暗殺聖闘士   作:挫梛道

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【お試し】でアップしていた話を再編集しました。
 
最初は最終回の候補として書いていた話。
本編とは違う世界線。
本編とは全く無関係の、番外編なIf回です。
 


番外編:Ifの時間
デパートの時間


それは、死に逝く者が最期に望み見た幻想か。

それとも常人の世とは、また別の次元での現実なのか…

  

 

❀たいへん よく できました❀

 

                   

星降る夜の上、桜のマークの枠に そう書き込まれたスタンプのデザインのシャツを、白衣の下に着た若い女性が、心からの祝福の笑顔で、導かれる様に ゆっくりと天に昇ってくる黄色いタコを、両手を広げて迎えようとしている。

        

「※※さん…お疲れ様でした。

そして、ありがとう。」

うっすらと涙を浮かべ、感謝の表情を見せる女性。

 

「はい、※※先生…」

それに対して、黄色いタコは、やはり笑顔で応えようとする。

徐々に縮まる両者の距離。

              

「おお、※※先生…の、(おっぱい)!!

この儘 行けば…ヌル…ヌルッフフフフフフ!!」

 

ピッカァッ!!

 

「にゅや!?」

「え? えぇ?」

邪念丸出しな 締まりの無い顔の黄色いタコが、その全身をピンクに変え、女性の胸元(推定E)に飛び込もうとした その瞬間。

何処からか放たれた強烈な眩い光が、2人に向けられ、2人の…正確に言えば、タコの天に昇ろうとする動きが止まる。

 

「にゅ…あと、ほんの少しだったのに…」

タコが心の底から、残念そうな顔をしてる中、その場は夜の空の筈が、一瞬にして辺り一面真っ白な、光溢れる空間となった。

   

ゴゴゴゴゴゴゴ…                 

  

「「??」」

そんな いきなりの環境変化?に、何が起きたのか把握出来ない2人の空間(まえ)に、突如として直径約3㍍程の黒い【穴】が現れる。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…             

 

その【穴】が放つのは、轟々しい音と共に、全てを吸い込まんとばかりな、強大な重力。

 

「にゅやーーーーーーっ!?」

「※※さん?!」

先程の邪全開な発想の罰が当たったのか、その重力の前にタコが捕まり、抗う術も無く、あっさりと【穴】の中に引きずり込まれた。

 

「※※さん!!」

吸い込まれたタコを助けようと、自らも【穴】の中に身を乗り出して手を伸ばし、タコを引っ張りだそうとする女性。

しかし この【穴】は逆に女性を拒むかの如く、重力…引力とは真逆の力を発揮し、

「きゃあっ?!」

女性を弾き飛ばし、寄せ付けない。

 

「死神さーん?!」

「ゆ、雪村先生ぇ~っ!?」

そうして互いに名前を呼び合っている中、女性から『死神』と呼ばれたタコは【穴】の奥深くまで堕ちて行き、最後には その中の黒い空間に溶け込む様に、姿が見えなくなった。

それから【穴】が消えたのは直後の事。

同時に光に満ちた白い世界も、まるで手品の様に一瞬に、夜の星が輝く空の上、元の場所に戻る。

 

「………………………………。」

その場に1人取り残された、タコから「雪村先生」と呼ばれた女性。

完全に自分の常識の外の展開。

その状況に理解が追い付かない感じな、唖然とした顔の彼女は暫くの間 黙り込み、

 

「な、何なのよ、一体~〜〜っ?!」                  

 

我に帰ると同時、ヤケクソ気味な叫び声を夜空に響き渡らせるのだった。

           

▼▼▼ 

「にゅや~~~~~~~~っ?!」

一方その頃…タコは墜ちていた。

暗闇の中を只、堕ちていた。

 

「な、何故、飛べないんですかぁ~っ?!」

自分には飛行能力が有る筈が、それを行使出来ず、重力?に身を任せるしかない状態に不安を覚えるタコ。

 

「あ~、神様仏様、ゴメンナサイごめんなさいゴメンナサイごめんなさい!

もう雪村先生の胸に、邪な考えを持ったりしませんから!!

スーパーの特売タマゴ、御1人様1パックを分身と変装を駆使して、何個も買うのもやめます!

アイドルや女優さんなんかも、もう(バスト)で差別したりしません!!

教え子や同僚の恋愛事情に触手()を出すのも止めますから!

それから世界中の山に捨ててある、エッチな本を拾い集めたりもしません!!

