原作の夏休み明け、竹林のエピソードは全面カット。
だって今のA組とE組の力関係からして、戻るメリットなんか無いでしょ?
ついでに茅野ちゃんのプリンの話も、端折ります。
刺客の時間
「「「「「ぎゃーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」」」」」
9月初日。
夏休みが明け、椚ヶ丘中学校でも、2学期がスタートした。
始業式の後、裏山にて、
「あ~、笑った笑った!」
「流石は
「来週も、楽しみにしてるよ~♪」
「じゃね~! 浅野学
「「「「「「ぷっぷぅーっ!!」」」」」」
一学期の期末テストでの『賭け』に定められている約条の1つである、A組による『週1の芸披露』を観て、大笑いするE組の面々。
「「「「「「「「くっ…!」」」」」」」」
浅野学秀を基とした5英傑を筆頭に、A組の全員が睨み付ける中、響達E組は嬉々とした顔で、山の上の旧校舎を目指し、登っていった。
「クソ…吉良…お前さえ、潰せば…!」
≫≫≫
「君達に政府から、報告が有る。」
朝のホームルーム。
其処で烏間がE組一同に伝えたのは、
「「「「「「さ、300億ぅ????!」」」」」」
殺せんせーの暗殺成功時の、報酬金アップの報告だった。
政府が言うには、沖縄での暗殺は結果は兎も角として…烏間の進言も有るが…経緯は大きく評価。
その集団連携の有用性から、今後は個人で無くチームとして暗殺成功させた場合、最初に提示した額の3倍を支払う事になったらしい。
「凄ぇぜ! 単純に1人当たり、約10億かよ!」
「でも そんなにも有ると、逆に何に使えば良いか、悩んじゃよ〜?」
「プリンとプリンとプリンと…それと、豊胸手術!」
「ヌルフフフ…先生の感謝の気持ちとして、立派な墓を建ててくれたr
「「「「いや、それは無い。」」」」
「にゅやーっ!? ドイヒーッ?!」
「うわぁ…それだけの お金が有ったら、掛けうどんに海老天と卵と肉と お稲荷さんと、え~と それから…」
「い、磯貝?」
その報せに、テンション爆上がりなE組の皆さん。
そのテンションの儘に、彼等は始業式に出席する為に下山するのだった。
「なぁ磯貝。さっきの うどんの話な…鶏天と野菜かき揚げ、それとカツ丼を忘れてるぞ?」
「…! あぁ、そうか!
ありがとな、吉良!」
「磯貝君…本当に それで、良いの?」
▼▼▼
始業式も終えた この日は授業も無く、基本的に、部活動等がある生徒以外は下校となる。
そんな時間帯の椚ヶ丘中学校の本校舎会議室では、E組を除く3年生の授業を受け持つ教諭が、担任、教科担当問わず、全員が集まっていた。
「…ですから、エアコンの使用だけは、どうにかして容認する方向には、やらないでしょうか?」
「教える側の、我々の集中力が欠くのが問題なのです。」
1学期の期末テスト、E組との『賭け』での制約の中の1つである、『A組教室の空調機使用禁止』について、3年担当の教諭達から、この件についての話し合いが行われていた。
…まあ、要約すれば、「暑い!」という事である。
「…そもそも、E組如きとの約束なんかをA組生徒が、律儀に守る必要性が有るのですか?
