居酒屋あずさ。
響のバイト先…カウンター席が15と、4人掛けテーブルが4つの、小さな居酒屋だ。
「いらっしゃいませー…って、ふとし君、いらっしゃ〜い。」
「しゅしゅ…今日は昔の知り合いを連れてきてみましゅた。
私はウィスキーと…シロウは何を飲みましゅか?」
「私は麦をロックで。
それから冷や奴と枝豆と…そうですね、ささみの酢漬けをお願いします。」
「吉良君、私は何時ものヤツを、よろしくでしゅ。」
「はいは〜い。
豚トロ焼き、牛すじ煮、鶏皮揚げですね〜♪」
響が今 接客した ふとしなる人物…タンクトップに短パン、素足にサンダルな…今は7月だから問題無いが、基本 年中この格好…冬場なら職質待った無しな格好の この男、実は殺し屋である。
7年前、殺せんせー暗殺に椚ヶ丘学園に赴いたが、敢え無く撃沈、返り討ちされていた。
その関係で響とも それなりに面識が有り、更には その当時から この店の常連だったらしく、今は それなりに親しい間柄だった。
尚、この男が一緒に連れてきた、シロウなる人物は、所謂
「…で? アナタは今、何をしてるんです?
今は日本から、離れているみたいですが?」
「しゅしゅ…大した事は していません。
…人様に誇れる様な仕事は、ね。
シロウ、貴方は無敵無敗無双の大活躍みたいでしゅね。
貴方の介入が最早、勝確フラグだそうじゃないでしゅか。」
「どうも。でも それは、今はアナタが
「私、貴方に勝てた事は有りませんが?」
「それは単に、互いの
…その会話の内容からして、ふとしも昔は、シロウと同業だった様だ。
「はい、お待ちどうさまで〜ス。」
「おぉ。」
「待ってましゅた。」
そうした中、響が注文された品を持ってきた。
「…ふむ?」
「はい?」
その響の顔を、シロウがマジマジと見据え、
「いや、すいません。
仕事柄で何となく察せるのですが、お兄さん…貴方 結構なトラブル体質持ちじゃないですか?」
「はひ?!」
赤縁眼鏡を通しての鋭い洞察力に、響の声が裏返る。
「いや、完全な否定は しませんが、此処数年は、鳴りを控えてますよ?…って、どんな仕事??!」
確かに怒涛な中学3年時は、言う迄も無く。
そして高校時は入学1ヶ月程でヤ●ザとトラブったり。
2年の時は修学旅行先にて、他県の やはり修学旅行生と揉めたり(暴力と
他にも、中学時代の響の空手のライバルを自称する男が、「お前 何で空手やってないんや?!」と、大坂から殴り込み。
仕方無く空手部の道場を借りての非公式組手で、ララパルーザな死闘を演じたり(
3年の時には新学期早々、響に一目惚れした、所謂 悪役令嬢みたいな新入生女子に迫られ、その令嬢が響の彼女の晴華を、実家の財力に物を言わせて色々と潰そうとした修羅場勃発になったり。
コレは最後は響の友人女子の1人が、実は この令嬢以上の お嬢様でしたというオチで…友人女子の父親が、悪役令嬢父の会社を傘下に敷く大ボスだったらしく…逆に【お前の親父の会社、ぶっ潰すかんな?♡】と書かれた扇子を広げての笑顔で決着したり。 マジに潰したのか、その後その令嬢は取り巻き共々に学園から姿を見せなくなった
その他、その他…
…だったが、大学生になってからは、確かに平穏な日常だった。
「何か問題が起きた時は、相談に乗りますよ。」
そう言いながら、シロウは響に名刺を渡すのだった。
「…【蜘蛛の糸法律事務所 代表:溝口司郎】。
弁護士の先生でしたか…って、ふとし君、昔は もしかして弁護士??!」
「昔の話っしゅ。」
▼▼▼
「…ったく、バイトリーダーの権限で、出禁にしますよ?」
「いやいやいや、」
「それだけは、」
「どうか堪忍ぬで候。」
また別の ある日。
店の外、路地で正座している3人の外国人と、その前で腕組み仁王立ちしている響。
外国人はガストロ、スモッグ、グリップ。
嘗て響達が沖縄にて、衝突した殺し屋だ。
何が起きたかを簡単に言えば、この3人が店内で暴れようとしたのを、響が抑えた形。
先に言っておくが、響は この店には接客と荷物運びとして雇われている。
決して、
ついでに言えば、響はガストロ達に対して自身をバイトリーダーを名乗ったが、現在 居酒屋あずさのアルバイトは、響1人だけである。
「大体ガストロ! お前が梓さんに抜け駆けしようとするから!」
