暗殺聖闘士   作:挫梛道

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アルバムの時間

「改めて…と言いますか、一応 皆さんには伝えておきます。」

大野が理事長から解雇(クビ)を宣告されたのと ほぼ同時刻、E組内でも担任教諭から、土曜日の響の大立ち回りについての説明がされていた。

 

「…そういう事ですので皆さん…特に当事者の吉良君、中村さん、矢田さんは仮に報道関係を名乗る人が来ても、お喋りは控えて下さい。」

「…はい。」

「はいさ♪」

「〜っす。」

殺せんせーの頼みに、素直に応じる3人。

 

「…1つだけ、良いかな? 殺せんせー。」

「はい?」

しかし、それだけでは済まそうとしない響。

 

「あの中村ちゃん矢田さんに絡んでた外人ってさ、政府が呼んだ殺し屋か何かだよな?」

「…!!?」

響の問い掛けに、殺せんせーが息を詰まらせる。

 

「そりゃ あれだけ派手に暴れて、その場に警察(パトカー)だって来たってのに、何のニュースにもなってない。

あの場で動画撮影してた人も それなりに居たってのに、それも全く出回ってない。

…そうなると、もう勝手に答えは出てくるさ。」

「成〜る程。政府が各方面に、()を掛けた…って、事だよね~?♪」

「にゅ…全く敵いませんね、君達には…」 

 

≫≫≫

「…イトナ。」

「???」

この日の放課後。

山を降り、町中を何人かで お喋りしながら歩いている少年達…その内の1人を呼ぶ声。

 

「…父…さん?」

そして名前を呼ばれた当人は、その声の主を見て呆然と立ち尽くす。

 

「父さんって…」

其処に居たのは、1人の中年男性。

 

「あの人、イトナ君の…」

「親父さん…かよ…?」

イトナの実家の精密機器工場は倒産した後、両親は行方を眩ませていた。

そうしてイトナは、親戚の家を盥回しにされる状況から逃げ出した末に柳沢に拾われ、そして今は()()()として、防衛省が身元引受けとなっていたのだが…

 

「…色々と有ったが、借金を全て返済する事が出来た。」

「……………。」

全て清算出来たと言う父親に、イトナは俯いて何も話さない。

 

「…声変わりしたか? 背も、高くなった。」

約1年振りの再会に、父親は目に涙を貯め、

「よく1人で…いや、1人じゃなかったか?

兎に角 頑張ったな、イトナ。」

イトナの頭に手を置き、この様子を黙って見ているクラスメート達に一瞬視線を移すと、この父親は また自分の息子に話し始めた。

 

「…うん。」

そしてイトナも目に涙を貯めて、静かに頷く。

 

「よし、俺達は撤収だ。」

「お邪魔虫は退散。さ、行こ行こ。」

「「お、応。」」

「「…だね。」」

そして一緒に居たE組の面々は、意外と?空気の読める響、それと原に促され、この親子から離れて行った。

 

▼▼▼

「さて! 改めて…ですが、公立高校の結果待ちの人を除いては、皆さん無事に、進路が決定しました!」

翌日のホームルーム。

 

「「「「「………………。」」」」」

テンション高々な殺せんせーの喋りに、少し引き気味なE組の面々。

 

「そして その結果待ちの人達も、滑り止めの学校には合格していますし、何より先生は本命も合格と踏んでいます。

ですので先生としては、漸く肩の荷も降りた気分です。

そして! この目出度き日に、皆さんと是非、やりたい事が!」

「「「おおっ!」」」

「「この目出度い日に!」」

「「「やる事と言えば!」」」

しかし この殺せんせーの言葉にE組の引きも失せ、逆にテンションが上昇。

 

「「「「宴だ!」」」」

「「「「「宴会だ!」」」」」

期待昂らせ、何人かが普段から机に仕舞っていたのか…クラッカーをスタンバイしてる中、

「それは…」

「「「「それは?♪」」」」

生徒達がwktkな中、殺せんせーの口から出た言葉は

「編集です。」

「「「「「「何でだよ?!!!」」」」」」

…だった。

 

「いや、折角ならE組だけの、オリジナルな卒業アルバムを作りたいじゃないですか?」

「そうか?」

「にゅやーっ?! そんな、酷い!!

折角ならE組だけの、オリジナルな卒業アルバムを作りたいじゃないですか?」

「「「いや、別に。」」」

「にゅやーっ?! そんな、酷い!!

