本作では、なるべく、時軸通りに話を進める方針です。
なお、今回の「英語(笑)」の突っ込み&指摘は堪忍して下さい。
京都に到着した椚ヶ丘中学校一同。
修学旅行、初日の日中は学校が指定したコースを巡り、その後は本校舎組とE組に別れ、それぞれの宿泊先に向かった。
その際、E組の面々に対して嫌味を言ってきた、D組の男子生徒2人が響の手によって(以下略)。
≫≫≫
「死んだ~…先生、死にました~…」
旅館のロビーのソファーで、真っ青…本当にリアルブルーな顔で、完全にダウンしている殺せんせー。
「1日目で既に瀕死なんですけど…」
「まさか、新幹線とバスで酔ってグロッキーとは…」
「大丈夫?寝室で休んでいたら?」
心底 心配そうな表情をして気遣いながら、ナイフを振り回す片岡、中村、岡野。
「大丈夫です…心配ありません。」
そして完全グロッキーながら、それでもナイフを躱す殺せんせー。
≫≫≫
「JAMA, suruze~? Boys & Girls? Mr.カラスマ, irukai?」
「「「???」」」
ロビーで数人の生徒が喋っていると、そこに明らかに外国人…朱いサングラスにニット帽、そしてストールを纏った若い男が、英語で話し掛けてきた。
「だ、誰?…てか、英語?」
「全部、聞き取れなかったけど、烏間先生に用があるみたい?」
≫≫≫
「彼は通称、レッドアイ。
今回の修学旅行の為に、国が依頼した
烏間は生徒達全員を広間に集め、レッドアイを紹介した。
「HAHー! Yoroshikuna!Boys & Girls!」
「「「「「「……………………。」」」」」」
「Nn〜? Hey, Genki naina?
Meshi, kuttenainoka? HAHー!」
レッドアイと紹介された男は、やや早口な口調の英語で、あくまでもイメージ的な話だが、とてもプロの殺し屋とは思えぬ明るいノリで語り掛ける。
「てっきり【無口無表情で濃い眉毛のオッサンな殺し屋】が来ると思ってばかりいた。」
…と言っているのは、ボブカットの少女。
「今から各班の班長は、彼と明日以降の暗殺の打ち合わせをしてもらう。
それと吉良君…」
「はい?」
「君も、通訳として、このミーティングに立ち会って欲しい。
これは、あのタコの指名だ。」
「はぁ…分かりました。」
「Yoroshikuna, KIRA-boy?
Tokorode, 殺せんせーtoyarawa, Dokodai?」
「AH, Ano TAKOnara, Makura wasuretatte,
Imawa TOKYOni modottemasuyo.」
「
≫≫≫
「本当に中学生か、お前は?」
「以前、言ったろ?鍛え方が違うと。」
旅館の浴室。響の鍛え絞られた身体を見た、前原達が突っ込みを入れる。
「しかも何なんだよ?
その、超凶暴凶悪そうな
「ふっふっふっふっ…」
「畜生〜! あのパツキン彼女も、この龍の餌食になっt(ガン!)うわらば?!」
血涙を流す岡島の顔面に、洗面器が炸裂した。
「まだ、其処まで行ってねーよ!!」
そして岡島の発言を、必死に否定する響。
「とりあえず、キスまでだよな!」
「前原〜?」
「「「「「充分
そして更に混沌する浴場。
そんな中、
「HAH!Shitsurei suruze~!」
「あ、レッドアイさん…って…」
「「「「な、何じゃあ そりゃ~?!」」」」
レッドアイの
「流石は外国人、凄ぇー!」
「パねぇー!」
「HAHー!Motto, NIKU kueyo? Boys?」
大浴場で、響の通訳を交えて裸で語り合う男…否、漢達。
「ん?渚?」
「や、やあ…」
其処に新たに、渚がタオルを巻いて中に入ったきた。
当然、腰だけなのだが…
「「「「なぁ~ぎさぁ~っ♪!!」」」」
それを見た男子達が詰め寄る。
「わ?! ちょっと、皆?」
「お前、何タオルなんか巻いてんだよ!」
「しかも、バスタオル!」
「皆、そんなの してないだろ?」
「少しは空気読め、オメー!」
「おら! そんなの没収だ!!」
「うわ! 前原君、止め…」
「やれ前原! 殺っちまえ!」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
≫≫≫
orz orz orz orz orz orz orz orz orz…
