暗殺聖闘士   作:挫梛道

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【注意!】
この小説の原作は『暗殺教室』です。
時軸は2話の直後の話になります。
  



閑話・聖戦の時間:2時限目

遥か昔のギリシャ、アテネ。

一般の者には、決して その存在を知られる事のない、聖域(サンクチュアリ)と呼ばれる地。

戦の女神アテナを長とする聖闘士(セイント)と呼ばれる少年達が、活動の拠点としている場所である。

その聖域(サンクチュアリ)の中にある、夜空に輝く黄道12星座を概念とした12宮と呼ばれる宮殿の内の1つ、獅子宮にて、黄金に輝く鎧を纏った青年と、空色の鎧を装着した少年…

この2人が、約20人程度の漆黒の鎧を身に着けた男達と対峙していた。

 

▼▼▼

黄金の鎧の青年が一歩踏み出し、漆黒の集団に声を投げる。

 

冥闘士(スペクター)共よ!

既に三巨頭は倒れ、決着は着いたも同じ!

命が惜しければ、早々に聖域(サンクチュアリ)を立ち去れ!

間違っても、この先の処女宮に向かうという考えは棄てるのだな…てゆーか、マジ帰れ!

特に今、処女宮に出向いたら、間違い無く死ねるぞ!」

な…アルギエバ、何、ガクブルで言ってんだよ?

僅かに膝が笑っている、獅子座(レオ)黄金聖闘士(ゴールドセイント)アルギエバに対し、空色の鎧の少年、天馬星座(ペガサス)青銅聖闘士(ブロンズセイント)飛矢(ヒューヤ)冥闘士(スペクター)に聞こえない様にヒソヒソ声で囁いた。

年上、そして格上と言うか、実質上司である黄金聖闘士(ゴールドセイント)に対して、青銅聖闘士(ブロンズセイント)が呼び捨てタメ口なのは問題ないのか?

…そう思わなくもないが、付き合いが長く それなりに親しい間柄のか、それとも そーゆー奴だと既に諦めているのか、或いは後で〆るとでも思っているのか、気にする素振りを見せないアルギエバは、

 

(先程、巨蟹宮でアセルスの小宇宙(アセルス)が消えたのは分かっているな?)

(え? ああ…残念だけど、アセルスは…)

(それが問題なのだ!

この先に居る乙女座(ヴァルゴ)のスピカは所謂ショt…もとい、アセルスを普段から実の弟の様に…いや、それ以上の感情を持って可愛がっていてな…)

(あぁーっ、察し…)

(と、兎に角だ、今、あの女が戦闘しよう物なら、聖域(サンクチュアリ)が普通に壊滅しかねんぞ?!)

(そのレベルかよっ!?)

(うむ!…故に、退いてくれたらラッキー。

それが駄目なら何としてでも、この獅子宮で終わらせる必要があるのだ! 解ったか?)

(ら、らじゃ…)

 

…と、念話で飛矢に説明。

 

「…お前達、先程から何を、ヒソヒソと喋っているのだ?」

 

プシャアッ!

 

「「!!」」

そんなアルギエバ達の前に、冥闘士(スペクター)の1人が前に出ると同時に、その纏った冥衣から放たれた()の様な物質が2人の聖闘士(セイント)の身体に巻き付き、拘束する。

 

「私は地縛星アラクネのデルネ…」

「「げ…」」

染めた様な紅色の長い髪、唇と目尻には毒々しい紫、そして頬に薄い桃色の化粧を施した、筋骨隆々なが名乗り出た。

余りにも…所謂()()な容姿に、思わず どん引くアルギエバと飛矢。 

 

「何だ、貴様等!

そのリアクションは? その顔は!? 何が言いたいのだ?!」

その態度に、デルネと名乗った冥闘士(スペクター)は顳に血管を浮かべ、2人を睨みつける。

 

「そのケバい化粧にドン引きしてんだよ!

察しろ! このカマ野郎!!」

「はあ゙ぁ!?」

それに応えるかのアルギエバの発言で、更に顔中に血管を浮き上がらせ、その身が写る鏡を割ってしまうほど、表情を歪ませるデルネ。

 

「バ、バカヤロー!

