沖縄編、終了です。
「ほぇ~。殺せんせー、あの中に居るんだ~?」
沖縄本島から、再び普久間島に戻ってきたE組の面々。
彼等は今、海岸に設置されている、巨大なコンクリートの塊を刮目していた。
▶▶▶
はい、それでは皆さん!
此処で烏間先生考案、【あのタコをコンクリートの柩で殺っておしまい!暗殺計画!!】について、少し解説します!
あ…この作戦名を考えたのは、ビッチ先生です。
先ず用意するのは厚さ約3㌢、幅 縦横1㍍の鉄板を6枚!
とりあえずは この内5枚を溶接、大きな箱を作り上げ、その中に完全防御形態となった殺せんせーと、沢山の対せんせー弾を隙間無く詰め込んでいきます。
その後、残った1枚の鉄板で蓋をして やはり溶接、殺せんせーを完全に閉じ込めてしまいます。
以後、この箱の事を『殺箱(仮)』と呼ぶ事にしましょう。
次に用意するのが、大きさ約1㍍x1㍍x50㌢のコンクリートのブロックを沢山!
ブロック1つの重さ、約1.2㌧!
このブロックを重機を使い、先程の『殺箱(仮)』を全方位、幾重にも積み重ねていき、ガッチリと固めていきます。
ブロックの外周は烏間先生が呼び寄せた、自衛隊の人達が連結用のプレートを使って きっちりネジ止めて繋いでいき、最終的には1つの個体に…単純に高さ約5㍍、縦横約20㍍の巨大コンクリートの塊…『殺せんせーの棺桶』の完成です!
後は…殺せんせーの完全防御形態が自然解除されるのを待つだけ!
殺せんせーが元に戻る際、周りの対せんせー弾を、外を囲んでいるコンクリート毎吹き飛ばす事が出来るか?
それとも、爆発の威力よりもコンクリートの強度の方が勝り、哀れ殺せんせー、箱詰め状態の中、対せんせー弾の前に溶けてしまい、本当に このコンクリートの塊が殺せんせーの棺桶になってしまうのか?
…結果は間もなく!
以上、解説は3年E組、不破優月でした!
…ちょっと其処のアナタ、「メタいよ!」…とか言わない。
▼▼▼
【あのタコ(中略)暗殺計画!!】の責任者である烏間は、陽が登る前、作戦に必要な物資が島に届いた時から不眠不休で、工事の指揮をしていた。
「疲れてる素振り、全く見せてないし。」
「…凄いよね。」
「マジに人外だよ。」
「あと10年チョイで俺達、あんな超人に なれるのか?」
「さーな…」
「無~理! 無理無理無理無理無理無理!! 絶~対に無理!」
昨日のホテルで見せた一面に続く烏間の行動力、その完璧超人っぷりに、改めて感心。尊敬の念を抱く生徒達。
イリーナも然り。
普段は単なる、弄りがいがある恥女程度にしか見てなかったが、やはり昨日の一件で『凄い人』と認識せざるを得ない。
「昨日の殺し屋もさ、長年の経験でスゲー
「…かと思えば、鷹岡みたいに…な?」
「おぅ、『絶対に あんな風には なりたくない』って思わせる奴も居たりな。」
更には今迄に知り得た、
「『良いな』って思った人は、必死に その背中を追っ掛けて、『ダメだ こりゃ』って思った奴は、後ろに置き去りにして…」
「ん~、多分、それの繰り返しなんでしょうねぇ…」
「"大人になってく"…かぁ…」
▼▼▼
もう直ぐ、E組の計画決行した【殺せんせー暗殺計画】から24時間が経つ。
それはイコール、殺せんせーの完全防御形態が自然解除される時間。
そして烏間考案、イリーナ命名の【あのタコ(以下略)】が、行使される時でもある。
コンクリートの柩に閉じ込められている殺せんせー。
その柩を破壊して外に脱出するのか、それとも柩の強度が爆破のパワーに勝り、内部に仕込まれいる、対せんせー物質の餌食になるのか…
「そろそろ…だよね?」
「ああ…」
この日の夕食は、海岸…
皆それぞれが皿に盛った料理を口にしながら、どちらに転ぶかは判らないが、結果が出る瞬間を待っていた。
どっどぉーーーーーーーーーーーーぉん!!!!
