銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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さぁきましたトッシー篇!
気合い入れていくぞォォ‼︎



トッシー篇 命短し燃えよ男達
男が揃えばどんな場所でも戦場になる


この日、志乃は大江戸ドーム内にいた。観客達の熱狂する声が、ドームに反射し響き渡る。その中の一番の特等席で、志乃は腰を下ろして舞台中央を見つめていた。

 

「今日はみんな、私のコンサートに来てくれて本当にありがとうきびウンコォォ‼︎」

 

ステージの真ん中で、いくつものライトを浴びる少女は、江戸一番のアイドル寺門通。周りで拳を振り上げている彼らは、皆お通のファンなのである。

 

「しっかし、よくここまで上り詰めたモンだ」

 

志乃はフッと笑って、大歓声を浴びるお通を見た。そしていつかの、彼女の初ライブを思い出す。

ついに最後の一曲が終わり、会場のライトが落ちていった。志乃はぞろぞろと大江戸ドームを出ていく列から外れ、関係者以外立入禁止と書かれた扉を開ける。中にいたスタッフが彼女の姿を一目見ると、会釈した。

 

実は志乃は、あれからお通と友達になり、お互い公私共に仲良くしている親友とも呼べる存在となっていた。というのも、以前トップアイドルになったお通を護衛する依頼を受けたことがきっかけで、さらに彼女を見事暴漢から守り切ったこともあって、お通からの信頼はファンと同等かそれ以上になった。

お通は彼女にライブのチケットを送ったり、新発売CDをプレゼントしており、志乃もそれを快く受け取っている。そして今回足を運んだのも、お通から特等席のチケットを貰ったためである。

 

「霧島さん、こちらです」

 

スタッフの案内で、お通の控え室に向かう。彼女の手には、袋が提げられていた。二回ノックしてから、扉を開ける。

 

「こんにちは、お通」

 

「志乃ちゃん!」

 

お通は志乃の姿を見るなり駆け寄り、ガバッと抱きついた。彼女を受け止めつつ、袋を手渡す。

 

「お疲れ様。とっても良かったよ。コレ、差し入れ」

 

「ホント⁉︎ありがとう!」

 

ライブ後で疲れているだろうと、志乃は彼女を座らせる。お通が袋の中身を取り出すと、中には三色団子が入っていた。

お通は早速蓋を開け、志乃と共に団子を食し始めた。

 

「お通本当によく頑張ったね。江戸のトップアイドルまでになっちゃうなんてさ」

 

「応援してくれるファンのみんなのおかげだよ。もちろん、志乃ちゃんもね」

 

「私は何もしてねーよ。せいぜい護衛(ボディーガード)とかそんなんじゃん」

 

「も〜、志乃ちゃんったらまたァ」

 

談笑しつつ、菓子をつまむ少女達。非常に微笑ましい光景である。

 

「…………はぁ……」

 

しかし団子を口に運ぼうとした手を止め、お通が小さく溜息を吐いた。

 

「お通?どうかしたの?」

 

「実はね、最近ファンのみんなが私の公式(オフィシャル)ファンクラブの座をかけて喧嘩が絶えないって聞いて……」

 

公式(オフィシャル)ファンクラブ?それって寺門通親衛隊じゃなかったんだ。てっきりそうかと」

 

団子を食みながら、志乃はお通の横顔を眺める。その表情は、少し悩んでいるように見えた。

最後の一つを飲み込んでから、お通を見つめた。

 

「じゃあこの際作っちゃえばいいじゃん」

 

「えっ⁉︎」

 

お通が驚いたように目を見開き、こちらを見てくる。それに構わず続けた。

 

公式(オフィシャル)ファンクラブ。それさえあればその暴動とやらも無くなるんでしょ?なら、それさえ作っちゃえば大団円じゃん」

 

「でも……そんなのなんだか、ファンのみんなに階級つけるみたいで……」

 

「お通」

 

俯く彼女の肩に手を置いて、立ち上がっる。そして、ニッと笑ってみせた。

 

