3学期初日。
本来ならば この日は、始業式が終われば その儘 帰宅だった。
しかしE組は渚の殺せんせーを助けたいと言う呼び掛けから、それに異を唱える者達との衝突。
それを起として始まった暗殺サバイバルゲームも終了して、現在の時刻はPM2:00。
今は体育着から制服に着替え直した生徒一同がE組教室にて、
「普通に考えてみよう。
竹林を議長とした、今後のE組としての行動についての話し合いが始まっていた。
「…言われてみれば、確かにね。
突き詰めたら、地球を救う…が、最終ってか、本来の目的なんだからさ。」
「殺せんせーの爆発を止めるのが目標なら…」
「殺る以外の選択肢も無数に有り、寧ろソッチの方が、成功確率も高いかも知れない。」
竹林の言葉に、他の面々も それに気付いた様に言葉を繋げていった。
「そうだよ。絶対に
「成る程。さしあたっては、
「…だな。」
「…だね。」
烏間が提示した、殺せんせーを殺すで無く助ける方向での活動が認められた期限1ヶ月。
その間の今後の方針が、ほぼ決定。
「しかし、それも難しいぞ。」
「「「「「…!???」」」」」
其処に烏間が口を挟む。
「先ず、最初に このタコを造った研究機関は例の月の爆発の責任を問われ、各国の機関に その全てのデータを譲渡した上で、今後の それの研究に関わる権利も剥奪されている。
今は各国の科学機関が共同して、地球救済チームが作られていて、君達の言う通り、このタコを殺す以外での地球を救う方法も確かに研究されているが…」
「当然、その研究情報は最高機密扱い。
「…その通りだ、吉良君。」
烏間の現状の説明に、響が察した様に補足。
「…だ、そうだが、律?」
『はい♪……………………はい、研究機関の中央データベースの侵入に成功しました♡』
「はぁああ???!」
しかし竹林の振りに、律が素早く行動。
声掛けから約10秒…彼女からすれば それなりの時間だっただろうが、それでもチェックが厳しい筈の
『元々 私は、殺せんせーのデータを共有する為に、世界中のコンピューターと常時アクセス可能となっています。
今回は『殺す』以外の
ディスプレイ内、忍者コスチューム(桃色)の律が報告。
現在の時点で、殺せんせーについて進められている計画が、律本体の画面にリストアップされていった。
「うわ…」
「コレが全部…」
そしてディスプレイに表示される、現在 世界中で取り組まれている、幾多の地球救済の為の研究項目。
「でも、その殆どが殺す研究ばっかりだよね…って?」
英語表記の表示だが、今のE組生徒には それは何の問題も無く。
研究タイトルを見れば、その大体の内容を予測する事は容易に出来、
「皆、これ見て! アメリカ
【触手生物:細胞老化に連動する反物質暴走抑止に関する検証実験】!!」
「「「「「おおっ!!」」」」」
≫≫≫
「まさかの…」
「宇宙…」
そして その実験の具体的日程。
それは現在 地球の外、
「あ~、実験内容的に、逆に爆発する可能性も有るから…」
「安全な地球の外側…宇宙空間な訳だ。」
「そして その
「…で、
「いや、それも難しいだろう。」
「烏間先生?」
そして その実験の結果報告について、烏間が またもネガティブな発言。
曰く、機密満載な最先端技術搭載なデータ。
しかも それが地球を救うレベルな情報ならば、直ぐに公表する事無く外交の材料に使う可能性も高い…と。
「この地球が大ピンチな時に、そんな事する訳?」
「そりゃするだろ。何しろ、アメリカだしな。」
「「「「「「●ァッキンUSA〜!! 凸( `△` )凸 」」」」」」
そして この解説に、クラス全体から不満が爆裂。
『大丈夫ですよ。既に その宇宙ステーションのメインのコンピューターに、私の
今回の実験に関係する、どんな情報も盗み放題です♡』
「はぁあああ????!」
しかし それを払拭するかの律の発言。
そして それを聞いての、烏間の驚きの雄叫び再び。
『因みに研究チームの今日の
