死神に就職しました。え、斬魄刀?なんですそれ? 作:お宅の晩御飯
気がついたら空にいた。初っぱなからなに言ってんだこいつなんて思うかもしれないが、俺も大分混乱しているのでどうか怒らないでほしい。そもそも何故こうなったのか、なんてよくある小説の主人公なら考えるかもしれないが、俺にそんな余裕はなかった。
「うおおおおおぉぉぉ!!!!????」
まだまだ眼下には雲が広がっている。どうやら大分高度が高いらしい。さっきからずっと続くこの気持ちの悪い浮遊感をどうにかしたいが、生憎足を着く場所なんて存在しない。スカイダイビングなんてしたこともない俺は、体勢を建て直すこともできない。(現在頭から降下中)
結果
「おおおおおおぉぉぉ!!!!????」
と、情けない声をあげるのが精一杯であった。体感で大分長い間空中で体勢を建て直そうと四苦八苦した結果なんとか腹を下にして、よく見るHalo降下もどきの体勢になった。いつの間にか雲は突き抜け夕焼けに染まる町が真下に広がっていた。アスファルト、コンクリート、瓦etc.…
硬い物が沢山である。死ぬ。確実に死ぬ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!????」
誰か!俺に気づいて!このままじゃ死んじゃう!何かクッションに成るものを!!この際布団でも何でもいいから!!お願いぃぃぃぃ!!!!だれかぁぁぁぁ!!!!
俺の必死の叫びも空しく、俺はそのまま地面に打ち付けられた。はずだった。
第一感想は冷たいである。なんかやたらとひんやりしている。次に柔らかいである。めっちゃやわこい。もうずっとこうして居たいとさえ思うよ。だが状況を確認しなければならない。あのずっと続くのではとさえ思ってしまえるような間感じていた浮遊感はもうない。何よりじめんを踏みしめているこの感触が、俺を段々と冷静にさせてくる。ここに来て漸く落ち着きを取り戻した俺は、何故こうなったのか。まずは空中水泳の前に何をしていたのかを思い起こすことにした。
……結果からいうと。分からないであった。まず空中水泳する以前だが。学校に行く途中だったはずである。というか絶対そうだ。そして普通に通学路を歩いていたはずだ。だが気づくと空の上である。こうなった原因については一欠片も分からなかった。ただ原因とは別に、わかったこともある。まずひとつに俺はTSしていた。空中水泳中に散々「うわあああああ」とか「うおおおおお」とか叫んでいた俺だが、今さらになってやたらと声が高いことに気がついた。また、普段よりも建物が大きく見えているので、どうやら身長も縮んだようである。近くのカーブミラーで顔を確認して絶句した。めっちゃ美少女だった。年の頃十才前後といったところだろう。この歳からこれだと、将来はどうなるのやら。確実にそこらのアイドルよりは美人だろう。因みに、男の娘という線もあったが、そちらは検証済みである。最初はめっちゃ焦ったが、落ち着いて考えてみると何も問題なんてない。いや、むしろメリットの方が目立つ。え?メリットが何かって?決まってるだろう!そう!!これほどの美少女ならイケメンとお近づきになれること間違いなしであることだ。そしてあわよくばあんなことやこんなことも………グフフフフフフフフフ…………
もうお気づきだろうか。そう!!俺はホモである。何も恥ずべきことでないので堂々と言い切ってやる!!!俺は!!!!!!ホモだ!!!!!!!!