「誰だよ…? 弩草食とか絶食とか言ってた奴は…」
「どー見ても肉食じゃねーか…」
「小動物の皮を被った野獣だ…」
「OH…JESUS…!!」
風呂上がり。ロビーでorzる響達。
「あら?男子達、どうしたの?」
「レッドアイさんも?」
其処に、同じく風呂上がりの女子が数人、合流してきた。
「…よく解らないけど、自尊心を粉々に打ち砕かれたとか、何とか?」
「何よ それ??」
普通じゃない男子達に、代表で岡野ひなたが何が起きたのかを聞くが、響達は皆、言葉を濁して具体的に話そうとしない。
「渚、何があったのよ?」
「…ノーコメント。」
改めて渚に問うも、その渚も目を明後日の方向に流し、顔を背けるのだった。
「「「????」」」
▼▼▼
修学旅行2日目。
AM9:20
昨夜、E組学級委員の磯貝が中心である1班との打ち合わせで、
それは列車の客が、保津峡の絶景を堪能する為に一時的に停車する鉄橋の上だった。
タイミングは保津川下りの船が、橋の下を通る時。
「あっ、見て見て殺せんせー! 川下りしてる!!」
倉橋が殺せんせーに、川下りの船が来たと指差す。
「お? どれどれ? おお!!」
それを聞き、一目見ようと窓から身を乗り出した殺せんせー。
ドクン…
自分達が計画した、暗殺の
1班の生徒達の心臓の鼓動は最速に達し、顔も緊張で強張る。
そして その瞬間、レッドアイのライフルのスコープは確かに殺せんせーをロックオンして…
ドシュ…
その銃口からは、ライフル用に加工された対せんせー弾が放たれた。
過去に様々なハードな条件の下、確実に仕事をこなしてきたレッドアイにとって、今回の仕事は かなりイージーな心算だった。
あの特殊ライフル弾は、確実に あのタコの脳天に命中した筈…
確認の意味合いで、スコープ越に暗殺対象(ターゲット)を覗くレッドアイ。
しかし…
「
殺せんせーは、自分目掛けて撃たれた、対せんせー弾を八ツ橋2つで挟み込む様にキャッチしていた。
「おろ? 八ツ橋に小骨が?
危ない事も あるもんですねぇ?」
如何にも「残念でした」と言わんばかりのドヤ顔で、磯貝達1班のメンバーを見渡す殺せんせー。
1班メンバーは我関せずと言いた気に、顔を逸らすしか出来なかった。
再び動き始めたトロッコ列車を、茫然とした顔で見送るレッドアイ。
Shit! カラスマ·サンから、常識外れの規格外とは聞いてはいたが、まさか、此れ程までだったとはな…!
成る程…月を破壊したという、100億YENの賞金首…
とんでもないMonsterを殺す依頼の様だ…。
…面白れぇ!
次こそは このレッドアイの名に賭け、確実に殺って殺るよ!
首を洗って待っていろ、タコ!!
≫≫≫
AM11:20
千葉龍之介を班長とした2班は、(速水リクエストの)東映太秦映画村に来ていた。
「そのまま 大人しく去るが良いで候。
拙者、無益な殺生は好まないで候。」
数人の浪人崩れに絡まれていた町娘を自身に抱き寄せると その儘、お姫様抱っこして お持ち帰りしようとする主役侍。
巫山戯るなとばかりに浪人の頭目らしき男の号令で、派手な太刀回りが始まった。
因みに菅谷創介アイデアの、役者に対せんせー刀を持たせて殺るという案は、目立ち過ぎるという理由でボツになっていた。
「間近だと、刀の速度、パねぇな!」
「より速く魅せる、完成された動きです。
先生、こういうの、大好きなんですよね。」
そうした会話の中、撮影セットの火の見櫓の上で待機していたレッドアイは、先の汚名返上とばかりにスコープを覗く。
成る程、サムライのチャンバラ·ショーか…
事前に俳優達には 派手な殺陣をする様に頼んであるんだよな。
俺の腕ならアクションに魅入って、殆ど動かない
レッドアイは そう思いながら、スコープ越に
「ん?何処に行った?」
見物客の中に居る筈の、殺せんせーの姿を見失ってしまう。
だが、次の瞬間…
「ヌルフフフ…助太刀いたす。
悪党共に咲く徒花は血桜のみぞ…!」
何時の間にか衣装を着替え、役者に混じって派手な殺陣、決め台詞も完璧に演じてる殺せんせーを見つけるのだった。
「
思わず叫んでしまうレッドアイ。
E組のメンバーも、考えている事は同じなのか、目を点にして、唖然としている。
殆ど動かない見物客側なら兎も角、動きの速い役者側、それも傍に同等の動きをする共演者が居るとなると、正確に狙えない。
ちっ…誤射覚悟で撃ってみるか?