「ぬっ殺で候ぬ。」
「いや待て、誤解だ! 少し世間話をしようとしただけだ!」
そして この3人…と言うか、この店の常連客は殆んど全てが、一般人や殺し屋問わずに店の女将、大石梓のファン。
来年春、高校を卒業する娘が居るとは思えない程に若く見える…響曰く、普通に20代後半で通じる…未亡人歴12年の彼女の容姿、魅力に皆、下心無しに好意を寄せていた。
そして娘、蛍との母娘を尊うを善き哉とし、殺し屋達は手出し厳禁の誓いを立て、互いに牽制し合っていた。
そして今回、ガストロが梓に世話話をしようとした処に、同席していたスモッグとグリップが介入、その勢いで乱闘となる直前に、響が割って入ったのだった。
「これにタコさんが居たら、もっとドタバタしてたんだよ?」
この様子を、響の隣で笑いながら見ている少女。
店のバイトの傍らで、響が家庭教師として勉強を教えている、梓の娘の蛍だ。
彼女は当時の光景を思い出しながら、響に話す。
タコさん…つまり殺せんせーと、この3人に限らず来店していた殺し屋達は常時、店内にて喜劇さながらな乱闘?を演じていたらしい。
因みに梓と蛍は どういう経緯か、殺せんせーと この殺し屋達の素性は知っている。
しかし、当時の7月から約半年程の常連だったが、その時の殺せんせーの
▼▼▼
「まさか、
「HA! 違うさ吉良ボーイ、単なる観光さ。」
またまた別の ある日。
来店してきた殺し屋·レッドアイに、万が一の可能性を不安に思いながら、響が からかい気味に来店…来日の理由を尋ねると、その返しは平和な応えだった。
レッドアイが この店を初めて訪れたのは、やはり殺せんせー暗殺の時期。
E組の修学旅行時の暗殺アシストの際に1度 挫折した約1月後、
「にゅや! 久しぶりですね~!」
「あ、
…と、夜の町中で黄色いタコに絡まれ捕まり、その儘 店に連れ込まれたのが始まりだった。
そして その際に この男も、梓のファンになっていた。
「ま、観光も ついでだけどNA。。
メインの目的は、梓サンに会いに来た〜…って、旦那、ジョークだ、スティ スティ。」
そして一言、何処迄 本気か冗談かな言葉に、カウンター席角で1人、静かにウィスキーを飲んでいたスーツ姿の強面巨漢が、殺気全開放。
レッドアイに対して、縁無し眼鏡の奥の眼を鋭く光らせ、無言で睨む。
「…。」
殺し屋では無いが、一般人とも言えない この男の迫力に、レッドアイは笑いながら宥めに入った。
殺し屋と云っても、その分類は多種多様。
正面からの近接戦闘を専門とする者も居れば、存在を悟られずに
そしてレッドアイは、遠距離からの
しかも事を起こせば、バイトリーダー(笑)の権限で、この男共々に店の出禁は確定。
「…。」
尤もレッドアイから
2年前に初めて この店に顔を出した時に、ある理由から出禁を言い渡され、少し前に漸く、その出禁が解除されたばかりなのだから。
そして やはり この男も、梓のファン。
仕事柄なのか、レッドアイだけで無く他の殺し屋達とも それなりに面識が有り、彼等とは、梓に対しての抜け駆け厳禁の誓いを立てていた。
「落ち着けって、機嫌直せよ旦那〜?
吉良ボーイ、俺の奢りで旦那にワイルドターキーお代わりだ〜。」
「…。」
「はいは〜い…っにしても梓サン、本当にモテモテだよなぁ。」
…ガラッ
「あ、いらっしゃいませ〜♪
3名様で良いですか〜?」
そうしたトラブル回避の中、新たな客が。
「応。とりあえず生3つと、」
「下足揚げ、手羽先、ポテトフライ、」
「タコわさ、枝豆、ししゃも、それから…」
テーブル席に着くと同時、壁に貼られたメニュー札を見て、次々と注文していく3人。
その風貌は、レッドアイが旦那と呼んでいる男と同様、一般人の それで無く。
しかし、
所謂
≫≫≫
「ぅいぃ〜、所でだ、女将?」
「はい?」
それから暫く。
それなりな酒や料理を口に運んだ後、チンピラ3人のリーダーの様な男が、梓に声を掛ける。
「「…!?」」
その流れに、
この3人は店に入った時から、『この前よ、●●が調子こいてたから、〆てやったぜw』『流石、アニキ!』…な会話を大声でしており、3人を除く店に居た者全員が呆れると共、何か やらかさないかと警戒していた。
「ほれ、アレだよ?
