銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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水洗トイレの歴史は約二千年前に遡る

「俺は元来そんなに人嫌いの激しいタチじゃねェ。だが、これだけは許せんというのが三つあってな。一つ目は、仕事の邪魔をする奴。二つ目は、便所に入っても手を洗わん奴。三つ目は、汚らしい天然パーマの奴だ」

 

陀絡の嫌いなもの三つ。

それを聞いた銀時はニタリと笑った。

 

「全部該当してんじゃねェかァァァァ!!」

 

 

陀絡の苛立ち混じりの突きを、銀時がジャンプしてかわす。

時雪も、ハム子を護りながら避けた。

銀時は壁を蹴り、陀絡の頭も踏む。

 

「そいつァ光栄だ。ついでに俺の嫌いな奴三つも教えてやろーか?ひとーつ、学園祭準備にはしゃぐ女子!ふたーつ、それに便乗して無理にテンション上げる愚の骨頂男子!みーっつ、それら全てを包容し優しく微笑む教師」

 

銀時は嫌いなものを発表しながら、陀絡の周りにいた天人達を全員片付けてしまった。

 

「てめェ要するに学園祭が嫌いなだけじゃねーか。よほど暗い青春送ったな……」

 

「てめーほどじゃねェよ。いい歳こいて便所でスーパッパか?もっともてめーらが好いてるのは、シャレにならねェハッパみてーだがなァ。天人が来てから世の中アブねーもんも増えたからよォ、困るぜ。若者をたぶらかしてもらっちゃ」

 

銀時はそう言いながら、時雪と共にハム子を抱えた。

 

「たぶらかす?勝手に飛び付いてきたのはその豚だぞ。望む通りのモン用意してやったのにギャーギャー騒がれてこっちも迷惑してんだ」

 

「そーかい。バカ娘が迷惑かけて悪かったな。連れ帰って説教すらァ」

 

時雪が、木刀を持った手で、トイレのドアを開ける。

するとそこには、奴等の仲間らしき天人達がたくさんトイレを囲んでいた。

 

「オイオイみんなで仲良く連れションですか……便器足んねーよ……」

 

「銀時さん……コレ、どうするんですか……?」

 

時雪が尋ねた瞬間、天人達の後ろで声が聞こえた。

 

「オラッちゃっちゃと歩かんかイ!!」

 

「こいつフラフラじゃねーか、情けねェ!!」

 

そこには、天人達に連行される新八と神楽、気を失って一人の天人に担がれている志乃が居た。

 

「新八!!神楽!!志乃!!」

 

「オイ、三人共!!オイッ!!」

 

「てめーらァァ!!何しやがった!!」

 

「志乃達に何するつもりだ!!」

 

銀時と時雪は、押さえつけてくる天人達を振り払い、彼らを助けようと暴れる。

 

「お前、目障りだよ……」

 

「「!!」」

 

陀絡の声に、2人が振り返る。

その瞬間に、陀絡は銀時の左肩に一撃を食らわせた。

銀時達はそのまま窓に押し込まれ、窓を割って外に出され、三人諸共落とされてしまった。

 

********

 

銀時は目を覚まし、上半身を起こしていた。

そこに、桂とお瀧、小春、橘剛三、九条八雲が入ってくる。

ちなみにお瀧、小春、橘、八雲は獣衆の一員である。

 

「ガラにもなくうなされていたようだな……昔の夢でも見たか?」

 

「ヅラ?何でてめーが……」

 

ここに、と言おうとしたその時、銀時の脳裏に連れ去られた新八、神楽、志乃が浮かび上がった。

 

「そうだ!!」

 

こうしちゃいられない、と立ち上がろうとしたが、痛みに負け布団に突っ伏してしまう。

 

「バカね。アンタは左腕と肋骨何本か持ってかれてるのよ」

 

「時雪が庇ってくれたおかげだな。だが、時雪はお前たちを庇って意識すら危うい状態だ。あの娘も外傷はないが、体は麻薬にやられている。死ぬまで廃人だろう」

 

「クソガキめ、やっぱやってやがったか」

 

「というか、貴様は何であんな所に居たんだ?」

 

「というか何でお前等に助けられてんだ?俺は。というか、この前の事謝れコノヤロー!」

 

というか、の流れに乗って、テロ事件の謝罪を桂に求める銀時。

だが、それを無視して、桂はある粉が入った袋を差し出した。

 

「というか、お前はコレを知っているか?最近、巷で出回っている"転生郷"と呼ばれる麻薬だ。辺境の星にだけ咲くと言われる特殊な植物から作られ、嗅ぐだけで強い快楽を得られるが、依存性の強さも他の比ではない。流行に敏感な若者達の間で出回っていたが、皆例外なく悲惨な末路を辿っている……。天人がもたらしたこの悪魔を根絶やしにすべく、我々攘夷党も情報を集めていたんだ……そこに、お前達が降ってきたらしい。俺の仲間が見つけなかったら、どうなっていたことか…………というか、お前は何であんな所に居たんだ?」

 

「というか、アイツらは一体何なんだ?」

 

銀時の問いに答えたのは、八雲だった。

 

「宇宙海賊"春雨"。銀河系で最大の規模を誇る犯罪シンジケートです。奴等の主な収入源は、非合法薬物の売買による利益。その魔手が、末端とは言え地球にも及んでいるという訳です」

 

「天人に(おか)された幕府の警察機構などアテに出来ん。我等の手でどうにかしようと思っていたのだが、貴様がそれほど追い詰められる位だ……よほど強敵らしい。時期尚早かもしれんな」

 

桂の言葉も聞かず、銀時は立ち上がって上着を手に取る。

 

「オイ、聞いているのか?」

 

「仲間が拉致られた。志乃もだ。放っとく訳にはいかねェ」

 

「その身体で勝てる相手と?」

 

「"人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し"。昔なァ、徳川田信秀というオッさんが言った言葉でな……」

 

「誰だそのミックス大名!家康公だ家康公!」

 

桂にツッコまれながらも、銀時はこちらを振り向かず続ける。

 

「最初に聞いた時は何を辛気くせーことをなんて思ったが、なかなかどーして年寄りの言うこたァバカに出来ねーな……。荷物ってんじゃねーが、誰でも両手に大事に何か抱えてるもんだ。だが、担いでる時にゃ気付きゃしねー。その重さに気付くのは全部手元から滑り落ちた時だ。もうこんなもん持たねェと何度思ったかもしれねェ。なのに……またいつの間にか背負いこんでんだ。いっそ捨てちまえば楽になれるんだろうが、どーにもそーゆ気になれねー。荷物(あいつら)が居ねーと、歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ」

 

銀時の言葉を最後まで聞いた桂と獣衆は、一息ついて肩を落とす。

桂が、銀時と並んだ。

 

「片腕では荷物など持てまいよ。今から俺がお前の左腕だ」

 

桂と銀時を挟むように、獣衆の四人も並ぶ。

小春は拳銃を両手に持ちながら、ぶっきらぼうに言う。

 

「志乃ちゃんを助けるためよ。今回だけだからね」

 

八雲は、手に手鋼をはめながら、笑顔で言った。

 

「久々にやりましょう、お二方」

 

お瀧も、懐に手裏剣やクナイを忍び込ませる。

 

「楽しそうな戦闘にウチらが行かん訳にはいかへんやろ」

 

橘は、槍を肩にかけて並んだ。

 

「行くぞ。仲間を取り戻しに」

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