「「ひゃっはー! やってきたぜ! 沖縄本島!!」」
「「「うえーぃ!!」」」
「ホント、ビックリしたよね~♪」
「うん!」
「まさかのサプライズだよな~!」
≪≪≪
沖縄2日目の朝、朝食を終えて少し経った後、昨日の疲労も感じさせず、ホテルのロビーで駄弁っている生徒達の前にやってきたのは、
「やっ、皆、おはよう。
改めて昨日は、お疲れ様だったわね。」
「「「「あ、園川さん、おはよーございまーす。」」」」
烏間の部下、園川雀(25・独身)。
「早速だけど、君達に話があるわ。
あ、大丈夫よ。決して悪い話じゃないから。
実はね…」
≫≫≫
「…まじっすか?」
「ええ。ウイルスのトラブルは予想外だったけど、昨日の暗殺失敗の直後、あの工事が決まったと同時に、烏間さんが君達の為にヘリを手配してくれていたの。
もうすぐ、この海岸に…」
バババババババ…
「…やってきたみたいね。
勿論、強制でなく希望者だけだけど、どうする?」
「「「「「行きます!!」」」」
前日に決行された、【殺せんせー沖縄暗殺計画】。
結果は失敗に終わったが、このミッションで殺せんせーは『最終防御形態』となり、身動きが取れない状態に。
この時に烏間は直ぐ、次の策…【コンクリートの柩】計画を構想。
上層部に暗殺結果の報告と共に打診、GOサインを貰っていた。
その工事に伴い、ホテル傍のビーチは使用不可に。
しかし せっかくの沖縄バカンスを国の都合で生徒達を丸1日、何もする事無くホテルで缶詰めにさせる訳にも いかない。
更には暗殺そのものは失敗したが、完全防御形態と言う殺せんせーの特性を新たに引き出した功績は、充分評価に値する。
…という事で、烏間は生徒達の為にヘリを別途手配、沖縄本島で充分に羽を伸ばして貰おうという、彼からすれば、かなり粋な計らいだった。
そして生徒達を乗せたヘリは沖縄基地に降り、其処からは やはり政府がチャーターしたバスで海岸へ移動。
冒頭の会話に至る。
…尚、結果的にサプライズになったのは、当初は あの夜、生徒達が落ち着いた頃を見計らって烏間が話す予定だったのが、その前にウイルス騒動が起きてしまい、それ処では なくなったからだった。
残念だが あの烏間が、其処まで気の利く筈が無い。
「そー言えば
「うん…烏間先生には伝えておいたから、心配無いと思うよ?」
≫≫≫
その頃
「…何をやっているんだ、お前は?」
「あの~、今の私が自分で こんな状況を、作れると思いますか?」
烏間の前には、多量の海牛が ねっとりと貼り憑いている、名状し難きボールの様な物。
「…まあ良い。生き埋めの準備が出来たから、行くぞ。」
「ちょ…もっとマシな言い方、無いんですか?」
「…………。」
烏間は その物言いを無視、無言で手にしていた手提げ紐付きのビニール袋に この喋るボールを入れると、ビーチに向かい、歩を進めて行った。
「にゅやー! ちょっと待って烏間先生!
