勝者と敗者の協定
1学期期末テストにてE組とA組の間で取り決められた勝負の件
3年A組一同は、E組に此の度の期末テストの勝負で敗れた場合、「下記の要求を全て無条件で従う」事とする。
※朝はE組の一番最初の生徒が登校してくる前に、全員が校門に整列し、E組生徒の登校を笑顔の挨拶で迎える事
補足…事前にメール等で連絡されてない場合を除き、E組クラス内の用事等で通常より早めに登校する必要のある生徒が居た場合、その生徒の登校時間に合わせて校門に整列しておく事
※校内外問わず、A組生徒はE組生徒を「さん」付けで呼ぶ事
※A組生徒は1週間に一度、「芸」を覚え披露する事。
補足…其の際、E組生徒から、一定の評価が得られなかった場合、その芸披露は無かった事とされ、翌日に再披露する事
(中略)
※全校集会等、全校生徒、或いは全同学年が集まる集会がある場合、E組生徒の最初の1人目が その場に来る前に整列して待機しておく事
※校内売店でのパン、ジュース等、授業必需品以外の購入禁止、並びに自動販売機の使用禁止。
及び、校内への昼食目的以外の飲食物の持ち込み禁止
補足…他組生徒等からの譲り受けも、不認とする。
※E組生徒に学食、及び図書館の使用権利譲渡。
それに伴い、学食、図書館の使用禁止
※教室内の空調機器の使用禁止
※本校舎エレベーターの使用禁止
補足…足を怪我した等の場合、松葉杖や他の生徒のアシストを得た上で、階段を使用する事
尚これは、過去に足を怪我したE組生徒の待遇の実例に基づく物である。
※土日祭日、及び夏休み等の長期休暇には、E組の花壇や栽培している作物の畑等の水巻きや手入れをする。
補足…当日、誰が作業に来るかを前日の朝までに、E組のクラス委員に事前にメールで報告しておく事。
作業終了した後は、クラス委員に画像附きメールで報告。
作業終了の了承を得た上で解散とする。
※『沖縄夏期特別講習』の受講権利の譲渡
※…以上の事柄が実行されてないと判断、または確認された場合、その場、或いは後日に其の者よりも成績上位者が物理的矯正を行う事とする。
補足…該当者が女子生徒の場合、違反者1人につき、男子生徒が1人~最大で20人が身代わりとして受ける場合も有り得る。
※…尚、此の実施期間は、此の書面が開封、内容が確認、此の同意書にA組代表者が調印した瞬間より、来年3月の卒業式終了までとする
我々、3年A組一同は、此度の期末テストに置ける勝負に敗れたので、『敗者は如何なる命令にも1つだけ従う』というルールに則り、『この協定書に同意』という『1つの命令』の基、上記要求に全て従います。
3年A組代表: 印
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▼▼▼
「ふっ、巫山戯るな!」
試験前、響の出していた封筒を開き、その内容を見た浅野学秀は、理事長の前と云うにも拘わらず、命令として多項目が綴られた文書を作ったであろう人物に、顔を真っ赤にし、顳に血管を浮かべて怒鳴り散らした。
「こ、こんな命令、いくらなんでも従える筈がないだろう!?」
「…理事長先生。浅野君の出した封筒、ちょっと貸して貰えますか?」
「き、吉良! 聞いているのか!?」
浅野の訴えをガン無視の響は理事長に、A組が、浅野がE組に対して、命令する予定だった事柄を書き記された書面が入っている封筒の差し出しを申し出る。
「どうぞ、吉良君。」
「ちょ、ちょっと待って下さい、理事長先生!」
浅野学秀の待ったを、華麗にスルーした理事長は、にこやかな顔で、響に封を渡す。
「待て、吉良!」
パサ…
今度は響に待ったを掛けるが、当の本人は どこ吹く風とばかりに封を開け、中の文面をまじまじと見つめる。
「はあ…」
そして響は大きく溜め息を吐くと、
「浅野ぉ…お前、こんなん要求するつもりでいて、こっちが同じ事を言ってきたら、『巫山戯るな』…かぁ?」
「う…」
呆れ顔&ジト目…そして、何やら可哀想な者を見る様な眼差しで、浅野の顔を見て言う。
浅野達A組が出していた命令書…その書面には、事前に無効とされているが、中間テスト終了の後に施行されている、瀬尾の待遇改善の他、「『さん』呼びの強要」「校門に整列しての朝の挨拶の要請」「週1の芸の披露」「A組がするべき作業の丸投げ押し付け」…等々、そして最後に『其れ等の全てを了承する』と云う、響達が書き込んだ内容と殆ど変わらない文面が書き込まれていたのだった。
因みに今回の瀬尾の成績は、総合で51位であり、自力で待遇復帰の権利は得られなかった。
「ガチで説得力 無いんですけど…ブーメランて言葉、知ってるか?
