ズォッ!!
時間にすると1秒に満たぬ合間。
しかし その瞬間、確かに旧校舎は
「ふ…どうだね? 世界各国の皆さん?」
それは地球から遥か彼方、宇宙から放たれたレーザー照射。
【世界
「見ての通り、建物や周囲の山は、全くの無傷だよ。」
機構の
世界最大の陸亀、アルダブラゾウガメを
「これぞ通称、"天の矛"だよ。」
何の前触れも…振動も音も無くに、旧校舎を撃ち抜いた、その命名も決して誇張とは呼べない天空から落とされた光の矛。
「ふっふふ…ふはははははは!
今頃 教室内には、あの巫山戯た修士服が床に落ちているだけだろうよ!」
音速20を遥かに超えるレーザー照射、即ち光速の一撃は、普通に考えると確かに殺せんせーは躱す事が出来ない。
「う、ぅぉお…」
「何…だと…??!」
…普通に考えたら。
「何て勘の鋭さだ。
成る程…今迄 如何なる暗殺も通用しなかっただけの事は有る。」
「「「「いや、何 言ってるんですか!?」」」」
「「「「勘で終わらせないで下さいよ?!」」」」
しかし、確認としてモニターを覗いた先は校舎の外、窓を破って脱出した殺せんせーの姿が。
レーザーを完全には躱し切れなかったのか、左腕は喪っていたが。
その様を見て、何か納得しているトップに対して、其の場に居た者達から当然な如くな総ツッコミが。
そしてモニターには その場から離れようとする殺せんせーが映るが、
「まあ待て。
ほれ、アレが逃げようとした先には…」
そう言って、トップが指差したモニター。
それに映ったのは、高速飛行から急ブレーキで止まる殺せんせー。
その前には、無数の六角形で構成された、光の壁が。
「どうだ? 破壊生物?
これが通称、"地の盾"だよ。」
"天の矛"の開発と同時進行、椚ヶ丘学園を囲む様、約1キロの位置にマンションを偽装して建てられていた、6棟の対せんせーレーザー発射塔。
"天の矛"同様に陸亀ベースの反物質生物のエネルギーから放たれた6線の光が旧校舎を山全体、ドーム状に包囲した。
「オマエなら既に察しているだろうが、その光の檻は実はドームで無くて球状…地中にも張られているぞ?
つまり、オマエは もう逃げられない!」
▼▼▼
「どーゆー事だよ?!」
from:烏間先生
◆◆◆
緊急通達
◆◆◆
各自 自宅にて待機、指示を待つ事。
並び、許可が出る迄は『仕事』の事は一切 他言無用の事
世界が一変。
E組の面々だけは何事かを直ぐに察し、連絡を取り合い学校に向かおうとした時に届いた、烏間からのメール。
そして今回の暗殺に備えて準備されていた、自衛隊と思わしき集団により、学校に続く主要道路が完全に封鎖。
対せんせーレーザー塔周辺にも、同様に厳重な警備が施され、近付く事が出来ず。
「殺せんせー、どうなってんのよ?」
「携帯も繋がらないし?」
烏間の待機命令を無視して、椚ヶ丘駅に集まったE組の面々。
「律、お前、本体で殺せんせーと話せたりしないか?」
『ダメです。私の本体ともアクセスが不可能です。
山に繋がる通信や電源は、全て遮断されています。
…私は偶々あの時、片岡さんのスマホに お邪魔して、女子の皆さんと お喋りしてましたので、こうして外に出られていますが…』
「それが無けりゃ、律も あの山に閉じ込められてたってか?」
「…私ん家ってさ、学校から 直ぐ側なんだけど、政府からか何処からか知らないけど、近所が避難命令されてんだよね。」
不破が言うには、小さな街に1万人近くの兵隊が終結しているらしい。
「…クソがっ!!」
「「「「「…………。」」」」」
この時、E組一同は自身の甘さを認識した。
全てが、自分達の外で周到に準備されていた。
