暗殺聖闘士   作:挫梛道

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響の時間

大学卒業式間近の2月末の週末。

 

「吉r…早乙女っち、カシオレお代わり。」

「俺、麦の湯割り、梅干し付けてな!」

「酢もつー!」

「野菜スティックー!」

「ジンライム!」

「ハイボール!」

「明太玉子ー!」

「はいよー!」

居酒屋あずさ。

この日は響のバイト先だった この店にて、嘗てのE組メンバー…現在都外に居る者を除く殆んどが集い、プチ同窓会の感な宴が開かれていた。

席は殆んど埋め尽くされ、ほぼ貸し切り状態である。

  

「…って、今日は俺も、お客様な筈じゃ?」

「まぁまぁ響君、きちんとバイト代は払うから。

蛍の大学合格の、お礼も込みでね♡」

響の給仕をしながらのボヤきに、店の女将、大石梓が微笑みながら応える。

   

「しかし吉良…いや、もぅ早乙女と呼ぶべきか?…の結婚報告のメールには、本当に驚いたよな。」

「…だよね。」

そう言って それぞれ、焼酎とカシスオレンジを口に運ぶ、千葉と速水。

  

「卒業前だからね〜♪

俺さ、てっきり吉良っちが失敗しちゃって、早乙女サンに子供が出来ちゃったかと思ったよ〜?

…で、慌てて籍入れた、みたいな?」

「悪い、俺もだ。」

「私も。」

「違うからな。」

「はは…」

「あははは…」

グラスの中の氷を鳴らしながらの、カルマ達の冗談混じりな台詞に、笑いながら否定する響と、苦笑しながら それを聞く渚と茅野。

 

婿入りは、前から吉良家(ウチ)早乙女家(アチラさん)とで決まってたんだ。

それなら社会に出る前に、もう名前変えてた方が良いと思ったんだよ。」

早乙女響。

先月末、響と晴華は目出度く籍を入れていた。

吉良家と早乙女家は元々が…吉良家が某県某市から椚ヶ丘市に引越す迄…それこそ響が産まれる前からの お隣さん同士。

だからこそ、互いに相手の子供の事も知っていたし、小学校高学年の頃には、2人が付き合っているのも両家公認だった。

しかし、問題は早乙女家。

この家には子供が晴華しか居らず、彼女の両親からも「響君も無理にとは言わないが、出来る事なら〜」と、前々から言われていたのを響、並びに吉良家も了承したのだった。

  

「ま、ウチには跡継ぎは、鬼ぃちゃん居るし。」

 

≫≫≫

「結婚式なんかは、まだ先の事になるけどな。」

「式が決まったら、また連絡寄越せよな。」

「有る事 有る事、色々と言ってやるぜ♪」

「そうそう、露出癖とかね〜♡」

「…で、それを片岡や岡野にシバかれる迄をセットでなw」

「すいません、それマジに止めろくれさい。」

烏間とイリーナの結婚式では、イリーナの痴女(ビッチ)っぷりや烏間の鬼畜ぶりを、自身を含めて遠慮無しに散々と ぶち撒けていた面々に対し、「コイツ等マジに言うからな」と、響が真剣に止めに入る。

  

≫≫≫

「な、何という事だ…」

「磯貝君 唯一の弱点、ボンビーが克服された…ですって?!」

「完璧なイケメンだ!」

「何なんだよ!?」

そうしている内に、次の話題は皆の勤め先の話。

磯貝は某大手商社に。

杉野はドラフト2位で、北海道に拠点を構えるプロ野球チームに入団。

既に店内の壁には、『居酒屋あずさサンへ』と添えられた、杉野のサインが茅野…女優·磨瀬榛名のサインと共に飾られている。

木村は両親と同じ道を進むべく、警察学校へ。

不破は某出版社、三村は某テレビ局に入社が決まっている。

  

「そして渚と吉良が、先生か〜?」

「まぁ、2人共、中学の時から それは言ってたし?」

そして響と渚の2人は4月より高校教師。しかも同じ学校に赴任すると言う。

  

「教育実習とか、教師になるのに必須な単位とか全部 取って…後は卒業するだけとなった翌日、何処から情報仕入れたのか、その学校の校長直々に、『我が校で教鞭を振るってみませんか?』って勧誘(スカウト)されてさ?