あんな賭け、全て無効にしてしまえば…」
「大野先生?」
A組担任の大野が、賭けの話自体を反故にしてしまう旨の発言をしようとした時に、それを止める様に、大野を呼ぶ声。
「り、理事長…」
椚ヶ丘学園理事長·浅野學峯。
「A組とE組との、期末テストの結果如何で取り決められた その賭けは私も立ち会い、最終的には、私が容認した物です。
大野先生は、私が下した決断に、異を唱える…と?」
「…ぃ、いぇ…その様な心算でゎ…」
浅野の、絶対零度という比喩がピッタリな視線から送られる問い掛けに、大野は青ざめた顔をして、声を裏返しながら応える。
「…皆さんに言っておきます。
我々が教師の権限を振りかざし、
しかし一度でも それをやってしまうと、今後は今回の様な賭け…勝負事は成立しなくなってしまう。
彼等に『どうせ、自分達が負けた時は、教師に泣きつくんだよな?』という、大義名分を与えてしまう事になるのですよ?」
「「「「「………………。」」」」」
浅野の発言に、黙り込む教諭達。
「そもそもエアコンの件は、あなた方、先生達にも責任が有りますよ?」
「「「「なっ…!?」」」」
「そ、それは一体、どういう意味ですか? 浅野理事長?」
教諭の1人が質問。
それに浅野は、冷たい笑を浮かべながら答える。
「だって、そうでしょう?
あなた方の授業が至らなかったばかりに、A組の皆は、E組の生徒に勝てなかったのですから。
それこそ、空調の効いた快適な空間の中で勉強していた者達が、蒸し暑い教室で授業を受けていた生徒たちに結果、成績で劣ってしまった。
それは、あなた方が教鞭を執る、授業内容に問題があった…間違っていますか?
そして、E組にて授業を受け持っている先生方も また、エアコンなんか無い劣悪な環境の中で授業を進め、結果を出した…
その点を、お忘れ無く。」
「「「「~~~~~~~~!!」」」」
数人程、其れに対し、物言いたい顔をしてはいるが、この
「あなた方も この椚ヶ丘の教諭なら、その辺りの自覚は持って頂きたい。
結果が出た後に文句を言う前に、文句を言う必要性が無い結果を作り出す方向に、尽力して下さい。
しかし、その努力を無惨に吹き飛ばす程の学力を、自分の教え子達に身に付けさせるのが、あなた方の使命の筈ですよ?」
「「「「「「…は、はい…」」」」」」
少しばかり?強引な部分もあるが、E組が常に弱者で有ると同時に、本校舎勢は常に強者で在れ…
その信念に基く発言に、やはり教諭陣は肯で応えるしかなく、その返事に満足した浅野は、最後に一言。
「…それが出来ない様な無能な教師は、この学園には、必要有りませんから。」
「「「「「「!!?」」」」」」
「…私が言いたいのは、それだけです。
それでは私は、これにて失礼します。」
微笑みながらも抉る様な冷たい眼差しを、会議室に居る教諭達に浴びせ、その場を凍りつかせた儘、退室していった。
▼▼▼
この日、放課後の通常特訓を終え、皆が下校する中で1人、響だけは未だ、個別で烏間との特別訓練に勤しんでいた。
「吉良君、今日は もう、この位にしておこうか。」
「ハァハァ…ぁりがとぅ…ございましたぁ…」
息1つ乱さずに、訓練終了を告げる烏間に、がっくりと膝に手を置き、肩で息をする響。
設定された制限時間まで続いた実戦さながらな模擬戦は、両者が互いにクリーンヒットを許さずも、明暗くっきりと着いた形となっていた。
当然ながら
いや、烏間に限らず、
しかしながら、4月に殺せんせーの事情を知った響は、E組に於ける超破壊生物暗殺計画に関しては、
あくまでも訓練を受けた中学生として、暗殺の活動するという制約を、自身に設けていた。
地上の愛と正義と平和を守る、アテナの
その為にも…決してクラスメートを信用していない訳では無いが…暗殺成功の可能性を少しでも高める為、自身の戦闘のレベルアップ、さしあたっては ごく身近にて最強、そして
因みに その際…
「これは秘密の訓練だ! お前等は、とっとと帰れ!」
とばかりに、その様子を見学しようとした生徒達を、必死に先に帰そうとしたのは、また別の話。
「皆~、帰ろぜ~?