「「「「「「「!!!!??」」」」」」」」
そんな折り、突如として鳴り響いた轟音。
『柩』の上面には、巨大な穴。
周囲の海には、爆破で飛ばされた、大小のコンクリートの破片が降り注ぐ。
「爆発した!」
「殺れたの?」
皆が そんな言葉を口にするが、
「ヌルフフ…今回は先生の不甲斐無さから、皆さんに苦労させてしまいました。」
「「「「!??」」」」
「…ですが皆さん、敵と戦い、ウィルスと戦い、本当に よく頑張りました!」
皆が声がした方向に目を向ければ、其処には何時の間にか…本当に何時の間にか、麦藁にアロハシャツな格好で、バイキング会場に姿を見せている殺せんせー。
「~~~~~~~~~!」
最初から食事に参加していたかの如く、自然体で両手に持つシシカバブをかじりつく その仕草を見て、物凄く複雑且つ、残念そうな顔を浮かべているのは烏間である。
「殺せんせー、おかえり~♪」
「おはようございます?で、良いのかな?」
「やっぱし先生は、触手が ないとね。」
そして烏間とは対照的に、笑顔で担任を迎える生徒達。
「はい、皆さん おはようございます。
それでは、旅行の続きを楽しむと しましょうか。」
「続きっつっても、もう夜だぜ~?」
「「「「んんんんん。」」」」
「明日は朝飯食べて、帰るだけだしな。」
「はあぁ~~~~~~~~~~…
何を言ってるのですか、君達わ?
夜だからこそ!…なイベントが残っているでは在りませんか!」
「夜って…」
「まさか…?」
「そう! 昨日の見事な暗殺の お返しに!
先生、スッペシュヮルなイベント、プロデュースしています!!」
バサッ
そう言うと殺せんせーは、何処かの露出狂な如くアロハを上方に脱ぎ捨てると、マッハで白装束に早着替え。
頭には三角巾を巻いている。
それは正しく良く言えば古風、悪く言えばベタな、日本古来の幽霊の様な出で立ち。
「ヌ~ル~フ~フ~フ~…
真夏の夜ってーと、やる事は もう、コレ1つでしょ~?」
そう言った殺ゆーれーの
【夏休み旅行特別企画:納涼! ヌルヌル☆暗殺 THE・肝試し!!】
…と、書かれたプレートが。
「「「はあ?」」」
「「「「暗殺…」」」」
「「「「「肝試しぃい!?」」」」」
唐突な話の持ち掛けに、最初は『??』となる生徒達だが、
「ふ~ん? 面白そうじゃん♪」
「まあ、定番ちゃ定番でさね~?」
「…だな。」
「やろやろ~!」
「え~? でも、何だか怖いの嫌だな~…」
「平気平気!」
次第にノリ気を出していく。
「よし、昨日の夜、動けなかった分の憂さ晴らしだぜ!」
「応よ!」
「水着の ちゃんねーアタック、全玉砕の憂さ晴らし…だろ?」
「「やかましいわ!!」」
≫≫≫
肝試しの
この全長300㍍。トンネル状の洞窟を、男女2人のペアで通り抜ける。
尚、男女人数の関係で2組程は、男子2人と女子1人のチームに。
お化け役は当然、殺せんせー。
そして勿論、その お化けは最中に殺ってしまっても無問題!
「どうです? 暗殺旅行の締めには、ピッタリだと思いませんか?」
結果、クラス全員が殺る気を出し、暗殺旅行ラストイベント、暗殺肝試しがスタートするのだった。
しかし、彼等生徒達は気付いていない。
このイベントの裏に、黄色いタコの、どす黒い陰謀が隠れ渦巻いていた事に。
「あのタコを殺るチャンスよ!
