「…~っす。」
「あ、吉良…」
「吉良君…?」
「お前、何だか派手に 殺ってたよな…」
「一体あれ、何が あったのよ?」
「普通なら兎も角、とても あの場で声を掛けれる様な空気じゃなかったから、スルーしたけど…?」
「ぉ…応…」
教室に入った途端、校門前の立ち回りを見ていたクラスメート達から、質問責めに遭う響。
「ん~、話せば長くなるが…」
「3行で説明しろ。」
「えぇ~っ?」
昨日の帰り、駅で高校生に絡まれた。
それをソッコー返り討ち。
実は それを仕向けたのは、A組の荒木。
「よっし、上手く纏める事が出来たぜ!…まあ、そう云う訳だよ。」
「ちょっと待て。
こーゆー時は普通、オチとして、4行目を付け足す物でしょ?」
「不破ちゃん?」
≫≫≫
「成っる程ね~♪
それで、恐らくは襲撃失敗、&
「集団DOGEZA…って訳ね。」
「それにしても普通、ヒットマン刺し向けるって…其処迄するかぁ?」
「アイツ等も 手段選ばなくなって…あ、これは最初からか…」
響から刺客云々と云う、粗方な話を聞かされ、苦笑失笑、或いは やや引きなクラスメート達。
「単に俺1人を狙うだけなら まだ良かったが、偶々一緒だった、アニキの彼女を人質に捕ったりしてな。
マジ、一級死亡フラグ建築士だぜ。」
「吉良っちの お兄さんの彼女…」
「あ、あの怖そうな お兄さんの…」
「…あの、超美人な彼女さん?」
「なぬ?」
「超美人…だと?!」
以前、煌介と一緒に香純を見た事のある、速水と矢田と片岡、そして他 約2名が反応。
「メガネのチンピラだ…」
「怖っ!」
「綺麗な人…」
「凄ぇ!マジ可愛い!」
「「美少女!!」」
更には律が、何処から情報を得たのか、顔写真の画像込みで、煌介と香純の2人を紹介したりするのを、響がジト目で止めに入ったりしたのは、また別の話。
「おい、チャラ男とエロ坊主。今は そんな話、どーでも良ーんだ。
それで…だ。香純さん守りきれなかったって事で、俺も その、恐い怖い鬼ちゃんからシバかれて、ほれ!」
「「「「「「ぅっわ~~…」」」」」」
「「「「「「ご愁傷様です…」」」」」」
「「「「「「本当にチンピラ…だ?」」」」」」
前髪を掻き上げ、額の絆創膏を見せる響。
「
煌兄も、自分の
俺に刺客を送り込んだのとは別枠、個人的復讐な意味合いで、あの兄弟(+もう1人)纏めて殺っちまうだろうよ。
既に荒木ん家の住所、割れてるし。」
「「「「「「荒木、南無!」」」」」」
≫≫≫
「それにしても、高校生2人を瞬殺かよ…
お前も いよいよ以て、人外の域に到達してんじゃねーか?」
「はぁ? この俺如きが人外?
おい村松、世界中の人外の皆さんに謝れ。
とりあえず今直ぐ、烏間先生に土下座してこい。
俺は一般中学生と比べたら、少しばかりチートなだけだよ。」
「チートなのは、自覚あるのね…」
「コイツを確実に殺るには、少なくともプロレスラー5人位は、雇わないとな!」
「あぁ。その時は謝るか抗戦するか、バカのフリして逃げるか…
その場で3秒位、考えてやるよ。」
「戦うかもは、知れないんだ…」
≫≫≫
「棒倒し?」
荒木と浅野の惨殺(注:殺ってません)と、響のチートっ振りの話が一通り終った後、昨日の委員長会議にて話された大まかな事柄を、磯貝と片岡が皆に報告。
来週末に催される体育祭の話題に。
その締めのプログラムとして、1学期の球技大会同様な(…結果からしたら、今年は見事にスベッた訳だが)公開処刑の如くな、本校舎3年生選抜チームとE組とによる、エキシビジョンとでも云うべき競技【棒倒し】が組み込まれていた。
因みに これは生徒会長である浅野達による、最近のE組(…とゆーか響)に対する意趣返し等と云う訳では無く、毎年の体育祭の中の毎年のE組に対する
そして各チームの人数は、E組の総人数を基準とする…
つまり今年の場合、建て前上は、30vs30の ぶつかり合いとなる。
「おいおい、30人って、女子も数に入れてるのかよ?
