「見て見て♪ いっぱい捕れてるよ~!」
「「「「おおっ!」」」」
その日の朝、渚達は旧校舎裏山で、昆虫採集に励んでいた。
今回の誘い役、生き物大好き倉橋陽菜乃、街育ちで こういう遊びの機会が無かった杉野、それに付き合う形の渚、そして…
「ひゃっはー!
「コイツをネトオクで捌いて、沖縄でキレーな水着の姉ちゃん相手に遊ぶ、軍資金にしてやるぜ!」
…な、安定のチャラ男&エロ大王。
「どれだけ儲かるのかなぁ…♪」
「い…磯貝君の目が『¥』になってる…」
そしてそして、磯貝。
「あ~、ダメダメ。オオクワガタってさ、かなり前から人工繁殖で大量に出回っててさ、かーなーり、値崩れしてるんだよ~?」
「「「な、何とぉーおっ!?」」」
浮かれる3人に、現実を教える倉橋。
「嗚呼、高級ディナー代が…」
「ご休憩場所の予算が…」
「orz……。」
真剣にorzる下種な2人と、やや凹みな1人。
「コイツ等が今日、付いてきた理由って、それだったのか…」
「旅の目的、忘れてるよね…」
≫≫≫
事前に倉橋が約20ヶ所に渡り、仕掛けて置いたトラップ(ストッキングに果物と酒をぶっ込み、数日発酵させた感じなヤツ)に集まっている虫を回収。
彼女の見立てで、1人当たり約¥700-の稼ぎとなる成果を得られた。
「これじゃ、あっと言う間だな…」
「まあ、良いじゃんよ。」
「…でも、やっぱ、何か良いよな、こーゆーのって。」
「ん? 杉野?」
「言ったろ? 俺、街育ちだから、こーゆー機会が無かったって。」
「「「あー…」」」
「分っかるー♪」
緑に、自然に囲まれての隔離教室…彼等にとっては忌むべき場所な筈が、何時の間にか居心地良く感じられる様になっていた。
「でも、俺は やっぱ山より海だよなー。」
「俺もー。」
「お前等は水着の姉ちゃんが居たら、山でもOKなんだろうが…?」
「「応よ!!」」
杉野の突っ込みにも ぶれない2人。
「あ、海って言えば、吉良、
「「何っ?!」」
そして、磯貝の何気ない台詞に喰い憑く前原と岡島。
「一昨日、吉良ん家で片岡さん達と一緒に宿題してる時に話したんだけどさ、その日の夕方には、
…で、向こうで泳ぐって言ってた。」
「何…だと…?」
「あの、パツキン美少女な彼女とかぁーっ!?」
「まあ、多分…」
「「2人っきりでかぁーっ?!」」
「いや…其処迄は…」
「…赦…さん…!」
「杉野君も?」
勝手に想像を膨らませ、勝手に怒る3人。
「「「チックショオォーッ! リア充、爆裂しろーっ!!」」」
男達の慟哭の叫び声が、山に響き渡った。
▼▼▼
その頃…
「…ックショ(バシィッ)のわぁっ?!」
「ひ、響、大丈夫?」
「お…応…誰か悪口、言ってるな!
浅野達か? それとも岡島、前原か?」
某県の浜辺で、某・哲学する柔術家の肉体を目指しているかの様な少年の顔面にビーチボールが直撃。
そんな彼に、白のビキニを着た、白金色の長い髪の少女が慌てて駆け付けたりしたのは、別の話である。