それから、え~っと…」

最後には神頼み。

思い出せる限りの自身の悪事?を告白し、懺悔し始めた。

  

≫≫≫

「にゅ?」

それから暫くの間、自然落下が続く。

漸く終点なのか、暗闇の空間の中、堕ちて往く先に、僅かな光が差し木漏れる。

タコは重力に従い、その光の中に牽かれる様に飛び込んで行った。

 

▼▼▼

「にゅる…此処は?」

困惑するタコ。

光を抜けた先の世界は、外なのか屋内なのか判らない奇妙な世界。

石と煉瓦で造られた、大小様々な建物。

遥か遠くに目を向けると、高層ビルが並ぶ街並みが。

更に その先を目を凝らして見てみると、全てを遮る壁の様な物が見える。

そして ふと真上を見上げると、天井らしき物が空を隠し蔽っている。

 

「ふむ、コレは…」

故に恐らく、今 自分が居る場所は、気が遠くなる程の…それこそ街1つ包む位の巨大な建造物の中なのだろうと、タコは結論付ける。

 

「とりあえず此処が一体 何なのか、調べてみますかねぇ…」

そして探索するが如く、当ても無く街を徘徊する事にした。

 

≫≫≫

「ひぃやあああああああ~っ!!?」

「!!?」

暫く歩いていると、進行方向正面から年齢10歳位、見窄らしい服を着た少女が悲鳴を上げながら、此方に走ってきた。

『露出狂とでも遭ったのですか?』と、自分の教え子の1人の顔を思い浮かべながら、タコが改めて前方を見ると、

 

ドドドドドドドドド…!!

 

少女の更に後ろから、爬虫類なのか哺乳類なのかが判別が出来ない異形の…巨大で不気味な生物…正しく怪物(モンスター)と呼ぶに相応しい生き物が迫ってきた。

アリクイと鰐を掛け合わせた様な頭を持つ この怪物は、その巨体を煌びやかな真紅のドレス身を包み。

そして その頭部には紅髪の女の人形(ヒトガタ)()()、怪物の本体と同様、紅のワンピースドレスで身を包んでいる。

 

「きゃっ!?」

そんな化け物から逃げ走る途中、石畳の窪みに足を捕られ、少女は躓き転んでしまう。

 

『お客サマ、お(ダイ)をお支払い下さいマセ!』

そして化け物は 少女に詰め寄ると、巨大な口を尚 大きく開き、目の前の獲物を喰わんとした その時、

「にゅや!」

 

バシュゥッ!!

 

その様子を、やや離れた位置から見ていたタコが、両手両腕に該当する触手を組み合わせ、その先端から体内に秘めたエネルギー波を放った。

このエネルギーの直撃を受けた化け物は、肉体を破壊され、その身体は死体を残す事無く消滅した。

 

パサ…

 

腰を抜かしている少女の足元に、頭部の人形(ヒトガタ)が纏っていた、真紅に輝く、ワンピースドレスを残して。

  

≫≫≫ 

「ヌルフフフフフ…

いやいや、危なかったですねぇ~。大丈夫ですか?」

「…?????」

まずは一安心と にこやかな顔で、少女に近付くタコ。

少女は先の巨大な化け物に続いて、今度は喋る黄色いタコの出現に、最初は半ばパニックになるが、凶暴な魔物としては、余りの緊張感の無いタコの顔。

 

「………。」

それを見て、先程迄 自分を襲っていた怪物とは『別物』と認識したのか、徐々に落ち着きを取り戻す。

 

「あ、あんた、誰…なの?」

「…私…ですか?」

嘗て自分が人間だった頃、死神と呼ばれていたタコは、この街?に辿り着いた時から確信していた。

そう…自分以外の『神』と呼ばれる者の存在を。

そしてタコは未だ、自分に『死』を赦そうとしない神を呪った。

そして、自分の様な者に、未だ『生』を与えた神に感謝した。

確かに あの時、自分は死んだ筈。

ならば何故、自分は今、こうして生きているのか?

決して幽霊なんかではない。

自分は確かに今、間違い無く生きている。

此が本当に、神と云える存在の仕業なら、何か意味が、理由が有る筈と、タコは考える。

それは一体何なのか…

だが、今は そんな事は、どうでも良い。

今は只、目の前の自分を正体不明意味不明な何かとして見ている、この少女の質問に答える…それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフフフ…

私の事は、殺せんせーとでも、呼んで下さい。」

  




 
元ネタは単行本最終巻の、ラストの読切です。
そしてIf編第2弾に続く!
 
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