カラスマ、私達も参加するわよ!!」
「…ハァ、やれやれだ。」
≫≫≫
「大丈夫かよ? 中村ちゃん?」
「う~…まさか、其の場に来て、自覚してしまうとわ…」
一番最初に洞窟に足を踏み入れたのは、前に立ち、懐中電灯を持つ響と その後ろ、響の両肩に手を置いて、恐る恐る歩く中村のペア。
殺せんせーの肝試しの誘いに、最初はノリノリだったのだが、いざ現場に来て、其処で初めて実は自分が怖い系が苦手だった事に気付く中村。
「俺は てっきり、中村ちゃんは『饅頭怖い』系と思ってたんだけどな~?」
「あたしも それだと思ってた…って、吉良っちは こんなの平気なん?」
「そりゃあ、俺はねぇ…」
…積尸気を操る
ペン…ペンペン…ペン…
「「!??」」
少し歩いた時、いきなり聞こえてきた弦楽器の音。
ボゥッ…
「おっ?♪」
「ひえぇえっ!? で、出たぁーー (」°o(」° ーーっ?!」
其処に現れたのは、古代琉球貴族の衣装を身に纏い、蛇味線を弾きながら、煙の様に いきなり姿を見せた殺せんせー。
思わず顔が楳〇かずお先生風タッチとなり、恐怖の悲鳴を上げたのは中村。
一方、幽霊系には絶対耐性を持っている上、最初から
ペンペンペンペンペンペンペン…
『此処は、血塗られた悲劇の洞窟ぅ…
琉球…嘗ての沖縄で、戦に敗れた王族達が非業の死を遂げた場所…
未だ成仏叶わぬ数多の者達が、亡霊となりて、彷徨う洞窟じゃぁ…』
「(ボソ…)まぢかな?」
「(ボソ…)いやいや、リアルっぽくする為の設定っしょ?」
そして響が、「何故に『愚零闘〇多』のテーマ?」…と疑問に思いながらも、この殺ぼーれーは話を続けていく。
『…故に、決して2人、離れぬ様に…
1人にならば、途端、彷徨う魂に憑き殺されようぞぉぅ…』
ぞく…!!
「ひぇっ!?」
「ん? 中村ちゃん?」
余りにもリアルな口調に、恐怖からか本能的に、響の腕に組み付く中村。
『ヌルフフフフ…そうそう、良いですよ、そんな感じ!
もっと こう、ぴったりと組っ付いt…!?」
ボゥ…
その様を見て、『計画通り(CV:宮野氏)』…と、内心で ほくそ笑む殺ぼーれー。
しかし この時、殺ぼーれーは見てしまう。
脅える中村と、その隣で平然な顔をしている響の背後に、蒼く揺らめき燃ゆる、幾つもの宙に浮く炎の様な物体を。
そして その焔の中からは、次第に人の顔が浮かび上がり、琉球貴族のコスプレタコと目を合わせると、
ニタァ…
と、不気味な笑顔を見せる。
「にゅやーーー(」°o(」°ーーーっ!?
で、出たーーーーーーーーーー!!
ドシューン!!
その後、マッハで洞窟の奥に飛んで行く殺ぼーれー。
「な…何なの?アレ?」
「さ·あ?…www」
この後、殺ぼーれーが見た蒼い炎は音も無く全て消え、響は中村に聞こえぬ様、小さく呟く。
「(ボソ…) 積尸気鬼蒼焔…ってね♪」
…人、其れを
≫≫≫
「あー、吉良君! 中村さん!
良かった~!無事だったんですね!!」
響・中村ペアが洞窟から戻って来た瞬間、安堵な顔を見せた殺せんせー。
「吉良~、洞窟ん中で一体、何があったんだよ?」
「殺せんせー、ダッシュで外に飛び出てきたかと思えば、いきなり『ヤバいです! ガチです! 肝試し中止ー!』って言い出すんだもん。」
「さあ…ね?」
「てゆーかさぁ殺せんせー、何だったの? 洞窟の中のアレ?」
「「「「アレ??」」」
…響・中村曰わく、一通り指定されていたコースを廻ってみたら、カップルイチャコラ仕様なベンチが置いてあったり、ポッキーゲーム特設ステージが設置されてあったり、ツイスターゲームが置いてあったり…
≫≫≫
「つ・ま・り…吊り橋効果で、カップル成立を狙っていた…と。」
「悪いけどさ~、ベタ過ぎだったよ?
魂胆見え見え。御陰様で怖いの、全~部、吹き飛んじゃったし。」
「うう…」
「言い訳があるってなら、一応は聞いてやるぞ?」
この生徒達の問い詰めに、
「だ…だって、見たかったんだもん!
皆さんだって、お手々繋いで、初々しく照れてる2人とか見て、ニヤニヤしたいとは思いませんか? ねぇ? 思うでしょ??」
「「「思わねーよ!!」」」
「ぅっわ? このタコ、泣きギレ入りやがったぜ!?」
「ゲスい大人だなぁ…」
「「「こんな風には なりたくないな。」」」
涙ながらに訴え、同意を求める殺せんせー(正座中)だが当然ながら、賛同者は居る筈も無く。
生徒達は その様を見て、呆れドン引き。
この後、このエロダコ教諭は中村達女子に、自分達の年頃に、こーゆー色恋沙汰は下手に煽ると逆効果な場合が多いと諭され、
「大体、そーゆー謀り事なら、俺に一言アドバイス求めろよ?
