようというのなら、貴様もこいつらと同じ末路を――」
「ははははははははっ!」
指揮官の言葉を遮り爆笑するブロリー。それもただの笑いではなく、明らかに嘲笑の類の笑いである。
「この可愛い娘が化け物? お前目が悪いのかぁ? 病院行け、クズ」
「なっ……クズだと、帝国軍の中でもエリートたるインペリアルソルジャーの私に対してクズだとぉ!? もう許さん! 全隊、包囲してこいつを殺せ!!」
指揮官の命令で帝国兵がブロリーを囲む。その光景にグランたちから悲鳴が上がった。
「ブロリーさん!」
「ルリア! 召喚でブロリーさんを助けに――」
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
状況を打開しようとグランが叫んだその直後、雄叫びを上げたブロリーを中心に光が爆発。目を開けてられないほどの光量に襲われ誰もが思わず目を覆い、光が収まったその先には――黄金のオーラを纏う凶戦士がいた。
服装からそれがブロリーなのだろうとなんとなく察しが付くが、筋肉は先ほどまでの比ではないほど膨れ上がっており、鋭すぎる視線は睨み付けただけで相手に恐怖を植え付ける。
あまりの変貌に帝国兵たちは剣を構えることを忘れただけでなく、魂の底から湧き上がる恐怖にガチガチと歯を鳴らし、ガタガタと体を震わす。
「チャオ☆ブロリーです」
馴れ馴れしく笑顔で自己紹介をするブロリー。しかし向けられた側からすれば、その笑顔も満面の笑みを浮かべた悪魔でしかなかった。
「う、うわああぁぁぁ!?」
一人の兵士が半狂乱になって手にした剣を握り直し、ブロリーの腹部に向けて思いっきり突き立てる!
「きゃああああああ!!」
「ブロリーさん!」
キィン!
後ろにいたグランたちからすればその光景は無抵抗なブロリーを凶刃が襲ったように見えた。しかし不思議なことにブロリーは涼しい表情を浮かべており、攻撃したはずの帝国兵は信じられないとばかりに声を震わせる。
「そ、そんな……、さ、刺さらない!?」
帝国兵からすればまるで岩に剣を突き刺したような感触が手に伝わったが、別にブロリーの体が本当に岩や鋼鉄で出来ているとかそういうわけではない。ただ単にサイヤ人としても普通に強固であったブロリーの腹筋が、伝説化した影響で鋼の剣などまるで意味をなさない程に強化されただけなのだ。
向けられた刃をまるで意に介さず、ブロリーはそのまま兜越しに兵の頭を鷲掴みにして持ち上げる。
「なぁんなんだぁ? 今のは」
「ひ、ひぃ!?」
短いながらも絶望に満ちた悲鳴が兜の隙間から漏れる。そこで恐怖が限界を超えたのか、兵士は情けなく失禁までする始末。
「……クズの息子を思い出すなぁ」
滴り落ちる液体を眺めつつそんなことを呟きながらも決して力を緩めず、ブロリーは戦意を喪失した兵士にとどめを刺そうと拳を振りかぶる。
彼の動きから兵士がどうなるか予想がつき、状況を見守っていたルリアから声が上がる。
「ダメです、ブロリーさん!」
「ん?」
「ひっ!」
三白眼ならぬ全白眼を向けられ思わず悲鳴を漏らしたルリアだが、すぐに気を取り直してブロリーに呼び掛ける。
「こ、殺すのはダメです! 懲らしめるだけにしてください!」
「……はい」
姿や顔に似合わない優しい声色で答え、ブロリーは持ち上げていた兵士をそのまま指揮官の頭に向かって投げつける。
手加減されたとはいえかなりの速度で投げ飛ばされた兵士を避けることができず、指揮官は頭から受け止めるような形となった。しかも生暖かい液体が兜の隙間に入り込んで顔にかかり、拭おうにも変形した兜が外れずそれも適わないという泣きそうな展開までついてきた。
もう一息といったところかと考え、ブロリーは周囲を見渡すと右手に気を凝縮させると離れた山に向かって大きく振りかぶる。
「イレイザーキャノン!!」
ポーヒーという音とともにエネルギー弾が解放され、標的となった山を目がけて一直線に飛んでいく。直後、
\デデーン!/
そんな音と共に山が消えた。
比喩でもなんでもなく、
刃向かうのが愚かに思える力を見せつけられ、ついに兵士たちのタガが外れた。
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」
「化け物だぁぁぁぁ!」
「逃げるんだぁ、勝てるわけがない!」
「もう駄目だ、お終いだぁ……」
「この島から避難する準備だぁ!」
阿鼻叫喚とはこのことか。兵士たちはブロリーから逃げるべく我先にと背を向けて走り去っていく。グランたちが呆気にとられるまま事態は勝手に収束し、彼らの周りには帝国兵は一人も残っていなかった。
「もう終わりか……面白くない」
言葉通り心底面白くなさそうに呟くブロリー。終始その馬鹿げた力に圧倒されていたグランたちは揃いも揃って同じ感想を抱いた。
私
――もしかして 僕 たち、とんでもない存在を目覚めさせた?
オイラ
その考えが正しいことが遠くない未来実証されるなど、この時点で彼らは知る由もない。
召喚石:ブロリー
召喚:
敵全体に無属性ダメージ(極大)/味方全体の攻撃力上昇(特大)
加護:伝説の超サイヤ人の加護
初期値:全属性攻撃力26%UP/防御力DOWN30%
最終上限解放(4段階):全属性攻撃力126%UP/全属性最大HP26%UP