いや、今回の仕事は、巻き添え等の それが絶対に許されないとされている…
それで信用信頼を失い、今後の仕事の依頼の影響を考えてみたら、それは悪手でしかないな…
「チィッ、此処じゃ、無理か…!」
結果、映画村での
常識外れの動きをするが、絶対に惑わされるな。
「……………………。」
改めて、烏間の言葉を思い出すレッドアイ。
「だ・か・らって、ありゃ、常識外れ過ぎるだろーが! カラスマ·サンよ?!」
≫≫≫
その頃、渚を班長とした4班は、嘗て坂本龍馬が暗殺されたという「近江屋」の跡地に来ていた。
「茅野ちゃんてさ、龍馬の事、どのくらい知ってる?」
「フッ…」
響の質問に、茅野は間を空けて答える。
「知らんぜよ!」
「あー、少ししか知らないってのは、よく分かったよ…」
渚が言うには、この近辺は あの織田信長を始め、大小を問わず様々な暗殺が完遂されたという。
「謂わば この街は、暗殺の聖地といっても過言ではないんだ。」
「「「へ~、そーなんだ~?」」」
余談だが この時、響、茅野、杉野の頭の中で、爽やかな笑顔で氷の上を滑走する織田信長のイメージが浮かんだのは、物語本編には一切関係ない。
≫≫≫
PM2:20
現在、竹林考太郎を班長とした3班は、清水寺にいた。
「にゅや、遅くなりました!」
そこに殺せんせーが合流。
「殺せんせー、遅ーい!」
「もう清水寺、回っちゃったよ?」
「いや、申し訳ない!」
原寿美礼と櫻瀬園美の文句に平謝りする殺せんせー。
「全く…今まで何やっていたんだか…?」
「いや、先生も色々と ありまして…」
狭間綺羅々の呟きにも お茶を濁す。
尤も あれから映画村で、自分の演技に酔った殺せんせーは、呆れて その場を去る生徒達にも気付かず、暫くの間、殺陣に没頭していた…とは、とても言えないだろう。
「それでは、二寧坂で お土産探しと洒落込みますか!!」
「どーせ、甘いモンしか興味ねーだろ!」
殺せんせーの言葉に寺坂がケチを付けながらも、一行は お土産屋を回って行った。
そしてレッドアイ。
彼は清水寺と八坂神社の中間にある、法観寺…八坂の塔の最上階で待機して、狙撃の機会を伺っていた。
よーし…此処なら じっくり狙えるぜ。
狙撃のタイミングは、三寧坂の出口…
買った土産を確認しようと、生徒が気を引いた瞬間…!!
≫≫≫
「殺せんせー、今 買った、あぶらとり紙、使ってみなよ?」
原が土産袋から、あぶらとり紙を取り出した。
「うーむ…ベトベト穫れたら、先生、恥ずかしいですねぇ…」
「「いーから いーから♪」」
ぺたんぺたん…
遠慮がちな殺せんせーの顔中に遠慮無く、紙を貼っていく原と櫻瀬。
「今だ!」
その時、レッドアイが引き金を牽く。
ドッ…
「YES! 確かにコメカミに命中したぞ!!」
そしてレッドアイはスコープ越しに、確かに それを見た。
…が、
「
即座、レッドアイは突っ込みを入れてしまう。
彼が見たのは、ライフルから飛び出た対せんせー弾が、顔に貼られ、粘液を多量に吸収して盛り上がった あぶらとり紙に、ガッチリと遮断されていた場面だった。
「ほら、言わんこっちゃない!
こんなにも粘液が とれてしまった!?」
ねとぉ…
「…弾丸も止める位!」
照れながらも余裕綽々な表情を見せる殺せんせーに、寺坂達は、顔をしかめるしかなかった。
「…何だ…何なんだよ! あいつわ!?」
同じ日、同じ
レッドアイは、自身の暗殺スコア35人という実績を持つ、プロとしての自尊心が折れかけていた。
≫≫≫
「…何、お兄さん等?
観光が目的っぽくないんだけど?」
「男に用は無ぇーよ。
女 置いて、とっとと消えな?」
そんな三寧坂での暗殺が行われていた頃、祇園町の奥の路地で渚達は、見た目が如何にも…な、高校生達に絡まれていた。