当然 向こうも、男女の数は合わせてくるんだよな?」
「「「「「「「…………。」」」」」」」
「…おい、何故 其処で、黙り込む?」
響の質問に、去年、一昨年の体育祭にて、当時の様を見ていたE組の面々は沈黙。
「寺坂、説明しろ!」
「お…応…」
曰わく、毎年 本校舎勢はE組
片や歴代のE組は、そんな兇悪な人選メンバーに女子を宛てがう訳には往かないと、男子生徒だけで応戦。
結果、人数差約2倍と云う、数の暴力の前に屈していたと云う。
「…成~る程ね。しかし改めてだが、本ト、連中は糞だな。
前に奴等に言った事も有るが、其処迄して優越感に浸りたいのかねぇ?
去年迄 外様だった俺から言わせりゃ、
自身がE組行きのキッカケとなった出来事を思い出しながら、やや不機嫌そうな顔になり、響は話す。
「まぁ今年も、同じパターンなんだろうけどね~?♪」
「ああ、多分そうだろうな。
そして当然、こっちも女子は出したりは、しないよ。」
「それが普通だな。」
「流石に…な…」
磯貝の『女子は出さない』の発言に、同意する男子一同。
ガラ…
「ヌルフフフフフ…何時迄 喋っているのですか?
さあ皆さん、出席を取りますから、席について下さい?」
「「「「「「「はーぃ。」」」」」」」
そして この話は担任の黄色いタコの登場で、一時中断となった。
≫≫≫
「こっちは男が16人、14人差か…
本校舎の奴等程度、今の俺達なら油断さえしなけりゃ、大した差じゃないよな。」
「取り敢えず あっちでマークするってーと、浅野と…
ちぃ、失敗したな…
見学止むなくな程に、やっぱ もう少し…骨の4〜50本でも折って、完璧に潰しておくべきだったぜ。」
「おいおい…」
この日の放課後訓練が終わった後も、教室にて再び、体育祭での棒倒しについて話している響達。
「進藤も多分、メンバーに選ばれてるだろうな。」
「確かに、あのガタイは脅威だな…」
「あとは…C組に、やたら背の高くて目立ってる奴が居たよな…。
誰かアイツ、知ってるヤツって居る?」
「ああ、バスケ部の安堂だろ。」
「ん~、まぁその位かな?
それなりに万能な奴等が集められるだろうけど、所詮はモブ集団だろ?
「そーだな。」
「…でも、何かしらの連携策みたいなのは、必要だよね~? 吉良っち参謀?♪」
「誰が参謀だ、誰が?w
…俺は どちらかと言えば、個人競技で好き勝手に無双するのが専門だ。
今回みたいな団体競技なんかで、一度に大勢に指揮するのは向いてないよ。
そーゆーのは寧ろ、お前や磯貝だろ?
…だ·か·ら·今回は頼むぜ? イケメン?」
「はは…努力は するよ。」
この響の指名に、E組の学級委員が苦笑しながら応えた。
▼▼▼
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…
どよどよどよどよどよどよどよどよどよ…
「あ~、お前等、気持ちは解らんでもないが、少し落ち着け!」
翌日、A組の朝のホームルームにて、この日よりクラスに在籍する、海外からの研修留学生が紹介された。
「ヨロシク、頼む。」
リーヴ・メイプル
カナダ出身。
身長199㌢ 体重125㌔
北米アームレスリングJr.王者
「…………………。」
キム・ザンジゥ
韓国出身。
身長186㌢ 体重213㌔
シルム(韓国相撲)学生YOKODUNA
「やぁ。皆、よろしくね~。」
ティッキー・パープル
アメリカ出身。
身長209㌢ 体重100㌔
全米バスケットボールJr.代表
「……(ペコリ)」
レアオ・ミンタニア
ブラジル出身。
身長202㌢ 体重140㌔
某有名ブラジリアン柔術流派門下生
…全員が とても同学年とは思えない体格の、海外からのオトモダチを前に、浅野を除くA組の面々は ざわつきどよめき、思わず担任の大野が注意。
「お前が言ってた秘策って、コレかよ…」
「ふん…あの期末試験の屈辱…
その後に僕が直ぐ、何も行動を起こさないとでも思っていたのかい?」
「で…でも浅野君、棒倒しで其処迄やる気なのかい?」
「…何か、問題や文句でも?」
「「「い、いや、別に…」」」
其処迄するか…
そう思いながらも、浅野の一言で、黙り込む榊原達。
尤も引き顔なのは、榊原、瀬尾、小山の3人で、荒木は先に起きる惨劇をイメージしたのか、逆に見ている者が引く位に、不気味な程に顔を綻ばせている。
