暗殺聖闘士   作:挫梛道

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1学期
考察の時間


「心、ここに在らず?」

「へ?」

「だって響、さっきから ずっと外ばっかり眺めてるから…」

「いや、だって普通に気になるだろ? ()()()?」

春休みの初日、早速 始発に乗って某県(じもと)に戻ろうと、普段以上に早起きした響。

しかし朝のテレビ番組で、『月の消失』のニュースを観て、慌てて玄関を靴も履かずに飛び出し、空を見上げると、確かに綺麗に形が整った三日月が見える。

その後は兄の部屋に飛び込み、ベッドで寝ている兄に断りも無く、机の上のノートパソコンを勝手に開いて時事サイトを片っ端から覗いてみたが、関連ニュースは全て、月の約7割が消滅したという結果だけで、その理由については東〇ポレベルなゴシップ推論しか確認出来なかった。

尚、部屋を出る際に、目を覚ました兄から部屋への無断侵入並び、パソコンを勝手に使った制裁として頭突きをかまされ、両手で額をを押さえ もんどり打ったのは、別の話。

そして予定より1本遅れの電車で地元駅に到着。

その場で待ち合わせていた恋人、早乙女晴華とのデートを楽しむ事に。

しかし、最初に晴華に連れて行かれた映画が、響の苦手としている恋愛物。

アクション映画大好きな響には物語を楽しむ発想には至れず、約2時間の上映時間の中、再び あの月の事を考えていた。 

 

 

 

神や魔族、及び その眷属の仕業ならば、その時に発生する力の源を関知出来た筈。

小宇宙(コスモ)や魔力、そしてpsychic的な力が働いた様な気配は感じなかった。

考えられるのは、自然のエネルギーが引き起こした災害か、科学的な何かの事故。

しかし、地殻変動等の自然的な力なら、それでも ある程度は感じられる筈だし、月を彼処まで破壊する程の科学力なんて、想像が出来ない。

 

 

少なくとも響には、月面に あれほどの被害を及ぼせる様な科学的設備が存在する等、考えつきはしなかった。

結局は考えが纏まらない儘、退屈な恋愛映画はエンディングに突入。

その後、少し遅れた昼食を取ろうと、某有名ハンバーガーショップに。

カウンターで注文した後に窓際の席に座った後、ずっと月を眺めていた結果、冒頭の会話に繋がる。

 

「いやいやいや、確かに気になるけどっ!

中学生が気にした所で、何の解決もしないから!」

そりゃそーだ…そう思いながら、響は口を大きく開いてビッ〇マックを頬張り、その後はショッピングやゲーセンで時を過ごし、そして最後に、2人は最初に待ち合わせてしていた駅に着く。

 

「次に会うのは5月(ゴールデン・ウィーク)だな。」

「その時は あたしが そっちに行くよ。

なんなら雲仙ちゃんや白鳥君も、一緒に連れて来ようか?」

「う~ん、迷うな…2人きりも好いけど、久々にアイツ等とも直に会ってバカ話したいし…」

「も~! 本音は兎も角、そこは『1人で来い』って言う所でしょ!」

「へいへい…」

そんな やり取りをしていると、ホームの彼方に響が乗る電車が見えてきた。

 

「あ、そうそう…」

「ん?」

「あたし来年、椚ヶ丘を受けるから。」

「…………お、おう…晴華?」

「ん?」

電車がホームに停まる直前、周囲の全ての視線が自分達から外れ、電車に集中した僅かな瞬間、響は ほんの少しだけ、爪先立ちをして、晴華の額に自分の唇を当てる。

 

「Θ@☆※§∀∂∬♯Ж¢£~??!」

程が有り過ぎる不意打ちに、瞬間湯沸かし器な如く、顔が真っ赤になった晴華を見て笑いながら、

「…じゃな。」

響は電車に乗り込んだ。

 

「……………………。」

その電車が走り去った後、

「そこは口でしょ? あほう…」

彼女の呟きに対し、『本人の前で言わないと、意味は無いぞ?』とツッコミを入れる者は、そこには居なかった。

 

▼▼▼

時は4月に。

 

「「よぉ吉良。」」

「…~っす。」

新学期初日、校舎目指して山を登っている響に声を掛けたのは、前原とE組クラス委員の磯貝悠馬。

3人で歩きながら話題になるのは、やはり春休み初日の響のデートの話…ではなく、例の爆発して7割方が蒸発した月の話。

 

「この先の地球への影響なんかも、専門家の間で意見が割れてるらしいぜ?」

「…てか、爆発とやらの原因て、何だよ?

