暗殺聖闘士   作:挫梛道

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E組の時間

「一体、何が起きたんだ?!!」

 

殺せんせー対策本部は、混乱の最中に在った。

対せんせーレーザー衛星からのカメラにより、殺せんせー(with響)と柳沢(with2代目死神)が対峙した迄は分かっていた。

しかし突然、衛星からの映像はレンズに濃墨を塗られたかの様に真っ黒となり、その数分後、一瞬 黄金に光ったと思えば、今度は何かの不具合か、映像が途絶えて画面が真っ黒に。

電波障害による、『砂嵐画面』でも無い。

…と言うか、レーザー衛星への あらゆる操作(アクセス)が利かない。

まさか、既に衛星が宇宙の塵と化していると云う、真実に至れる筈も無く。

 

「どういう事だ…?」

その想定外過ぎる現状、責任者(トップ)の男を筆頭に、対策本部に居る者達は皆、頭を抱える他に無かった。

 

▼▼▼

「「「「「「「「「「殺せんせー!!」」」」」」」」」」

「「…って、き、吉良ぁっ!?」」

「やぁ。」

「「「「…って、殺せんせー??!」」」」

「ど…どうも…」

一方の旧校舎。

傭兵団【群狼】の警備網を抜け、旧校舎に辿り着いたE組の面々が目にしたのは、自分達が【群狼】に捕まった際、1人だけ その難を逃れ、はぐれていた響。

そして見るからに瀕死状態で横たわっている、自分達の担任教師だった。

 

「コレは…」

「どーなってんのよ!?」

「…烏間先生!」

「ビッチ先生!」

それから僅かに遅れて、烏間とイリーナも姿を見せた。

 

「全く、何が何だか!

光のドームが いきなり、真っ黒になったと思ったら、今度は凄い光がピカッとなって!

ヒビキ、説明!」

「吉良…オメーが どうして、此の場に居るかも含めてな。」

自分達が此処に来る迄に、一体 何が有ったか、響に説明を求めるイリーナ達。

 

「……………。」

しかし響も、それを全て馬鹿正直に話す訳には往かず。

 

「え~と、あの特殊部隊?…から逃げた後、何やかんやで旧校舎(ここ)に来た訳だけど…

そしたら あの柳沢が此処に、殺せんせーMk.Ⅱみたいなのを連れて現れて…」

「「「「はぃい??!」」」」

「…!!」

「「「殺せんせーMk.Ⅱぅ〜??!」」」

…と、此処迄は本当の話。

Mk.Ⅱの正体…以前E組に現れた、(2代目)死神の事は話が ややこしくなりそうなので、黙っている。

 

「…で、そのMk.Ⅱと殺せんせーが戦闘(バト)ってな。

最後は殺せんせーが(スーパー)殺せんせーになって、超必殺·ゴールデン殺ビームでMk.Ⅱは斃せたんだが、柳沢には逃げられてしまった。」

…と、その先は捏造(アドリブ)説明。

 

「…………………。」

その、可ー成ーり盛った内容に、色々と突っ込みたい殺せんせーだったが、そうすると余計に場が渾沌化するのが必至なので、敢えて何も言わず。

 

「…で、吉良君は その時、何も しなかったの?」

「マッハ20同士の戦いに乱入出来るか!」

「しかし…(スーパー)殺せんせー?」

「ゴールデン殺ビーム?」

「あの、金色の光ですか?」

「ぶっちゃけ煉獄無双爆熱波動砲だった。」

「 何それ? 凄く見たかった!」

そしてE組の皆さんも、その説明に特に疑問を抱く者は居らず。

 

「凄い…純正(オリジナル)の触手持ちは、そんな技も使えたのか?」

「イトナ君?」

「もしかして、羨ましいとか思ってる?」

逆に、信じ過ぎる者も。

 

「………………。」

そして それに、凄く突っ込みたい殺せんせー。

 

「…しかし、だ。…とりあえず、吉良ぁ!!」

「はい?」

「お前、1人だけ安全地帯で のほほんと してやがって!!」

「…へ?」

「そーよ! この数日間、そして此処に着く迄 私達、どんなに苦労したか! どれだけ大変だったか!?」

「ぇ゙? ええっ??!」

そうした中、()() ()()()()()()()響に、矛先が向けられる。

 

「( ¬_¬)吉良君…今回は、役立たずだったね…」

「な、渚ぁ〜?!」

「本当オマエ、何やってんだ?」

「しかも この、一番 肝心な時に!」

「うっ!」

「しかも柳沢を逃がしたのって、殺せんせーは大ダメージで動けなかったのだから、それって全〜部、きーちゃんの責任(ミス)だよね〜?」

「うぅっ?!」

「「「「 マジ使えねー!www」」」」

「ゎ…悪かったよぉ〜…」

「皆さん! 任務(ミッション)中の、個人攻撃は感心出来ませんよ!」

まさか『実は柳沢は既に始末して、Mk.Ⅱを斃したのも俺です』…な真実を話せず、平謝りする事しか出来ない響。

この集中砲火(いじり)を、殺せんせーが嗜めた。

 

「殺せんせー?」

「…てか、任務(ミッション)中?」

教師として、1人の生徒への責めを止めるのは解る。

しかし、任務(ミッション)の意味は、この場の少年少女達は解らない。

 

「忘れたのですか? 君達の最終目標!