とこんなことが言えるくらいには落ち着いた。あ、でもホモの下りはガチである。
恐るべきカミングアウトをした俺だが、まだまだ分かったことがある。それは今、俺の後ろを付いてくるこの白くてゆらゆらしている何かだ。俺が地面と熱い包容を交わすのを防いでくれたのもこれだ。これについては見た感じですぐわかった。これは人魂だ。それも俺の分身みたいな存在らしい。らしいと言うのは、なんとなくそう知っているからだ。これが俺の分身だと見た瞬間に気づいた。どうやら意識があるらしく、俺の回りを時折ぐるぐると旋回したり、スリスリしてきたりする。もうこの時点で人外確定だ。もうひとつ俺の姿でだが、まず顔だが、血のような赤いきれいな艶のある髪に、金の瞳、目鼻立ちのバランスもいい美少女、肌は真っ白で染みひとつない。血が通っていないような白さだ。膝上くらいの丈の黒い着物(何故かノースリーブ)に白い帯、これまた何故か黒と赤のシマシマニーソックス。ここまではいい。この顔によく似合っている。だが、その上から来ている真っ黒のボロボロローブだ。これが全部台無しにしている。なんだこのファッションは。あと胸から下げているこのどくろのネックレスは個人的にいかすと思いました。
此処までは自分の外見の変化に関してだが、こっからは中身について考えたい。が、これについてはもうわかった。答えは隣の人魂だ。どうやらこの人魂、俺のバックアップ機能があるらしい。まあ分身何だし当たり前と言えば当たり前である。その記憶によると、俺は死神らしい。記憶(人魂経由)によると、仕事中に穴に吸い込まれたらしい。その穴の中でこの今の俺の体である死神少女は死んでしまい、その脱け殻の体に俺が入り込んだようだ。現在俺とこの死神少女の人魂とで、同期はすんでいるらしい。(俺の回りを旋回したり、スリスリしたりしてたのは、同期するためらしい)今、俺の魂の一部も死神少女の人魂と混ざりあって俺は完全にこの体に馴染んでいるようだ。この死んでしまった死神少女には悪いがもしかしたらずっとこの体で生きていくのかもしれない。俺が殺した訳ではないが、なんとなく胸がいたい。泣きそうである。て言うかちょっと泣いた。夕方という時間でポツポツと人がいるが俺に気づいた様子もないのは俺が死神で、このからだが霊体だからだろう。今は助かっている。とにかくこうなったからには、この死神少女の代わりに俺が仕事をしよう。霊体だということには少なからずショックを、いやめっちゃショックだが、この世に未練を残してさ迷う霊たちをあの世におくればいはのだ。死神に殺されれば勝手に成仏するみたいだし。いや、殺すという表現は可笑しいか。それに、なにかやってないとまた混乱しそうだ。今も落ち着いているとはいえ半分夢心地である。さっきは美少女になったことに喜びもしたが、今思うとそこまで嬉しくない。イケメンとお近づきになれることは嬉しいが、ずっとこのまま何処とも分からない場所で過ごすなんてできるのだろうか?不安ではあるが、とにかく霊を探すために適当にふらつく。今まで住宅街に居たが、記憶にを基に霊がいそうな場所を回っても見つからなかったので、一旦飛んで上空から町を眺める。死神って飛べるのか。知らなかった。冒頭のような気持ちの悪い浮遊感はない。むしろ楽しい。空を飛ぶって素晴らしいな。上空から眺めて見つけた河川敷まで来てみた。こういう川の近くに霊がいることもあるらしい。溺れて死んだりなんかが多い。あと、たまに飛び込み自殺とかもあると。とりあえず着地。
「おっととっ!」
いくら記憶にあると言っても実際にやると難しい。飛ぶときも最初はおっななびっくりだったし。しかし。
「やっぱいないか………。」
収穫は今のところゼロ。まあ霊がいないのはいいことなのだろう。適当に見渡して霊がいないのを確認したので、また飛ぼうとしたその瞬間だった。
「っ!!?」
突然何かを感じた。これは知っている。悪霊の気配だ。背を向けかけていた川を振り替える。川に以上なし。依然として、霊の姿はない。どこだ?確かにいるはずなのだ。神経を周囲に巡らせる。気配からして、そこまで大物じゃない。手をからだの前にかざす。死神の武器と言えば一つだ。即ち鎌。魂を刈り取る武器である。手から炎が吹き出し、左右に伸びる。その炎の中から黒く光も飲み込むような漆黒の巨大な鎌が出現した。鎌を構える。
「どこだ!さっさッと出てこい!」
俺のその声に反応したのか、突然空が割れた。
「……は?」
思わずそんな声が出る。なんたってこんなか現象は記憶にない。悪霊は大抵、空気に溶けるように潜んでいるものなのに………
空が割れ、割れ目が広がっていく。割れ目の奥は真っ黒、塗りつぶしたように黒かった。その中から対照的な真っ白い腕が伸びてくる。それは割れ目を広げるようにして空を掴むと更に黒のなかから見たこともない(記憶にない)白い化け物が現れた。
続くかは未定です。