アルギエバ、何、地雷踏んでんだよ!? 脳筋か?!」

今から間違い無く殺し合いをするであろう敵にとは云え、間違い無く攻撃力アップするであろう禁句を普通に言ってしまう脳筋(アルギエバ)に対し、蜘蛛糸で拘束された儘、突っ込む飛矢。

 

「んだと、ゴラ゙ァ!?

大体テメー、青銅(ブロンズ)の癖に、何だ、その口の聞き方は?!

あのカマの前に〆るぞ、あ゙ぁ!?」

「るっせー、ハゲ!」

「俺はハゲじゃねー! 剃っているだけだ!!」

飛矢の余りの言い様にカチンときたのか、そして、売り言葉に買い言葉、脳筋以上に『ハゲ』という単語が余程、琴線に触れたのか、目の前の多数の敵をガン無視して、口喧嘩を始める2人。

 

「ハゲ言う奴が禿なんじゃー!」

「俺、ふっさふさだもーん!

あ、脳味噌筋肉だから、分からない?」

「……………。」

 

ぷちっ…ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち!!

 

自らの糸に縛られた儘、自分を無視して、御子様レベルで言い争う2人に、デルネの顔中に浮かんだ血管がキレる。

 

「き、貴様等ー! 私を無視するなー!

喰らえ! BASTAR-de-ITTETSU!!」

 

ばばーん!

 

「「うわわぁあーっ!!!?」」

デルネがまるで、目の前に在る()()をひっくり返すが如く、両腕を大きく下から上に上げるアクションを取ると、その衝撃波でアルギエバと飛矢は上空高く、吹き飛ばされる。

 

グシャァ!!

 

そして、身体を糸で拘束されている2人は、受け身を取る事も儘ならず、頭から垂直に石畳の上に落下してしまった。

 

「う…」

「痛つつ…」

「おい、この2匹は私が片付ける。 

お前達は先に進め。」

「う…うむ…」

「ぉ…応…」

別にデルネが今、攻め込んでいる冥闘士(スペクター)の上官という訳ではないのだが、

 

ベロリ…

 

舌舐めずりしながら血塗れで鬼気迫る、それでいて妖しく微笑む顔で凄まれ、思わず退け反り返事をしてしまった残りの冥闘士(スペクター)達は、倒れている若い2人の聖闘士(セイント)に少しだけ憐れみの目を向け、次の宮、処女宮を目指して獅子宮を走り抜けて行った。

 

「やっばっ!」

黄金の鎧を纏ったスキンヘッドの青年が焦り叫び、

聖域(サンクチュアリ)、終了のお知らせ?」

空色の鎧を纏った少年が口を曳き吊らせながら、ボソッと呟く。

 

「おい飛矢、このカマは俺が倒す!

お前は直ぐ、残りの奴等を追え!!

何としても奴等をスピカと会わせる前に、事を済ませるぞ!」

「お、応!」

そう言うと2人は

「「…はあぁあぁぁぁぁあっ!!」」

 

ボゥッ!

 

内なる小宇宙(コスモ)を燃やし、あっと言う間に自身を縛っていた『糸』を焼き尽くした。

 

「じゃ、この場は任せたぜ!」

飛矢は先に進んで行った冥闘士達を追い、獅子宮の奥へと駆け抜けて行く。

 

「ま、待て、小僧!」

デルネが止めようとするが、

「おぉっと、待つのは お前だぜ?

お前の相手は俺だ、このカマ野郎。」

飛矢を追おうとするデルネに、アルギエバが その前に回り込み立ち塞がる。

 

「ちぃ…何故、貴様が此の場に残るのだ?

普通、此処は格下の青銅(ブロンズ)に此の場を任せ、貴様が多人数で向かって行った者共を追うべきではないのか?」

「どーだって良ー部分に、やけに拘るな…?!!

あ…まさか、さっきの舌舐めずりは、そーゆー意味だったのか…

うっわ…無いわ〜、カマの上にショタ趣味って最悪だな!」

ドン引き&呆れ顔なアルギエバ。

 

「え~い、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!

私は断じて、カマでもなければ、ショタコンでも ぬゎぁ~い!!

もう一度喰らえ、そして死ね!

