銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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愛は無償で与えられ貰えるもの

「さて、寺門通公式(オフィシャル)ファンクラブ決定戦、本戦三本勝負。いよいよ最後の対決となりました」

 

お通に対する失礼な発言をしたことにより、司会者が志乃によって気絶させられた。それがまだ復活しないので、このまま志乃が勝手に司会を務める。

 

「ま、煽るのも面倒だし。さっ両チームの代表者、リングに上がってください」

 

志乃は左手で、会場の真ん中に設置されたリングを示す。寺門通親衛隊からは新八が、通選組からは土方が代表としてリングに上がり、両手にボクシングのグローブをはめた。そのグローブは特別で、左の方にカードデッキをセットする機械がついている。

 

「えー、三本目の最終対決で試されるのは、コレクション力でーす」

 

「……え?ボクシングじゃないの?」

 

「そんなわけないでしょ師匠。バカなの?」

 

「リングとグローブ出されたら誰だってボクシングを連想するわ‼︎ていうか何でそこまで言われなきゃいけないの⁉︎」

 

弟子にバカ呼ばわりされ、新八のツッコミが炸裂する。

ちなみに言っておくが、志乃は剣術の師範としての新八は尊敬しているものの、親衛隊隊長としての新八は全く尊敬していない。これが今の新八を全く敬わない理由である。

新八のツッコミを無視して、志乃は続ける。

 

「愛するお通のグッズなら、何でも取り揃えてるはずだよね?ま、メジャーな所攻めても面白くないから、マイナーなグッズを集めてるかが、今回試される所。で、扱うのはコレ」

 

志乃が取り出したのは、「お通チップス」と書かれたポテチの袋。この「お通チップス」とは、売れ行きが微妙な、ていうか全く売れていないポテチなのだ。

その裏に付いているビニールを剥がし、内封されていた1枚のカードを掲げた。

 

「このお通チップスについているオマケカード。コレを使って、カードバトルをしてもらいまーす」

 

「カ……カードバトルだって⁉︎」

 

新八が驚いて、オマケカードを掲げた志乃を見やる。

 

「ルールを説明するよ。様々なお通の姿が接写されたカードには、それぞれAP(アタックポイント)(攻撃力)DP(ディフェンスポイント)(防御力)というものが設けられてまーす」

 

「何でアイドルのカードに攻撃力と防御力があるワケ⁉︎」

 

「これを、両者の足元に設置してある立体舞台(ライブステージ)にセットし、立体化させたお通を戦わせるってわけ」

 

「だから何で戦わせるんだよ!しかも何でお通ちゃん同士⁉︎」

 

「両者に与えられたLP(ライフポイント)は2000P(ポイント)。毎ターンごとに互いにカードを出し、そのバトルに応じてLP(ライフポイント)が削られていくよ。先に0になった方が負けだから気をつけてねー」

 

一通りルールを説明したところで、「あっ」と思い出したように付け加える。

 

「そうそう、言い忘れてたけど、こちらからカードの支給はないからね。ファンならこんなマニアックなカードも所有して当たり前のはずだし。現在所有しているカードが、そのままこの勝負の手札になりまーす」

 

新八の頬に汗が伝った。

新八は、このカードの存在すら知らなかった。ていうか知ってても買わなかった。ちなみに相手の土方はというと、しっかりお通チップス第三シリーズまでコンプリートしている。これでは、勝ち目が見えたも同然だった。

土方がカードをグローブにセットし、手札を5枚引く。新八が一向に動かないのを知りつつも、志乃は試合開始を告げた。

 

「それでは、決闘(デュエル)開始‼︎」

 

「銀さんんん‼︎売店へ‼︎お通チップスを‼︎今スグ大量に買ってきてください‼︎」

 

試合開始早々、新八はリング外にいる銀時にお通チップスを買ってくるように頼む。その間、土方は早速カードを出した。何やら白熱しそうな展開に、実況する志乃のテンションも少しばかり上がる。

 

