銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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人の身体は神秘の世界

「ようこそ白血球国へ。ここから北に進むと白血球城、東に行くとビフィズス菌村、南に行くと大腸菌の町があるぞ。だが、西の毛細血管の洞窟には近づくな。ウィルスの巣窟だ。お前達のレベルではあっという間に全滅だぞ」

 

「白血球国」と書かれた看板が掲げられたその下にやってきた銀時達。門番をしている白タイツが町の概要を説明してくれた。

商店街のように伸びる街並み。その一番奥に、確かに白血球城が見えた。そして、その町を歩くのはどこを見ても全身白タイツ。ツッコミ担当新八が、ついに黙っていられなくなった。

 

「何コレェェェェェェ⁉︎何でたまさんの中に全身タイツの人間がウロウロしてんですかァァ⁉︎何でたまさんの中に全身タイツの国があるんですかァァ⁉︎なんで武器屋があるの‼︎なんで宿屋があるの‼︎なんでRPG風なの⁉︎」

 

「んだよ、たま(せかい)の危機だっつーのに随分のんびりしてやがるな。こいつらこれからクエストにでも行くのか?」

 

志乃も警戒心MAXで、辺りを見渡す。どこもかしこも白タイツだらけ。なんだこの変態集団は。

 

「ご安心ください。彼等は私の手の者です。案内します。私についてきてもらえますか」

 

「えっ……たまさん⁉︎」

 

突如、声が聞こえたと思ったら、そこにはドット絵のたまが歩いてきていた。喋り方は、あのオールひらがなから戻っている。新八も驚きのまま叫ぶ。

 

「何ィィィィ⁉︎たまさんの中にたまさんまで出てきたよ‼︎」

 

「遅れて申し訳ありません。まだ無傷のシステム領域から即席で分身(コピー)を作ってきました。私も皆さんのサポートに回ります」

 

「サポートって、大丈夫なんですかたまさんの身体の方は」

 

「問題ありません。私のために皆さんが戦ってくれている時におめおめ寝てはいられませんので」

 

歩き出したたまに続いて、志乃がついていく。後に続いて、銀時達も歩き出した。町を進みながら、たまが説明する。

 

「まだ生き残ってるシステムも、これより全て皆さんのサポートに回ります」

 

「まさか、この変態共が?」

 

「そうです。彼等は私の身体に元々備わっていたセキュリティ。対ウィルスプログラム"白血球"です」

 

「セキュリティ⁉︎この全身タイツが⁉︎」

 

志乃はたまの説明を聞きながら、信じられないような表情で白タイツを見た。体内の平和を守ってくれている勇者だというのに、もっといい服装は無かったのだろうか。

 

「彼等は私の体内に侵入したウィルスを駆除するのが役目。こうして私の体内に巣を作り、私を護ってくれているのです」

 

「……護ってくれてるって、ホントにこれ護ってるんですか。ドラクエごっこやってる風にしか見えないんですけど」

 

「同感」

 

新八の疑問に、志乃も乗る。たまが二人に言った。

 

「問題ありません。彼等のプログラムは皆さんがこの世界を救いに来た勇者であると認識するよう書き換えておきました。皆惜しみなくウィルス退治を手伝ってくれるはずです。まずは白血球王に会い、協力を頼みましょう。彼の協力なしでは獏を倒すことは不可能です」

 

よくよく考えてみると、白血球国に来る前、倒れた白タイツ改め白血球に言伝を頼まれていた。それを伝えるためにも、四人はたまの案内で白血球城へ向かった。

 

********

 

王の間に通された四人は、白血球王に謁見していた。玉座に座る白血球王は、国王の特徴である、髭にメタボ体型という条件を満たしていた。

代表して新八が、王に言伝を伝える。

 

「おお、なんということか。我が白血球軍がウィルス軍に敗北したと申すか」

 

「はい、傷ついた兵士の最期の伝言です。できればウィルスの魔の手がこの国に迫る前に、王様も逃げてほしいと」

 

「おお、この国のために戦い傷ついた白血球達を残し、何故そのようなことができようか」

 

さっきから「おお、おお」ってうるせーなこのジジイ。感嘆使いすぎなんだよ、言葉が妙に古いから中二病感MAXだよコノヤロー。

志乃は初対面の王様に対して、堂々と心の中で毒を吐く。そんな彼女の心境などもちろん知らず、白血球王は続けた。

 