BASTAR-de-ITTETSU!!」

自覚していながら認めたくはないのか、そして禁忌の言葉だったのか…顔を紅潮させ、修羅の如き形相のデルネが再び、アルギエバの体を天高く吹き飛ばす。

 

クルリ…スタッ

 

「な…何ぃ!?」

しかし、アルギエバは空中で回転しながら体勢を整え、難なく着地。

 

「ふっ…、あの糸で体を封じられてないなら、この程度は訳はないさ。

そして何より、聖闘士(セイント)に一度見せた技は通用しない!

更に言うならな…いや…何でもない…」

「?」

話している途中で、まるでイヤな事を思い出した様に、やや青ざめた顔を逸らすアルギエバ。

実はデルネが放った このBASTAR-de-ITTETSUという技は、聖域(サンクチュアリ)にて代々の教皇にのみ伝えられるという、『Brats-Don't-Get-Flurried』という技と、威力こそ格段に違えど、モーションを含め、殆ど同じ技であった。

因みに この技は「聖闘士(セイント)に同じ技は~」が通用しない、見切り不可な技である。

そして今代の教皇は先代獅子座(レオ)…つまりはアルギエバの師であり、彼は修行時代から数え、何かしらの理由…主に無茶ぶりな修行の文句に対する制裁で、何度となく喰らっていた。

故に、この系統の技には耐性が付いていたのだった。

 

「ち…嫌な事を思い出しちまったぜ…

まぁ良い! 今度は俺の(ターン)だ!

轟け、俺の小宇宙(コスモ)! 唸れ雷光!!」

「な…この小宇宙(コスモ)は?!」

 

バチバチバチ…

 

爆発的に増大する小宇宙(コスモ)にデルネが狼狽え、アルギエバの右拳が極大な雷光を帯びる。

 

「ひ、ひぇ…っ!」

その余りの強大な小宇宙(コスモ)に、生命の危険を感じた冥闘士(スペクター)は来た道を戻り、巨蟹宮の方向に逃げようとするが、

「逃がさん!!」

「ひっ?!」

黄金の獅子は文字通り光速で回り込み、咆哮を上げる。

 

「ライトニング・ボルト!!」

 

轟々々々々々々々々々々々々々!!!!

 

そして雷光を纏った右拳の一撃は、デルネの胸元に直撃。

 

「うぎゃああぁあ~っ?!」

冥衣(サープリフ)の破片を撒き散らしながら吹き飛ばされたデルネは、道沿いの石柱に激突。

その儘、二度と起き上がる事はなかった。

 

「やれやれだぜ…。」

デルネの屍を見ながら、一言呟いたアルギエバは、

「よし、飛矢を追い掛けるか。

早く残りを片付けないとな…!」

そう言うと顔を引き締め、飛矢を…処女宮に向かった残りの冥闘士(スペクター)達を追うべく、獅子宮を後にするのだった。         

 

≫≫≫

獅子宮から処女宮へと続く、石煉瓦が敷き詰められた道を走り進む冥闘士(スペクター)達。

 

「待て、貴様等!」

「!!」

其処にこの侵入者達を追ってきた飛矢が待ったを掛けた。

 

「ぬ? 先程の聖闘士(セイント)の小僧?」

「おぉ! 無事だったのか!」

「良かった良かった!」

「…へ?」

冥闘士(スペクター)達は目の前の少年が、所謂()()な同胞に、犯られて殺られたか、若しくは殺られて犯られたか…そう勝手に思い込み、敵とは言え不憫に思っていたのだが、少なくとも()()()()()の餌食には なっていない様子を見て、敵云々でなく あくまでも一介の男として、安堵の顔を見せる。

そして その敵とは思えない、如何にも心配、危惧していた事が払拭されたかの様な、裏の無い優しい笑みに、思わず戸惑う飛矢。

 

「ふぅ…それじゃ、安心した処で、とりあえず死ね!」

「「「「「ひゃっはー!!」」」」」

「な…何なんだよ?テメー等わ!?」

そして冥闘士(スペクター)達は男子として一安心した後は、それは其れ これは此れとばかり、改めて敵である飛矢に対し、数人が遅い掛かる。

  

「ディープ・フレグランス!」

「デス・メッセンジャー!」

「ワームズ・バインド!」

「ビッグ・ナックル!」

「ローリング・ボンバー・ストーン!」

「スタンド・バイ・ミー!」

 

どどどどどどどどどどどど…!

 

この冥闘士(スペクター)が放つ怒涛の技を

「…遅いんだよ!」

飛矢は悉く躱すと、

「Shooting・Star=Pegasus!!」

 

Shooooooooooooot!!