「まずは通選組トッシー氏が仕掛けた‼︎カードは、『開幕5分前の憂鬱(センチメンタル)』‼︎」

 

 

『開幕5分前の憂鬱(センチメンタル)

解説:ライブ開始直前の楽屋のお通。緊張感からかなりピリピリしている。スキあらば八つ当たりをしてくる(特に木村に)。

AP(アタックポイント):460

DP(ディフェンスポイント):3

 

 

「どんなカードだァァァ‼︎アイドルの嫌なトコ赤裸々に書きすぎだろ‼︎つーか木村って誰?」

 

しかし、ツッコミを入れられたのも束の間。立体化したお通が現れ、新八にギターを振り回す。しかしその立体化したお通は、かなりブサイクになっていた。

 

「師匠ォォ危なァァァい‼︎」

 

「何で立体映像が生身の人間に直接攻撃してきてんだァァ‼︎つーかこれ誰だァァ‼︎再現率低すぎだろ‼︎全くの別人じゃねーか‼︎」

 

我らがツッコミ隊長新八は、こんな危ない時でもツッコミを忘れない。流石私の師匠!と志乃は心の中で感激していた。

と、そこへお通チップスを大量に買ってきた銀時が戻ってくる。

 

「新八ィ‼︎」

 

「銀さん‼︎間に合った‼︎」

 

銀時からお通チップスが投げ渡され、新八はすぐさまカードの袋を破る。ポテチの方は外野の銀時と神楽に返された。

 

「カードを選別してる暇はない、これでいけェェェェ‼︎」

 

叫びながら、新八がカードをセットする。

 

「このカードは…………KIM(キム)‼︎ベースのKIM(キム)さんだ!」

 

「いや誰ェェェェェ⁉︎」

 

カードも見ずに出したからか、新八の驚きはデカいようである。

現れたのは、お通ではなくひょろっとした男。向かって顔の左側にあるホクロが特徴的だった。

 

 

『ベースのKIM(キム)

解説:お通を支える裏方バンドOH!TWOのメンバーの一人。ベース担当。たまにカスタネットも兼ねる。たまに顔のホクロが取れかけている事があるが、理由を聞いても頑として語らない謎の多い男。(本名はKIM(キム)ではなく木村忠太郎)

このカードはAP(アタックポイント)DP(ディフェンスポイント)を持たない補助カード。その場にあるお通カード全てをイラつかせ、AP(アタックポイント)を倍にする効果を持つ。

 

 

カードの効果により、結果的に相手のお通カードの攻撃力を上げることとなった。新八のLP(ライフポイント)が、半分近く削られてしまう。

しかも、この『ベースのKIM(キム)』は5ターンの間、効果が持続するのだ。次のターンも倍化したAP(アタックポイント)で攻撃されれば、新八に勝ち目はない。

次は土方のターン。土方は追い討ちをかけるように、補助カードを使った。

 

「ああーっと、あのカードは…………『あの日』だァァァ‼︎」

 

 

『あの日』

解説:あの日。全ての女性カードをイラつかせ、AP(アタックポイント)を3倍にする。ただし次ターン、カードが出せない。

 

 

「あの日ってどの日だァァァ‼︎これホントにアイドルのカードゲームか⁉︎」

 

新八のツッコミに、志乃も同調した。コレが全く売れない理由がわかる、と。

 

土方の出したお通カードのAP(アタックポイント)は、2倍、さらに3倍がかけ合わさって、数値が2760にまで跳ね上がっていた。この攻撃を真面に受ければ、新八のLP(ライフポイント)は一発で0だ。

焦った新八は、急いで新しいカードを取り出す。しかし出るのはどれも『ベースのKIM(キム)』だけ。彼の引き運の悪さがありありとわかった。

 

「………………銀さん、コレホントお通チップスなんですか。木村チップスの間違いなんじゃないですか」

 

「新八ィ手札は5枚までだ!最後の1枚にかけろ」

 

「師匠、お通カードを引き当てるんだ‼︎」

 