そして どうでも良い?情報も。
「アメリカチームが鰻重、食べたりするのかよ?」
「少し羨ましいぞ?」
「現地
『中村さん、正解です♪』
…そして この日は、その研究の結果待ちと言う事で落ち着くのだった。
≫≫≫
「♡♡♡♡♡♡♡♡」
「……………………。」
その日の帰り道。
「「「「「クソッ! 爆死ねリア充!!」」」」」
サバイバルゲーム決着時に、その関係がバレてしまった渚と茅野。
それなら いっその事とばかり、隠す事無く手を繋いで山を降りる2人。
尤も、満面の笑みを浮かべているのは茅野だけで、渚は決して嫌と言う訳では無いのだが、今は まだ恥ずかしさと照れが勝っている様で顔を真っ赤にした無言の状態。
その様子を、女子達は皆 微笑ましく、或いは生温かく見守っているが、男子の方は半数近くが しっと団と化していたとか。
▼▼▼
そして1月27日。
「「「「「………………………。」」」」」
律本体のディスプレイに表示されたのは、
英語表記の それは、和訳するのは容易かったが、
「「「「専門用語だらけで さっぱり訳解らん!」」」」
その内容迄を、完全に理解するには至らず。
「…………。ふむふむ…」
そんな中、画面を凝視する生徒が1人。
「愛美ちゃん…もしかして これ、解るの?」
「はい、何とか…」
「「「「「「おおっ!!」」」」」」
奥田愛美だった。
≫≫≫
「…と、本当に要点だけ訳すと、こんな感じですが。」
「「「「「「ん。すげー解り易かった。」」」」」」
研究過程は省略して、最終結論だけを纏めた奥田の解説。
そもそもの最初の月での触手マウスの爆発は、反物質触手細胞を半ば無理矢理に別の生物に移植した事による拒絶反応が原因で有り、オリジナルである殺せんせーには その危険性は殆ど無いに等しく。
更には特殊配合の薬剤を投与する事で、より細胞の暴走リスクを抑える事が出来ると云う。
「そして最終的な爆発の可能性は…高くても0.01㌫以下!」
「マジかよ?!」
「…で、その薬剤とやらって?」
『此方の化学式で精製される薬です。』
そして画面に表示される、複雑な化学式。
「あ…これなら多分、作れます。
私 前に殆ど似た様な薬、作った事が有りますから。」
「「「「「はぁあっ???!」」」」」
4月の下旬。奥田は1度、毒薬による殺せんせー暗殺を試みた事が有った。
そして
「「「「まさかの あの時のクスリかよ?!」」」」
律が表示した投薬の化学式は、その時の それと ほぼ同じ物だったのだ。
「………!!!!」
そして これには、殺せんせーも思わず、驚きの表情と共に言葉を失ってしまう。
「先生…もしかして あの時も、今回みたいな事を踏まえて?」
「いえいえ、あの時は純粋に、奥田さんには安易に敵を信じては いけない…目の前の敵を疑うという事を、教えたかっただけです。
何処の世界に、自分を殺す為の薬を、自分を殺そうとする者と一緒に作ったりする者が居ますか?…ってね。
結果論ですが、あの時の適当に作った薬が…これは本当に偶然ですよ。」
「しかし、良いのかよ?
こんなに簡単に、先生助けるってか、助かる答えが見つかるって…」
「全くね。何という御都合主義展開…」
「…違うよ不破さん。御都合なんかじゃ、ないよ。」
「茅野さん…?」
この不破のメタ的発言を、茅野が否定。
「破壊生物に なろうとした殺せんせーを、お姉ちゃんが命を賭して止めてくれた。」
「茅野ちゃん…?」
「殺せんせーが お姉ちゃんの後を継いで、命を賭けて私達に授業してくれた。」
「カエデ…」
「カエデちゃん…」
「そんな殺せんせーに、皆が やる気…殺る気を出したからこそ、あの薬だって作れたんだし、何よりも この答えに辿り着ける
「「「「「「…………………。」」」」」」
茅野の言葉に、皆が無言、納得したかな顔で笑みを浮かべて頷く。
「と、兎に角だよ!」
そして この静かな空気に耐えられなかったか、声を出したのは岡野。
「爆発の確率0.01パー以下?