公式(オフィシャル)だろーが非公式(アンオフィシャル)だろーが、アンタに対する想いは変わらないだろ。もしそれでお通のこと嫌いになんなら、その程度の連中だったってことさ。でも、そんな奴ばかりじゃないだろ?大丈夫、奴らならきっとどんなことがあっても、お通のこと愛してるよ」

 

それから志乃は、背を向けた。

 

「じゃあ、私はこれで」

 

「えっ⁉︎もう帰っちゃうの?」

 

「悪いね、今日はちょっと野暮用があって」

 

控え室を出ていく彼女の背中に、お通が声をかける。

 

「今度の休みの日、一緒に遊びに行こうね!」

 

志乃は何も言い返さなかったが、軽く手を挙げて応えた。それだけでもお通には彼女の答えがわかって、笑顔で彼女を見送った。

 

********

 

大江戸ドームの外。そこには今日のライブを観に来ていた大勢のファン達がまだいた。その中に、法被とハチマキ姿の男が四人。一人は見覚えあるメガネ兼師匠だ。

しかし、何やら不穏な雰囲気。

 

「おーい、師匠〜」

 

「あれっ⁉︎志乃ちゃん‼︎何でここに⁉︎」

 

「お通からライブチケット貰ってね。観に来た」

 

志乃はピラッとライブチケットを見せる。それを懐にしまってから、少し落ち着いた様子の新八に歩み寄った。

 

「んで、どーしたの?なんか怒ってたみたいなんだけど」

 

「そうなんだよ‼︎実は隊員達が僕に何の断りもなく辞めたんだ‼︎今から奴らの家に乗り込んで隊規復唱しながら腕立て伏せを……」

 

「落ち着け新ちゃん‼︎」

 

志乃の問いにより怒りが再爆発した新八を、リーゼントに出っ歯の少年ーー確か名前をタカチンと言ったかーーが必死に引き止める。

 

「違うんだ新ちゃん‼︎アイツら別にお通ちゃんのファンを辞めたワケじゃないんだよ‼︎」

 

「じゃあどうしてここに来てないんだ‼︎一体何があったっていうんだ‼︎」

 

「それはっ……」

 

弁明しようとするタカチンが、口を噤む。その時、彼らの前に大勢の集団が現れた。皆一様にハチマキを巻き、素肌に袖の無いGジャン、ズボン、手にはグローブと異様な格好をしている。

 

「その辺にしといてあげなよ、志村氏。言えるワケがないじゃないか。みんなが出ていったのはお通ちゃんのせいじゃない。志村氏、君のやり方が気に食わないからだなんて……」

 

「なっ……何だお前ら、気持ちワルッ‼︎」

 

すまないが師匠、師匠も似たようなモンだよ。志乃は心の中で呟いた。

しかし彼らのこの格好、どこかで見たことがあった。しかも彼らの中には、親衛隊を脱退したメンバーもいるという。

 

「何してやがんだ、何だそのカッコ⁉︎てめーら恥ずかしくねーのか‼︎」

 

「恥ずかしいのは君達の方さ。硬派なアイドル親衛隊など、太古の昔に滅んだ前時代の遺物」

 

人集りの真ん中から、一人の男がやってくる。その姿を見て、志乃と新八は目を見開いた。

 

「君達のやり方はもう古いんだよ。そんなやり方ではもう誰もついていかない。寺門通親衛隊はもう滅んだんだ。これからはそう、この僕……僕が率いる『新しいオタクの波(ニューウェーブ)』、『通選組』の時代なのだよ。プススススッ」

 

「おっ……お前は……トッ……トッシーぃぃぃ⁉︎」

 

ーーなんか前より格段にパワーアップしてやがるぅぅぅ⁉︎何か得体の知れない気持ち悪い軍団作ってやがるぅぅぅぅ‼︎

 

志乃は久々に見たトッシーを見て、愕然としていた。そして、心の中で盛大に叫んでいた。それを決して口には出さずに。

 

********

 