全く…何処の〇〇党だ?」
響は浅野の後ろに、例えるなら…他党に世襲は認めないと言いつつ、自党には推進している、或いは自身が世襲な某・国会議員が巨大なブーメランを投げている様を見るのだった。
「お前さあ…今更 逃げられはしないぞ?
男らしく ここに、サインしろよ?」
…と、響は協定書と一緒に、ズボンのポケットから、ペンと朱肉、そしてポケットティッシュを浅野に突き付ける。
「お前、もしも そっちが勝ってたなら、問答無用で俺にサインさせるつもりだったよな?」
「くっ…」
E組如きが…それを明ら様に顔に出し、屈辱に顔を歪める浅野に、理事長が声を掛ける。
「浅野…
「「!?」」
その言葉を発した顔は、響と浅野、どちらに対してなのか分からない、いや、見方によっては両方対して言っている様に受け取れる位、嫌味の様に、明るく爽やかな笑顔だった。
「浅野
普通に考えるとA組として、学内に示しを付ける意味でも、E組の要求は簡単に逃げたり断ったりは、出来ないよ?
どうする? 私が理事長権限を乱用して、
正直、少なくとも自分からは、そんな気は更々無い理事長が、自分の息子…いや、敗北者クラスのトップの生徒に皮肉と嫌味を込めた、優しい笑顔で尋ねてみる。
「理事長先生…たs
「浅野…次のお前の台詞は、『パパ、助けて~!(泣)』だ。」
「…!!」
浅野学秀が自分の父親、いや、学校内の最高権力者に何かを言おうとした時、響が その言葉を遮った。
その次の瞬間、
「貸せ、吉良!」
「うぉっ?!」
顔を赤くした浅野は、響の持っていた協定書とペン、そして朱肉を奪う様に引き穫ると、即座に署名欄にサイン、そして拇印を押す。
「ほら吉良、これで良いだろ!
僕達A組は、どんな勝負でも…例え それに敗れたとしても、姑息な手を使ったりして、その罰から逃げたりはしない!」
「…『巫山戯るな』とか、自分達が要求してた内容は棚で散々ゴネていた癖に、よく言うぜ。」
「くっ…」
「理事長先生、文句は無いですよね?」
最高に凹んだ浅野学秀の顔を見た響は最高に満足気な下種顔を お返し代わりに見せると、表情を普段通りに戻し、理事長に今回の賭けの成立の確認を取る。
「ああ、勿論だとも。
最終的には生徒同士の やり取りを尊重するよ。
ただ、1つだけ…」
「はい?」
「項目の中に、『教室の空調機器の使用禁止』と有るよね?
生徒達は仕方無いにしろ、授業の為に教室に入る先生達の事を考えたら、これは外しても良いのではないかい?」
この理事長の問い掛けにも、
「1人の先生がA組で教鞭を取るのも、多くて3日に2回、1日1時間でしょ?
ウチの担任の先生達は、毎日1日中、この夏 天然の暖房の利いた教室で、ドロドロになりながらも(文字通りw)、俺達に好成績取らせてくれる様に頑張ってくれましたよ?」
まるで それを予測していたかの様に、実例を併せた受け応えをするのだった。
事実、担任の殺せんせーや屋外での体育専門の烏間は兎も角、イリーナでさえ、この夏は暑さでブーたれながら、授業の内容的はアレにしても、一応は真剣に取り組んでいた。
更には教員室には一応、エアコンは完備されているのだが、1人の堅物教師が、「生徒達も頑張っているから」と言って、エアコン使用禁止に断固反対の姿勢を取り、更に それに反対する黄色いタコと金髪ビッチに対し、鬼ですら土下座するかの形相で睨み付け黙らせ、使用を自粛していたのである。
「そんな風に言われるとね…分かったよ。
3年担当の先生方には、私から話しておくよ。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
結果としては、E組の要望が全て通った形となり、
「「それでは、失礼します。」」
響と浅野は、理事長室を退室した。
≫≫≫
バキィッ!