そして その標的(ターゲット)は見ての通り、今はダメージにより動けないのですよ!」

「「「「…!!」」」」

E組の最終目標。それは月を破壊し、そして その次は地球破壊を目論むと言う超生物の暗殺。

それを標的(ターゲット)自身の言葉により、暗殺者達は それを思い出した。

確かに。昨年の4月からの この超生物暗殺の任務は まだ、継続中だった。

未だに起き上がれない殺せんせーの言葉に、それを思い出すE組の面々。

…因みに現在、殺せんせーはダメージの回復…身体の再生を、自らの意思で止めている。

 

「しかし…よぉ…」

「確かに今更感は、ねぇ…?」

だが その言葉にも、生徒達は迷いを捨て切れない。

殺せんせーの反物質細胞の暴走からの爆発…地球崩壊という危険性(リスク)は、ほぼ無いと分かっているから。

 

「甘いです! 先生お気に入り、【はちみつチョコプリンDX·色々全部乗せ】よりも甘い!

空を見て御覧なさい!」

「「「「「…………?」」」」」

殺せんせーの言う通り、E組一同が空を見上げると、

「…対せんせーレーザーが、見えない?」

今迄 瀕死だった殺せんせーに気を取られていたのか、月の隣で黄橙の光を放っていた、レーザー衛星が消えているのに漸く気付く。

 

「恐らくですが、今迄 溜められていたエネルギーが、超圧縮、超収束されています。

最後の一撃を放つ為の、最終の準備段階に入ったのでしょう。」

本当は響の技によって、既に衛星は破壊されているのだが、それをハッタリで過ごそうとする殺せんせー。

 

「分かりましたか?

君達が手を出さずとも、結局は この脱出不可能のバリアの中で、レーザー照射を浴びて、私は死にます。」

「「「「「「………………………。」」」」」」

殺せんせーの言葉に、E組の面々は どう転んでも結末は同じだと理解。

現在の時刻はPM11:32。

事前に聞かされていた、レーザー発射予定時刻迄、既に残り30分を切っていた。 

 

「…皆。」

「「「「磯貝?」」」」

「「「「磯貝君?」」」」

皆が これからの行動に迷い沈黙する中、口を開いたのは磯貝。

 

「どんな風に転んでも、今夜で全てが終わる。

それなら…最後は、皆の考えを纏めよう。」

「「「「「「「…。」」」」」」」

 

コクリ…

 

磯貝の言葉に、全員が無言、小さく頷く。

 

「それじゃ最初…

先ず俺達が何もせず、()に全てを丸投げする事だって出来る。

それを踏まえて聞くぜ…

殺せんせーを、殺したくないヤツ?」 

「「「「「「「「「「「「……。」」」」」」」」」」」」

 

ス…

 

誰もが無言で挙手。

手を挙げてない者は1人も居ない。

3学期初日のサバイバルゲーム、『殺す』派筆頭だったカルマ、中村、寺坂。

()()()にE組入りしたイトナ、そして同じく、今は渚のスマホに入り込んでいる律もだ。

 

「OK。皆、手を下ろして。」

「「「「「「「「「「「「……。」」」」」」」」」」」」

磯貝の言葉に、E組の皆が1度、上げた手を下ろす。

 

「それじゃ…こ…殺したい…ヤツ…?」

「「「「「「「「「「「「……!!」」」」」」」」」」」」

この質問に、全員が一瞬だが硬直。

…だが、

  

ス…

 

先程とは真逆な この問い掛けにも、全員が無言、全員が俯き、涙を堪え…一部の者は それに堪えきれず涙を溢しながら、全員が挙手した。

E組と殺せんせー。

暗殺者(アサシン)と その標的(ターゲット)

この奇妙な絆を完結させるのは、他者では無く自分達。

決して誰にも介入、邪魔は させない。

それは、絶対に譲れない。

その信念からの決意。

 

「ヌルフフフ…皆さん、満点です。」

この全員が出した解答(こたえ)に殺せんせーは納得、満足な笑みを浮かべるのだった。

 




 
煉獄無双爆熱波動砲…キングさん(ワンパンマン)の必殺技
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