本当に しつこい様ですが、この小説の原作は、あくまでも『暗殺教室』です。
今回で『はたらく~』編は〆ます。
ドシャァ!!
響の冥界波を まともに喰らい、天高く吹っ飛ばされたと思えば、頭から垂直に地面に激突し、動かなくなるサリエル。
「お~い、生きてるか~?」
「ま、真奥さん、何やってるんですか?」
「もしかして、本当に殺っちゃったの?」
「いや。まだ単に、強制的に幽体離脱させただけですよ。」
「…それって、殺ったって言いません?」
うつ伏せに倒れ、全く動く気配の無いサリエルに、指を つんつんと突っ立て、反応を伺う真奥。
そして、恵美の問い掛けに対して軽く話す響に、やや引きの千穂。
「さて…いつもなら此処で、こんな風に死体に物理かまして、魂を体に戻してやるんだけど…」
ドガッ!
「死人に鞭? てゆーか、いつも殺ってるんですか?」
「ん~、この3ヶ月で6人くらい?(※修学旅行時に不良学生1人、律の転校、魔改造時に技術者4人、そして柳沢の計6人)」
「殺ってるんですね?…って、殺ってるんですか?!」
動かないサリエルの身体…脇腹辺りに蹴りを入れ、続いて自分の常識の範疇では信じられない発言をする響に突っ込みを入れると同事、更にドン引く千穂。
「でもコイツは黄泉比良坂に出張って、完全にトドメ刺す必要があるよね?」
「……………………。」
聞き慣れない単語込みで話す響に遠い目をして、最早 何も喋らなくなる千穂。
「じゃ、ちょっと逝ってくるね。」
「「「き、消えた??」」」
その言葉と共に、
▼▼▼
「はぁ…はぁ…」
地面はゴツゴツとした固い岩場。
薄黒い靄に覆われた空に太陽は無く、靄の更に上方から、申し訳程度に確認出来る月の様な明かりと、何処行く当ても無い様に彷徨う青白い鬼火。
それだけが光源の死後の世界…冥界。
何なんだ! 此処は一体、何処なんだ?!
暗いし飛べないし魔力は使えないし…
でも、何処かに絶対 出口はある筈だ!
くそ…あの
コツン…バタン!
「い、痛い!?」
走っている途中、慣れない岩場に躓き、派手に転ぶサリエル。
膝を擦り剥いたが、出血は無い。
それ以前に先程から かなりの時間、かなりの距離を走っている筈なのだが、渇きや疲労、痛みは確かに在るのだが、汗は全く掻いていない。
「くっ…何故この僕が、こんな目に…」
「業だろ?」
「!?」
愚痴を言っている天使が、不意に声がした方向を振り返ってみると、其処には自分を この場所に葬り込んだ本人が立っていた。
「
此処は一体、何なんだ!?
いや、そんな事は どうでも良い!
早く僕を、元の世界に戻せ!」
そんなサリエルに対し、
「ふっ…此処は冥界。死後の世界だよ。
何故、此処に…って、そんなの決まっているだろう?
サリエル!お前の息の根を、完全に確実に止める為だ!」
完全に台詞が、何処かの悪役の様な響。
響は死者の列の最前ある、死火山の様な火口…そして其処に、自ら飛び込み落ちて往く死者達を指差し、
「見ろ、あの
あれこそが黄泉比良坂!
この世と あの世を真に繋ぐ道だ!
サリエル…貴様が積尸気に来た程度で、死者の列に加わらないのは判っていた。
だからお前は、この俺自らが、あの穴に叩き落としてやるよ!」
もう1回言うが、どう見ても台詞と顔と行動が完全に悪役な響。
生前(享年9歳)は もっと素直な、例えショタコン女(16)の熱烈なアタックも、好意として素直に受け入れていた純粋な少年だった筈が、今生の世界に存在するカースト制度の為か、蟹座を宿星に持つ この少年は、心根は確かに正義で在りながらも、その性格は適度に歪んでしまった様だ。
むんず…
「な、何をするつもりだ?! は、離せ!」
そして説明を終わらせた響は、恐怖に怯えた顔を浮かべる天使の首根っこを掴み引っ張り歩き出すと、
「だから さっきから言ってるだろ?
直接に黄泉比良坂に叩き堕とすっt
「ひいぃい?! い、嫌だぁ~っ!!?」
その天使は 更に恐怖と絶望で顔を歪ませ、
嫌だ、僕は死にたくない!