時は寺門通ファンクラブ戦国時代。スキャンダルを乗り越え成長し、ついにトップアイドルの座へと君臨した寺門通。

 

彼女の元には今や無数のファンクラブが群雄割拠し、日々熾烈な覇権争いを繰り広げていた。「公式(オフィシャル)ファンクラブ」という玉璽を賜らんと天下を目指し、戦い散っていく英傑(おとこ)達。

 

死屍累々転がるそんな戦場にあって、長きに渡り戦を勝ち抜く最強の英傑(おとこ)達がいた。

 

寺門通親衛隊。猛将志村新八率いる最強のオタク達である。

 

路上ライブをしていた頃から寺門通を支えてきた老舗中の老舗。親衛隊隊規という九十九か条にも及ぶ鉄の掟で縛られた彼らは恐るべき士気の高さを誇り、戦では負け知らず。パフォーマンスのクオリティ、テンション、ウザさ、女っ気のなさ、どれをとっても他を圧倒していた。

 

その歴史の深さからも公式(オフィシャル)に最も近い存在とされ、数多の勢力から攻められ続けてきたが、猛将志村に鍛えられた精強な兵は崩し難く、かかっていく者は彼らの前に死屍を重ねるのみだった。

 

「形勢変えがたし」。次々に武器を捨て、敗走していく兵の中……その男は、戦場に現れた。

 

智将、土方十四郎(トッシー)

 

戦場に流星のごとく現れた彼は、敗走する兵を巧みにまとめ上げ、「通選組」なる組織を結成。反発し、戦うことしかしてこなかった他の者とは違い、彼は戦うことをしなかった。

 

オタクの心を巧みに掴み誘惑し、他勢力を次々に取り込み、瞬く間に最大勢力を築き上げる。アニメ、漫画、ゲーム、二次元メディアから三次元にまで足を伸ばしてきた彼が作ろうとする通選組は、お通だけにとらわれるのではない、あらゆるメディアに()ずる()ばれたオタク達の()織。総合メディアサークルとも呼べる代物であった。

 

彼の軟弱ともとれるやり方は、お通しか追いかけてこなかった硬派な昔気質のオタク達に、新鮮な息吹を吹き込む。大きく世界を広げてくオタク道、彼がカリスマオタクとして崇められるのにそう時間はかからなかった。

 

そしてそんな彼に最も魅了されたのは、鉄の掟で欲望を抑圧され続けてきた寺門通親衛隊であったのは言うまでもない。

 

かつて彼らを震え上がらせた猛将志村の声も、もう彼らの耳には届かない。天下統一を前に、寺門通親衛隊墜つ。

 

かくして長きに渡った戦乱の時代は、戦場に突如現れた新星によって幕を

 

「閉じたのであった」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

新八、アイドルオタク卒業!

でも……これで良かったよね。

 

次回、銀さんがストパーになります。

 

 

 

「何勝手に終わらせてんだァァァ‼︎終わってねェェェェ小説も親衛隊もまだ終わってねェェ‼︎」

 

長々とナレーションをしていた銀時の頭を、新八が殴りつける。ちなみに今は所変わって万事屋にいる。

 

「何がこれで良かったよねだよ‼︎いいわけねーだろ‼︎次回も全く関係ねェ話しようとしてんじゃねーか……コレただのお前の願望じゃねーか!何作者に書かせてんだよ‼︎」

 

「え?いやもういいだろ、これで終わりで。ナレーションでかなり盛り上げてやったし」

 

「終わるワケねーだろまだ半分チョイしかいってねーんだよ、こんな最悪な状態で終わるに終われるか」

 

いつものように全くやる気のない銀時。志乃も興味無さそうに、神楽の隣で酢昆布を貪っていた。

 

「もういいよー、どうせこの後お前のどうでもいい愚痴が延々と続くんだろう。めんどくせーよ聞きたくねーよ。終わってくれよ頼むから」

 

「アイドルとかそんなんどうでもイイアル。勝手にやれヨ。くだらねーんだよ糸クズ共」

 

