「ハブクラーゲンは俺が相手をする!
麻奈と吉良君は、残りの2人を頼む!!」
「「了解!」」
初めの一触即発な空気から、少しばかりの緩い擦った揉んだで話が脱線していた末に、漸く始まった琉球
「行っけぇ! 雷太鼓ファンネル!!」
ドシュウゥゥゥゥ…!
生まれも育ちも浅草だと云う、雷神ミカヅチの背に有った6連の雷太鼓が精神感応型遠隔操作機動砲台に変形し、縦横無尽に宙を駆け巡る。
「必ぃっ殺!【
どおぉん!!
「はごおーぉっ!??」
この東京御当地ヒーローが操るファンネルから撃ち放たれた雷撃が、戦闘員型マジムン、グーパー1号に直撃。
「せぇいやぁあっ!」
バキッ!
「はごっ?!」
続いて響が、同じく戦闘員型マジムンのグーパー2号に対し、胸元に
体を上下逆さ向きにした形で、相手の頭を脇に捕らえ、縦一文字に持ち上げると、
「犬神家ドライヴァーっ!!」
どどん!!
「はっごごおぉお~っ!!?」
この日の午前中に、響に喧嘩を吹っ掛けてきたナンパ男に放った技の、
頭から垂直に地面に墜とすと云う危険極まりない荒技で、グーパー2号は上半身が完全に、砂の中に埋まってしまう。
「「はごぉお~…」」
あっという間に倒されてしまう、グーパー1号2号。
「くゎーっ? ミカヅチは兎も角、何なの あの知らない人?!
滅っ茶苦茶、強いさー!!」
マブヤーとの戦闘中、視界に映った響の戦いぶりに、驚愕するハブクラーゲン。
「余所見とは随分と余裕だな、ハブクラーゲン!」
「あ…しまっ…」
そんなハブクラーゲンに、マブヤー渾身の
「スーパー
ドゴン!
「あぎゃじゃびよォォ!!?」
コークスクリューブローが、アッパー気味にヒット。
きらーん…
天空高く迄ぶっ飛ばされた人影は太陽と重なり、一瞬見えなくなったかと思えば、万有引力に従い落下。
ドシャァ!
派手に頭から浜辺に、錐揉み降下したハブクラーゲン。
先程のグーパー2号に次ぐ、す〇きよ2号の完成である。
「酷い…でーじ非道い…」
上体を砂から脱出させ、肩で息をしながら半泣きで呟くハブクラーゲン。
だが、この人外なる者に待っていたのは、
「これでトドメだ!
迸れ! 俺の
「ひぇっ!?」
…そう、『悪』に対して慈悲の欠片も持ち合わせていない、この"邪悪 絶対 殺すマン"の追撃であった。
「喰らえ! 積尸k
「あー、ちょっと待つさー?」
ぐぃ…ステーン!
「ふべらっ!?」
今 正にトドメを刺さんとダッシュした響だが、海パンの縁をマブヤーに後ろから掴まれ、勢いが殺された響は うつぶせ状態で倒れ込み、砂浜に顔面を痛打。
「痛て…な、何するんスか?」
「今日は もう、その辺にしとくさー。」
「はあぁ!?」
鼻を押さえながら問い質す響に対して、マブヤーは これ以上の攻撃は止めと言う。
「甘いすよ、もーしさん。
こんな輩、庇う必要性、あるんですか?」
基本的には響からすれば、己の理解の外に在る申し出。
「そう言えば…今回のバトルも、事前に約束してたぽいし…
もしかして、いつも決着が着いた後は、こうやって逃がしているんですか?
沖縄の御当地ヒーローとやらは、本当に殺る気が有るんですか?」
「……………………。」
緩い…正義を名乗る者としては、余りにも
「…ほら、アンタ達は、今の内に消えちゃいなさい?」
「ん~、ごめんね~…」
「「はごはご~…」」
「な…!??」
そう言っている最中に、ミカヅチがハブクラーゲン達を逃がしてしまう。
元々はマブヤーのアシストとして沖縄に派遣されたと言っていた、本来は東京の御当地ヒーローである雷神ミカヅチ。
まさか、そんな今迄は所謂 激戦区で活動していたであろう筈の彼女までもが、この様な甘い行動に出てしまうとは思わず、響は声を失い固まってしまう。
シュウゥゥゥ…
「…最初は私もね、キミと同じ行動に出たんだよ?
アイツ等にトドメ刺そうとした時、マブヤー…真牛君に止められたの。」
「…だったら!?」
そんな響に、変身を解いたミカヅチ…麻奈が懐かしそうに、笑顔で語り掛ける。
「東京でさ、アイツ等が この沖縄で何か悪さしたってニュース…そーゆーの、聞いた事ある?」
「………………。」
「無いよね?
