暗殺聖闘士   作:挫梛道

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最初に…
『引用の仕方、間違ってる!』…等の指摘は、堪忍して下さい。 
 


戦術の時間

「…ふん!」

「Leachi~n、どうどう…(:D)」

「もうキレてねーYO!」

「いーや! まだキレてるね!

キミ、絶対にキレてるよね!(XD)」

「「「「「…………」」」」」                  

A組側の見学席。

敵意、殺気を撒き散らして周辺を黙らせながら観戦しているのは、浅野の考え方、価値観に反発、絶縁を宣言したリーヴ…と、それを宥める様な?ティッキー。

           

「ち…」

夏休み前、浅野からの電話を受け、助っ人要請に二つ返事で応じていたリーヴ。

その後、改めて防衛学校で行われた棒倒しのネット動画を見て、初めて その競技の存在を知り、その内容に興奮。

カナダの力自慢は自分も この素晴らしくエキサイティングな競技に参加出来ると思い、且つ、海の向こうの万能な親友に勝っているという男との対峙に、この体育祭の日を待ちわびていた。

…が、いざ当日に蓋を開けてみれば、それは悪趣味な、数に物を言わせた蹂躙劇の片棒を掴ませる様な内容だった。

しかも場合によっては、女も その相手にしなければならなかったと云う仕組み。

仮にE組側が、人数差を埋める為に女子を動員していれば、こんな危険な競技に女を巻き込む不埒な輩として、浅野との縁切りは それとして…結果としては浅野の望み通りになるとは云え、E組男子に制裁を与えていただろう。 

いずれにせよ、純粋に競技を楽しみにしていた…良く言えばスポーツマン、悪く言えば戦闘狂、或いは脳筋な男からすれば、自分を喚んだ人物に失望するには充分過ぎていた。

 

「全く~…。其処迄キレてるならさぁ、E組側(アッチ)に押掛けで助っ人参加すれば良かったのに~?」

「That's right! ちょっと、行ってくる!」

「いやいやいや! もう、遅いからね?」

 

≫≫≫

この棒倒し、浅野の目的は、単なる種目での勝利ではない。

響を筆頭とするE組…今回の場合、その男子全員を、物理的に確実に潰す事にあった。

 

「吉良…この戦術合戦で、僕の方が貴様より優れている事を証明してやる!

これを見ている全校生徒に、そして…」

そして、響との優劣をハッキリさせる心算でいた。

…のだが、今回の棒倒し、E組の司令塔は響では無く、

「来たぜ!」

「どうするよ?イケメン!」

「よし、攻撃部隊、出るぞ!

作戦【粘液】! 中央突破だ!」

「「「「「応っ!!」」」」」

クラス委員長・磯貝悠馬であり、その指示の下、カルマ、杉野、木村、菅谷、村松、そして磯貝本人も飛び出した。

 

『おぉっと、本校舎の精鋭とE組が、ここでニアミス!

しかし互いに干渉は無く、互いが敵の本陣を目指す!』

グランド両脇から攻める、本校舎勢の2部隊と、それによって空いた隙を突くように中央突破を試みる磯貝達。

彼等と、E組側に攻めに入っていた本校舎勢が横のラインに並ぶ。

しかしアナウンス通り、両軍は只すれ違うだけに終わったかに見えた。

しかし この直後、互いが数㍍前進したタイミングで、急ブレーキを掛ける本校舎勢。

踵を返して、磯貝達を自軍防御隊との挟み撃ちするかの様に、防御に…いや磯貝達に突撃を仕掛けるのだった。

                  

『引っ掛かったー!

E組、見事に引っ掛かったーっ!!

これが本校舎サイドのリーダー、生徒会長・浅野君の戦略の1つ!

両脇から突撃を仕掛ける事で、敢えて中央に道を作り、少人数を誘き出し、そして それを挟み撃ち、大人数で潰す…【偽装突撃・前後挟撃包囲網】だーーーっ!!』

そして本当に心の底から嬉しそうな、荒木の実況が冴え渡る。 

 

「そうだ…そして この包囲網の要は、柔術のスペシャリストのレアオ!

締め技に関節技!

先に他の連中が壁となる事で、逃げ道を塞ぎ、その上でレアオが1人ずつ、確実に重傷を与え、仕留める!