 

「「「「「「ぐげゃーっ!!!!」」」」」」

自身の必殺の拳を放つ。

音速の域を超え、光速に届きつつある無数の拳の弾幕。

ある者は直接その拳を受け、そして また ある者は その拳圧、衝撃波を浴び、襲ったきた者達と共に、その場の約半数の冥闘士(スペクター)が飛矢に纏めて倒された。

 

「どうだ! 青銅(ブロンズ)だと思って舐めるな!!」

何としてでも、この冥闘士(スペクター)達を処女宮に向かわせるのだけは阻止したい飛矢。

今、この先に控えている乙女座(ヴァルゴ)のスピカが戦闘しよう物なら、自身が実の弟の様に可愛がっていた、蟹座(キャンサー)のアセルスの敵と言わんばかりに、この聖域ごと、この侵入者を滅ぼしかねない。

彼女が所謂ショタコンである事は先程、アルギエバに教えられる前から、実は噂で聞いていた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

「…………………。」

飛矢は それを、この先の処女宮から立ち込める…まだ かなり離れた この場でも感じられる…尋常ならぬ小宇宙(コスモ)で確信。

その小宇宙(コスモ)は、今 正に聖域(サンクチュアリ)終了の知らせを告げるべく、終末の使徒が鳴らす喇叭の音に感じるのであった。

 

「お前等も、この小宇宙(コスモ)は気付いているだろ?

さっさと聖域(サンクチュアリ)から立ち去れ!

この儘では、お前等も只では済まんぞ!?」

この飛矢の必死の訴えも、

「ふん…聖域(サンクチュアリ)が滅びかねん程の小宇宙(コスモ)か…

それは願ったり叶ったりではないか、小僧!」

「な…?!」

我が身が滅んでも、聖域(サンクチュアリ)が共に滅ぶなら一向に構わぬと言い放つ冥闘士(スペクター)に、言葉を失う飛矢。

 

「心配せずともハーデス様が地上を手にした曉には、我等はハーデス様の御力によって復活する!

だからペガサス! 安心して地獄に堕ちるが良いわ!

この天撃星タロスのジャガーノートの拳によってな!」

ジャガーノートと名乗った冥闘士(スペクター)が両拳を振り上げる。

 

「ヒート・ハンマー!」

 

ゴォッ!

 

「ちぃっ!」

両拳から繰り出される、灼熱の衝撃波を辛うじて飛矢が後方へ跳んで躱した瞬間、

 

ボゥ!

 

「…ぇ?」

処女宮の方角から、巨大な鳥を象った炎が飛来して来た。

 

「「ぎゃあ!?」」

その火の鳥は、通りざまに2人の冥闘士を焼き払うと、飛矢の前に降り立つ。

直に その炎が消えていき、その中から

「よ、飛矢、生きてるか?」

「て、テヅガぁ?!」

灼銅色の鎧を纏った少年、鳳凰星座(フェニックス)の…何故か顔面がフルボッコなテヅガが姿を現した。

飛矢は正直、「お前が生きてるか?」と言いたい気持ちを抑え、

「お前、どうして此処に?

処女宮に配置されてた筈じゃあ…」

飛矢は突然 現れたテヅガに問い質すも、

「はいはい、良ーから下がった下がった。

(うえ)、見てみ? この位置は危ねーぞ?」

「はぁ?!」

その質問はスルーされ、更には後退を強いられる。

そして言われた儘、ふと夜空を見上げると、日は既に沈んでいると云うのに、雲の切れ間から、金色の光が差し込み始めている。

 

「テヅガ…あれって、もしかして?」

「そーゆー事った。下がれ、な?」

「お、おぅ…」

何が起きているか、何が起きるか理解した飛矢は、テヅガと共に後方に大きく跳び、冥闘士(スペクター)達と距離を置く。 

          

聖闘士(セイント)共、逃げる気か?!」

そしてジャガーノートが叫んだ その直後、

 

 

…アストレイア・ジャッジメント!!

 

 

天から済んだソプラノの声が響き渡った。

 

 

ドゴゴゴゴゴゴッ!!!!

