銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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ガキなら一度は中二病を拗らせろ
コギャルにもいい奴はたくさんいる


この日、志乃は従業員の茂野時雪と共に、久々に入った万事屋としての仕事の依頼主を訪れていた。

相手は幕府の由緒正しき役人である。志乃と時雪は、客間に通されていた。

役人が話をするが、志乃は話を流すように聞き、出されたせんべいを貪り食っている。

時雪はそれを止めようとするが、志乃は聞く耳を持たない。

 

「今までも二日三日家を空けることはあったんだがね、流石に一週間ともなると……連絡は一切ないし、友達に聞いても誰も何も知らんときた。親の私が言うのもなんだがキレイな娘だから、何か良からぬことに巻き込まれているのではないかと……」

 

役人はそう言って、写真を志乃に差し出す。

キレイと言われた娘は、デブのギャルだった。

 

「……ああ、なるほど。何かその……むぐむぐ、巨大なハムを作る機械とかに巻き込まれていバリバリ、る可能性がありますね……」

 

「いや、そーゆんじゃなくて何か事件に巻き込まれてんじゃないかと……」

 

「事件?ハムがソーセージと不倫したとか」

 

「いいかげんにしろよ。久々に来た仕事パーにするつもりか」

 

時雪にツッコミを受ける志乃は、仕事のしなさ過ぎで少しボケていた。

いや、ボケているで済まされるのだろうか。

 

「でも、それなら俺達よりも警察とかに相談した方が……」

 

「そんな大事には出来ん。我が家は幕府開府以来徳川家に仕えてきた由緒正しき家柄。娘が夜な夜な遊び歩いているなどと知れたら一族の恥だ。他の万事屋にも頼んでいる、何とか内密の内に連れ帰ってほしい」

 

********

 

志乃と時雪は、娘ーーハム子(名前も知らないのでこの名称でいく)がよく来ていたというクラブにやってきた。

そこで銀時達と合流し、共に事件解決にあたる。

神楽が、早速鳥頭の店員に話を聞く。

 

「あー?知らねーよこんな女」

 

「この店によく遊びに来てたゆーてたヨ」

 

「んなこと言われてもよォ嬢ちゃん。地球人の顔なんて見分けつかねーんだよ……名前とかは?」

 

「えーと、ハ……ハム子……」

 

「ウソつくんじゃねェ明らかに今付けたろ!!そんな投げやりな名前付ける親がいるか!!」

 

「忘れたけどなんかそんなん」

 

「オイぃぃぃ!!ホントに捜す気あんのかァ!?」

 

 

「銀さん……神楽ちゃんに任せてたら永遠に仕事終わりませんよ」

 

「あー、もういいんだよ」

 

「そーそー、どーせどっかの男の家にでも転がり込んでんだよ。私あんな女に絶対ならない」

 

「そんなテキトーな見解でいいの?」

 

「アホらしくてやってられるかよ。ハム買って帰りゃあのオッサンも誤魔化せるだろ」

 

「よし、依頼達成」

 

「誤魔化せる訳ねーだろ!アンタらどれだけハムで引っ張るつもりだ!!」

 

「ちょっと待てェ!!本当に買いに行こうとするなァァ!!」

 

ハムを買いに行こうとする志乃を、時雪が止める。

志乃らのパーティーの中で、ツッコミ役は彼のようだ。これは重要事項なのでよく覚えておこう。

時雪は、トイレに行こうと席を立った。

 

「志乃ごめん、トイレ!」

 

「おー、分かった」

 

志乃が軽く返し、キャンディを頬張る。

と、ここでハム子を捜していた神楽が、デブ男を連れて帰ってきた。

 

「新八〜!もうめんどくさいからこれで誤魔化すことにしたヨ」

 

「どいつもこいつも仕事を何だと思ってんだチクショー!大体これで誤魔化せる訳ないだろ。ハム子じゃなくてハム男じゃねーか!」

 

「ハムなんかどれ食ったって同じじゃねーかクソが」

 

「そういうこった。ごたごた言ってんじゃねーよ」

 

「何?反抗期!?」

 

可愛い顔して普通に毒を吐く神楽と志乃。これを反抗期と言わずして何と言おう。

そんな会話をしていると、ハム男が突然倒れた。

 

「ハム男ォォォォ!!」

 

「オイぃぃ駄キャラが無駄にシーン使うんじゃねーよ!!」

 

「ハム男、あんなに飲むからヨ」

 

「……!?待って、神楽!」

 

ハム男に近付こうとした神楽を、志乃が制する。

志乃には、ハム男が酒に酔っているようには見えなかった。

鼻水と涎を垂らして、口元には泡が出ている。

酒に酔っただけで、こんな状況に陥るのは絶対にありえない。

すると、先程の鳥頭の天人店員がやってきた。

 

「あー、もういいからいいから。後俺がやるからお客さんはあっち行ってて。……ったくしょーがねーな、どいつもこいつもシャブシャブシャブシャブ」

 

「シャブ?」

 

シャブというのは、言わずもがな麻薬の事である。

麻薬は一度使用すると快楽を得られるが、それからずっと麻薬に依存し、体がボロボロになってしまう恐ろしいものである。

よいこのみんなは、麻薬に手を染めることのないよう、気を付けよう!