さぁ、吉良…どうする?

何時迄も守備位置(そんなトコ)に立ってないで、早くクラスメートを助けに、前に出て来いよ?

それとも、仲間を見捨てる気か?」

浅野がE組側の棒の前で、ザンジウ達を抑えている響を誘うかの様に睨むが、

「ぅっわ…コレは、我ながら引くわ~?」

「ケッ! 本当にお前の予想通りってのが、何だか気に喰わねーな!!」

「ちょ…寺坂君?」

響は この状況を、まるで想定内、計画通りの様な会話を、やはり守備隊である寺坂や渚達と交わしていた。

  

≫≫≫

「「「さぁ、公開処刑(リンチ)だ♪」」」

D組の生徒達が、その様子を見物するが、

「へ?」

「は?」

「え?」

 

どどどどどどどど…

 

挟み撃ちからの追撃から逃げる磯貝達は、

「「「何で全員、こっち来てんのぉ???!」」」

その追撃部隊を引き連れ、客席に迄、逃げ込み出した。

 

どどどどどどどど…

 

「ひぇえっ?!」

「きゃあ!?」

「うわぁ!!」

その迫力に、慌てて逃げ惑うD組一同。

  

「場外なんてルール、無かったからね~♪

来いよ、木偶の坊。このグランド、全てが戦場だよ?」

 

チョイチョイ…

 

「…上等だ。」

言葉は通じないも、その顔とハンドアクションで、言っている事を理解したレアオがカルマを追い掛け、他の防御部隊も磯貝達を追い掛け回し始めた。

 

キャーキャー!

 

うわあぁ…!

 

ひぃいいいぇ?!

 

『な…何とE組、客席に逃げ始めた!

そして それを追う本校舎勢で、会場は大パニックだ!』

D組の席だけでなく、次第に その周辺の、椅子や見物者を器用に使い、巻き込み、追撃を躱す磯貝達。

 

「これがE組陣形…【粘液地獄】だ!」     

 

≫≫≫

『うぉっ??! こ、 今度はE組の赤羽、そして留学生のレアオが、放送席(コッチ)に向かって来たぁ?!…って、うわあぁ~~~~~~っ!!!?』

 

ガッシャーン!

 

『ぅっギャァあーーッ!』

『あ…ご、ごめ~ん♪』

『…………………………………………。』

カルマの謝罪の声がマイクに拾われグランドに流れるが、既に屍の如く、荒木の返事は無し。    

放送席破壊と共に、荒木、リタイア。

                  

「アレ、ワザとだな…」

「応、絶対にワザとだ…」

「ワザとですね。」

「カルマ君だし。」

「なぁ、吉良ぁ…コレも、オメーの『計画通り!』…の内なのか?」

「いや、流石に其処迄は…

しかしカルマ、グッジョブだ! (b^ー°)」

                      

≫≫≫

「Matar!」

「あは♪ 恐い怖い♪」

 

「待て!」

「待てと言われて、素直に待つ奴が居るかよ!」

 

「ちぃい! ちょこまかと…!」

「それが売りなんでね!」

その後も見学席の中、追撃部隊の手を躱していく磯貝達。

 

どん!

 

「「おわっ!?」」

杉野も持ち前の身軽さを活かし、飛び込んで来た追っ手を、直ぐ傍に居た見学者の背後に回り込んで回避。

そして その追っ手は見学者と衝突。

 

「痛てて…コラっ、杉野ーっ!

テメー、見物人(ひと)を盾にすんなー!!」

「わ、悪ぃ、進藤…」

自分の為に犠牲になった人物に一言謝ると、また杉野は その場から走り出した。

 

≫≫≫

「渚、吉良、見てみろよ…」

「ん…」

寺坂の一言で客席に目を向ける響達。

乱闘に巻き込まれている者達は、其れ処では無いのだが、現状で難を逃れ観戦している、全校生徒の目が変わり始めているのを、確かに感じる。

野球の時と同じく、棒倒しとは とてもじゃないが言えない、この異形の棒倒しを目にして、「今度のE組は、一体どんな手を使って勝つのか?」…と云う、興味、好奇心の視線に。

 