「そうそう、どーせこの後どうなるかフラグは立ってるわけだから。そのフラグ回収したところで今時の読者は面白みも何も感じないよ。もうちょっと型破りな事しなきゃ。だから師匠の愚痴はパス。なんなら帰ってもいいよ?」

 

三人にそれぞれ散々言われて、新八の目にはうっすら涙が光っていた。

 

「そんな言い方しなくてもいいだろォォ‼︎涙出てくるわ‼︎アンタらだって知ってるでしょ、今まで僕がどれだけ精力的に親衛隊の活動に取り組んできたか!僕がどれだけお通ちゃんを大好きか‼︎その親衛隊が今破滅の危機に瀕しているんですよ!今までずーっとお通ちゃんを応援し支えてきたのに、誰よりも前から。その辺からパッと出た奴に隊員も地位も奪われ、お通ちゃんの公式(オフィシャル)ファンクラブになるという夢も奪われようとしているんですよ‼︎」

 

辺りに喚き散らしてから、新八は溜息と共にソファに座る。もちろんこの間三人は全く聞く耳を持たなかった。

 

「なんてこった……まさかまだあの男が生きていたなんて。もうとっくに消滅しているものと思っていたのに。未だ妖刀の呪いは解けず、土方さんの中であの男も生き続けていたとは……。しかも以前より数段オタクとしてパワーアップして……!僕らのような中途半端なアイドルオタクが、あんなカリスマオタクに対抗出来るのか。僕らに……勝ち目はあるのか」

 

「新ちゃん‼︎」

 

ネガティブになる新八を励まそうと、タカチンが立ち上がり、声をかける。

 

「諦めちゃダメだ‼︎まだ勝負はついちゃいねェ‼︎寺門通親衛隊はまだ終わったワケじゃねェ‼︎隊員ならまだいるじゃねーか、この俺が‼︎それにまだ、奴らに取り込まれてねェファンクラブも残っているはず、そいつらと手ェ組んで奴らに対抗しよう‼︎あの野郎と俺達を裏切った連中に目にものを見せてやるんだ‼︎俺達の戦いはこれからだァ‼︎」

 

悪ある限り、彼らの戦いは続く。永遠に……ーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ートッシー篇 完ー

 

 

 

 

「長篇終わらせんなァァ‼︎」

 

再び新八が、ツッコミと共に銀時の頭をぶん殴る。デジャヴだ。志乃はビスケットを食んだ。

 

「何未完で終わった漫画風にしてんだァ‼︎確かにあるけども‼︎こういう終わり方あるけども‼︎どこまで僕らの話聞きたくないんですか‼︎長篇終わらせてまで聞きたくないんですか‼︎」

 

「仕方ないよ。前に真選組動乱篇でトッシー出てきたから、これは成仏もさせなきゃダメだよねって事でやってるから。ただのやっつけ仕事みたいなモンだから」

 

「作者ァァ‼︎てめっどこまでめんどくさがりなんだァァァ‼︎」

 

新八が天井に向かって作者に対するツッコミをしたところで、銀時が呆れたように言う。その目は、いつもより死んでいた。

 

公式(オフィシャル)ファンクラブとかさァ、よくわかんねーよ。てめーらが何したいのか。何?公式(オフィシャル)って?勢力争いして公式(オフィシャル)になって、その先に何が待ってるの君達に。お通ちゃんと付き合えるんですか、お通ちゃんとチュー出来るんですか」

 

「出来るワケないでしょ。せいぜいビスケット二、三枚貰ってハイおしまいだよ、公式(オフィシャル)なんてさ。だったら私がビスケットやるから。もうそれでいいでしょ?」

 

「いいワケねーだろ何でビスケット⁉︎」

 

銀時に便乗して、志乃までもが死んだ目をし始めた。新八が全く話を理解しようとしない二人に説明する。

 

「銀さん志乃ちゃん、公式(オフィシャル)ファンクラブとして認められるってことはね、とっても名誉なんです。今までは僕らが勝手に一方的にお通ちゃん応援してきたけど、公式(オフィシャル)になるって事はね、お通ちゃん側から応援してねって、頼りにしてるわって、そういうカンジになるワケです」