「旅の人よ、この国には古くからこんな言い伝えがあるのだ。この地に大いなる災い降りかかりし時、異界より爪楊枝を携えし勇者が現れこの地を救わん。もしやと思うがそなた達は……いや、何も言うまい。滅亡を待つだけの国がために共に戦おうなどと誰が言えようか」

 

「言えようかってもうとっくに口にしてるアル。あのオッさんタイツから何から何まで白々しいネ」

 

「オイまどろっこしーんだよスペ○マジジイ」

 

「前置きはいいからさっさと敗残兵全部よこしな。あと宝物庫の宝も全て軍資金として献上しろ」

 

「勇者どころかまるで盗賊なんですけどこの人達」

 

王を前に堂々と不信感と強奪意欲を見せつける神楽、銀時、志乃。

しかし、白血球王にはその気持ちは伝わらない。

 

「なんと、共に戦ってくれると申すか。やはり我が目に狂いはなかった。そなた達こそ伝説の勇者一寸法師」

 

「うざいんだけどお前。何がやはりだよ、ハナからわかってたろ。うさんくせーんだよ変態」

 

「志乃ちゃん言い過ぎ」

 

「しかし、我が国は戦で疲弊し、軍を貸す余裕はない」

 

「そこの衛兵二人とお前がいるだろが。来い、馬車馬のようにこき使ってやる」

 

「ちょっとやめてください銀さん」

 

「せめてもの旅の助けに、わが白血球国最強の兵士を一人だけ供に授けよう」

 

「え?ホントですか‼︎」

 

なんと、ここで白血球王がサービス。そして、その最強の兵士と呼ばれる二人が現れた。

 

「白血球の双竜(ダブルドラゴン)と恐れられる二強。戦士ボルテガ、武闘家デスピガロ。どちらでも好きな方を連れていくがよい」

 

しかし、現れたのはよぼよぼの老婆とぷるぷる震えてる子犬だった。新八が盛大なツッコミを入れる。

 

「どっちもいらないんですけどォォ‼︎オイぃぃぃぃぃぃ‼︎コレのどこが双竜なんだよ‼︎どこが最強なんだよ‼︎なんでボルテガの後ろで王子らしき人物が泣いてんだよ。お前コレ完全に王子が拾ってきた犬捨てようとしてんだろが‼︎」

 

「ボルテガは嫌か。じゃあお母さっ……デスピガロの方を連れていくがいい」

 

「お母さん⁉︎今お母さんって言いかけたよ‼︎デスピガロをお母さんって言ったよ‼︎」

 

「オイとんでもねーよこのオッさん、お母さんの面倒見るの嫌で勇者パーティーに身売りしようとしやがったよ」

 

「最低‼︎お前母親を何だと思ってんだ‼︎」

 

「とんでもない奴ネ!ウィルスよりタチが悪いアル。まずコイツから駆除した方がイイネ」

 

「待って待って待って‼︎違う違う‼︎そーいうんじゃない‼︎全然誤解‼︎全く誤解‼︎」

 

銀時、志乃、神楽がかの邪智暴虐な白血球王に詰め寄る。白血球王は必死に弁明しようとした。

 

「いやマジ勘弁してくださいよ〜旦那。たまに学校の先生とか『お母さん』って間違って呼んじゃう時あるっしょ?アレっス‼︎いやマジで」

 

「何コイツ、もう王様じゃねーよその辺のチンピラだよ」

 

「確かに最近嫁とお母さんの世話のことで喧嘩しましたよ、確かに最近たけしが汚ェ雑種犬拾ってきて喧嘩しましたよ。でもそれとこれとは全然違う……」

 

「違わねーだろ思いっきりリンクしてるだろーが‼︎お前コレ完全に厄介払いしようとしてんだろが‼︎」

 

志乃が最低な王様の胸倉を掴み、ゆさゆさ揺らす。それでもなお、王様は説明をした。

 

「いやいや違うんです。この二人ね、今でこそこんな姿になっていますが、実はウィルスに呪いをかけられてこんな姿に変えられてしまったんですよ。真実を写し出すという『パーの鏡』さえ探し出せば、元の姿に戻って即戦力になります。即使えます。是非お試しアレ」

 

「なにがパーの鏡だ。パーなのはお前だろ」

 