「確かに観客ってな、白熱した好勝負も良いが、その反面、一方的な虐殺も好む。

でもな…大方の予想を裏切る、大どんでん返しな展開ってのも、大好きなんだぜ。

その辺り、解ってるのかい? …お坊っちゃん?」

 

≫≫≫

「ねー磯貝ー、そろそろじゃね~?」

「ああ!」

地球の裏からの来訪者を掴み手を避けながらのカルマの呼び方に、磯貝が応え、

「よし皆! 逃げるのは終わりだ!! 全員【音速】!!!!」

「「「「「…っしゃア!!」」」」」

 

ダッ…

 

磯貝の掛け声と共に、客席にて縦横無尽に駆けていた6人は追っ手を振り切り、一斉に棒へ走り出す。

 

「しまっ…も、戻れ、皆!」

棒を支える者達を除き、その全てを磯貝達攻撃部隊の捕縛に割いていた浅野。

その捕縛隊を躱した磯貝達は、一気に本校舎サイドの懐に入り込み、

「これが俺達の作戦【E組風林火山】!

疾き事…」

「「「「「風の如し!」」」」」

 

ガガガッ

 

棒を支える者達を踏み台の様に駆け上がり、一斉に棒に向けて体当たりを体当たりを浴びせ掛けた。

 

「どうだ! 浅野!!」

「どんだけ人数差あろーがよ…」

「ここに登っちゃえさえすれば、もう関係無いよね~?♪」

「ち…小賢しい!」

「ぐ…」

「重…」

「お、降りろ…」

E組6人+浅野の体重を支える事になった、本校舎守備隊の顔が苦痛に歪む。

 

「降りやがれ!このチビ!!」

 

ぐぃ…

 

「うゎわぉっ!?」

此処で客席から戻って来たレアオが、棒の先端に登ろうとしていた木村を無理に引き剥がそうとするが、

 

ぐらぐらぐらん…

 

「う…ぐぅっ」

「止めろ、レアオ! この高重心で無理矢理に引っ張ったりすると、棒まで倒れるぞ!!」

それにより、激しく揺れる棒。

その行為は寧ろ、E組の手助けに成り得る事だった。

                  

「じゃ、打つ手無しかよ!?」

「兎に角、支えるのに集中しろ!

この場は僕が、片づk(ガン!)…!???」

レアオに指示している最中に、更なる衝撃で揺れる棒。

 

「へ…静かなる事、林の如く…」

「知り難きこと陰の如し…ってな!」

「お前等…!?」

それは、岡島と前原。

序盤にザンジウに吹っ飛ばされ、其の儘、早々に戦線離脱(リタイア)だと思われていた2人による、体当たりからの よじ登り。

観客がグランドに注目している中、人知れず、密かにトラック外周を大周りし、本校舎陣営の真後ろの観衆に紛れ込み、奇襲の指示を待っていたのだった。

 

「生憎…自分で言うのもアレだが、受け身には定評が有るんでね!」

「普段から、女子にシバかれてるのが、余っ程 痛かったしな!」 

そして、E組の奇襲は まだ終わらない。

 

ダッ…

 

侵掠()める事、火の如し!」

 

どん!

 

守備隊の筈だった渚達、合計4人が本校舎サイドに突撃、棒に、そして浅野に しがみ憑き、

「な…? こ、このっ!」

完全に動きを抑えてしまう。

 

「おい、アイツ等って、ディフェンスなんじゃ…?」

「…じゃ、あっちの守りって…ええぇっ???!」

競技している者、観戦している者の全てが、E組本陣に目を向けると、

「さささ…3人ん~?」

「たった3人で、あの棒と人数を支えてる…だとおっ?!!」

其処には、傾けた棒でザンジウ達先攻部隊を抑え込んでいる寺坂、竹林、そして響の3人。

 

「どうなってんだよ?」

「3人相手に、動けないのかよ??」

巨漢のザンジウを始めとする5人が、響達たった3人に完璧に抑えられている光景

に、違和を感じる観衆達。

 

「…梃子の原理さ。」

「「「「え?」」」」

「梃子なのか…?」

「梃子だから、なのか?」

「梃子ならば仕方無い…のか??」

しかし、竹林の『梃子の原理』の一言で、皆、理解は出来ずも納得してしまう。

 

「ケッ!『梃子』って言っちまえば、大抵の奴等は『成る程』で終わらせてしまうよな~!」

「いや、少しは疑えよ! ゆ○゙先生の理論かよ?!」

本来ならば歓迎すべき展開なのは解ってはいるが、それでも余りに過ぎる御都合な展開に、思わず突っ込んでしまう響。

 

「…で、お前等どーするよ?