 

「「「「「「ぅっぎゃぁあっ!!?」」」」」」

その声と同時、天空から幾千幾万の光の剣が雨の様に降り注ぎ、ジャガーノートを基とした、その場に残っていた冥闘士(スペクター)達は一瞬で全滅したのだった。

  

▼▼▼

「うっわぁ…」

「これは…」

「見事な迄に…」

「分断されてますね…」

「ふん…あの技は そもそも、広域殲滅を目的とした技だ。

それを この程度で済ませたのだから、兎や角謂われる筋合いはないぞ?」

聖域(サンクチュアリ)の中で放つなっつってんだよ!!」

聖域(サンクチュアリ)に攻めて来た冥闘士(スペクター)が全滅した跡を、アルギエバ、飛矢、テヅガ、そして巨蟹宮から駆け付けて来た柄杓星座(ディパー)のムソウが、やや引いた顔で見下ろす中、その技を放った本人(スピカ)は、まるで他人事の様に言う。

黄金の鎧を纏い、そして黄金の仮面を被った、白金色の長い髪を靡かせる少女…乙女座(ヴァルゴ)のスピカ。

彼女が放った技により、巨蟹宮と獅子宮を繋ぐ道中の一部が完全に破壊され、深き谷の如く分断されていた。

 

「どうするんですかね、これ?」

「そりゃあオメー、民間の工事業者とか呼ぶ訳にゃ いかねーだろ?」

修復作業が雑兵の皆さんの仕事になるのは明らかだった。

 

「…そんな事より、そこの柄杓星座(ディパー)!」

「は、はいぃっ!?」

 

ビシィッ!

 

突然スピカがムソウに威圧的に話し掛け、その余りの迫力にムソウは反射的に姿勢を正し、脅えがちに返事をする。

 

「アッ君…コホン、アセルスの亡骸は どうした?」

「はい?」

 

ガシッ!

 

「あ痛たたたたたた?!」

「私は、あの子は どうしたかと、聞いている!」

即答しないムソウの頭を鷲掴みにし、その儘 握り潰さんと力を込めて追求するスピカ。

仮面で判らないが、かなり必死な顔をしているのだけは伺える。

 

(アイツ…普段はアッ君と呼んでるのか…)

(アッ君と呼んでるのか?)

(ああ。何時もアッ君♡…と呼んでいる。)

それを見て、ムソウを助けようとする動きは見せる事無く、念話で会話するアルギエバ達。

 

「あ、あの時は まだ緊急時だったので、今は とりあえず巨蟹宮の奥の間に、寝かせてありますぅ…!」

「そうか…分かった…」

そう言って、ムソウから手を離すと、スピカは獅子宮…いや、巨蟹宮へと歩を進め始める。

 

「おい、お前…って、あぁ、聞くまでもないわな…。」

「ふん…あの子は私が処女宮へ連れて帰り、この私が弔う。何か問題があるか?」

「いえ…行ってらっしゃい…」

その迫力に、生命の危険を感じたアルギエバは弱冠たじろぎながら、特に止める理由も無い故に、その場を立ち去る少女を見送った。

  

≫≫≫ 

「吃驚しました…。」

「応。この場で お前、獲って喰われるかと思ったぜwww」

「止めて下さい。」

「いや、あれで あの師匠(おんな)、一途な処もあるからな、そっちの心配は余り無いと思うのだが…」

スピカが去った後、疲れ果てた、或いは笑いながら話す聖闘士(セイント)達。

 

「後家様確定だな、こりゃ…。」

「いやいや、後家って?」

「そーいや少し前、『素顔見せて、一緒に お風呂も入ったりしたから、其れ即ち既成事実成立も同然よ♡』とか、ドヤ顔っぽい口調で言ってたよな…

いや、素顔を見た訳じゃないけどね…」

「あ、あの(ひと)は9歳相手に、一体 何をやってるんですか??!」

このムソウの言葉に、

「「ショタコンだから仕方ない。」」

「成る程…」

この場に本人が居ないのを善い事に、当人の前では禁句であるワードを平気で口に出すアルギエバとテヅガ。

そして それに納得するムソウ。

 

ズガアッ!