あ、話が逸れた。戻ろう。

ハム男を抱えた店員が、志乃の疑問に説明をしてくれた。

 

「この辺でなァ最近新種の麻薬(クスリ)が出回ってんの。何か相当ヤバイ奴らしーからお客さん達も気を付けなよ!」

 

「ふーん……ありがとうね、鳥」

 

志乃は店員に一応礼をしてから、考え込むようにソファに座った。

それにならい、新八と神楽も座る。

 

「どうしたの、志乃ちゃん?」

 

「嫌な予感がする」

 

「嫌な予感?」

 

「それどーいう意味ヨ」

 

「私の推測の話なんだけど、もしかしたらハム子が、麻薬(クスリ)に手を染めてるかもしれない」

 

「ええ!?」

 

驚いた新八が、思わず立ち上がる。

志乃は新八を落ち着かせてから、続けた。

 

「さっき見たあのハム男……彼も、見た感じ若かった。私が聞いた話なんだけど、今若者の間で密かに宇宙から来た麻薬が出回ってるらしいんだ。あのハム子もあんなナリだけどまだガキだろう。もしかしたらあいつも、もしかしたらハム男みたいになってるかもしれない……」

 

「そんな……」

 

「あー、くっそ……イヤな予感しかしない」

 

自分の憶測をぶつけた志乃は、ガシガシと頭を掻き毟り、ゆっくりと店内を見渡す。

ピリッと殺気立った空気が、辺りを支配していた。

 

「遅いな、銀さん」

 

そう呟いたのは、隣に座る新八だった。

 

「どうも嫌な感じがするんだ、この店……早く出た方がいいよ」

 

「そうだね……」

 

「私捜してくるヨ」

 

神楽が席を立とうとしたその時、彼女の頬に銃が当てがわれた。

 

「てめーらか。コソコソ嗅ぎ回ってる奴らってのは」

 

銃を向けてきたのは、何やら恐ろしい雰囲気を醸し出す天人達だった。

 

「なっ……何だアンタら」

 

「とぼけんじゃねーよ。最近ずーっと俺達のこと嗅ぎ回ってたじゃねーか、ん?そんなに知りたきゃ教えてやるよ。宇宙海賊"春雨"の恐ろしさをな!」

 

********

 

一方、トイレに入っていた時雪は、隣でブツブツ言ってる銀時の独り言を聞いていた。

正直言って、聞いてるこっちが恥ずかしい。

時雪はトイレに入ってから何度目かの溜息を吐いた。

すると、銀時の入ってるトイレのドアを、何者かが叩いた。

 

「ハイ、入ってますけ……」

 

「いつものちょうだい」

 

「はァ?」

 

声からして、相手は女だった。

何故女が男子トイレに入っているのだろうか。いつものとは何だろうか。頭の中で、疑問が尽きない。

声の主は、緊迫したような勢いで銀時に詰め寄る。

 

「早く……いつものちょうだいって言ってんじゃん!!アレがないと私もうダメなの!!」

 

「い……いつものって言われても、いつものより水っぽいんですけど」

 

「何しらばっくれてんのよ、金のない私はもうお払い箱って訳‼︎いいわよアンタらのこと警察にタレ込んでやるから」

 

「ちょっと待てお前。え?警察に言う?別にいいけどお前……何が?って言われるよ」

 

あまり聞きたくない話を嫌でも聞いてしまった時雪は、今日何度目かの溜息をつく。

その時、男子トイレ内で銃声が響いた。

それに続けて、男の声が聞こえる。

 

「誰に話しかけてんだボケが……もうてめーに用はねーよブタ女!」

 

まさか。イヤな予感がした時雪は、常備している木刀を手にトイレを出る。

そこには、先程の声の主であろう女が血を流して倒れていた。

そして、それを引き摺る天人が。

隣のトイレに居た銀時も、同じく出てきていた。

 

「ぎ……銀時さん……これって……」

 

自然と、時雪の声が震える。

銀時も、かなりヤバい状況である事を察していた。

 

「ハム子ォ、悪かったなァオイ。男は男でもお前、エライのに引っかかったみてーだな」

 

「ハム子さん……!!」

 

「オイ、時雪。てめーはハム子連れて下がってろ」

 

銀時は時雪を見ずに、目の前に立つ天人ーー陀絡と対峙する。

時雪は銀時の雰囲気を感じ、すぐにハム子を連れて銀時の後ろに下がった。

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