だ、だから折角ならE組だけの、オリジナルな卒業アルバムを作りt

「ん、要らないかな。」

「にゅやーっ?! そんな、酷い!!

…折角ならE組だけの、オリジナルな卒業アルb

「「「「「無限ループ止めい!!!!」」」」」

 

≫≫≫

「しくしくしくしく…」

「あーぁ…泣いちゃったよぉ、殺せんせー。」

「アンタ達、誂い過ぎ!」

「「「ゴメンナサイ…」」」

「「スイマセン…」」

教室の前側角で、自分の殻に籠る殺せんせー。

そして教室の後側角。

片岡、茅野、神崎、律(本体)に銃口を突き付けられ正座している、響、前原、木村、岡島、イトナ。

殺せんせーが言うには、学校全体の普通のアルバムも製作されてはいるが、それは烏間が担任、イリーナが副担任という形の物。

殺せんせーが写っている物は1枚も無い…心霊写真の様に然り気に?写り込んでいるのは数えない。

 

「でも確かに、先生が1枚も写ってないのは可哀想だよね。」

「心霊写真を除いてね。」

…と、いう訳で、

 

どんっ!

 

「見て下さい! この1年、何やかんやで隙を突き、皆さんと一緒に写り込んだ秘蔵の自撮りの数々!

コレで! 皆さんのベストな思い出写真を選定しましょう!」

「何時の間に こんな数を…」

「流石は覗き魔先生。」

机数台に山積みされた写真を見て、生徒達は呆れるやら感心するやらで、アルバムに使う写真を選んでいく事に。

 

≫≫≫

「コレなんて、どうですか?」

「っざっけんな!!」

「こんな写真、何時の間に撮っていたのよ〜?!」

そうして とりあえずな見本として、殺せんせーが差し出した写真。

 

・猫カフェにて満面の笑みで、仔猫に頬擦りしている速水

・何処かの少年マンガの主人公のポーズを決めている不破

・本校舎2年生女子からラブレターを渡され、真剣に困った顔をしている片岡

・横断歩道、杖を突く老婆の手を取って一緒に渡る磯貝

・エアギターでノリノリな三村

・夏祭りにて、出店の射的屋から出禁を宣言された千葉と速水

・渚を強襲、女装を強要させているカルマと中村

・互いに笑顔で会話、手を繋いで山を登るナギxカヤ

・吉田をメイド喫茶に連れ込もうとする、竹林、寺坂、響

・ハンバーガーショップのアルバイト店員(巨乳)を見て、だらしなく鼻の下を延ばす、前原、岡島、イトナ

・夜の校舎を裸ネクタイで走り回る岡島

・土砂降りの中、電信柱の下に捨てられている子犬の元に傘を置き、全力ダッシュで その場を去る寺坂

 

…その全てに、画の奥に殺せんせーが入り込んでいた。

 

「「止めろォオッ!!?」」

「ちょっと待て! コレって俺のヤヴェ写真が有ったりしないだろうな?」

「「「「「アレよりヤヴァイのが有るの?!」」」」」

「クソ! かなり面倒いが全部チェックだ!」

「破れ破れ!」

「削除、削除、削除ォッ!!」

こうして、生徒達も()()に、編集作業に参加する事に。

 

「ん〜、これは採用だね〜♪」

「「ぎゃーーっ?!!」」

そうした中、カルマが取り出した写真。

それは昨年末、茅野と殺せんせーの決闘の際、渚が茅野にディープなキスをした時の場面。

 

「…って、こんな写真、何時の間に撮ってたのよ〜?

殺せんせー あの時、それ処じゃなかった筈でしょ?!」

「それはカルマ君と中村さんから、貰いました。」

「カ〜ル〜マ〜!?」

「中村さん〜?!」

「「…てへ♡ (≧∀≦)ゝ」」

…この写真は、渚と茅野によって破り捨てられた。

 

「…何で こんな写真も在る?!」

そして次に出てきた写真は、響が沖縄で殺し屋と対峙した時に、着ていたアロハとTシャツを投げ捨て、鍛えられた上半身を露わにした画。

そして それにより、剥き出しとなった腹筋の弩アップ写真。

  

「大体あの時 先生、殺ボール状態だったろ?」

「私が先生に、写真提供しました♡」

(オマエ)か〜〜??!

と、兎に角こんなの、誰得だっ!??」

 

ビリビリビリビリッ!