新年度時に予め組み込んであった留学生招聘では無く、今回の棒倒しの為
「仕方ないだろ…あんな人道外れた様な、理不尽な
怨むなら、あんな
自分達が考案していた
「それに…皆だって、今のE組に、思う処が多々あるだろう?」
「「「「「「「……………。」」」」」」」
浅野の問いに、無言となるA組の面々。
「うん。無理に喋る必要は無いさ。
でも…沈黙は、肯と受け取るよ?」
「「「「「「「……………。」」」」」」」
「良いかい? このイベントはチャンスなんだ。
今回の勝負、只勝つだけじゃない。
完全に彼等を心身共に叩き潰し、僕達A組…延いては本校舎の生徒達と まともに目を合わせられなく程の、劣等感と恐怖心を植えてやるんだ。
それに、この棒倒しは学校内公式競技。
種目の性質上、多少の怪我は事故で済まされる。
そう…例えば来月、中間試験の時期になっても筆記具を持てなくなってる様な、そんな怪我をしてしまっても…ね。」
「「「「「「…………!!」」」」」」
黒い笑みを零す浅野の真意を理解し、先程とは別の理由で、無言となるA組一同。
「本当に其処迄…する心算かい?」
そして父親である理事長を思わせる その冷たい笑みに、榊原が引き顔で、ボソリと呟くのだった。
「Hey、ガクシュウ。」
「リーヴ…」
そんな中、留学生の1人、リーヴ・メイプルが浅野に話し掛ける。
「7月、オマエからMailやlineでなく、直接の電話を受けた時は、流石にビックリしたZE。
まさかオマエが、『どうやっても勝てない相手が居るから、力を貸して欲しい』って言ってくるとはNA!」
「ははは…言うなよ…」
「ふ…ガクシュウに勝てるという男、凄く興味が有るじゃないKA!
ティック、オマエも そう思うだろ?」
「ん~、確かにGAKUCHINに勝てるって、余っ程だよね~?」
このリーヴの呼び掛けで、ティッキー・パープルも、会話に参加する。
因みに この3人の やり取りは、全て英語である。
「JAPANでは、一度敗れた者が再び勢いを取り戻す事を、『KENDOCHOURAI』と云うらしいNA。
OK, ガクシュウ! オマエのKENDOCHOURAI、俺達が協力してやるZE!」
「Thanks!」
ガシッ…
開けた口から覗かせる歯を輝かせ、ニカッと爽やかな笑みを見せるリーヴと、それとは対照的、僅かに口を緩め、クールに微笑む浅野が がっしりと握手。
「ところで、棒倒しのルールは、理解出来てるかな?」
「Of Course! 動画を見たが、アレ程 HOTなスポーツが、JAPANに在ったとはNA!」
「ん~、凄い迫力だったよね~。
俺も、ルールはバッチリだよ~。」
「……………(コク)」
「……(コクリ)」
浅野の英語、韓国語、ポルトガル語での問い掛けに、英語圏の2人は事前にインターネットで観ていた…防衛学校で行われた其の競技の動画の感想を述べながら、そして残る2人は、無言で頷くのだった。
▼▼▼
『JAPANでは、一度敗北した者が再び勢いを取り戻す事を、『KENDOCHOURAI』と云うらしいNA。
OK! オマエのKENDOCHOURAI、俺達が協力してやるZE!』
『Thanks!』
「「「「「「「……………。」」」」」」
留学生招聘の件は、事前に律が学校端末にアクセス、リサーチしていた事で知っていたE組一同。
A組に偵察に出向いていた、ラジコン車輛【糸成参號】が収録していた会話を聞き、そして律本体の液晶画面にて紹介された4人の留学生の容姿を見て、言葉を失ってしまう。
「はっはっはー! 其処迄するかー?」
「いやいや、笑えねーって…」
「「「「「…………………。」」」」」
単に本校舎勢なら楽勝と踏んでいた雰囲気が、一気に静まり返る教室。
「…てゆうか、来月の中間にまで影響が出る怪我って、どんだけだよ?」
「心配するなよ。どーせ、本命のターゲットは俺だろ?」
「吉良ぁ~! 随分と余裕だな? おぃ!?」
「…でも あれってさ~、『吉良っちにはマトモにテストで勝負しても勝てません』って言ってるのと同じだよね~?♪」
「応、事実上の敗北宣言だな。
物理的に試験受けさせなくするって、あの御坊ちゃま、結構 一杯一杯に なってるな?」
「「「「た、確かに…」」」」
しかし、響の一言で、その雰囲気もリセットされる。
「…皆。とりあえず、作戦の練り直しだな。」
「「「「「「応っ!!」」」」」」
≫≫≫
ぼん!