…渚も どうせ、同じパターンだろ?」

「うん。全く以て、その通りだよ。」

更には その学校への赴任の経緯も同じらしい。

  

「しっかし まさか俺達が、()()()()に、ねぇ…?」

「うん、本当だよね。」

「それもだけど私としては、()()()が あの学校の校長先生になってるのが、驚きだよぉ。」

「「確かに。」」

 

ガラ…

 

そんな会話の中、店の扉が開く。

 

「いらっしゃいまs…って、」

「「「「「烏間先生!!」」」」」

「やぁ皆、久し振りだな。」

入ってきたのは嘗てのE組の副担任、そして今は防衛省総合情報部特別海外調査室の室長である烏間惟臣。

E組…暗殺教室の件の功績による、大出世だ。

  

「…。」

そして もう1人。

烏間の手を握って姿を見せたのは、ウェーブの掛かった黒い長髪に、天然の金メッシュが入った幼稚園児位の少女。

その顔立ちは、

「「「「「「「小ビッチ先生?!」」」」」」」

どう見ても、やはり嘗てのE組外国語担当教諭だった…今は烏間の妻であり部下のイリーナを幼くした物。

  

「え? この子、烏間先生とビッチ先生の子供?」

「ああ、娘の沙理那(さりーな)だ。」

「「「「可〜愛い〜♡」」」」

「お嬢ちゃん、可愛いね〜? 何歳(いくつ)かな?」

「「「木村。」」」

「ああ、任せろ。岡島、逮捕だ。」

「だから何でだよ?!」

その沙理那(5)に群がる、E組(元)の面々。

 

「烏間先生、ビッチ先生は来てないんですか?」

「ママはね、『私もイクぅ~っ!』って言ってたけど、今ママお腹どどーんだから、パパが『ダメだ』って怒ったの。

だから今日は留守番、お休みなんだよ。」

倉橋の問い掛けに、烏間の代わりに沙理那が腹を大きく膨らませる様な仕草を混ぜて答える。

どうやらイリーナは現在、身重な様だ。

  

「予定は4月の中頃だな。」

「「「「「おめでとうございます!!」」」」」

「ありがとう。…それから吉良君も、おめでとうだな。」

「ありがとうございます。…梓さん、とりあえずビールと焼き鳥、お願いしまーす!…で良いですか?

…と、沙理那ちゃん…は、何が食べたいかな?」

「ああ、それで宜しく頼む。」

「わたし、たぴおかみるくてー。それと、ぷりん。」

「はいは〜い。」

  

RRRRRRRRR…

 

「もしもし…ああ、丁度 今、着いた処だ。

………………………分かった、スピーカーにする。」

このタイミングで烏間のスマホが鳴り、其処から飛び出してきたのは、

はぁ〜い、生徒達ぃ〜♡

久し振り〜♡ 元気してる〜?♡

「「「「「「ビッチ先生!」」」」」」

7年前と変わらぬ()()の、イリーナの声だった。

  

「「「「「「ビッチ先生、赤ちゃん、おめでと〜!」」」」」」

『ふふん♪ ありがとうね♡

…で · も、おめでとうと言えば、ヒぃ〜ビキ! 居るんでしょ?』

「〜っす。」

女性陣の お祝いの言葉に機嫌良く応え、やはり今『おめでとう』な響を呼ぶイリーナ。

  

『…アンタさぁ、「おめでとう」は良いけど、避妊とかはキチンとしてないとダメじゃない。

彼女ちゃんだっt

だから出来婚じゃねーよ!!

『え゙っ、違ってたの?

だって、在学中の急な籍入れってゆーから、てっきり…ねぇ、アナタ?』

「…。」

イリーナの勘違いによる駄目出しに、盛大に突っ込む響。

そして それを聞き、意外そうに驚くイリーナ。…と、何やら気不味そうに、明後日の方向に顔を向ける烏間。

  

「烏間先生〜?」

「…すまない。」

どうやら烏間も今迄、同じ勘違いをしていた様だ。

 

≫≫≫

「〜〜〜〜〜〜♪♡」

プリンを頬張りながら、凄く ご機嫌顔な沙理那。

 

「メ〜グ〜? アレ、良いの?」

「あはは…まさか あんな小さな子供相手に、本気で怒ったりしないわよ。

可愛いライバルが現れた?…みたいな?」

何の話かと言えば、沙理那は今、磯貝の膝の上に ちょこんと座っての食事中なのだ。

どうやら この お子様、イケメンに一目惚れ。

響達と談笑している磯貝を見て、トコトコと彼の前立つと数秒、顔をマジマジ見た後、いきなり無言で膝の上だった。

この時に、『流石イケメンだ!』の声が乱舞したのは説明不要。

この光景に中村が冗談混じりに片岡を茶化してみると、彼女は自信か信頼か、余裕の返しだ。

  

「これは烏間先生的には?」

「う〜む、磯貝君なら別に構わない…かな?