 

「「「「(」°⁠o(」°⁠いやぁ〜っ?! わ、私の御宝がぁ〜!?」」」」

関連写真は全て響に押収され破り裂かれ、それを見た女子数名の悲鳴が、教室内に木霊した。

 

「「「「破れ破れ!」」」」

「「「これもだよ!」」」

そして その後も、写真の選別は続く。

 

・イリーナに思いっ切り()()()()()()を喰らわされている、渚、響、茅野、神崎、倉橋、他←没

・球技大会(1学期)での男子女子、それぞれの野球とバスケットボールの試合←採用

・1学期。期末テストの結果発表にて、狂喜乱舞する教室←採用

・学校裏山、大クワガタを捕まえ、笑顔満面な倉橋←採用

・ショッピング·モールにて、セクシー水着購入を勧められる矢田と、勧めている櫻瀬、原←没

・沖縄での【ハーレム王·響】の図(写真提供:岡野)←没

「「「「ぇええ〜っ?」」」」

「当たり前だ!」

 

・体育祭。通常種目〜棒倒し迄の、各場面←一部除き採用

・アメリカとカナダからの留学生とE組一同の集合写真←採用

・学園祭。厨房の主となる匠な鉄人·村松と原←採用

・同じく学園祭。山の中、自然薯に松茸、タマゴダケ等の高級食材ハンターと化す磯貝←採用

・同じく。まさかの(ゲスト)、人気アイドルとE組一同との記念写真←採用

・球技大会(2学期)での男子女子、それぞれのサッカーとバレーボールの試合←採用

・球技大会(2学期)番外戦。アルゼンチンとスペインからの留学生とのPK対決で、其々に見事にゴールを決められ、orzっている響←採用

「いや、コレはボツだろ?!」

「「「その申し出は、却下しますwww」」」

 

・調理室にて、鶏と包丁を両手で持った、笑顔な倉橋←採用

・ZAP20を手に、決めポーズする神崎←採用

・化学室。見た目、黒魔術的な儀式(何かの実験)をしているかの様な、奥田と狭間←採用

「これは…」

「何だか微妙なんですけど…」

「ククク…別に構わないだろ?」

  

・2学期。期末テストの結果発表にて、狂喜乱舞する教室←採用

・同じく。狂喜乱舞し過ぎて、寺坂からMuscle技を喰らってしまう響←採用

・演劇会。響と岡野の殺陣の場面←採用

・同じく演劇会。衣装を脱ぐ響←没

「「「「何故っ??!」」」」

 

・茅野にツインバスターライフルで修正されている響と岡島←採用

・岡野にレッグラリアートされている前原←採用

・投擲エアガンが顔面に直撃している響←採用

・正座して片岡にOHANASHIされている、響、岡島、前原、他←採用

「「「何か俺等のシバかれ率、高くね?!」」」

 

 

▼▼▼

「…楽しそうだな?」

「はい。それは、もう…」

夜となり、生徒達は全員が帰宅、1人アルバムの編集に勤しむ殺せんせーに、帰り支度を終えた烏間が話し掛ける。

 

「かなりなページとなると聞いたが、彼等の卒業迄に間に合うのか?」

「ヌルフフフ…暫くは徹夜の缶詰めですね。」

「…そうか。」

「でも、まだまだです。まだまだ、写真が足りません。」

「…昼過ぎから生徒全員と世界一周して、彼方此方で写真を撮ってもか?」

烏間としては帰り際に生徒達から聞いた話だが、あの写真選別の後、E組一同は超巨大バッグに詰め込められて、各地 写真数枚撮れば次の地へ高速移動…を繰り返し、正味半日で世界一周したとか。

 

「はい。明日は私達 教師の集合写真。

烏間先生はタキシード、イリーナ先生はウェディングドレスを着て、私は神父役で撮影しますから、よろしくお願いs

「するか!」

「にゅ…折角 教会のハリボテも、菅谷君と一緒に作って用意してるのに…」

「知らん!」

何処迄…恐らくは全てが本気なのだろう、ニヤけタコの言葉を遮り、烏間は教室から去る。

 

「……………教育に良いアルバムにしろよ。」

「はい、勿論です。」

…この言葉を残して。

 

 

 

▼▼▼

「…烏間です。」

校舎から出た後、烏間はスマホを手にしていた。

 

「現在 標的(ターゲット)は、単独で教室に居ます。

少なくとも今夜は、校舎の外に出る事は無いでしょう。」

『…了解。報告 御苦労さん。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズォッ!!                  

 

 

 

 

この遣り取りから数分後、旧校舎は宇宙(そら)から降り注いだ、巨大な光の柱に呑み込まれた。

 




  
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