お願いだから、先に
▼▼▼
「それじゃ皆、夕方4時頃、また この場にバスを着けるから、それまでは自由行動って事で。」
「え? 園川さんは戻るんですか?」
「ん、残念だけどね。まだ向こうで仕事が残ってるし。」
そう言うと、ビーチまで同行していた園川は、バスに乗って去って行った。
「あ~、折角…」
「雀さんの水着姿、期待してたのに…」
「「「「ん、んんん。」」」」
ガン!x6
「「「「「「ギャーッス!?」」」」」」
その後、お馬鹿な発言と、それに相槌を打った馬鹿者達に女子達の、
「「「な、何故に こんな処に迄、そんな物騒な物、持ってきてるし…(ガクッ)」」」
…
▼▼▼
「あ痛ててててて…ウチのクラスの女子、マジに容赦無ぇ…」
「さっきのは、きーちゃん達が悪いと思うよ~?」
自由行動…クラスの それぞれが、気の知れた者同士でグループを組み、散り散りとなった訳だが、
「…俺は別に、ハーレム王なんて目指してないんだが?」
何故か、倉橋、矢田、櫻瀬、不破、岡野のグループに組み込まれている響。
響自身は余り乗り気ではなかったのだが、前原と岡島に半ば無理矢理に連れられ、ナンパに繰り出そうとした処を、やはり無理矢理に引き抜かれた形である。
「女子だけだと、変な輩がナンパしてきたりとか、面倒じゃない?」
「「そんな訳で、ボディーガード、よろしく!」」
…らしい。
「良いじゃないの、こんな美少女達を侍らせる事が出来るんだから。」
「「「「そーそー♪」」」」
「心配しなくても、晴華っちには、黙っていてあげるから。」
そう言うのは岡野。
響の彼女である早乙女晴華とは5月の連休、一緒に遊んだ時に連絡先を交換している様である。
「…美少女? ふん、それを自称するなら、せめて このレベルになってから言え。」
「「「「「……………。」」」」」
響はスマホの画面に、その晴華の写真を開いて見せるのだが、この女子達相手には、それは悪手だった。
「…ソノ、ヒナ、トーカ、ユヅ、殺れ!」
「「「「らじゃ!」」」」
「え?えぇ?」
岡野の号令に、不破と倉橋が左右から腕を組み、櫻瀬は正面から腹部に抱きつき、更に矢田は背後から、首から肩に、両手を回す。
先程の園川の件の様に、多少なりスケベな面は年相応に見られるが、恋愛事については
しかし端から見れば、女垂らし100%の構図の出来上がりだ。
カシャ…
透かさず それを、スマホに収める岡野。
「よし、早速 晴華っちに これ、送ってやる。」
「 m(_ _)m ゴメンナサイまぢゴメンナサイ。
俺が悪かったですので、それだけは堪忍しろ下さい。」
それに速攻 謝る響。
その様子は、少し離れた場所から見ていた磯貝達からすれば、
「「何を やっているんだ?」」
…で済むのだが、その辺りの事情を知る筈も無い一般観光客、特に男からすれば、
『リア充、爆裂しろ!!』
…に、他ならない。
「よ~、兄ちゃん、えらくモテモテじゃないかよ~?w」
「「俺等にも女の子、少し分けてくれよ~?www」」
「「「「「「………………。」」」」」」
事実 早々に、色々と勘違いした輩が声を掛けてきた。
高校生か大学生…な、3人の男である。
≫≫≫
「「「す、スイマセンしたーーっ!!」」」
ぴゅーん!!
「やれやれだな…」
数十秒後。この男達は、顔をボコボコに腫らせて退散。
「ね? やっぱり きーちゃんが居て、良かったでしょ~♪」
「…でも、あの程度なら岡野さん達でも瞬殺だろ?」
「良ーから早く、服着ろっ!」
バシィッ!