…しかし、やはり年の差を考えると…だが…ぶつぶつ…

「「「烏間先生?」」」

そして烏間。

原の笑いながらの振りに、何か真剣に考え始める。

これには周りの一同も少し引き。

烏間が言うには、自分の娘は母親の血なのか既に、幼稚園で逆ハーレムを築き、園内で女王の如く君臨しているらしく。

これには夫婦揃って…あのイリーナさえも、普通に母親として…頭を悩ませているらしい。

 

「あ〜…」

「その光景、普通にイメージ出来るわ…」

だからこその、何処迄 本気かは分からないが、『磯貝君なら』なのだろう。

  

「木村ぁ〜、アレは捕まえなくて良いのか?」

「何故そうなる? 微笑ましいだけで、別に何も問題無いだろ?

岡島(オマエ)なら即、現行犯逮捕だけどなw」

「いい加減にしろ!」

  

≫≫≫

その後も…

 

「全くアンタ達、もう直ぐ社会人なんだから、少しは落ち着きなさい?」

「…あ、アンタは もう1年 大学生かw」

「放っといてくれ!」

一体 何が有ったのか、店内で正座している前原と岡島を、狭間と岡野が説教していたり…

 

「ぬわーーーーっっ!!?」

そして やはり何が有ったのか、寺坂が響にクロス式パロ·スペシャルを極めていたり…

 

「「ぎゃはははは!!」」

「バカだ、コイツ等マジにバカだ。」

そんな様子を、吉田、村松、イトナが笑いながら見守ったり。

 

「「はははは…」」

まるで中学時代と変わらない様な その雰囲気を、渚、そして茅野も笑いながら見ている。

 

 

 

…大学卒業後は、これだけの面々が一同に集うのも、難しくなるんだろうな。

皆、それぞれが別々の道を選び歩んで行くんだ。

 

『キミに合っています。』

 

そして それが どんな道でも、殺せんせーは笑って そう言うんだろな。

私達は あの1年間、殺せんせーから『殺す』という授業(テーマ)の中で、同時に『生きる』…『命』という事も教わった。

それは今も、私達の中で生きてるんだ。

私も皆も、それを ずっと繋いでいけたら良いな…

形は様々だよ?

誇り(プライド)という命。

分け与える命。

そして…愛しく育てたい命。

あの殺意渦巻く暗殺教室で習った色取り取りの、命の やり取りを。

 

  

≫≫≫

「ギャッーーーース??!」

『あ、寺坂さんがパロ·スペシャルから、クロス式のOLAPにスイッチしました!

吉良っちさん、いよいよピンチです!!』

 

「……………。」

茅野が そんな風に思う中も、狂騒は終わる様子は無かった。

 

 




 
【おまけ:ボツキャラ紹介】
またまた前回に続き、考えてはいたが、結局 出番は無かったキャラ達の紹介。
 
・烏間銀斎
烏間先生の2才歳下の弟。
やはり防衛省所属の役人で、容姿は烏間そっくり。
兄と同じく有能だが、堅物な兄と違い、不真面目…と迄は言わないが、多少アバウトでユーモラスな面を持ち合わせている。
中の人は、アニメ烏間と同じく杉田さん。
クソ真面目な烏間先生に代わり、烏間顔のキャラに思いっきり杉田さんして貰おうとか考えていたが、どうやってストーリーに関わらせるか、ネタが浮かばなかった…(汗&笑) 
 
・神崎さんの従兄
『アイドルの時間』の時に、存在だけ明かしていた。
実はハーメルン内の作者別作品の主人公と同一人物(?)で、セルフコラボな感じで響と仲の良い場面とか考えていた。
因みに この小説、E組生徒が何人か登場している。
何やかんやで響の容姿モデルが このキャラと同じになってしまい、関連の話は全ボツに(笑)
 
・響の空手の師匠
前回の感想の返しにて存在を明かしたが、モデルは独歩さん(刃牙シリーズ)
    
・響の父親
一応 過去2回、響に拳骨喰らわず役で登場している。
白銀父(かぐや様)か桜井志郎(宇崎ちゃん)をモデルに考えていたが…
    
≫≫≫
【おまけ②:響のモデル変更歴】
書いてる途中で、容姿イメージが変わっていった主人公(笑)
 
・雪代縁(るろ剣)
…を、グラサンを外して黒髪にした感じ。
最初は こんな風でした。
 ↓
・グレイ(フェアリーテイル)
直ぐ脱ぐヤツ』で、「あ、そう言えばコイツが居たじゃんw」な感じで変更。
 ↓
・紫龍(聖闘士星矢)
…の、後髪をばっさりと切った短髪ver.
最終的には露出癖というか、脱衣癖の元ネタの、この人に落ち着きましたね。
 
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