自分達が今迄やって来た暗殺は、この為の陽動だった事に。
「律? アナタもコレ、知らなかったの?」
『…はい、申し訳有りません。
私にプログラムされたのは、あくまでも私自身、或いは皆さんと連携した殺せんせー暗殺。
それを完遂するには不要…いえ、邪魔な情報として、
そして今、それを理解認識して、改めて機構の中央コンピューターに
「マジかよ…」
▼▼▼
そして、日本政府から世界中に向けての緊急声明。
・椚ヶ丘市に突如 現れた光のドームは、超軍事兵器による物
・その攻撃対象こそが1年前、月を破壊…今の形とした元凶の超生物
・この怪物を処分せず放置すると、近い未来に地球も月と同じ運命を辿る
・傍若無人な この怪物は地球を脅し学生を人質として、椚ヶ丘学園に教師として潜伏していた
・世界各国は それに従う素振りをしつつ、秘密裏に超生物暗殺の準備を進めていた
・その他
当然だが、その超生物の正体…人間の科学から産み出された、従来の進化の道から外れた、造られた存在だという事等には一切 触れず。
各国の保身や思惑が入り混じる その発表は、明らかに超生物…殺せんせーだけが悪役だという印象を世界に与えるには充分だった。
≫≫≫
「しかし、この"天の矛"にも、欠点は有る。
1つはエネルギーの
フルパワーで撃つエネルギーを貯めるには、1週間も掛かってしまう。
そして2つ目。エネルギーを貯めていく内に、それが光として発散され、衛星の位置がバレバレになってしまう点だ。
フルチャージとなれば、上空で月よりも明るく輝き、昼間でも視認出来る程に…な。」
…だからこそ、試し撃ちと称した第1射は殺せんせーに それを感じさせない様に、出力を20パーセント未満に抑え、旧校舎のみを照射範囲として狙っての
「…だが、それが躱され、ネタバレした以上は遠慮も躊躇も何も無い!
"地の盾"でアレを完全に閉じ込めた今なら、時間を掛けて100パーセントまでエネルギーをチャージ!
そして その後は あの山全域に及ぶ広範囲レーザー、"超·天の矛(仮)"で、
勝利を確信したかの様に、声高らかに宣言するトップの男。
「だから、後やるべきは世論の誘導。
…と、解っているな?ホウジョウ?」
「…不穏分子への対策、ですね?」
「
そして その場に控えていた傭兵団団長に一声掛けた後、この男は作戦指令室を出て行くのだった。
▼▼▼
「何よ、それ…?」
「巫山戯るなっ!!」
「勝手に決めないでよ!」
そして翌日の政府からの新しい声明。
超生物に対する
それは1週間後の3月12日。
それは地球が滅ぶ
そして、椚ヶ丘学園中等部卒業式の前日。
騒然、そして渾沌となる世間を横目にE組の面々は誰と話す事無く無意識、学校を目指して走っていた。
≫≫≫
「「「「「…!!?」」」」」
しかし その途中、まだ旧校舎が建つ山が遠くに見える位置で、彼等は足止めをされてしまう。
「何だ、君達は?
この先は現在、立ち入り禁止だよ!」
道を封鎖している自衛隊に、だ。
「通せよ、俺達ゃ関係者だよ!」
「お願いです、通して下さい!」
「いや、ダメだからね!」
「押さない! 押したりしない!!」
強行突破を試みるが、相手は普段から鍛えている自衛官。
如何に並の中学生からは外れた身体能力を持つE組一同でも、事『防衛』に対しては、それを上回る事は出来なかった。
「ど・け!!」
「???!」
…
ぶんっ!
「?!!」
しかし、その約1名が振り抜いた拳も、突然の横からの介入に腕を掴まれ止められ、その勢いの儘 宙に投げ飛ばされてしまう。
…スタッ
「いきなり危ないですよ、烏間先生!