 

「……たいして変わんねーだろ」

 

「変わるんです‼︎俄然こっちのモチベーションが変わってくるんです‼︎」

 

熱弁する新八は、さらに続ける。

 

「要するに公式(オフィシャル)になるってことは、将軍を介した官軍になれるようなもんなんです。逆に言えば、選ばれなかった者達はただの賊軍になってしまう。これ程不名誉な事がありますか‼︎今までずっと応援してきたのにそんな腹立たしい事がありますか」

 

すると、ずっと聞き流していた神楽が新八に提案した。

 

「じゃあお前達もあっちに入ればいいじゃん。そしたらみんな公式(オフィシャル)ファンクラブの会員になれるアル」

 

「は……入れるワケねーだろ‼︎あんな連中のいる所に‼︎俺達裏切った連中や、裏切りを喚起させた汚ねェ連中の吹き溜まりだぜ‼︎」

 

「そうだよ、そもそもアイツらお通ちゃん以外にも色んなアイドルの追っかけもしてんだよ‼︎僕らの方が絶対お通ちゃん愛してる。僕らの方が絶対公式(オフィシャル)に相応しい‼︎あんな連中より下の会員番号なんて僕はいりません‼︎」

 

提案をバッサリ切った新八とタカチンだったが、このやる気のない兄妹にさらにめちゃくちゃに言われる。

 

「細かいことグダグダうるせーな、所詮同じ穴のムジナだろお前ら。仲良くしたらいーじゃん」

 

「そーそー、会員番号一番も百番も変わんねーよ。所詮アイドルにとっちゃファンクラブ会員なんて全員チンカスみてーなもんなんだから。AもZも変わんねーだろ、だって同じチンカスなんだから」

 

「わかったらさっさと仲直りしに行ってみんなで一緒に醤油を1ℓ飲みな。そして仲良くくたばれバーカ」

 

もぐもぐ、とビスケットを咀嚼していると、どうしても水分が欲しくなる。志乃は冷蔵庫から銀時のいちご牛乳を勝手にパチってストローを刺した。目の前に座る兄の「あっオイそれ俺の‼︎」なんて声は聞こえない。

その時、プスプスと妙な笑い声が聞こえてくる。

 

「僕の軍門に自ら降るのかい。プッススス〜、僕は一向に構わないけど」

 

リビングの入り口の縁に、トッシーがいたのだ。勝者の余裕を纏い、笑みを浮かべる。

 

「だがそう慌てずに状況をよく見ることをお勧めするよ。確かに勢力争いでは僕が勝ったが。『公式(オフィシャル)』は数が多ければ手に入れられる、そんな単純なものではないらしいよ」

 

「てってめェェェェ‼︎よくのこのこここに現れたな‼︎」

 

「あの……勝手に人んち入んないでくんない」

 

「坂田氏、テレビをつけることをお勧めするよ」

 

「なんなんだよコイツ、人んち勝手に入ってきてお勧めしまくってんだけど」

 

人んちに勝手に入るなという銀時の注意も一蹴される。だったら鍵くらいかけろや。志乃はいちご牛乳をストローで吸いつつ、テレビをつけた。

テレビにはちょうどいいタイミングで、お通が映っている。

 

『ーーそうですね、私は私の歌を聴いてくれる人達みんな大好きだし、みんなかけがえのない大切な人達だと思ってるから。その……あの、そういう大切なファンのみんなに階級をつけるみたいで、なんか……嫌だったんです、スゴクそういうのが。だからその、今までこちら側からそういうのをとり決めるのは避けてきたんですけど。そのせいでファンの方達が喧嘩とかいっぱいしてるって聞いて……どうしていいかわかんなくなっちゃって。そんな時にこちらの番組さんからお話頂いて。思いきって……決めちゃおっかなって』

 

お通は一息吐いてから、高らかに宣言した。

 

『寺門通、公式(オフィシャル)ファンクラブ作っちゃいまーすトロング金剛‼︎』

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