「ようこそ、普久間島リゾートホテルへ。
こちら、サービスのトロピカルドリンクで ございます。」
島に到着。ホテルにチェックインした後、早速 外に出向いたE組一同。
ベランダのテーブル席で寛いでいると、ホテルの従業員がサービスのドリンクを運んできた。
「いやー、沖縄 最っ高だな!」
渡されたドリンクを片手に、御機嫌顔になる響。
「景色全体が、鮮やかで明るいし!」
「ああ、水着の ちゃんねーも一杯居て、本当に御機嫌だぜ!」
「…だな!!」
「お前等…何しに沖縄に来たと思ってるんだよ?」
「「ナンパ!」」
呆れ顔の磯貝の問いに、決して ぶれる事無く平常な、岡島と前原。
「…律、悪いけど片岡さんと岡野さん、此処に呼んできてる?」
『は~い♡』
そして そんな2人に、やはり呆れ顔で無慈悲な粛清が必要と判断する響。
「「ちょ…吉良、律、ちょっと待て?!」」
そして鬼女達を呼ぼうとする、スマホ画面の中の少女を必死に止めるエロ坊主とチャラ男に苦笑しながら、響は手にしたグラスの中のジュースを飲み干す。
…その後、岡島と前原は無事、律に呼び出された女子達に粛清されるのだった。
≫≫≫
「茅野ちゃ~ん、殺せんせーは~?」
「今は磯貝君の班と遊んでるよ。」
この沖縄のメインイベント『殺せんせー沖縄暗殺計画』は夜、夕飯の後に決行する事になっている。
それまでの時間、日中は基本的に遊んで過ごす事になっていた。
殺せんせーは修学旅行の時に組まれた班毎に、順番に同行、一緒に遊び回る事に。
「…上手く陽動やってるな、磯貝の班。」
モーターハンググライダーで沖縄の空を滑空する磯貝達1班と殺せんせーを見ながら、杉野が呟いた。
「それじゃ、今の内に…」
「そうだね!」
…もう1度言う。
今回の暗殺沖縄旅行、初日の日中は、
しかし その裏、1つの班が殺せんせーを連れ回している間に、
≫≫≫
「殺せんせーは?」
「今は寺坂達と、海底洞窟を探検中さ。」
「こっちの様子は絶対に見えないわ。」
千葉龍之介の問に、菅野と矢田が答える。
「そうか…。それなら今は、射撃スポット選び放題か。」
「…サクッと決めちゃいましょ。」
「…だな。」
それを聞くと千葉は速水凜香と共に、狙撃のベストポジションを探しに、島の奥に歩を進めて行く。
「渋い、渋過ぎる!」
「もはや、仕事人の域だわ…」
そんな2人を見た班のメンバーは呟く。
…そして他の生徒達も遊びと見せかけて着々と、暗殺決行の準備を進めていった。
≫≫≫
夕方。
「な…何なのよ、これ?
ビーチから人っ子1人、居なくなってるじゃない?」
がらーん…
無人の海岸を見て、呆けた
少なくとも、表向きは中学生の引率をしている教師が身に着ける それではない。
「さっき一泳ぎして帰っていったのが、最後一般人だ。
このホテルと周辺一帯は、
「むっきー! 余計な事すんじゃないわよ!!
どうして私の水着デビューは、いっつもこうなのよ!?」
烏間の説明に、イリーナがガチギレ。
「ねーぇ~カーラースーマ~、悩殺したいの~♡
ねーぇ~、聞いてるの~?」
…かと思えば、ビーチのテーブルに着き、暗殺計画書を細かくチェックしている烏間の後ろから甘える様に抱き付くイリーナ。
その様は一見、仕事一辺倒な男と それに構ってくれとせがむ、恋人か若妻の様だが…
ひょい…
「え?ちょ…カラスマ?
な…何なの?いきなり大胆に…♡」
その余りの しつこさに観念したのか、或いは思う処でもあったのか、いきなりイリーナを軽々と、所謂お姫様抱っこで抱え上げる烏間。
「何よぉ、積極的じゃない?