しかし、銀時に一蹴される。

 

「いやマジっスて。ああ、パーの鏡さえあればな〜、見せてあげられるのにな〜」

 

「ありますよ。パーの鏡ならここに」

 

今まで黙っていたたまの手に、いつの間にかパーの鏡があった。

たまは早速パーの鏡を使い、真実を写し出す。鏡から光が放たれると、王様に変化が起こった。

 

「こっ……これはっ……」

 

「おっ……王様が、王様がァァァァ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乳輪……超デケー」

 

「どーでもいい‼︎死ぬ程‼︎」

 

パーの鏡で照らされたのは、王様のどうでもいい真実だった。銀時は手早くすぐ近くにいた志乃の目を、神楽は志乃の耳を塞ぐ。

 

「ねー銀、何がわかったの?全然見えないし聞こえないんだけど」

 

「あー、お前は見なくていいんだ。何も見なくていいんだ」

 

「駄目ネ、これ以上聞いたら志乃ちゃんが汚れるネ」

 

他人のこんな姿を見せるのは、志乃の教育上よろしくないと判断した銀時達の行動だった。

すると、白血球王の乳輪がどんどん大きくなり、タイツの色を黒く塗り潰していった。王冠の文字も、白から獏に変わる。

もう大丈夫だろうと判断した銀時と神楽は、志乃を解放した。

 

「……ククク、なかなかやるではないか。まさか……この獏の擬態を見破るとはな、ガハハハハ!」

 

ようやく解放された志乃がいの一番に見た光景が、獏との初コンタクト。志乃は先程の光景と解放された後のそれと比べて、思わずツッコんだ。

 

「全身タイツに変わりねーのかよ‼︎白から黒に着替えただけじゃね⁉︎ちょっと待てよ、まさかこれが獏⁉︎ただの全身タイツ履いたオッさんじゃねーか‼︎」

 

「んな事言ってる場合じゃないよ‼︎白血球国の王が既にウィルスにやられているという事はつまり……」

 

新八の声を聞いた志乃は、ハッと衛兵達を見る。彼らも白から黒へとタイツが変色していた。

 

「ククク、その通り。助けを求めこの国に足を運んだようだが一足遅かったな」

 

さらに、王宮のバルコニーからも黒タイツがよじ登ってきて、銀時達に迫る。武器を携えた獏の集団に、志乃達は完全に囲まれてしまった。

 

「チッ!」

 

「ちょっと、どうすれば……」

 

「爪楊枝を‼︎皆さん、爪楊枝を使ってください‼︎」

 

背中合わせで固まった四人に、たまが叫んだ。すると、腰に挿していた爪楊枝が伸び、柄が現れる。

 

「その爪楊枝は、源外様が誂えた特別製。情報を食らう獏の特性を利用し、逆に獏に大量の情報を高速で送り込むのです。それも、食中毒を引き起こすような腐った情報(たべもの)を」

 

「は⁉︎そんなモン食わせて何になるってんの⁉︎」

 

頭の回転が遅い志乃は、あまりよく理解できなかった。しかし、敵がすぐそこまで迫っている。

こうなったらもうどうにでもなれ!

志乃は爪楊枝を抜き、周囲を囲んできた獏達を前に、居合い斬りのように構える。

 

「毒を食らい、引きつけを起こした胃袋にさらに直接毒を注ぎ続ければ、彼等の胃袋は情報を消化する前に…………」

 

ギリギリまで引きつけて、一気に薙ぎ払う。情報を流し込まれた獏は、一瞬のうちに膨らみーー

 

破裂(パンク)します」

 

要するに、これなら獏を狩れる。

確信した志乃は、グッと膝を曲げて、獏の大群に単身突っ込んだ。次から次へと、敵を薙ぎ払っていく。

 

「バカ、一人であんまり突っ走るな‼︎」

 

「ダメだ志乃ちゃん、敵が多すぎる‼︎ここは一旦退こう!」

 

「早く!こっちアル!」

 

銀時達が、敵に突っ込んだ志乃を呼ぶ。それを聞きとめ、獏の一人に爪楊枝を突き刺し、破裂させた。最後に一度爪楊枝を大きく振り回し、その場を離れようと銀時達の元へ走る。

しかし。

 

「逃がすかァ‼︎」

 

「‼︎」

 