吉良っちさ~、負けるの見られるのが、嫌なんだってさ~♪」
「ケッ!それなら、仕方無ぇな!www」
「ほ~ら、陽菜も もう帰るよ!」
「う~…烏間先生が きーちゃんをけちょんけちょんにするトコ、見たかったのにぃ…」
そしてカルマ、正解。
…尤も、訓練云々の他にも、単に1人の男として、自分の知る限りの『最強の男』に勝ちたいという、脳筋な戦闘的思考が否めないのも事実だが。
烏間以外にも、沖縄に向かう前の訓練にて、講師役に喚ばれた暗殺者にも模擬戦では及ばず。
東京に戻った後も、その後の訓練で講師として改めて再来日したグリップに、模擬戦にてカルマ共々、地を舐めさせられていた。
≫≫≫
『あ~ぁ、また勝てなかった…みたいな?」
まるで某・過負荷の様な台詞を呟きながら、フラフラな足取りで下山する響。
訓練によって少し減った小腹を埋めようと、何時もの駅前のハンバーガーショップへと足を運ぶ。
≫≫≫
「…だ・か・ら·お前わ!
わざわざ俺にケンカ売る為に、この店に来てんのかy…いらっしゃいませー!」
「まおーさん、こんちわ~♪
相変わらず元カノさんと、修羅場ってるっすね~www」
「「だから、元カノじゃない!!」」
既に この店の名物と公認されている、店長代理の男と その元カノ?…の、カウンター越の やり取りを、
「ちゃっす、千穂さん。何時ものヤツ、お願いね。
あぁ、今日は お持ち帰りで。」
普段なら、寺坂やイトナ達と この店でハンバーガー片手にバカ話…特に、今も接客をしてもらった店員の、その尋常では無い
この様な店に、ぼっちでテーブル席に着く勇気は無いのか、テイクアウトで注文する響。
「畏まりました~。
テリヤキマグ〇バーガーのMセット、飲み物ゴーヤ・オレ、テイクアウトでオーダー入りました~。」
7月末、ある事件が きっかけで、この店の店長代理と その元カノ共々に、それなりに仲良くなった このバイト店員も、『何時もの』で普通に理解、店内奥にオーダー。
その時、
「響く~ん!」
「??」
店内で響の名前を呼ぶ声が。
その声の先に目をやると、市内で名門と謳われている女子校の制服を着た少女が、笑顔で手招きしていた。
「あ、すいません。やっぱし、
≫≫≫
テリヤキバーガーのセットが乗ったトレイを持ち、自分を呼んだ、女子高生が座るテーブルに着く響。
「ども、香純さん。」
水沢香純。
響の兄の煌介の彼女である。
「ねぇ香純、誰よ、このコ?」
「私の彼氏の弟君だよ。」
「あー、あの、目付きが悪い…」
「あの、メガネ〇クザの…」
「目付き悪い言ーなぁ!
あれはぁ、鋭いって言うの!」
「いや、あれは どう見ても、暗殺者の それだったし。」
「若しくは殺人鬼。」
「ははは…」
香純が同席している友人2人に、響を紹介するも、その際の『煌介は目付きが893』発言に、香純は
≫≫≫
その後、響と3人の女子高生は駅に。
「おい…お前、吉良響だな?」
「???」
帰りの電車を待っている時に、駅のホームで事件は起きた。
響に、「如何にもケンカ売ります」な顔付きをした、2人の男子高校生が話し掛けて来たのだ。
その制服から、椚ヶ丘学園の高等部の生徒だと分かる。
『いーや、違うね。僕は吉良響の双子の弟の、吉良
「「はあぁっ??!」」
間違い無く、厄介事を吹き掛けられるのだけは即座に理解出来た響は適当に誤魔化して切り抜けようとするも、
「巫山戯てんのか、テメー!!?」
双子の弟と云うのは、流石に無理が有り過ぎたのか、高が中学生如きに おちょくられたと判断した高校生の1人が、拳を振り上げてきた。
「おわっとぉ?!」
ガン!