こんな場所で店やってると、色々とトラブルが起きたりしないか?」
「だからよ、俺等が そのトラブルをバスターしてやっからよ♡」
「手間料は、そうだな…毎月の店の売り上げの3割で良いぜ?www」
「「「「「…。」」」」」
そして予感的中。
「いえ、そういうのは大丈夫ですから。」
そして梓は この提案に対して、笑顔で きっぱりと お断り。
「はあ゙?!」
それを見たアニキと呼ばれていた男が、下卑た嗤い顔を瞬時に強張らせ、
「テメー、巫山戯てんのか?」
「折角アニキが、良い話 持ってきてやってんのによ?!」
腰巾着 舎弟と思われる若い男2人も、自分達の望んでいた応えで無い事に、声を荒げる。
「まーまーまーまー、お兄さん達、落ち着けって。
もう少し、穏便に…NA?」
「あ゙ぁ゙っ?!」
「んだ? 外人??!」
其処に割って入ったのはレッドアイ。
「梓サン、コッチの3人に海苔茶漬け。俺の奢りだ〜。」
「はいよ〜♪」
…からの、遠回しに店の退場を促し、
「「巫山戯んな!!」」
「…って、お前も応対してんじゃねー!!」
それに響も同調、茶碗に白飯を盛ろうとする。
「お前等、俺を舐めてんのか?
俺はなぁ…
「その通りだ!」
「そんなアニキに逆らって、タダで済むと思ってんのか?!」
「え?」
「
「…。」
そして怒りの儘、自身が所属していると思われる その名を出した時、一瞬だが店内の時間が止まった。
「おいをゐ…兄さん達、悪い事は言わねー。
もうマジ、勘定して さっさと店から出た方が良いZE?」
それを聞いたレッドアイが、顔を少し引き攣らせ、今度はストレートに退店を勧め、
「え~と、お代金は〜」
響も注文一式が記された伝票を差し出すが、
「「「巫山戯んな!!?」」」
それ等は火にガソリンだった様で、
「舐めんな、クソガキが!!」
「いや、俺とアンタ、大して変わらんでしょ?」
子分Aが遂に手を出す…殴り掛かるが、響は冷静に それを捌き、その手首を掴むと
「…正当防衛成立だよね?」
バシッ!
「ぎゃっ?!」
合気道流の小手返しで、静かに床に組み伏せた。
響も大学生となり、人間的に丸くなったか…これが中学時代なら、顔面への拳打連打や、頭から落とす系の派手なプロレス技での
「て、テメーッ!?」
「DA〜KA〜RA、止めとけってNo!」
「ぅ…?!」
反撃に出られるのは計算外だったか…それを見た子分Bが 慌てて救援に入ろうとするが、レッドアイが その前に立ちはだかる。
如何に この男が狙撃専門で、近接戦闘は不得手と言っても、それでも其処等の
ス…
そして今迄 無言、カウンターの角の席で静かに飲んでいた巨漢…
「…。」
「な…何…だよ…お前…」
そしてチンピラリーダーの前に立つと、無言の
「な…何だよ…お、お前も
その俺に手を出したら、組の連中だって、黙って無いz…(グィ…)…ひぃぇっ?!」
その迫力に、目の前の漢も堅気で無い…且つ自身より遥かに格上と感じたのか、組の看板を盾に難を逃れようとするが
胸倉を掴み、身長191センチの自身と目線が合う高さ迄リフトアップすると、剛腕を振り上げ、硬く握り締められた剛拳を振り翳す。
その拳がアニキの顔面に直撃、頭蓋が爆散し、肉片や脳漿が周囲に ぶち撒けられ
「ストップだ 花山君! 店、出禁にするよ!!」
「…!?」
…ピタ
「ひぇ…」
…る、前に、響が それを制止。
その拳は、顔面直撃迄 残り数ミリの位置で停止した。
「兄さん、吉良ボーイに礼を言っときな。
兄さんの命の恩人だZE?」
「ぁゎゎ…って、は、花山君て!??」
「…ったく、ヤクザ吹かすなら せめて、其処の
ネタばらしすれば、実は
ガラ…
「こんばんは、梓さん〜♪」
「「「来ちゃいました〜♡」」」
そして このタイミングで、新たな客が4人。
「…って吉良君、何か揉め事でしゅか?」
それは ふとし他、皆が殺し屋の集団で有り、殺し屋達の中では最初の この店の常連達だった。
今は完治しているが、当時の梓の体調的な事情で、殺せんせー暗殺の
それを察したピンクのエロダコも、便乗するかの様に店に通う様になっていた。
ガラ…
「「「こんばんは〜♡…って?」」」
更に本当に少しの間を置いて、ガストロ、グリップ、スモッグの3人も来店。
「吉良君、一体 何事ネ?」
「速やかに話すで候ぬ。」
「簡単に言えば、斯々然々。」
彼等が響に説明を求め、響が それを簡潔に解説。
「「「「「「「はぁあぁ!!!?」」」」」」」
弩轟!!!!