まさか2人っきりだからって、この儘…」
「…………………………………。」
まさかの不意打ちに、まるで恋する乙女の様に頬を朱く染めるイリーナを抱きかかえた儘、烏間は海辺の傍まで歩むと、
ぽーい…ザッパァァーッン!!
「ギャーッス?!」
まるでゴミを棄てるかの様に勢い良く、苦虫を噛み潰した様な顔で、思いっきり海に放り投げた。
「ちょ…いきなり何すんのよ!?」
「…イリーナ、お前に聞いておきたい。」
「はぁ!? 何をよ??!」
まさかの不意打ち?に、怒り心頭のイリーナだが、それを完全スルーの烏間が、彼女に問い掛ける。
「以前、プロの殺し屋である お前は こう言ったな…『仕事は
「…………………!」
その言葉に、ついさっきまでは南国の観光気取りだったイリーナの眼が瞬く間、殺し屋のそれに鋭く豹変。
「ええ、そうよ。計画書は私も見たわ。
とても
…でもね、あんだけ複雑な計画だったら必ず1つ2つ、何処かでズレる。」
海から上がり、濡れた髪を掻き分けながら、隠そうとせずに悪女の微笑みを全面に出した暗殺者は、言葉を続ける。
「ね~ぇ、カ・ラ・ス・マ?
この私が、本当に遊んでるだけに見えて?
残念だけど、真剣に おこぼれを狙ってるのよ…
その結果、私にチャンスが回ってきた時。
その時を決して逃さない様に·ね…♡」
▼▼▼
「いや~遊んだ遊んだ。
おかげで真っ黒に焼けました。」
「「「「「「黒過ぎだろ!!?」」」」」」
「歯まで黒く焼きやがって…」
「もう、表情が読み取れないよぉ…。」
貸し切りとなっている船上レストランでの夕食。
日が暮れるまで太陽の下、生徒と遊び回っていた殺せんせーは全身黒焦げ…決して比喩なんかではなく、まさに【BLACK】の表現が ぴったりな程、消し炭の如く真っ黒に日焼けしていた。
「…ったく、どんだけ満喫してやがんだ、あのタコ?」
「こちとら遊ぶフリして準備すんの、大変だったってのによ…」
「…言うな。今日、ヤツを殺せたら、明日は何も考えずに楽しめる。」
「そーだな。仕方無ーな、今回位は気合い入れて殺ってやるか!」
寺坂組がボヤく中、各々が気心の知れた者同士でテーブルに着くと、学級委員の2人が担任に、これからの予定の説明を始める。
「とりあえずは これから、夜の海を堪能しながら、皆で ゆっくりとディナーを楽しみましょう。」
「メインイベントは、その後です。」
「…な、成る程ねぇ…
先ずは、たっぷりと船で酔わせて弱らせようと云う算段ですか。」
「当然です。これも、暗殺の基本の1つですからね。」
「ヌルッフフフフフ…正しい。実に、正しい!」
その段取りを純粋に賞賛する殺せんせー。
「…ですが、そう上手く行きますかね~?
暗殺を前に、気合いの入りまくりな先生にとって、船酔いなんか、恐れるに足r
「「「「「「「「「だから黒いんだよ!!!!」」」」」」」」
恐らくは殺意を抱かせる程のドヤ顔をしているのであろうが、そのあまりの黒さ故に、それすら判別が不可となった黒せんせーに、クラス全員から突っ込みが入る。
「にゅ…そんなにも黒いですか?」
「表情処か、前も後も判んないわよ。」
「ややこしい。」
「にゅる…それは困りましたね…」
当人は 其処迄は気にしていなかった…寧ろ、その見事な迄の焼け具合に満足していたのだが、生徒達の反応で、漸く少しだけ悩みだす黒せんせー。
「…殺せんせー。脱皮したら、元通りになるんじゃね?」
「おー、それです! 吉良君、ナイス!」
響の発言に その手があったと、笑みを浮かべる殺せんせー。
しかし、生徒達には表情が読み取れない。
「ヌルフフフフフ…皆さんも忘れていましたね?