まずは そこからだろ?」

「きっと、ピッ〇ロが破壊したんだよ!」

「「「!!?」」」

…後ろから いきなり会話に加わる女子。

E組で こういった発言をするのは、完全な断定は出来ない?…かも知れないが、とりあえず最初に頭に浮かぶのは、ただ1人。

 

「或いは、黒〇め〇か(笑)。」

3人が振り向くと そこに居たのは、E組随一のマンガ大好き少女、不破優月だった。

彼女からすれば この発言は御約束みたいな物で、その後は4人で真面目に色々と あーでもないこーでもないと話をする内に校舎に辿り着いた。

そして その時、

「銀河帝国のデ〇・スター。」

「「「それだ(笑)!」」」

最後に持って行ったのは響だった。

 

▼▼▼

「机…減ってるな。」

「…だな。」

教室に入ると、3月末、2年生の終わりには40台近くあった机と椅子が、約30台に減っていた。

3年に進学と同時に椚ヶ丘を中退して、地元公立校に行った生徒が約10人。

E組の待遇を考えてみれば、その様な選択をする者が居ても不思議は無い。

 

「…って、あれ?」

「ん?」

そんな中、逆に見慣れない生徒が2人程。

1人は、恐らくは かなり長いであろう、水色の髪を頭の後方でツインテールに纏めた女子…

「「「な、な、な、渚ぁああ?」」」

…でなく、潮田渚だった。

そして、

「えーと、君は…」

「今日から一緒のクラスになった、茅野カエデだよ。よろしくね。」

今の渚と お揃いな如く、長い髪の一部をツインテールに結った、かなり小柄な…茅野カエデと名乗った少女、此方は正真正銘の女子生徒だった。

 

「あ、俺、前原陽斗、よろしくな!」

前原が真っ先に名乗り出て、その後も

「磯貝だ。よろしくね、茅野さん。」

磯貝も続き、

「俺は吉良。よろしく。

…で、渚、お前、何があった?www」

響からすれば、茅野より渚の髪の方が気になるらしい。

 

「い、いや…気づけば…何時の間にか…この茅野…さんに…」

「茅野で良いよ♪」

 

その後も

「お? 渚ぁ~! 似合ってんじゃん♪」

「似合ってますね。」

「す、凄く似合ってますぅ。」

「渚君、可愛い~♡」

E組(ウチ)の渚が、こんなに可愛いわけがないwww」

「……カ、カワイイ…。」

「う…似合い過ぎてる…」

「俺はノーマルだ、俺はノーマルだ、

      (…中略)

俺はノーマルだ、俺はノーマルだ…

俺はエロであるが、断じて〇モじゃあないんだ…」

概ね評判は良好だ。

何やら一部の女子生徒がorzったり、男子生徒が1人、別の道に堕ちそうになるも、自力で踏み留まったりとあった様だが、結果、渚のツインテデビューは成功した。

 

「………………………。」

そして その影で、編入生として普通なら注目を浴びても不思議ではない茅野は、殆ど空気となっていた。

  

≫≫≫

「へ~、理事長室でぇ…」

茅野が新学期の編入早々でE組となったのは、春休みの合間に編入手続きをしていた際、理事長室で ちょっとしたトラブルが有ったからだと言う。

 

「俺は てっきり誰かさんみたく、血祭りな事件をやらかしたからと、内心ビビってたよ。なぁ、吉良?」

「をゐっ?!」

前原の発言にツッコむ響だが、

「え゙? き、吉良君て、もしかして怖い人なの?」

茅野は涙目になり、渚の後ろ、彼を盾にする様に隠れてガタガタ震えてしまう。

 

「いや、誤解だから!

フルボッコにはしたけど、血祭りなんかには上げてないから!」

「吉良…フォローになってないよ…」

最終的には、磯貝が上手くフォローしてくれて、誤解?は解かれた。

 

≫≫≫

 

キーンコーンカーンコーン…

 

「おい、チャイム鳴ったぞ。

皆、先生が来る前に席に着けよ。

また出席簿で叩かれるぜ?」

「吉良君の様に!」

「吉良君の様に!」

「「吉良君の様に!!」」

「やかましいわ!」

予鈴が鳴り、クラス委員2人他 数人の呼び掛けで、皆が席に着いた。

 

ガラ…

 

やがて教室の扉が開き、

「起立…?」

中に入ってきたのはE組担任の雪村あぐりでなく、黒いスーツを着た、鋭い目つきの男だった。

 




早乙女晴華(さおとめ はるか)
 
誕生日     9月9日
身長      168㎝
体重      46㎏
得意科目    国語
苦手科目    英語
趣味、特技   お菓子作り
将来の夢    パティシエ
昔からの悩み事 何故か、英語堪能と思われている
最近の悩み事  彼氏の身長を抜きつつある


【備考】
吉良の彼女で、物語のメインヒロイン?
如何に出番が少なくともメインヒロイン?
暫く出番がなくともメインヒロイン?
誰が何と言おうが、メインヒロイン?
 
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