理事長の扉を閉めたと同時に、響の右拳が浅野の頬を撃ち抜いた。
「な? 何をするんだ?吉良?!」
ドゴッ!
更には腹に前蹴りを放つ響。
「浅野ぉ? お前 何、俺を呼び捨てしてんだ?
これ、読んだだろ? お前がサインした瞬間から、効力を発揮してるんだぜ、コレ?」
そう言って、ピラピラと響は協定書を見せる。
「な? 違反者には、
…何か文句、有るか?」
「うぅっ…」
理事長室での やり取りで、最初は浅野が かなりゴネて、それなりの時間が既に過ぎていた為、廊下には誰も居ない。
それ故に響も躊躇無く、行動に出る事が出来ていた。
…いや、響なら そうでなくても、平気で手を出していたか。
更に言えば、浅野達A組が出そうとしていた命令の内容を知ったからなのか、既に情け、容赦、手加減という発想は無かった。
尤も、まだ
「…す、すいませんでし…た…吉良…さん…」
ボゴォッ!
「ぅぐっ!?」
浅野が喋り終えた瞬間、またも炸裂する、響の拳。
「吉良…………さん…て、何なんだ? その
何だかマンモス哀れな奴の域に達しそうな浅野に、情け容赦無い指摘をする響。
「とりあえず、今後は気をつける事だな…
あっ、それから、お前のクラス全員に伝えとけよ?
明日から毎日、校門で整列ってな。
連絡が着かなかったとかの言い訳は、俺には通じないからな?」
「~~~~っ!!」
そこまで言うと、顔を顰める浅野をガン無視して、響は本校舎を去って行くのだった。
▼▼▼
「「「「「おはようございます!」」」」」
翌日の朝。
E組の生徒が校門を通る度に、他のクラス、他の学年の生徒達も注目している中、元気に笑顔で朝の挨拶をする、3年A組の生徒達。
くっくっく…
うぷぷぷぷぷ…
ぎゃあーっはっはっはっはっはっは!!!!
その様を見て、腹を押さえて涙を流し、A組生徒を指差しながら大笑いしているのは響、寺坂、吉田、村松の4人。
「マジかよ、コイツ等!」
「ガチやってるし! 最初、吉良から聞いた時は、まだジョークかと思ってたぜ!」
「誰だよ、こんな
吉良、お前か?」
「いーや、
答え:カルマ
「…可哀相に」
そして無表情、機械的事務的に そう言っているのはイトナである。
「「「「「くっ…」」」」」
「あ゙? 何なの? その顔?」
「「「「…………!」」」」
悔しそうに睨みつける数人の生徒に対し、響は其れに対抗出来るのは、マジモードな烏間だけという位の893顔負けな表情を作って睨み返すと、一気に怯えた顔になり、目を逸らす生徒達。
「俺は今、『その顔、何?』って聞いたんだがな…
おい浅野、例の協定書の中には『此方の質問には即答』ってのも有った筈だが…
伝えてないのか? コイツ等、物理的矯正に入って良いよな?」
「ま、待ってくrださい、吉良
皆には僕が、改めて説明しておくから、今回だけは勘弁して下さい!」
「…ふん。今回だけな。皆、行こうぜ。」
「「「「お…応…」」」」
響達は山の上の旧校舎に歩を進めるが、数歩だけ歩くと、響は振り返り、
「あ、そーそー。週1の芸な、とりあえず第1回目は、終業式が終わった後、山の麓でやって貰うわ。
最初だけは、御題指定な。
浅野と…そうだな、榊原で3〜5分程度の漫才やってくれ。浅野がボケ役で。」
「「「「ぷぶーっ?!」」」」
御題の提示をすると、それを聞いて、思わず吹き出してしまう、寺坂達。
「「何…!?」」
「拒否権は無いぜ?
返事は『はい』か『Ναι』の2択な?」
「「「「「「『ね』って何?」」」」」」
思わず、口に出してしまう、A組の生徒と寺坂達。
「…ギリシャ語で『はい』の意味だ。」
(((((何故、ギリシャ語?)))))
響の代わりに浅野が答える。
今更な気もするが、響はギリシャ語はペラペラである。
「ま、そういう事だ、じゃあな。」
其処まで言うと、響は再び山の上の旧校舎に足を向ける。
良かった!
吉良が味方で、本当に良かった!
吉良君! 少し前まで敵視していて、本っ当~にゴメンナサイ!