このクラスで唯一の…(チラッ)…でも、ないか…相方持ちだぜ?
最初から声掛けたなら、幾らでも協力したのに。」
「「おい お前…今、誰と誰を見て言った?」」
「「「コイツが一番ゲスい!」」」
「「ちくしょー! リア充、爆死しやがれ!!」」
響が最後に集中放火されるというオチが着いて、この場は解散となった。
「ふん、とんだ茶番だったな…」
▼▼▼
「全く…殺せんせーにも、困ったもんだよね~♪?」
「…だな。」
「いや吉良、お前も今回は同類みたいなもんだから。」
「何でだよ!?」
「あははは…」
就寝前、ホテルのラウンジで雑談しているのは、カルマ、響、杉野、渚。
「ん? 皆、アレ見て…」
「「「???」」」
ふと、外を見た渚が指差した先には、低くした体で植木の陰に隠れ、何やら海側の様子を窺っている、数人の人影。
≫≫≫
「何してるんです?」
「「「「(ひにゃあぁあっ!!?)」」」」
何事なのか解らず、とりあえず可能な限り気配を絶った上で、件の人影に近づいた響達。
そして背後から声を掛けた渚に、その不意打ちに驚き、声を殺した声で悲鳴を上げたのは、イリーナ、中村、矢田…そして、
「(ボソ…)な、渚君! 急に話し掛けないで下さいよ!
先生 驚いてショック死したら、どーするんですか!?」
「(ボソ…)それは寧ろ、Welcomeだよ?♪」
「(ボソ…)にゅやゃ!!? カルマ君、そんな、ヒドい!」
…殺せんせーの4人。
そして その後も、ヒソヒソ声で、会話する8人。
「(ボソ…)…で、何コソコソしてた訳?」
「(ボソ…)ふっ…アレ、見てみ?♪」
「「「「………………!!」」」」」
中村が指差した先を、男子4人も植木に身を隠して見てみると、其処には海岸にて何やら良い雰囲気で歩いている烏間の部下…園川雀と鵜飼健一の2人が居た。
ニョキ…パサッ…パタパタ…ぐっ!
全てを察し、何も言わず、
それに、同様なアクションで応える中村とイリーナ。
「しっかしさぁ、あの2人がデキてたなんてね~♪?」
「~でしょ?」
「確かに意外だよね?」
「応、俺もビックリだよ!」
「いや、でも意外と似合ってない?」
「よぉ~っし! これで また、スズメを弄りまくれるネタが出来るわ!」
「ヌルフ…無駄口を叩かない! 見つかってしまいますよ!!」
その後、この男女&タコの8名…ある者は暗殺者としての独自の歩法、ある者は浮遊移動に保護色でのカムフラージュ、また ある者はナンバ、そして また ある者は
普段の仕事着とは全く打って変わる、正しく沖縄仕様…ラフなファッションの2人を追跡するのだった。
≫≫≫
「Shit!このタコが押したりするから!」
「にゅや! だ、だって、吉良君が私の前に身を乗り出すから…」
「るせー! 大体、図体デカい奴は一番後ろ側てな、常識だろうが! 何で前に出ようとする!?」
「そこの3人! 勝手に喋らない!!」
「「「は…はひ…」」」
しかし この後、「さあ、いざ此れから!」…な、R15以上R18未満な場面に差し掛かろうとした処で、約3名の暴走が原因で2人に見つかっていまい、其の場で8人全員が正座。
大〇部長クラスな怒り爆裂の園川に、散々と説教される羽目に。
「ぅ…だから僕は、止めとこうって言ったのに… (T_T) 」
「何、1人で良い子ぶっているのよ!?」
「ノリノリで付いて来てたぢゃねーか!」
「(怒)DA(怒)MA(怒)RE(怒)!!」
「「「は、はい! (」°o(」°」」」
≫≫≫
こうして沖縄最後の夜は更けていき、翌日、E組一同は東京へ帰郷。
2泊3日の短くもあり、永くもあった沖縄暗殺旅行は、幕を閉じるのだった。