俺じゃなかったら、頭から車田落ちでしたよっ!?」
「君だから大丈夫だと思ったんだよ、吉良君。
…きちんと手加減も、したしな。」
「…ですか。…orz. 」
しかし それも空中で身を反転させて着地、響が介入者…烏間に抗議するが、烏間の手加減した上での信頼という返しに地味に凹んでしまう。
「…って、大体 何なんスか、アレ??!」
「俺等、何も聞かされてないっスよ!!?」
「それに あの発表じゃ、全部 殺せんせーが悪いみたいじゃない!!」
「「「「烏間先生!!」」」」
「……………。」
烏間に一気に詰め寄る生徒達。
「アレについては、俺も事後報告で聞かされたんだ。
前以って俺達が それを知っていたら、ヤツに計画を勘付かれる危険性が有った為だろう。
…それに君達には、自宅待機だと言っておいた筈だが?」
「「「「……………。」」」」
「それに あの声明は、君達の今後を考慮した上の発言だ。
『脅されていた』なら、無神経な詮索をされずに済むだろうからな。
…皆が今 揃っているなら、都合が良い。
全員で そういう風に、口裏を合わせるんだ。」
「「「「「…………。」」」」」
それに対する烏間の説明に、皆 一応は理解だけはするが、
「それでも、納得は出来ません。
殺せんせーと会わせて下さい。」
片岡が皆の心情を代表するかの様に、口を開いた。
「それは許可しない。
ヤツが君達を人質に捕りでもしたら、余計に事態が悪化する。」
「人質って…あのタコが そんな事しないのは、アンタだって分かってる筈だろ?」
「しかし世間は、分かっていない。…違うk
「おい、コッチだ!」
「「「「おおぉうっ!!!!」」」」
「「「???!」」」
其処からの問答の途中、後方から押し掛ける集団が現れる。
「見て下さい! あの少年達が、件の怪物に脅されたという生徒達でしょうか?」
「すいません、少し お話、宜しいですか?
今の お気持ちは?」
「「「「「!!!!?」」」」」
パシャパシャパシャッ…
「怪物から解放された、安堵の心境を一言!」
「何時 爆発するかも知れない怪物に、1年の間 支配されてた気持ちは?」
「「「「………!!!」」」」
それは各社各局からの報道陣。
フラッシュが焚かれ、中継カメラが回る中、リポーター達が生徒達にマイクを向ける。
「兎に角テメー、其処どけや!!」
「むっ●すぞ、ゴラァッ!!!!」
「ちょ…君達…?!」
そうしたマスコミは無視して、尚も強行突破を図る者。
「待って下さい! 殺せんせーは本当に、そういうんじゃ無くて…」
「アンタ等、上の奴等の都合良い情報だけ貰って、それで信じてんなよ!」
「知らないだろ? マジに地球が滅びる可能性は、0.01パー以下なんだよ!」
「本当なんです! 危険じゃないって、テレビで流して下さい!」
逆に これを機として、殺せんせーを擁護、安全性を説こうとする者。
「言われてる様な、怖い…悪い先生じゃないんだから〜っ!!」
しかし前者は兎も角、報道陣にとって、後者は悪手だった。
「おい、あの娘を
「ねぇ君? あの化物に そう言えって言われてたんでしょ?
もう大丈夫。正直に話して良いのよ?」
倉橋の涙ながらの訴えに、餌に群がる獣…或いはB級映画、ヒロインに群がるゾンビの様に、彼女を取り囲む報道陣。
ゴミが…!!
しかし、この報道陣の行動も、言うならば悪手。
パタッ…x多
「「「…え?」」」
そのマスコミ達が急に、リポーター、カメラマン問わずに その場に全員、倒れ込んだのだ。
それは まるで、糸が切れた
或いは、まるで
「皆、散るんだ!」
「「「磯貝?」」」
「「「磯貝君?」」」
それを目にした磯貝が咄嗟に指示。
「ああ、何だか分からないが(笑)、今がチャンスだ!
どうせ このマスゴミ共、俺達の話なんて、何も聞きやしない!
突破が無理なら、1度 退くしかねぇ!」
「「「吉良!」」」
「「「吉良君!」」」
「「「吉良っち!」」」
そして響も、それを推すかの発言。
ダダダッ…!
こうしてE組の面々は、その場から逃げ出すのだった。
≫≫≫
「これから どうするんですか?」
「…とりあえず、現状の把握が最優先。」
「うん。速水さんの言う通りだ。」
散り散に逃げ、現在この場には、磯貝、奥田、木村、速水、イトナ、そして響が。
「皆で手分けして、あのバリアやアレを作ってる建物の偵察をしよう。
そして夜、また皆で集まって作戦会議だ。」
「了解だ。」
「それじゃ離れた皆にも、その事をメールで伝えないとな。」
「ああ。絶対に この儘じゃ、終わらせねぇ。」
「そうだね…って、吉良君?」
「ん?」
会話に参加しながら、スマホで何かを検索しているかの様な響に、奥田が問い掛け。
「ああ、すまない。少し、気になった事が有ってね。
…成る程。24時間、か。」
「「「「…???」」」」
▼▼▼
…尚、この翌日。
E組一同に取材中、倒れた報道陣は一体 何が有ったのか…全員 己が籍を置いている各社各局に揃って辞表を提出したのは、別の話である。
24時間…日本の法律では、