「ん!良い策、思い付いた!」
何かを思い付いた様に掌を ぼん!…と叩き、皆の注目を集めるのはカルマ。
「ぁあ゙?! お前、大丈夫かよ?
今の お前の顔、最高に善からぬ事を考えてる顔だぜ?」
「ちょ…寺坂~ぁ? 少しは信用してくれよ~?♪」
「大丈夫だ。俺は お前を、
ΓΓΓ絶対にロクな事、考えてないってな!」」」
≫≫≫
…カルマの策を簡単に言えば、こんな感じだった。
①守りは寺坂、吉田、村松の3人で、残りは全員突撃する。
②すると恐らくは本校舎勢は、件の助っ人2名を中心に、約20名程度で守備を固めてくるだろう。
③そして残る助っ人2名を含む10名程で、E組サイドに突撃を仕掛ける本校舎勢。
そうなると こっちの守備隊3人じゃ、もう どうしようも無いよね?
④はい、あっという間にE組サイドの棒は倒され、寺坂達が多少負傷する程度で この勝負、呆気無く終了~!♪
「「「巫山戯んな、テメー!?」」」
「「「やっぱりロクな案じゃなかった!」」」
「え〜〜〜? 良い作戦だと思ったのに〜?」
その説明を聞き、当然の如く飛ぶ寺坂組の怒号も、カルマは涼しい顔で受け流す。
「いや、これは なかなかナイスな作戦だと思うぞ。」
「そうだな。特に餌食になるのが寺坂達だけだと云う辺りが、尚の事ナイスだ。」
「吉良ー! イトナーー!?」
更に肯の意志を示す、響とイトナにも、怒鳴る寺坂。
「ははは…まあ、聞けよ。
今回の浅野の狙いは、単に勝つで無く、E組を…特に俺を、完全に潰すのが目的なんだろ?」
「あぁ、それは分かるが…あっ?!」
「気付いたか? カルマの狙いは
必死になって根回し小細工してたのが、全部無駄になって、ざまぁ!…みたいな?
オマエ達が餌食…って部分は、軽いジョークだろ。…だろ、カルマ?」
「…………………………。」
「「「いや、『うん』と言えよ!?」」」
カルマが考案したのは あくまでも競技に於ける
その説明に、『其れもアリだな』…という意見も出るには出た。
しかし結局は、やる気無しな底辺クラスから何時の頃からか、負けず嫌い集団と化していたE組が、最終的に それを選択する事も無く、
「皆…本校舎側と言うか、浅野は、あっさりと終わらせる戦略は執らない筈だ。
俺達全員を…少なくとも吉良を潰す迄は、棒を倒す様な指示、作戦は無いと思ってうんだ。」
「大迷惑だな! おぃ!!」
「はは…だからこそ、俺達は それを前提に、戦略を練っていこう。
皆も、アイデアを貸してくれ。
この戦力差でも、勝てる方法は沢山有る筈なんだ。」
「「「「「「「「応っ!!」」」」」」」」
チームリーダーである磯貝を中心とした、完全に『勝ち』に拘る作戦を、競技は見学するだけ女子達も交え、クラス一丸で練っていくのだった。
▼▼▼
この日の放課後の、本校舎の屋上。
「「「……………………………。」」」
「………。」
其処には4人の人影が。
内3人は、服装からして、椚ヶ丘の生徒だと判る。
そして残る1人は、他の3人とは、身体のサイズが規格外な風体。
それは明らかに浅野が喚んだ、留学生の1人だった。
「コレデ…………ヲ…ジコニミセカケテ…」
生徒の1人が、恐らくは彼の母国語が書かれてあるカンペを読みながら、
「ツブシテクレ…!」
3人で出し合ったのだろう、10数枚の一万円札を差し出す。
「…………(コクン)」
留学生は無言で其れを受け取ると、小さく頷くのだった。
留学生のヴィジュアルは
リーヴ・メイプル…ホーマー·フィッツジェラルド(アイシールド21)
キム・ザンジウ…人造人間19号(ドラゴンボール)
ティッキー・パープル…紫原敦(黒子のバスケ)
レアオ・ミンタニア…間柴了(はじめの一歩)
…を、年齢、体格補正したイメージで。