 

「「「「ひぇっ!?」」」」

そんな彼等の目の前の地面に、1本の光の剣が天から降り落ち、突き刺さる。

そして4人の脳内に直接、ドスの利いたソプラノが響き渡る。

 

 

…お前等4人、後でOHANASHIだ。

 

 

「「「「 (」°⁠o(」°⁠ノォオオォオォォオォ!!?」」」」

聖域(サンクチュアリ)に、絹を引き裂いた様な漢達の悲鳴が響き渡った。

 

▼▼▼

「……」

「……」

「………」

「…」

冥闘士(スペクター)の侵攻を退けてから数時間後、既に戦いにより命を落とした牡羊座(アリエス)牡牛座(タウラス)蟹座(キャンサー)の3人、そして現在、聖域(サンクチュアリ)不在の双子座(ジェミニ)を除く、黄金聖闘士(ゴールドセイント)…8人が教皇の間に集結していた。 

 

「皆、揃った様だな。」

「「「「「…!」」」」」

静寂に包まれた空間の中、金銀の装飾が施された法衣を纏い、竜の飾りが付いた兜を目深に被った男が部屋の奥から姿を見せる。

現在の聖域(サンクチュアリ)を女神アテナの代行として統べる、教皇ログナーである。

 

「「教皇…」」

師匠(ジジイ)…」

教皇を刮目する黄金聖闘士(ゴールドセイント)達。

 

牡羊座(アリエス)のシェラタン、牡牛座(タウラス)のフォーナ、そして蟹座(キャンサー)のアセルスは残念な事になった。

…が、アルギエバにスピカよ、結果、お前達の手により、処女宮の手前で敵を全て倒せたのは良い報せである。御苦労だったな。」

教皇の労いの言葉に

「止せよ、師匠。

奴等を殺ったのは、殆どがアセルスや青銅(ブロンズ)小僧((ガキンチョ)共だぜ?

俺は殆ど何も してねーよ。

…あ、それから、何処かの誰かによる、聖域(サンクチュアリ)破壊活動の巻き添えになった冥闘士(サンクチュアリ)も、そこそこ居たよな?」

「…ふん!」

アルギエバは自分は微々たる足る程しか動いてながらと言いながら、ジト目で隣に立っている女聖闘士(セイント)に毒を吐き、その女聖闘士(セイント)は それを無視。

 

「ホーホッホッホ…それにしてはアルギエバさん、随分と お顔が大変な事になっていますねぇ?」

蠍座(スコーピオン)黄金聖闘士(ゴールドセイント)が、顔面フルボッコになっているアルギエバを不気味に嗤いながら弄る。

 

「…鍛練が足りぬ証拠だ。」

続いて山羊座(カプリコーン)黄金聖闘士(ゴールドセイント)が、呆れ顔で両断。

 

「るっせー! この傷は全部、冥闘士(スペクター)に やられたんで無く、其処のショタコン女に やられt(ガン!)ぬわーーーーーー!!?」

アルギエバの言い訳が終わる前に、スピカの一撃が またも顔面に炸裂。

アルギエバは その場に倒れた。

 

「ふんっ!」

「あ~、続けて良いかの?」

それは既に馴染みな流れなのか、教皇ログナーは特に それには何も言う事無く、話を続ける。

 

「つい先程、内偵を進めていた双子座の(ジェミニ)タバサより念話(テレパシー)で報告が有った。

…ハーデスの地上での拠点が判明した。」

「「「「「「「「!!」」」」」」」」

8人全員が神妙な顔になり、無言で教皇を見る。

 

「マジかよ…」

「ついに…」

「決戦の時が…」

その重大な発表に、各々が胸の内を呟く。

そして その時、

「ふっ…そう言う事だ。」

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

突然 何処からか女の声がしたかと思えば、いきなり目の前の空間に『穴』が開き、その中から黄金の鎧を身に包み、スピカと同様に黄金の仮面で顔を隠した人物と、その形状は全く同じだが、漆黒に煌めく…冥衣(サープリス)暗黒聖衣(ブラッククロス)とは また違う、輝きを放つ鎧を着込んだ黒髪の少年が現れた。

 

「教皇…。双子座(ジェミニ)のタバサ、そして影陰双子座(シャドージェミニ)のレックス、只今戻りました。」

「ふむ…御苦労だったな。よし、改めて話を続けるぞ。」

タバサとレックス。

この双子座(ジェミニ)の2人も、既に居合わせた黄金聖闘士(ゴールドセイント)の列に並び立ち、教皇の話に耳を傾ける。

 

「今代の冥王ハーデスの地上での拠点は、イラクはディカール!