「「「ひぃええっ!!?」」」
それを聞いた殺し屋達が、怒気と殺気を全開。
嘗て殺せんせー…最強の殺し屋"死神"と呼ばれていた人物が、
「落ち着きなさいって。」
そして それを諌める響。
今この店には騒ぎを起こしているチンピラや殺し屋達だけで無く、極々普通の一般客も数名居た。
だから響は素早く
故に梓達には、アニキ以下チンピラは、単に ふとし達の迫力に萎縮している様にしか見えていない。
≫≫≫
「いや、お前等…この店に集ろうとするとは、本当に良い度胸してるよな?」
「しかも花山の旦那の組の名前、出すなんてな?」
「ぬっ殺で候ぬ。」
「…。」
「「「すすす、すいませんスイマセンすいません!!!!」」」
店裏の狭い路地。
土下座謝罪するチンピラ3人を睨み付ける、殺し屋達。…と花山。
勿論この3人は、花山組とは何の関係も無く。
只単に、その
「旦那、本当に殺らなくて良いのかい?」
「今なら無料の大サービスでしゅよ?」
「「「ひぇっ?!」」」
「…。」
有罪判決…銃やナイフを構える(違法)殺し屋達の
曰く、『
既に その為の迎えは、呼んでいるとか。
「本当にスイマセン、改心しました!」
「もう、2度と この様な真似は!」
「だから もう、堪忍して下さい!」
その やり取りに、チンピラ3人は必死に許しを乞うが、組の看板を汚した罪が、その
恐らくは過去に今回同様 恐喝行為をした者達に対して、その慰謝料賠償金を払う事になるのだろう。
花山と同業の者が経営する、とある金融機関から借金をして。
「「「「「もしかして
…その借金を返す為、彼等は この先、山の中の重労働を強いられるか、若しくは海の向こうの外科医を紹介されるか…
何れにしても結果、椚ヶ丘市で この先この3人を見る者は、誰1人として居なくなるだろう。
彼等は それ程の、禁忌を踏んだのだから。
▼▼▼
「OHANASHI(笑)は、済んだみたいで…」
「まぁな。」
花山が呼んだ組衆が、チンピラ達を何処かに連れ去った後、店内に戻った殺し屋達with花山に響が声を掛ける。
「はい、皆さんの
「「「「「「ありがとうございます、梓さん!」」」」」」
そしてカウンターには、彼等が何時も注文する、定番メニューが並んでいた。
花山君(20)…花山薫(刃牙シリーズ)のイメージで。
▼▼▼
居酒屋あずさ…原作では10人程度のカウンター席だけだった感じ?でしたが、この作品では原作での騒動の少し後に、店舗移転&リフォームした設定で。
≫≫≫
【おまけ:ボツキャラ紹介】
前回に続き、設定を考えていたが、結局 出番は無かったキャラ達
・
実は50話に登場して、少しだけ喋っている。
番外編みたいな感じで、
容姿イメージは ロバート●山 喪黒福造(笑ゥせぇるすまん)で。
「いきますよぉ、スカーレッド·ニードルぅ…どーん!!」
・魅武豹我
元ネタは『トラバス』のラムネの人。
アカシの父親候補の1人だった。
因みに この人がマジにアカシ父親だった場合、【揉め事打壊の時間】の時、少なくとも死人が確実に6人は出ていたw
最終的に道雪さんがアカシ父になったのは、それが理由。
・響の空手のライバル
今回に過去エピソードとして、少しだけ登場。
モデルは某·浪速の虎。
・悪役令嬢
今回の過去エピソード参照。
モデルは特に無し。
適当に取り巻きA·Bを従えた金髪縦ロールで、「お~っホッホッホ♡」なのをイメージして下さい。
・更識の妹
響の高校時のクラスメート、更識竪奈の1つ年下の妹。
響達が2年に進級した年に、新入生として椚ヶ丘高校に入学する。
あらゆる面で優秀な姉に対して
更識も それについて悩んでいて、その話を聞いた響達が仲を取り持つな話を考えてたが…
「仕方無いっスね〜?」
「此処は、我が友人の為に!」
「俺達が一肌、脱いでやるか?」
「…吉良、リアルに脱いだりしないでよね?」
「それな。」
「うむ。」
「だね。」
「吉っクン、それマジに お願いね?
あの子そっち方面の免疫、まるで無いからさ。」
「脱ぐか!? お前達は俺を、一体 何だと思っている??!」
「「露出狂の、」」
「「「変態。」」」
「ふっきん。」
「いい加減にしろ!!」