本当なら こんな体勢、直ぐに引っ繰り返して棒を倒すのも簡単な仕事だろうけど、出来ないんだよな~?」

「何と言っても君達…いや、浅野君の目的は、単に棒を倒すのでは無く、僕達全員を、物理的に潰す事だからね。

自分達だけで、勝手に終わらせる訳には いかないよね?」

「「「「…!???」」」」」

「うはっ! 何だ? その『何時から知ってたんだ?』って言いたそうな顔は?

そんなの、最初っから知ってたに決まってるだろーがよ!!」

「「「な、なな…!??」」」

自分達…正確には浅野の目論見が読まれていた事に、驚きの顔を見せる本校舎勢。

 

≫≫≫

「ちぃ! は、離せ!」

「まーまーまー♪」

「離せと言われて、素直に退くとでも思うのか?」

まるでB級ホラー映画に出てくる様な、ゾンビの群れに身体を貪られるモブの様に、E組の面々に完全に動きを封じられている浅野。

                  

「浅野なら起死回生な策の、10や20位は用意してそうけど、あの お坊っちゃんて今、其れ処じゃないみたいだし~?

本当ならば余裕に動けて、ソッコー勝ちを拾えるのに、(トップ)の事情で動こうにも動けない…ねえ、今、どんな気持ち?」

それを見ながら、思いっきりなドヤ顔を、棒の下敷きになっている面々に見せる響。

 

「「「「あ゙~!凄ぇムカつく!!」」」」

「…………!」

 

≫≫≫

「負…ける? この僕が、負けるのか?…E組如きに!!」

E組勢の粘着…粘液の様な纏わり憑きに、攻撃も防御の指示も、儘ならない浅野。

徐々にその顔に、動揺の色が隠れる事無く、表に現れてきていた。

 

「仕上げだ! 来い!イトナ!!」

「な…磯貝!?」

そして この時、本校舎の櫓から降りた磯貝が、攻めるべき棒に背を向け、バレーボールのレシーブの姿勢を取る。

  

ダッ…

 

其処に走り込んで来たのは、

「彼は確か、期末試験の前辺りに転入してきた…?」

堀部イトナ。

 

「シュッ!」

「てぇいやあああぁっ!!」

磯貝の構えた腕にイトナが跳び乗り、それに合わせて大きく腕を上方に振り上げ、そのイトナを自身の後方、棒に目掛けて抛る磯貝。

 

「動く事…」

「…雷霆の如し!!!!」

勢い良く投げられたイトナは、標的(ターゲット)である棒に一直線、その先端部を体を預ける様に受け止めると、その勢いの儘、身を地面へ目掛けて倒れ込み、

 

バターン…

 

「「「「「!!」」」」」

「「「「「!??」」」」」

遂に、その棒を倒したのだった。

 

……………………………………………。  

  

その直後、グランドを静寂が支配し、

 

「いやっほーぅい!!」

「やったぜ!」

「イトナ~!!」

「磯貝も、ナイスアシスト!」

「やったな…!」

「…当然だ。」

 

パシィン!

 

そして その数秒後、その場で沸きあがり、ハイタッチを交わすE組の面々。

 

「「やったぜ~ぃ!」」

「「勝ったー!」」

「「「やったーーー!」」」

「「イトナく~ん!」」

「「磯貝君~!」」

「「「男子、かっこいーーぃっ!!」」」

更にはハラハラしながら見学していた女子達も、グランドに駆け寄ってきた。

 

「おめでとう御座いますぅ~!!」

茅野が手にしたスマホの画面内で、チアガールのコスプレをした少女も、嬉しそうに飛び跳ねている。

  

「…そして動かざる事、山の如し!…ってね♪」

「ケッ! 今回 俺等、完全に空気じゃねーか!」

「ははは…」

棒倒しは、E組の完全勝利で幕を閉じた。

 




 
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