倒れていた獏に、足首を掴まれた。その上、上空から王が飛び降りてきて、志乃の上にダイブする。

 

「がっ‼︎」

 

「志乃ッ‼︎」

 

メタボ体型の王に細い体の少女が太刀打ちできるはずもなく、志乃の体は床に強く押し付けられた。圧迫感で、息が苦しい。

 

「ぐ……く、ぅ……」

 

志乃は爪楊枝を逆手に持ち替えて、王に突き刺そうとする。しかし、王に手を踏みつけられる。

 

「ぅがっ‼︎」

 

「志乃ちゃん‼︎」

 

「フハハハハ‼︎愚かな小娘よ。死ねェェェェ‼︎」

 

王が部下から槍を手に取って、志乃の首に向けて突こうとした。その瞬間。

 

 

ガブッ‼︎

 

 

「‼︎」

 

「ぇ⁉︎」

 

ボルテガが、王の首に噛み付いたのだ。

 

「貴様は、何を‼︎」

 

王がボルテガに注意を引きつけられているうちに、志乃は反撃に出た。

ボルテガと同じく志乃も王のふくらはぎにガブリと噛み付いた。さらに王の足にしがみつき、身動きを取れなくする。

その時、眩しい光が王とボルテガに向けて放たれた。たまの持つ、パーの鏡だ。

 

「パーの鏡よ、真実を照らし出せ。我を護りし比類なき勇者に再び剣を」

 

王がパーの鏡の眩しさに、目を伏せる。志乃は王の腹に一撃をお見舞いし、渾身の力で王を殴り飛ばした。その際、ボルテガは王から離れた。

しかし、パーの鏡の効果で、真実が現れる。犬であるボルテガが、人の形に変わっていったのだ。

ようやく王から逃げ出した志乃も、驚きを隠せない。

 

「何、あれ……人……?」

 

「人ではありません」

 

たまの声が聞こえた瞬間、光の衝撃波が辺り一面に襲いかかった。それは、ボルテガから放たれたものだった。すぐ近くにいた志乃は爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされた。

衝撃波と共に、獏達が次々と消滅していく。目もあまり開けられない状態で、それだけが見えた。

と、次には体がガシッと固定される。薄っすらと見える視界の中で、映ったのは白だった。

 

爆発が収まり、砂埃が舞う。銀時は爆発の中心にいた志乃を案じ、駆け出した。

 

「志乃‼︎志乃ォォ‼︎」

 

「待ってください銀さん!この状況じゃ、何も……」

 

「放せお前らっ‼︎」

 

「落ち着くアル‼︎志乃ちゃん強いネ、きっと大丈夫アル」

 

志乃を探そうとする銀時を、新八と神楽が抱きついて止める。

爆発によって破壊された床の中心に、人影が現れた。たまがその人影から目を離さず、口を開く。

 

「あれこそが、数多のウィルスを討ち滅ぼし、私の体内の平和を護り続けてきた、最強のセキュリティプログラム」

 

砂埃が風に流され、その姿を現す。

真っ白な勇者服に身を纏った白髪天然パーマの男が、両腕に気を失った志乃を抱きかかえていた。

 

「正真正銘本物の、白血球王です」

 

その顔に、銀時、新八、神楽は驚き固まった。

 

「……ん」

 

その時、意識を取り戻した志乃が、ゆっくりと瞼を開ける。ぼんやりした視界に、見覚えのある横顔が映った。

 

「…………銀……?」

 

視界がクリアになると、志乃は目を見開いた。彼女に気づいた白血球王が、呆れながらも優しい目で志乃を見る。

 

「気がついたか。まったく、あんな多勢に一人で勝てると?無茶をする」

 

志乃は驚く他なかった。

見覚えのある顔なのだ。自分の大好きな兄の顔なのだ。

それが、勇者コスプレをして、挙句には自分をお姫様抱っこしてーー。

 

「…………ぎぃゃああああああああああああ‼︎」

 

自分の置かれている状況にようやく気づいた志乃は、恥ずかしさに叫んだ。

 

********

 

王宮から逃げ出した銀時達は、白血球王と共に街に隠れた。どうやら白血球王は、この時のためにたまによって姿を犬に変えられていたらしいのだ。

追っ手が走っていくのを確認した白血球王が、たまを振り返る。

 

「たま様、いずれここも気づかれましょう。スグに移動しましょう」

 