…心の中で、心底思っている寺坂達と一緒に。
その後方では、また誰かE組の生徒が登校してきたのだろう、A組生徒達による、元気な「おはようございます」の声が聞こえてくるのだった。
≫≫≫
「~っす。」
「あ、吉良…流石に
「磯貝…?」
教室に入った途端、磯貝にアレ…即ち、A組の皆さんが朝も早よから、Ε組の生徒に挨拶する為にスタンバっていた件について、流石に やり過ぎだと、呆れ&どん引いた顔で声を掛けてきた。
片岡に倉橋、三村に千葉達…響よりも先に登校していた他の面々も、同様な芳しくないと言いた気な顔をしてる。
「だいたい例の命令って、『沖縄の権利 寄越せ』じゃなかったの?」
片岡が問い掛ける。
響、カルマ、中村の3人以外で話し合った結果、期末テストの勝負の勝利特典でA組にする命令は、A組生徒が権利を得た『沖縄夏期特別講習の譲渡』な筈…そう思っている片岡達に、
「大丈夫。沖縄の件も忘れずに、きっちり盛り込んでるって♪」
響は浅野のサインが書き記してある、件の協定書を見せた。
「「「「はぁ?!」」」」
そう言いながら、響から渡された協定書をまじまじと読む片岡達。
「「「「「「………………。」」」」」」
そして、読み終えた後…
「「「「「「あ・あ・あ・あ…」」」」」」
「あ?」
「悪魔か! お前等わ!?」
「てゆーか、『1つだけ願いを叶えてやろう』で『じゃあ、100回言う事聞け』をリアルに実行する人、初めて見たわよ!」
「しかも、あらゆる抜け穴を潰す如く、此処まで事細かに!」
「カルマと中村3人で、こんなの考えてたのかよ!
マジに最悪だな!!」
「きーちゃ~ん…流石に これは、非道いと思うよ~?」
流石にコレは…と、改めて、この協定書の内容を考えた3人に、ラダマンティス、アイアコス、ミーノスの、冥王ハーデスが率いる冥闘士・冥界3巨頭の姿を重ねるE組の面々。
…しつこい様だが、きーちゃんは
「……………orz」
善かれと思って作った筈が、意外と不評な協定書。
非難轟々を集中で浴びせられ、打ち拉がれる響。
「いや、お前等こそ、言い過ぎだろ?
吉良だって、俺達の事を考えての、その命令だぜ?」
そんな響をフォローするのは寺坂。
「て、寺坂ぁ~っあ!(嘘泣)」
ガシッ!
「お〜ぅ、よしよし!www」
そんな寺坂の胸元に、やはりオーバーアクションな泣き真似で飛び込む響。
そして やはりオーバーアクションで、子供をあやす様な真似をする寺坂。
この寸劇の後、
「…お前等さあ、コレ見た後でも同じ事、言える?」
「「「「「は?」」」」」
そう言って響は、浅野の作成した書面を磯貝に手渡す。
「「「「「「………………。」」」」」」
その、協定書・浅野版を無言で まじまじと読む磯貝達。
そして、
「「「「何じゃあ こりゃあ~??!」」」」
教室内に響き渡る怒声。
「吉良と同じレベルかよ!」
「何か嫌だ! その言い方!!?」
「いや、これなら まだ吉良君のが可愛いわよ!」
「何なのよ この給仕って?!」
「「「吉良、正直すまんかった!」」」
浅野版を見て、その余りな内容に怒りの声や、響版が、如何に優しかったかを実感、先程まで持っていた、A組に対する憐れみや罪悪感を消し飛ばし、響にゴメンナサイする磯貝達。
「しかし、『さん』付けは兎も角、整列して挨拶や芸の披露って、よくも此処まで被ったわよね~?」
「ああ。アイツが複数の案件にを一纏めにして、『イエス』と言わせようとしてるのは、実は何となく読めてたんだ。
だから こっちもって、カルマと中村ちゃんに、アイデアのアシストを頼んだって訳だよ。」
因みに響曰わく、芸披露は中村のアイデアだとか。
「終業式の終わった後、早速アイツ等には漫才してもらうようになってるよ。…浅野がボケで。」
「「「「「「ぶぷーーーーっ!!?」」」」」」
何やら浅野がボケる場面を想像したのか、その場の一同が一度に吹き出した。
「おっはよーさーん♪」
「やぁ♪」
そこに教室に入ってきたのは、中村とカルマ。
「あっ、吉良っち、あれ、傑作だったね♪」