そうだ、あの死者共の列の先頭が真の死の
…そう思い信じながら走る内、次第に当たりを彷徨う数体の鬼火が、サリエルに近づき、その身に纏わり憑いてきた。
うぅ~…
あぁあ゙~…
ゔおぉ~……
「な、何だよコイツ等? あ…アッチに行け!」
そう言いながら振り払おうとするが、鬼火達は離れる素振りは見せず、それ処か、その形を生前の人の姿に変えると、苦しそうに呻き声を上げながら、手を足を体を、拘束するが如く しがみつく。
「何なんだよコイツ等!? 僕から離れろよ!!」
「彼等は貴様達が今迄、不条理に命を奪ってきた者達の魂じゃないのか?」
「せ、
此処で逃げたサリエルに追いついた響が、その疑問に答えた。
「…それにしても、驚いたよ。」
「な、何がだよ?」
「今この場に、お前に手を掛けられた異世界の者達が居ると云う事は、この黄泉比良坂は全ての…少なくとも、複数の世界線を共有している事になる。
成る程…積尸気を司る
んん…と、何やら1人、納得する響。
「待てよ! 僕は こんな奴等、殺した覚えは全く無いぞ?!」
それに対して、必死に関係を否定するサリエルだが、
「お前が直接でないにしろ、お前が属している天界や、その下にある教会辺りが、どうせ自分達に従わないってだけで異端扱いし、それから表で裏で、消してきた人達じゃないのか?」
「う…」
その返しには心当たりが有るのか図星だったのか、言葉を詰まらせてしまう。
「これだから、他を一切認めない宗教関係ってクソなんだよ。
まあ、教会とか聖書の神とかって、所詮は そんなモンだよな?
特に上の奴等なんざ、権威権力への依存、己の保身しか考えてない…
どぉ~っせ、テメーが こっちの世界に来た目的ってのも、まおーさん…魔王暗殺も1つだろうが、ついでに勇者である遊佐さんも一緒に始末して、手柄を全部 教会の独り占めにして、王制以上の立場を得ようとしたってのが本音じゃないのか?」
「だだ、黙れぇ!!」
憑いている死者を振り解き、響に拳を向けるサリエルだが、
「遅い!」
バキッ
「うぎゃっ!?」
逆にカウンターのハイキックをまともに顔面に受け、腰を地に着けてしまう。
「くそっ! 魔力さえ使えたら、こんな奴…」
「今頃 何を言っている?
この冥界で俺と…積尸気の使い手と
そう言うと響は右手を上に上げ、
「不条理に命を奪われ、未だ失念の儘に彷徨うエンテ・イスラの民達よ!
貴方達の無念は、俺が晴らす!
だから今、この俺に力を貸してくれ!!」
先程まで、サリエルに しがみついていた霊達に訴えかけた。
『…………………………。』
そうすると、人の姿をしていた死者達は、まるで響の呼び掛けに応えるかの様に再び鬼火の形となり、響が上方に掲げていた右腕に纏うかの様に、集まっていく。
「なっ…? それは…?」
理解が追いつかないサリエル。
響は その右腕…右拳を、既に腰が抜け、へたり込んでいるサリエルに向け、
「行くぜ? 覚悟は良いな?」
「う…うわあぁっ…?! た、助けて…」
「却ーっ下! 命乞いなら、テメーの神に してみろよ!」
「…か、神よ、この、哀れな子羊を救い賜え…」
響の言葉に、サリエルは手を合わせて自らの神に助けを求めようとするが、彼の神は それに応える気配は無く。
「積尸気転霊波ァ~っ!!」
ゴォォォオォッ…!!
「ぎゃっあぁあああぁ~っ!!?」
そして響の腕から撃ち放たれるのは、
それは攻撃…破壊のエネルギーと変わり、サリエルに直撃するのだった。
「うわわわわわわぁあ〜?!」
この転霊波で吹き飛ばされたサリエルは、死者の葬列の中に突っ込み、その儘 黄泉比良坂への行進に加わる事に。
「ふん…お前の神は、お前はマンモス哀れ過ぎて救いようが無いだとよ!」
そしてサリエルを撃った魂達は、死者の列には加わる事無く。
鬼火の状態の儘、浮遊しながら直接、黄泉比良坂の穴に向かって行った。
「本当は、きちんと並ばないと駄目なんだけどね~?