「ちょっと待てオイ」

 

志乃が、白血球王のマントを小さく掴み、引っ張る。

 

「何だ?」

 

「何だじゃねーよ‼︎お前いつまで私に地を踏ませないつもりだァ‼︎」

 

そう。志乃は未だに、白血球王にお姫様抱っこされたままなのだ。

恥ずかしさがピークに達しているのに関わらず、追い打ちのようにそれが延々と続いている。しかも白血球王は容姿が銀時と瓜二つであるため、銀時にされているようで余計恥ずかしかった。志乃はもう耳まで真っ赤だ。

しかし、当の白血球王はどこ吹く風である。

 

「俺はもうしばらくこのままがいい。不思議だな、貴様とは初めて会ったのに、何故か長年付き添ってくれた可愛い妹のように感じる」

 

「そりゃそーだろうな、だってアンタそっくりだもん‼︎私の兄貴とそっくりだもん‼︎だから余計嫌なんだよ‼︎察せバカ‼︎」

 

「オイ志乃ちゃん何?それって俺のこと嫌ってことかー?」

 

銀時が志乃の発言に突っかかるが、志乃は一切銀時に目をやらず、ジタバタと白血球王の腕の中で暴れる。

 

「わかったから、とにかく下ろしてよ!」

 

「そう怒るな。可愛い」

 

「うっせーバカ‼︎死ね‼︎」

 

暴言を浴びながらも、白血球王は渋々志乃を下ろした。ようやく解放された志乃は、右手で顔を覆って、盛大な溜息を吐いた。

その時、突如白血球王が銀時の頭を掴み、民家らしき建物の壁に押し付ける。壁にはヒビが入っていた。

 

「さっきから何なんだ貴様は。雑菌だらけの顔をたま様と妹に近づけるな、殺菌されたいのか」

 

「オイ誰がテメーの妹だって?お前から殺菌してやろうか、あん?」

 

「やめて志乃ちゃん」

 

妹発言にイラついた志乃が、爪楊枝に手をかける。そこを、新八に止められていた。

 

「いや、ゴメーン。スッゴイいい男がいるな〜と思って見惚れちゃって〜。っなワケねーだろォォォ!俺ァモシャスかけられた覚えはねーぞォォォ‼︎」

 

今度は銀時が、白血球王の頭を掴んで壁に押し付ける。ヒビ割れは先程よりひどくなった。

 

「人様の顔ブラ下げて恥ずかしいコスプレしやがってよ、ロト気どりか⁉︎あんコラ。世の中にはな、IIIがドラクエ最高傑作なんていう声も多いが俺ァそんなもん認めねェ‼︎なんでターバン巻いてこなかった‼︎なんでビアンカ連れて来なかった‼︎つってもビアンカは俺の嫁だけどね!絶対お前なんかに嫁にやらないけどね‼︎ザマーミロ‼︎」

 

「何に怒ってんだよお前は」

 

呆れたように、ツッコミを入れる。新八と神楽も、白血球王の容姿に未だ戸惑いを覚えていた。志乃がたまに問う。

 

「たまさん、何なのアレ。なんでアイツ、銀と同じ顔を……」

 

「……私の中にあるシステムは全て、私の記憶回路、思考パターン、あらゆるデータの影響を受けます。あの姿は、私のイメージが反映された結果だと思われます」

 

「つまり?」

 

「あらゆるウィルスと戦うセキュリティプログラム白血球は、何より強い存在でなくてはなりません。アレが、私の導き出した答えなのでしょう。最強の二人が揃いました。もう恐れるものはありません」

 

「……えー、何?要するに、私は銀より劣ってるってこと?」

 

「ちょっと待って、何でそんな答えに行き着くの」

 

先程の話によれば、たまの中で一番強い存在といえば銀時である、ということになる。別にたまが誰かの印象を何と思おうと志乃には関係ないが、何故だか敗北感が否めなかった。

 

「…………なんか負けた気がする」

 

「志乃ちゃん何と戦ってたわけ?銀さんと戦ってたの?」

 

「いや、戦ってないけどなんかあんなバカに負けたと思うとムカつく」

 

「オイ志乃、お前最近俺への当たり強くね?何?反抗期?」

 

志乃からの扱いが雑になってきていることに、銀時は弱冠涙ぐんだのは、別の話。

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