「へぷっ!?」
色々な意味で顔を真っ赤にした岡野が、Tシャツを響の顔面 目掛け投げ付ける。
「いやいや、どーせ直ぐに泳ぐんだから、もう良いっしょ?」
コクコクコクコク…
岡野以外の女子は、その台詞に首を縦に振って応えたり。
そして その後も…
「うぅらぁ! 犬神家ドライバーーーっ!!」
「すけきよーーーーーっ?!」
海辺だからこそ、使用可能な大技必殺技が炸裂したり。
≫≫≫
「ふぅ…これで、何度目だ?」
遊泳中、ビーチバレーの最中と、既に何度となく、ナンパしてくる輩共を撃退していった響。
「…あのさ、やっぱ男が俺1人だから、逆に あーゆーのが寄って来るんじゃない?」
事実、岡野達女子…と云うよりか寧ろ、多数の少女を1人で侍らせてる(様にしか見えない)響に対して、やっかみ半分で因縁を付け、あわよくば…と思っている者の方が大半だったりした。
それでも、その全体の半分以上は、響の その鍛え絞られた肉体を見て危険を感じたのか、
「…ぁあ゙っ!?」
「「「…………?!!」」」
一睨みだけで退散してくれていた。
…が、残りは自分達の人数の優位性だけで、己と目の前の
「や~、君、凄く強いさー。」
「??」
そんな響に、声を掛けてきたのは、無地の白いTシャツに短パンな出で立ち、
「「「「「わ…イケメン…」」」」」
整った顔立ちの、20代前半位の男。
「クス…彼がね、多勢に無勢みたいだから、助太刀するって言ってたけど、必要無かったみたいね?」
そして その隣には、麦藁帽に白のワンピース、少し赤身が混ざった長い茶髪の、男と同年代の女性が居た。
「あ~、どーも…」
それに少し照れて、顳をポリポリと掻きながら、応える響。
「え~、新婚さんなんですか~?」
「ん。つい この前、籍を入れたばかりさー。」
「ちぃ、イケメンは常に、会った その時には売約済みか…」
この夫婦、
麻奈は東京から仕事で赴任した際に、真牛に会って…という事だとか。
2人共に地元の警備的な仕事に就いており、先程も地元チンピラが響達に絡み、人数的に不利な響の助太刀…もとい、喧嘩の仲裁に入ろうとした処、響が1人で片付けてしまう。
その見事な無双っぷりに、思わず声を掛けてしまったとか。
≫≫≫
「じゃあね~、理由は どうであれ、余り喧嘩は良くないさー。」
「じゃね~♪」
その後 響達は この夫婦と少し話をして別れた後、偶々近くを通りかかった、
「お~ぃ!」
「「ん?吉良?」」
ナンパに精を出していた、チャラ男とエロ坊主の2人と合流。
「…で、お前等。水着の ちゃんねー、どうだったよ?」
「るせー!」
「成果ゼロだよ!!」
8人という、それなりな団体となり、行動する事に。
≫≫≫
「ちょっと腹、減ってきたな~?」
「もう直ぐ、お昼時だからね。」
「12時過ぎると、何処も店とか屋台とかは混むっぽいから、少し早いけど飯、食っちまうか?」
その後 一同は、海岸傍の屋台村で昼食。
昨日のホテルディナーのメニューには無かった、ソーキ蕎麦やゴーヤチャンプル等の、The・沖縄!…な料理を楽しむ事に。
その後、男3人は
「「「苦っ!!?」」」
ジュース屋台でゴーヤ100%なジュースを注文、予想外過ぎる苦さながら、意地と根性で飲み干したり、
「「「「「美~味しい~♪」」」」」
女子達は その様を見て笑いながら、シークヮーサーアイスを食べたり。
「「「おじさん! 言っちゃ何だけど このジュースって売れてんの!??」」」
「ん~。ゴーヤジュースって、本来はパインやマンゴーと混ぜたり、更に大人は、炭酸と泡盛を混ぜて飲む様なモンだけどねー。
内地の観光客…特に学生さんは、面白がって生地で飲むさー。」
「「「俺達かよ!!」」」
沖縄あるあるを、身を以て体験したり。
▼▼▼
「きゃーーーーーーーーーーっ!?」
「うわーーーーーーーーーーーっ?!」
「魔物だーーーーーーーーーっ!!」
「「「「「「「「!??」」」」」」」」
食事も済ませ、響達が再び遊ばんとばかりにビーチに繰り出そうとした時、そのビーチから、無数の悲鳴、助けを求める声が聞こえてきた。
助け声の中から聞こえてきた『魔物』という単語に まさかとは思いつつ、若干の心当たりを感じた響達は、逃げ惑う観光客を避けながら、その逆方向を駈けていく。
≫≫≫
「「「「「「……………。」」」」」」
そしてビーチに着いた時、響達が目にしたのは…
「おらおら! ご陽気に海水浴なんかしてるんじゃねーぞ、コラァ!!」
「きゃははははは!!」
「「はごーはごー!」」
「「「きゃあーーーーーーっ!!」」」
其処には、観光客相手に暴行を仕掛けている、
「アレ…何?」
「…コスプレ?」
「〇ョッカーの皆さん?」
異形の集団が居たのだった。