「んん。マジ、受けたよね~♪
吉良っちじゃないけどさ、笑い過ぎて、腹筋が割れると思ったよ~♪」
この2人は最初から、憐れみや罪悪感等は、欠片も持ち合わせていない様だ。
≫≫≫
「そーいや最初の頃の、ゴークル着用してた設定って、何処に行ったんだろうな?」
「吉良君!? それ、私ですら言うの、我慢してるのよ?!」
朝の出欠確認が終わった後、教室内に散らばった対せんせーBB弾を拾い集めながら、響が呟き、それに不破が過敏に反応する。
「ヌルフフフフフ…いや、今日も皆さん…遅刻無く全員出席、素晴らしいです…。」
掃除が終わり、改めて朝のホームルームが始まるのだが、聊か元気が無い殺せんせー。
「殺せんせー、何だか元気無いね?」
「はい、例の賭けですが…まさか、あんな要求をしていたとは…」
担任も、あのA組を校門前に整列させて挨拶させるなんて命令は想定外だった様で、更には自分の教え子があの様な人外な要求をしていたのは、少なからずショックを受けていたみたいだった。
…パ
そんな殺せんせーが立つ教壇の上に、A組が要求していた命令書が置かれる。
「にゅ…」
参考までに、今の時点でE組生徒全員は、響達が作成した協定書は勿論、A組…浅野の作っていた書面も目を通していた。
響、カルマ、中村の3人は自分達が作った命令書の内容は誰にも教えておらず、単に沖縄講習をゲットしただけと思っていた生徒達は、いきなり朝、校門前でA組一同に挨拶されて面喰らい、多少の罪悪感を持った者も決して少なくはなかったのだが、響が公開した、浅野版協定書を見た瞬間に それは皆、影も形も無く消し失せていた。
「もしもE組が負けてたらアレ、俺達が やらされてたんだよ?
その時には殺せんせー、A組の連中や理事長にクレーム付けてたの?」
「そりゃ、殺せんせー的には、人を育てるって立場の教師としてさ、察する事も出来るけど、これは最後は理事長が容認しての決着だけど、根はガキの争いなんだから、大人は引っ込んでいて欲しいよね。」
「にゅ…」
確かに自分の教え子が、仮に あの状況に置かれた場合、自分では何も出来ない事を自覚している黄色いタコは、それ以上は どんな戒めな言葉も、少なくとも あの書面を作り、実践しようとしていた者達相手への配慮の言葉は、目の前の生徒達には詭弁にしかならない、感じられないのを理解したのか、何も言えずにいた。
≫≫≫
「へ~、そんな事があったのか?」
「ああ、彼処で俺が煽らなかったら、賭けの存在自体が無くなっていたかもな。」
昼休み、前日の理事長室での やり取りを話している響達。
「でも もし仮にさ、賭けが無くなっていたら…どうなってたろうな?」
杉野が今日の弁当のメインの おかず…豚生姜焼きを響とカルマの箸から死守しながら話すと、
「さあ? 少なくとも俺達は現状の儘じゃないか?
賭けの事や結果は
「…それ、
「そりゃ
「浅野1人が校内に『一見、無敵な振りしてるけど実は、パパ様に負んぶに抱っこな御坊ちゃん』の認定されるだけで、他のA組の奴等は殆ど何も無いだろ?」
「あー。」
響の考えに、何となくだが納得する杉野。
「それでも最初は それ、やろうとしてたからな。
今も言ったけど、俺がアイツの台詞を先読みして煽らなかったら、どーなってたか。」
「ははは…」
結果、あの煽りが、E組的にはファインプレーになっていたのだが、響には その自覚が無かった。
「最終的には俺や、何よりも
自分1人が 恥を背負ってりゃ それで済んだのに、結果、クラスメートを巻き添えにしたんだ。小さなプライドの為にさ。」
「…成る程な。」
≫≫≫
尚、この件については烏間も敢えて何も言わず、イリーナに至っては、「勝負だから仕方無い」と、寧ろ肯の姿勢を表に示し、勝ちを得た生徒達を評価していた。
そして数日後、1学期終業式の日が やって来た。
【注意&お願い】
時折、『〜は』という部分を『〜わ』と表記する事が有りますが、意図的です。ワザとです。誤字じゃないです。
理解了解、よろしく願います。m(_ _)m