そんなの もう、無いも同じじゃん!」
「…だな!」
「…だよね〜!」
「…ですぅ!」
「殺らなくても…」
「地球が爆発しなくて済むんだ!!」
「「「「「「「いやっほぉ~〜〜〜〜〜っぃい!!!!」」」」」」」
知らされた結果に、教室内は大歓喜。
「やったぜ!」
「うん!」
「良かった、本当に、良かったよぉ〜!」
「うん、うん!」
肩を組み合う者。
背を叩き合う者。
抱きしめ合う者。
微笑み合う者。
満足気に頷く者。
渾身のガッツホームを見せる者。
号泣する者。
照れ隠しの
皆其々が、想いの儘に嬉しさを表現した。
「やったz
「「「「だから お前は脱ぐな!!」」」」
ガンッ!x 多
「あじゃぱーっ?!」
…中には余りな過剰な表現故に、 制裁 注意される者も居たが。
▼▼▼
「…恐らくだが、前にも言った通り、この実験結果が正式な報告として、
「「「「…………。」」」」
生徒達が一頻り喜び、ある程度 落ち着いた後、烏間が今後について話し始めた。
「実験結果については これからも検証されるだろうし、コイツが危険な存在なのは変わらない。
暗殺依頼が取り消されたりは、しないだろう。
…何より政府は、君達が この情報を入手したとは知らないのだからな。…ハァ」
律の…と言うかE組の今回の
しかし、彼等とは もう直ぐ1年の付き合いとなる烏間からすれば、選択肢が見つかったならば、それを選ばないという事をしないのは解っていた。
何より此度は、止める以前、既に律が勝手に動いていた。
そして
バレなきゃ犯罪には ならないんですよ〜?♡
…と、少し闇を孕ませた笑顔な黄色いタコの囁きに屈し、今回は小さな溜め息1つ零し、『知らなかった』事にするのを了承したのだった。
既に律は今回の不法潜入の痕跡を全て消しているし、今更それを事後報告した処で、各方面に余計な、要らぬ混乱が生じる…それを避ける為には それがベストな判断なのだと、自身に言い聞かせながら。
「確かに。爆発の可能性が極端に低くなっただけ。
科学者にとっての『0か否か』は、それが例えナノレベルの小さな誤差でも、大きな隔たりが在るからね。」
「ケッ! 少し位、融通 利かせろって話だよな!」
「言ってやるなよ。オトナも色々と、大変なんだって♪
…で、言い出しっぺとしは、これから どうしたい訳?
「
渚とカルマ。
この2人はサバイバルゲームが終わった後から、互いに呼び捨てで話す様になっていた。
互いの意見の衝突からの本気の
「うん…」
そして渚が、渚達が出した答えは…
▼▼▼
翌日。
「起立!」
ガタッ
朝のホームルーム。
クラス委員 磯貝の号令に従い、生徒達は席を立ち、
ジャキッ…
銃を構え、
「気を付け!…礼!!」
「「「「「「「「「おはようございます!」」」」」」」…死ねや、クソタコ!!」」
パパパパパパパパパパパパパパパパッ…!!
「磯貝君!」
「はい!」
朝の挨拶から担任が出席を取ると同情、その担任目掛けての一勢集中射撃。
E組の普段の光景である。
「…しかし、本当に最初、1話の皆ゴーグル付けてた設定、何処に行っちゃったんだろうね?」
「だから不破ちゃん、それ言っちゃダメなヤツ!」
前日、渚が…E組が出した今後の
それは
…何故なら暗殺は、僕達の使命で有り、絆。
落ちこぼれだった僕達を、今の僕達まで高め導いてくれた、謂わばE組の必修科目。
でも、期限である3月迄に殺せなかった その時は、僕達は暗殺を
後々の判断は国に丸投げだ。
その時 僕達は、
『殺す』。
その意味を…殺せんせーの過去を知り、『殺せんせーを殺す』とは何なのかを、本当に真面目に考えた。
それからの あのサバイバルゲームを経て、クラスが本当に1つとなり、殺せんせーが助かるかも知れないとした上で、出した この答え。
そうした事で、芽生えた『覚悟』。
一度 信念の元に刃を振るったのだったら その先…何を得ようと失おうと、其れ等 全て、責任を持って受け入れ受け止める『覚悟』を!!
①原作の渚とカルマの宇宙旅行編は全カット
②南波さん…今作品世界では有名な、日本人宇宙飛行士