先生には脱皮があるという事を。
黒い皮を脱ぎ捨てれば…」
ピピシッ…
其処まで言うと、黒せんせーの身体に亀裂が走り、
ぱっ…
「はい、このとーり!」
マッハ20での早着替えで黒い衣を取り去った、黄色いタコが現れた。
「あ、月1の脱皮だ。」
「ヌルッフフフフフ…脱皮には、こーんな使い道もあるんですよ~。
本来はヤバい時の奥の手ですが…」
「…でっすよね~♪
これで次の脱皮は、来月まで使えませんよね〜?www」
「ぇ゙?…………………………………。」
したり顔な殺せんせーだが、次の瞬間、まるでディ〇様の『
「あっ…ああ゙ぁ~っ????!!」
そして時が再び動き出したと同時に、「やっちまったなぁ!!」…とばかりに顔を覆って塞ぎ込んでしまうのだった。
「バッカでー…暗殺前に、自分で戦力減らしてやんの。」
「…ってゆーか、どうして未だに こんなドジ、殺れないのかしら?」
「と、とりあえず、吉良君、ナイス…。」
「お…応…」
予想外に予想以上の成果に、響も嗤いつつも これには少し、口を上に引き攣らせていた。
≫≫≫
「は~い、どうぞ、殺せんせー♪」
「まだまだ お代わり、ありますよ~♡」
「にゅやー、これも美味い!」
そしてディナータイム。
矢田と倉橋を始めとする女生徒達の、イリーナ流接待術が冴える中、『最後の晩餐』も終わりの刻がやってくる。
この日の為…
夏休み前から皆で、密かに特訓を重ねてきた。
仕込みも万全。
今度こそ…今度こそ、殺せんせーに、自分達の刃を届かせるんだ…!!
その時、クラス全員の心も、1つの強固な岩となっていた。
≫≫≫
「にゅ…やぁあ…」
「あれ~、暗殺前に気合い入りまくりで、船酔いなんか恐れるに足りないんじゃなかったの~?♪」
「あはは…結局、酔ってるし。」
その真球の如きな頭が ぐったり、水分を失ったヘチマの様に窶れせ細り、青冷めた顔をして、杖を立てて歩く殺せんせー。
「さあて、殺せんせー。メシの後は、いよいよメインイベントだ。」
「会場は こっちだぜ。」
食事も終わり、海から島に戻ったE組一同が橋を渡って向かっているのは、暗殺の舞台である、ホテルの離れにある…海上に突出している水上パーティールーム。
「此処なら…」
「逃げ場は在りません…!」
≫≫≫
「さあ、席に着きなよ、殺せんせー。」
「楽しい暗殺、先ずは…楽しい映画の鑑賞から始めようぜ!」
南国をイメージした木造の建物の中は、多人数掛けのベンチが規則的に置かれた大部屋。
そして その奥中央には、ワイド画面のモニターテレビ。
そんな部屋に入った殺せんせーを待っていたのは、三村航輝と岡島大河だった。
「先ずは、三村君達が編集した動画を見て楽しんで貰い、その後、テストで触手破壊の権利を持った吉良君達が触手を撃ち抜き、それを合図に、皆で一斉に攻撃…暗殺を始めます。」
片岡の説明に、
「因みに俺は総合と国語で計2本、触手の破壊権利を持ってるけど、国語の方は…」
ジャキ…
「その破壊の権利を、神崎さんに譲渡してるから。」
しとやかな笑顔で銃を構える神崎有希子の方向を見ながら、響が付け加える。
「それで良いですね、殺せんせー?」
「ヌルフフフフ…上等!」
≫≫≫
「三村、岡島、セッティングごくろーさんだったな。」
ぽん…
菅谷が船上ディナー返上で動画編集していた2人を労い、
「はいコレ。適当に盛ってるからさ、後で2人で食べなよ。」
「「サンキュ、原。」」
そんな2人に、"E組の母"が差し入れ。
「ふむ…」
そんな やり取りの中、殺せんせーは現場の状況を確認していた。
この小屋は、周囲を海で囲まれている。
壁や窓には、対せんせー物質を仕込んでいる可能性から、脱出はリスクが高い。
…と、なると、これは小屋の中で避けきるしか方法は無いみたいですねぇ?