今までは後手に甘んじていたが、それも終わり…。

これより先は、我等の方から討って出る!

聖域(サンクチュアリ)の防衛も考慮し、幾分かは この地に留まるとして、残りの者は敵陣に突撃を仕掛ける!」

「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」

教皇の言葉に唸りを上げる黄金聖闘士(ゴールドセイント)達。

 

「ふっ…拠点さえ判れば こっちの物だ!」

「あぁ、既に冥界3巨頭も倒れている。

残りで厄介と思われているのは、冥王の側近と云われる双子の神位だよ!!」

天秤座(ライブラ)魚座(ピスケス)黄金聖闘士(ゴールドセイント)が、士気を高めんと吼える。

それに対し、タバサが

「双子神?あぁ、タナトスとヒュノプスとか云う神なら、私達姉弟で斃してきたぞ?」

「ついでに言えば、ナントカという、やはり幹部みたいな女も、姉者が倒したぞ。」

そしてレックスが、さらりと言ってのけた。

 

「「「「「な、何だってー!?」」」」」

その、余りに余り過ぎる仰天発言に、口を揃えて驚きを隠せない黄金聖闘士(ゴールドセイント)達。

 

▼▼▼

獅子宮。

 

「あ~ぁ、俺もアッチ、行きたかったな~?」

「今の貴方は、ダメージを抜く事だけを考えていれば、それで良い。」

「いえね、マジに·冥闘士《スペクター》に受けたダメージって、殆ど無いんですよ?

この怪我、全部 隣のショタコン女が(ガンッ!)ぅわばら?!」

見た目、14歳位か。

蒼のニット帽を被った銀髪の少女にアルギエバは必死に弁解する途中で、隣に立っていた白金色の髪の仮面少女に殴られる。

 

「まーまー、アンタは大人しく、聖域(スペクター)で留守番してろって事だろ!」

それを飛矢が笑いを堪えた顔で言う。

 

「アテナ…そろそろ参りましょう。」

「ふむ。アルギエバ、貴方は しっかりと療養していなさい。」

乙女座(ヴァルゴ)黄金聖闘士(ゴールドセイント)からアテナと呼ばれた少女は、教皇と数人の聖闘士(セイント)と共に、双児宮に向かうべく、獅子宮を後にした。

 

≫≫≫

「アテナ、教皇。今回の戦闘に選ばれた聖闘士(セイント)全員、この双児宮に揃いました。」

打倒ハーデスの為に教皇ログナーが選抜した青銅(ブロンズ)白銀(シルバー)、そして黄金(ゴールド)聖域(サンクチュアリ)を基として世界中に散らばっていた、約2/3の聖闘士(セイント)が今、双児宮に集い、双子座(ジェミニ)のタバサが其れを報告する。

 

「うむ! 其れでは我々は、ハーデスとの決着を付けるべく、今より貴奴の居城に総攻撃を仕掛ける!!」

「「「「「うおおぉぉ~!!」」」」」

教皇の言葉に呼応する聖闘士(セイント)達。

 

「では、行くぞ、レックス!」

「うむ!」

タバサの呼び掛けで、彼女の双子の弟、レックスが小宇宙(コスモ)を発動、その差し出した掌の前の空間に、巨大な『穴』が開き、この双子座(ジェミニ)の姉弟を筆頭に教皇、アテナ、そして其の場の聖闘士(セイント)達が次々と『穴』に飛び込んで行く。

その行き先はハーデスの地上での居城。

 

▼▼▼ 

この時の戦いの結末は…       

そして、その事を蟹座(キャンサー)のアセルス…吉良響が知るのは、彼の時間軸で、15歳の1月の話である。

  




キャラの容姿は

アルギエバ…斑目一角(BLEACH)
飛矢…草薙護堂(カンピオーネ!)
テヅガ…匙元士郎(ハイスクールDXD)
ムソウ…白浜兼一(ケンイチ)
タバサ…人造人間18号(ドラゴンボール)
レックス…人造人間17号(ドラゴンボール)
ログナー…小泉ジュンイチロー(無駄ヅモ)
アテナ…アテナ(カンピオーネ!)
 
デルネ…ユダ(北斗の拳)
ジャガーノート…ジャック・ハンマー(刃牙)

…のイメージで。
 
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