「ぐわっ!?」
「「きゃああっ?!!」」
…尤も それは、カウンターの正拳で簡単に往なされたのだが。
その いきなりの暴力的な光景を見て、香純の友人2人が、思わず悲鳴を上げ、
「…2人共、大丈夫よ。」
そんな2人に動じていない香純が、心配無いとフォロー。
「うぐぐ…」
「はぁ~…ヴァイオレンスxヴァイオレンスな展開になるのは読めてたから、折角 穏便にスルーしようと思っていたのに…」
心底、「 ┐( ´д´)┌ やれやれだぜ」…な顔をして、ダウンしている男に言葉を掛ける響に対し、
「いーえ! 絶対に嘘だよね!」
「キミ、絶対にワザと言ってるよね!?」
香純の友人AとBから、突っ込みを受けてしまうが、
「いや…響君、真剣に言ってるのよ…」
「「嘘ぉっ!??」」
それを響の
「…で? 一体 俺に、何の用なの? センパイ方?」
心っ底、面倒臭そうな顔で、響が2人に問い質すと、
「……A組への対応を改めr
「断る。」
「「なっ…!!?」」
響の問い掛け。顔面に正拳を貰った方が、顔を歪めながら答えようとするが、その台詞を言い終わる前に、『否』で響は応えた。
「…成る程。あんた等 誰だかは知らんが、A組のヤツが送り込んできたヒットマンって訳だ。
それにしても 高校生たった2人程度で、どーこー出来ると思われてるとはね…
ふん…この俺も随分と安く、見積もられたモンだな?
……巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって巫山戯やがって!!!!」
そして自分に刺客を向けた事について、一般人とは やや違うベクトル方向に、怒りを露わにする。
「…今回の件は、成績絶対至上主義の、椚ヶ丘で勝ち得た権利だ。
エスカレーター上がりのアンタ等なら、それを言えば、十分に理解出来ると思うが?
それにだ…悪いけど この件は、あ・の・理事長先生公認だぜ?
文句が有るのなら、理事長先生に言えよ?
頭良い学校の、頭良いクラス出身だろ?
いきなり、暴力沙汰に出るって どーよ?」
それでも本人なりに、懸命にクールダウンして…傍から見たら、どう見ても挑発している様にしか思えないトークで…真剣に暴力沙汰を回避しようとする響だが、
「だ、黙れ!」
「テメー! 中坊の分際で、年上に対して、何て口の使い方だ!?」
やはり、結果的に その台詞は火に油。
2人の高校生は、完全に頭に血が上り、問答無用で同時に響に殴り掛かっていった。
響の弱点…話術がザル。
≫≫≫
「「う…がが…」」
「だ・か・ら、弱っちい癖に、少しばかり先に生まれただけで、偉そうに言ってんなよ、セ・ン・パ・イ♡?www」
しかしながら当然の如く、響に一般の高校生程度の拳が届く筈も無く、それぞれの攻撃を左脛と右膝でブロックすると、上、中、下…蹴りの連打で2人揃って黙らせる。
「弱ーい!」
「だっさ…」
「自分達から中学生1人に2人掛かりでケンカ売っておいて、それでも勝てない高校生…www」
その有様に、響の無双っぷりではなく、襲撃者のへタレっぷりに、ドン引く、或いは大ウケする香純達。
ダッ…
「…るっせーぞ、このブス共が!」
「キャッ?!」
「香純さん!?」
「「香純!!?」」
しかし その言葉に、男子高校生の1人が逆上、香純の下へダッシュすると、其の儘 彼女を背後から取り押さえ捕まえる。
「ちょ…何すんのよ!?」
「うるせーぞ、このブス! お前は人質だよ!
おう、吉良ぁ! お前 解ってるよな?
抵抗したら この女、どうなるか…
先ず、こっちの要求を飲んで貰う前に…」
「ああ、今の蹴りの礼を、させて貰わないとな…
さあて、抵抗したりするなよ?
反撃は勿論、躱したりブロックするのも無しだぜ?
さあ、楽しい楽しい、サンドバックの時間の始まりだぜぃ…!」
「……………………………………。」
もう1人の男子高校生が、下卑な笑みを浮かべ、ゆっくりと響に距離を詰めてきた。