≫≫≫
スト…
「準備は良いですか?」
最前列、モニターの正面のベンチに腰を降ろすと、殺せんせーは
「皆さんの全力の暗殺を期待します。
君達の知恵と工夫、本気の努力…。
それを見るのが、先生の何よりの楽しみなのですから。
…遠慮無用、どーんと来なさい!」
良い笑顔を浮かべ、自分の教え子達の全てを受け止める姿勢を見せた。
そして生徒達も改めて、その期待に応えるとばかりに、顔を引き締める。
「…じゃ、始めるぜ。」
パチ…
岡島が部屋の照明を消すと同時に、テレビの電源が入り、暗殺の第一段階となる動画がスタートした。
【3年E組 Produce! 〜とある教師の生態〜 】
情報提供 :潮田渚 他
撮影 :岡島大河 他
編集 :三村航輝
:岡島大河
:律
ナレーション :三村航輝
:律
≫≫≫
『…これは、椚ヶ丘中学校に在籍している、1人の教諭の日常である。』
三村のナレーションから、動画がスタートした。
その語り口調とBGMの選曲、カット割りのセンスに、ついつい動画に魅入ってしまう殺せんせー。
しかし、それでも周囲の注意は怠らない。
ヌルフフフフ…後ろの暗がりで、しきりに何人も小屋を出入りしていますねぇ。
位置と人数を、明確にさせない為なのでしょうが…しかし、甘い!
四方を海に囲まれている小屋ですが、ホテルに続く橋の1方向…その方向の窓から…E組きっての
≫≫≫
『…続いて御覧頂きたいのは、この場面である。
刮目せよ! 我々の担任の教師にあるまじき、この恥ずべき姿を!!』
…動画の中の三村の口調が、急に変わる。
これまでは、殺せんせーと生徒達との時に ほのぼの、時に漫才さながらの日常が流れるだけだったが…
「…ぇ゙?!」
モニターには旧校舎裏山で、無数のエロ本をニヤニヤとした締まりの無い顔で読みふけっている、黄色いタコの姿が映し出しだされた。
「………………………………………。」
夕食前、脱皮した時の様に、フリーズする黄色いタコ。
「にゅやあああ(」°o°」)あああぁ!!!!!???」
そして、再び時が動き出したと同時に、一気に顔を紅くして、羞恥心からの悲鳴を上げるのだった。
『有り得ない…この謎生物、これでも教師なのだ。
因みに最近のマイブームは、巨乳婦警シリーズ。
此れ等 全て このタコが、日本中…否、世界中を駆け巡り、1人で集めたエロ本の山である。…逮捕されてしまえ!!』
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ…
「な…違っ…待って!…てゆーか、何時の間に!?」
絶対零度の様な冷たい視線で微笑んでいる教え子達に、必死に弁解しようとするエロタコ教師。
「ぅわぁ…」
「殺せんせー…」
「…最悪。」
「にゅやーーーーー?!!」
この辺の動画内容を知らされていなかった一部の女子は演技で無くな、マジな軽蔑·失望·どん引きの眼差し。
それが尚の事、殺せんせーの精神にダメージが突き刺さる。
因みに この
そして律を軸とした【E組調査隊】の この黄色いタコの恥ずかしいレポートは、これだけで終わらない。
女性限定のスイーツバイキングに、女装して並ぶも、その異形故に一発バレでスタッフにより強制退場させられる場面。
夜道、1人歩きしているEカップ美女の背後に突如として現れ、不気味な笑い声を聞かせて消え去る場面。
休み時間中に狂った様にグラビアを見入っる場面。
そのグラビアアイドルに向けて「手ブラじゃ生緩い。私に触手ブラをさせて下さい!」…と要望ハガキを書き込みしている場面等々等々…
編集チームよる、無慈悲な暴露は更に続いていき、
『まだまだ、恥ずかしい場面は沢山 続きますよ~♪
これから約1時間、殺せんせーの恥ずかしい映像、楽しんで下さいね♡』
テレビ画面の中、婦警の制服姿のピンクブロンドの少女が、微笑みながら話すのだった。
「あ、あと1時間ん~っ!??」