まあ、きちっと成仏して、新しい生を受けるが良いさ…」
その時の響の表情は、先程までサリエルに向けていた それとは真逆な、優しい顔だった。
▼▼▼
「ただいま~♪…って、あら?」
「「「「うわっ?! びっくりした!!」」」」
積尸気に向かった時と同様に、今度は
しかし響も多少、驚きの顔を見せる。
どうやら自身が積尸気に逝っている間に、現世側も少し動きがあった様で、凄くバツの悪そうな顔をした鈴乃、見た目は真奥と同年代な青年と、響と歳が変わらない風に見える少年。
そして何故か、ロープで何重も身体を縛り付けられいる、少し…いや、かなり頭が寂しい聖職者風な老人が、新たに其の場に居た。
「えと…まおーさん…ですか?」
「応よ!」
しかし、一番 響が驚いたのは、真奥の姿。
自分より少し背が高く、体格も普通に鍛えている程度だった筈の真奥が、背は3㍍弱という、常人外れな体躯となり、左右の側頭部からは正に悪魔と思わせる巨大な角をイメージでなくリアルに生やし、何よりも…
「ま…まおーさん、かっけーっ!
一体どんなトレーニングしたら、そんな筋肉付くんですか?!」
響からすれば、正に己が理想としている様な、鋼の筋肉の鎧を纏った肉体となっていたのだった。
ついでに言えば、サリエルが破壊した筈の建物等が全て、何事も無かった様に修復されていた。
≫≫≫
「成る程…まおーさんが
「応よ! でも御陰様で、折角貯まった魔力が、また すっからかんだぜ!!」
「魔王様…嬉しそうに言うのは、少し違うと思いますが…」
「芦屋~、別に良いじゃんかよ~。」
真奥に芦屋と呼ばれた銀髪の青年が、遠慮気味に突っ込みを入れるが、それに対し、『後悔していない(どやあ!)!』な顔の真奥。
「少年…」
「あ、鈴乃さん?」
そんな中、鈴乃が響に声を掛ける。
「その…すまなかったな…」
「あ、いや…俺は別に…」
「あ~、吉良君? 鈴乃とは、もう、色々と和解したから!
だから吉良君も!…ね?」
会話が続かない2人の間に、恵美が割って入り、取り持ち。
「まあ、俺は特に、気にしてないすから。
どっちかってと、鈴乃さんの被害者は、まおーさん…のチャリですからね。」
因みに そのチャリ…デュラハン号に関しては、新しい自転車購入に係る費用を鈴乃が全て負担する事で収まったらしいが…
「まおーさん…セコいっすね…」
「いーや、セコくない!
これは当然の権利で有り、鈴乃からすれば義務だ!」
「いや…理由は どーであれ、女性に集るって時点で人として、いや男として、どうかと思いますよ?
…てか、破壊された建物と一緒に、デュラハン号も
「あー、しまった! その手があったぁ?!…でも、魔力が もう無い!!」
orz…両の膝と掌を着き、頭を垂れると同時に、通常の姿に戻る真奥。
参考までに この男、未だパンツ一丁、下着姿の儘である。
≫≫≫
「改めて名乗らせて貰う。
私は鎌月鈴乃と申す。鈴乃で構わん。」
「吉良響、中3です。
俺の事は皆、吉良っちとか きーちゃんとか呼んでるから、それで良いですよ?」
その後…響は改めて、鈴乃や真奧の仲間達と互いに自己紹介、挨拶を交わし。
…尚、『吉良っち』『きーちゃん』と呼んでいるのは、まだ一部だけである。
≫≫≫
「それで吉良っち殿…
サリエル…様…は、本当に死んでしまわれたのか?」
「ああ。冥界の死者の列に加わったのは、確認したからね。」
「それは…少し不味いかもね?」
「…だな。」
「…ですね。」
「…うむ。」
「え?」
鈴乃の問いに対する響の言葉に、難しい顔をする恵美達。
一応はサリエルは、彼等の故郷、異世界エンテ・イスラでは聖教審議会を支配下とする神の使いである大天使。
今回の件は、例えサリエルと教会の一部の人間の独断行動だとしても、本当に殺してしまったとしたら、今度はリアルに天界勢力が動きかねないとの事。
「それじゃ、仕方ないですね…」
ドガッ!
「ぎゅぴぃっ!?」
何時もの如く、死体に物理を喰らわせて、魂を呼び戻す響。
「「「「「「う…わぁ…」」」」」」
そして、その行為にドン引きな真奥達。
因みにだが、実は魂を戻すのに、わざわざ死体を蹴ったりする必要性は無い。
「よう、サリエル、目覚めは どうだ?」
「…最悪だよ…って、ベル!?
何故、彼等と一緒に居る?
