銀狼 銀魂版   作:支倉貢

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干からびたミミズを街中で見るとちょっとビビる

襲い来るえいりあんに向かって、全速力で走る定春。彼らの背中に、沖田と近藤の声が飛ぶ。

 

「旦那ァァ!!嬢ちゃん!!」

 

「アイツら、死ぬつもりか!?」

 

銀時は木刀を、志乃は金属バットを手にした。

 

「定春。散歩の時間だ」

 

「今日はどこで(じゃ)れても走っても突っ込んでも構わないからね。目一杯暴れな」

 

「いくぜェェェ!!」

 

「おう!!」

 

気合いの雄叫びを上げた銀時と、それに答えた志乃。

しかし。

 

バグン

 

「「あり?」」

 

二人は定春ごと、えいりあんに食べられてしまった。そして、そのまま丸呑みにされた。

愕然とした真選組は、思わず固まる。

 

「え"え"え"え"え"え"!!」

 

「呑み込まれたァァ!!散々カッコつけて呑まれちゃったよオイぃぃ!何しに来たんだァァ!?」

 

こんな状況下でも思わずツッコミを入れた真選組に、えいりあんが襲いかかる。

一人の隊士が呑まれそうになったその時、えいりあんにバズーカが撃ち込まれた。

 

「あら残念。外しちゃったわ」

 

突如、上空から降ってきた声。

真選組隊士らが振り返った瞬間、彼らの前にスタッと軽い音を立てて、一人の女が着地した。

女は金髪を靡かせ、肩にバズーカを担いでいた。

 

「ごきげんよう、真選組の皆さん。万事屋志乃ちゃん従業員兼『獣衆』金獅子、矢継小春推参」

 

小春は足元を短く切った薄桃色の着物に白い羽織を着て、2丁拳銃をそれぞれ右と左の太ももにつけたホルスターに差し込んでいた。髪は動きやすいように、ポニーテールにしている。

小春は真選組を振り返って、ぺこりと頭を下げる。

 

「いつもウチの志乃ちゃんがお世話になっています。で」

 

小春は真選組の面々と向かい合いながら、背後に迫ったえいりあんにバズーカをぶっ放した。

 

「志乃ちゃんを変な目で見てないわよね?もし見てたらえいりあんの前に貴方達を殺すわよ?」

 

それを優しげな笑顔を浮かべたまま言うのだ。

この何よりも恐ろしい脅迫に、隊士らはブンブンと首を横に振った。

 

「あらそう……残念」

 

何が?何が残念なの?俺達を殺せなかったから残念なの?

そこまで口に上らせる勇気もなく、隊士らは押し黙った。

 

「相変わらず喧嘩っ早いですね、小春は」

 

「ま、ウチらの中でも一番の喧嘩好きやったからなァ」

 

「アイツの場合、相手を必ず殺していただろう。どこが喧嘩だ」

 

「あら、何か文句でもあるかしら?」

 

小春と並んで、八雲、お瀧、橘が立つ。

小春は彼らを横目で見てから、襲い来るえいりあんを鼻で笑い、バズーカを向けて引き金を引いた。

 

「しょーがないじゃない。獣衆(ウチ)の大将は他の誰よりも喧嘩っ早いんだから。私達がついていってあげなくて、誰がついていくというの?」

 

バズーカはえいりあんに命中し、爆発する。

お瀧も肩を竦めて、腰の小太刀を抜いた。

 

「せやな。ウチらはここで、江戸護るために戦うとしましょーや」

 

「護る戦いですか。私達殺人鬼などに出来ますかね?」

 

八雲は手に手鋼をはめて、手に馴染ませるように握ったり開いたりを繰り返す。

橘が、こちらへ伸ばされたえいりあんの触手を薙刀で斬り落とした。

 

「大将が変わろうとしているんだ。俺達も変わらないでどうする」

 

淡々と言いながらも、普段ほとんど表情の変わらない彼の口元は、弧を描いていた。

それを受けて、小春、八雲、お瀧もニッと笑う。

 

「そうね。それじゃあ……えいりあん討伐!!いくわよォォォォ!!」

 

「ぶっ殺したらァァ!!」

 

「地獄へ案内して差し上げましょう!!」

 

小春のバズーカを皮切りに、三人はえいりあんに挑んでいった。

 

********

 

一方船上では、ハタ皇子とじいを護るために戦った神楽が、えいりあんに捕まってしまった。出血も酷く、彼女の意識は既に朦朧としていた。

あわや神楽が、えいりあんに食されようとしたその時。

 

「神楽ァァァァ!!」

 

志乃の叫び声と共に、えいりあんの口が内側から破壊される。中から、銀時と志乃、定春が飛び出してきた。

 

「神楽ァァァァァ!!」

 

銀時が叫び、彼女に手を伸ばす。

 

「ぎっ……ぎんちゃ……」

 

神楽も力無く手を伸ばすが、手はあと一歩のところで届かず、定春と共に落ちていった。

銀時と志乃は定春の背を蹴って跳び、えいりあんにしがみつく。

 

「こんのミミズ野郎ォォォォ!!神楽を返せェ!!」

 

志乃はえいりあんの触手をスイスイとよじ登り、神楽の元に辿り着こうとする。

しかし、えいりあんがあまりにも大き過ぎて、なかなか距離が縮まらなかった。

 

「だァァこのクソッ!!」

 

下の方から、銀時と左腕が無い星海坊主が志乃を追って登ってくる。

 

「志乃てめっ、なかなか登るの速えな。ジャングルジムで鍛えたかコノヤロー」

 

「残念、私の場合は登り棒だよ」

 

「待ってお嬢ちゃん!オジさん達のペースに合わせて!疲れてんの!年なの!!でも神楽ちゃんのために頑張ってんの!!」

 

「お前は早く帰れって!!病院行ってその左腕にマイナスドライバーでもつけてこい!」

 

「誰がつけるかァァァ!お前、マイナスなんてあんまり使わねーじゃねーか!どっちかっていうとプラスがいい!大体腕の一本や二本で病院なんざ!元々義手なんだよ俺の左腕は!」

 

「ついでに頭も作ってもらえ、すだれジジイ!」

 

「てめーら疲れてねーじゃねーか!元気爆発じゃねーかバカヤロー!」

 

えいりあんによじ登りながら激しい口論を繰り広げる二十代と四十代の男に、十代の少女がツッコんだ。

そんな彼らに当然、えいりあんは牙を剥いてくる。

四方八方から、えいりあんが彼らを食おうと襲いかかってきたのだ。

 

「「「うおわァァァァァ!!」」」

 

三人は同時に悲鳴を上げると、傘と木刀と金属バットを持って、えいりあんを次々と雄叫びと共に薙ぎ払っていった。

 

「えいりあんがなんぼのもんじゃあああああい!!」

 

志乃は金属バットを振りかぶり、えいりあんに強く叩きつけた。

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