それが、マブヤーの成果だよ?」
「しかし…!」
確かに、沖縄にてマジムンによる被害が出た等のニュースは、聞いた事がない…それでも納得の行かない響。
「…例え、今迄が大丈夫だったからって、それが逃がして良い理由には ならない!
身に降りかかる火の粉は、振り払った程度では、直ぐに舞い戻って来るんだ!
2度と舞わない様、完全滅却しないと、何時か大火傷するに決まっている!
解るでしょ!? その時になって後悔しても、何もかもが遅過ぎるんだ!!」
「…………………………。」
響の言い分は完全に正しい。
正しいからこそ、麻奈は何も言わず、黙って聞き入っている。
「それでも…」
「もーしさん?」
「真牛君…」
その時 何時の間にか、やはり琉神の変身を解除していたマブヤー…我那覇真牛が会話に加わってきた。
「それでも、マジムンも俺達と同じ、
「うちなーんちゅ…?」
≫≫≫
「まあ、沖縄の…『うちなーんちゅ』とやらには、その者達なりの考えや価値観が有るのは理解しましたが、それに納得したり、賛同した訳では無いですからね。」
「ん~、それで構わないさー。
ウチはウチ、余所は余所さー。」
あの後、真牛との僅かながらの話し合いの末、クラス副担任と比べて その1/1000程度な堅物思考を少しだけ和らげ、世の中には『うちなーんちゅ』の様な考え方も、確かに存在する…ただし、自分は絶対に認めない…そういう結論に至った響。
「それじゃあ吉良君も、東京でのヒーロー活動、頑張るさー。」
「俺は…俺達は別に、ヒーローってカッコ良いヤツじゃないんですけどね…
ま、頑張りは しますよ…頑張り、は。」
自分達はヒーローでなく暗殺者。
それを茶を濁す様に、沖縄御当地ヒーローからの任務遂行へのエールだけは、照れながらも素直に受け取る響だが、
「へ? 吉良君て、御当地ヒーローとかでないの?
じゃ、あの時の、俺の
…キミって一体、何者さ?」
「えぇーっと、俺は…」
その名称は知る筈もないが、響の燃やした
その正体に興味を示す。
「も、真牛君? 彼はね、私達とは別枠の…私達以上の、政府トップシークレット扱いな存在なの!
だ・か・ら! 余計な詮索は無し!ね?」
「ふ~む。」
しかし透かさず其処で、事情を…政府から殺せんせーやE組…即ち暗殺教室の存在は報らされている麻奈がフォロー。
「…ん、分かったさー。」
「納得 早っ?!」
「…とりあえず、何でも受け入れるのが、うちなー精神らしいわよ…」
≫≫≫
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…
マジムン撤退の後、再び海岸には徐々に観光客が戻って来ていた。
「「「「お~い、吉良~!」」」」
「「吉良っち~?生きてるか~?」」
「「「「吉良君~!」」」」
その中には当然、E組の生徒の姿も。
カルマや渚、そしてマジムンとの戦闘になるまで一緒に遊んでいた、倉橋や岡島達が、こっちに向かってきた。
「アイツ等…全員?戻ってきてるし…
すいません、俺、もう行かないと!」
「あ、ちょっと待って!
吉良君…3月迄にキミは、キミ達は、
「…!!!」
その別れ際、事情を知っている政府の人間としての、凛とした厳しい表情の麻奈の質問には、
「殺ってみせますよ。卒業の前に、ね!
それじゃ! 何時か また!!」
やはり政府に依頼された暗殺者として、且つ中学生らしい明るい笑顔で答えると、響は真牛と麻奈の2人に背を向けて、
「おーい!」
手を振って自分を呼んでいる、クラスメートの元に走って行くのだった。
≫≫≫
「ねぇ吉良っち~、あれから吉良っちって、どーしてたの~?」
「いや~、実は あの殺気? 至近距離で浴びたからさ、その場で腰、抜かしてよ…
それで、見事に逃げ遅れたって訳。」
「きゃはは♪ 吉良君、カッコ悪~!www」
「ぅるっせ! 自覚してるよ!
でも お陰さんで、地元ヒーローの戦闘、特別アリーナで観戦出来たよ!」
▼▼▼
「………………………。」
そんなクラスメートと談笑する、響の後ろ姿を見て、麻奈は呟いた。
「前に雀先輩が話してた、生意気で元気者な有望選手って、あのコの事よね?
…頑張れ…暗殺中学生…!♪」