まさか君は、裏切る心算かい?」
「…魔王と慣れ合うつもりは無い。
しかし聖教審議会の私欲の為なら、此方の世界が どうなっても構わないという考えは、やはり私の中の正義が許せない。
サリエル様…私を裏切り者、異端として本部に報告したいなら、好きにするが良い。
その変わり、その時は過去、教会が私に課した裏の命の全てを公にする迄だ。」
「そ、そんな事をしたら、君も、
「承知の上だ。」
「…ちぃ!」
「まあ、どっちにしても、今度、佐々木さんや遊佐さんや鈴乃さんに手ぇ出したら、只じゃ済まさないぞ?」
ピシィ…
そう言って、舌打ちするサリエルの顳に、掌打を当てる響。
「な、何をするんだか
貴様、一体何を…うわあっ!!?
ひぃえええ??! ごめんなさいゴメンナサイごめんなさいゴメンナサイごめんなさいゴメンナサイ!!」
それに対してサリエルは文句を言おうとしたが、次の瞬間、いきなりDOGEZAして謝りだした。
「吉良っち殿…一体、何をしたのだ?」
「ああ。今のは幻夢拳の上位技の、幻夢魍瘴拳って言ってね。
今回は俺達に対して、芳しくない感情や発想を抱いたら、
「どんだけ恐ろしい顔なのよ…」
「…試してみます?」
「いえ、結構!」
その後 響は もう1人…未だ縛られ、気絶している神官にも、同効果を及ぼす幻夢魍瘴拳を撃ち込んだ後にサリエル共々、
「2度と来んなよ!」
魔力0の真奥の代わりに、
そして、
「佐々木さんも…ごめんね、痛くしないからね…」
「え?」
チョン…
「…ん……zzz」
響が千穂の額に、軽く人差し指を当てると、その儘 眠ってしまう。
「ちょ…吉良君、ちーちゃんに何したんだよ?」
「…俺が、特別な能力を持つってのは、余り知られたくないんで。
俺は単に、この騒動に巻き込まれたマク〇常連の中学生で、サリエルは、まおーさんと遊佐さんが片付けたって事で。」
「まぁ確かに、あんまり知り過ぎても…ってのもあるよな。」
「仕方ないわね…」
響の言葉に、一応は納得する真奥と恵美。
「それからサリエルは、2人が手を繋いで踊る様な格闘術で倒した風に記憶を改竄させt
「「止めろぉおっ!!!?」」
その
その後、目を覚ました千穂が、その埋め込まれた記憶により、
「何故、魔王が勇者とダブル〇ーツしてるんですかぁ~!!?
敵同士なのに、お手々繋いでって、羨ましいじゃないですか~!!」
…と、軽く修羅場るのは、また別の話。
≫≫≫
そうしている内に、東の空が明るくなってきた。
「ふぅ、長い夜だったな…」
「ええ、全くすね…」
「てゆうか、魔王?
あんた、何時迄そんな格好でいるのよ?」
「あ…」
「まおーさん、もう、結界も解かれてるから、マ〇ドの制服、早く拾わないとマズいんじゃないですか?」
「あーっ、そうだった!
制服、下に置いた儘だった!
てゆーかバイト、抜け出した儘だったぁ!」
かーなーり、狼狽える真奥は、
「(−人−)すまない吉良君!
あの記憶を操る技、ウチの店長にも掛けてくれないかな?」
両手を合わせ、響に頼み込む。
それに対して響は
ニョキ…パサッ…パタパタ…
「ん~、それならスペシャルダブル〇ックのセットで、手を打ちましょう。」
「う…仕方無い…」
「あ、佐々木さん達も御一緒しませんか?」
「…ぇ゙?」
「あはは…私は、遠慮しとくよ。」
「私は遠慮無く、いただくわ♪」
「うむ、馳走になろう。」
「鬼ーっ!悪魔ーっ!!」
…その時、真奥の眼には、響が悪魔以上に悪魔に視えたと云う。
≫≫≫
その後、響はマク〇駅前店の入り口で、腕組みをし、素敵なスマイルを浮かべて待ち構えていた、何やら頭部に…響の それが悪魔なら、正しく鬼神の角の様な物が幻視出来るマ〇ドの女性店長に、
「…ゴメンナサイ。」
ピシィ…
「…ん?…成る程。変質者に攫われた ちーちゃんを助けに行っていたのか…それなら仕方無い、な…。」
幻夢拳を施し、
「「「頂きま~す♪」」」
「どうぞ…(泣)」
涙目な真奥を無視、マク〇店内で恵美、鈴乃と3人で、美味しく朝食を取る。
参考迄に、響は朝からスペシャルビッグマッ〇のセット(Lサイズ)、恵美と鈴乃はアップルパイとミルクティーをオーダー。
≫≫≫
そして…
「この大馬鹿者! お前は一晩中、何処をほっつき歩いていたんだ!!?」
ごんっ!
「ギャーッス!?」
帰宅早々、響は父親から拳骨を貰うのだった。