絶体絶命の新八に、志乃も声をかける。お通カードを引き当てられれば、今出ている補助カードの効果を受け、土方のお通カードに対抗できるかもしれない。

新八が最後の1枚を開ける。その瞬間、土方のお通カードがギターを振り下ろした。強烈な一撃に、リングが煙に包まれる。

 

「師匠‼︎」

 

まずい。AP(アタックポイント)2760の攻撃を真面に食らってしまった。土方も、勝利を確信する。

その時、お通のギターがゆっくりと押し返された。

 

「バ……バカな…………。何故お前が……そこにいる⁉︎」

 

「な、なんと補助カード『ベースのKIM(キム)』が師匠の身代わりに‼︎補助カードがバトルに参加するなど……しかもAP(アタックポイント)2760の攻撃を耐え凌ぐなんて……一体どういうことだァ⁉︎」

 

KIM(キム)のホクロから、ポタポタと血が流れる。そして、リングにポトリとホクロが落ちた。

 

 

『別離』

解説:『ベースのKIM(キム)』にのみ使用できる補助カード。お通の攻撃をホクロを犠牲にすることで、一度だけ無効化できる。

 

 

なんと、先程引き当てたカードで、新八は見事危機を回避したのだ。土方は『あの日』を使用したため、効果により次のターンはカードが出せない。この機に一気に畳みかけるしかない。

再び袋を開け、カードをセットする。

 

「おおっ、これは……KIYOSHI(キヨシ)‼︎ドラムのKIYOSHI(キヨシ)さんだァァァァ‼︎」

 

「またどーでもよさそうなの出てきたァ‼︎」

 

現れたのは、グラサンに鼻下の髭が特徴的な男。

 

 

『ドラムのKIYOSHI(キヨシ)

解説:お通を支える裏方バンドOH!TWOのメンバーの一人。ドラム担当。たまにタンバリンも兼任。

ベースのKIM(キム)とは親友だったが、先日ピザを1枚多く食べたことから喧嘩になり、未だ話しかけるきっかけを探している。

ピザカードがあればKIM(キム)と仲直りし、セッションができる。もしくは現金カードがあれば、前よりも仲良くなれる。

 

 

うわぁ……なんかまたものすごいカードが出てきたな……。

ベースのKIM(キム)の隣に並ぶが、もう気まずいことこの上ない。せっかくのチャンスだったのに、全く活かすことができなかった。

再び土方が、補助カードを出す。今度は太ったオネェっぽいスタイリストが現れた。

 

 

『スタイリストMIYABI(ミヤビ)

解説:態度の悪いスタイリスト。楽屋のものを勝手に食べたり持って帰ったりが日常茶飯事。お通の大敵。

お通楽屋カードのみに作用、AP(アタックポイント)DP(ディフェンスポイント)共に+1000。

 

 

『あの日』の効果は切れたが、AP(アタックポイント)がまたまた高い数値を示す。新八は再び袋を破ると、『謎追求カード』と書かれたカードが出てきた。

 

 

『謎追求カード』

解説:隠された事実を一つ暴き、パラメーターに変化を起こす。

 

 

「謎追求カード⁉︎くそっ、最後の最後まで微妙なカードが……‼︎」

 

「万策尽きたな。死ねェェ‼︎」

 

「くそっ、こうなりゃ神頼みだ‼︎」

 

一か八か、新八が『謎追求カード』をセットした。

 

 

隠された真実をお教えしましょう。貴方達のピザを摘み食いしたのは、このデブです。

 

 

そのデブというのが、あのスタイリストMIYABI(ミヤビ)だった。その事実に、一同がシンとなる。

KIM(キム)KIYOSHI(キヨシ)はお互いを一瞥してから、ベースとスティックを構えた。

 

 

仲直りセッション開始。

 

 

『仲直りセッション』

解説:世界平和の願いが込められた演奏。こちらから攻撃はできないが、攻撃をしかけられた場合、AP(アタックポイント)を倍加し、その攻撃を跳ね返すことができる。

 

 

「こ……これは」

 

「なっ」

 

これにより、土方の攻撃が倍になって跳ね返された。

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