毎度ながら…英語の指摘、突っ込みは堪忍して下さい。
理事長からの呼び出し。
体育祭での乱闘騒ぎの事情聴取を終え、旧校舎に戻るべく、響が山を登っていると、前方に2つの人影が。
「あ~、地味にキっツいし~?」
「全くだな…。誰だよ、山登りしようなんて言い出したヤツわ?!」
「いーや、キミだし!」
「…………。」
それは浅野(坊ちゃんの方)が喚んだ留学生の、リーヴ・メイプルとティッキー・パープル。
「Hey,この先は、ウチのクラスしかないのだが、何か用かい?」
「「?!」」
その2人に響が後ろから、(当然 英語で)話し掛けると、
「「OH,JudohMan!」」
「じゅ、じゅーどーまんん~?!」
がしっ!
「へ?」
いきなり、それぞれが左右の手を掴むと、両の手でシェイクハンド。
≫≫≫
『ああ、それなら大丈夫だ。
既にヤツが、2人の気配を感知して、訓練は一時中止。
今は偽装になるが、イリーナの外国語講習を行っている。』
「…了解でっす。」
…聞いてみると、この留学生2人は あの棒倒し、人数的にも火力的にも、圧倒的に劣る戦力差を覆しての勝利に感動。
更には あの浅野に常勝していると云う人物とも、色々と話してみたい…と、いう理由での訪問だとか。
担任の超生物の存在は無論、現在、行われているであろう、暗殺訓練も見せる訳には往かないと判断した響。
スマホで烏間に2人の来訪を伝えると、既に手は打ってあるとの事だった。
「Youのスープレックスも凄かったが、あの全体に指示を出していた、彼のリーダーシップは素晴らしかった。」
「アサノに、完全に作戦勝ちしてたよね。
普段から、アイツに勝ってるってのも、納得だね~。」
「…どーも。」
2人は理解している。
確かに今回の棒倒しにて、浅野に対して勝者と言えるのは、クラスメートの協力があったからとは云え、全体の策を構築、それを その場て的確に指示、実践した磯貝だと云う事を。
2人は気付いてない。
『浅野に常勝している人物』と云うのが、今、会話を交わしている男だと云う事に。
磯貝には悪いが、 面白い 面倒いから、この儘 勘違いしていて貰おう…
≫≫≫
「「OH! Goddess!」」
「Don't be deceived by appearances!
She is Bitch of the Bitch!」
「「Really?」」
「「O~h,It's Real Really.」」
「んだとぉ、ゴラァッ!!?」
「ん~ぷぶぶ!???」
「…See?♪」
「「O~h…」」
「Don't Satisfy!!」
教室に入った瞬間、黒板の前に立っていたイリーナを見て、ガタイは大きくも、年齢は教室の皆と変わらないリーヴとティッキーが、その少なくとも見た目だけは超絶美人な若い女教師にテンション急上昇。
それを見て、透かさず誤解を解きに懸かる響とカルマ。
この諭しに
しかし これが逆に彼等に、響達の『真・ビッチ発言』に、真実味を与える結果となってしまうのだった。
…その後、
「YOUのリーダーシップ、本当に素晴らしかった!」
「あの指導力、アサノに何時も勝ってるってのも、納得だよね~!」
「え?」
「そりゃあね~♪」
「ウチのクラス自慢の、頼れるイケメンリーダー様♡ですから。」
「え?えぇっ?」
浅野学秀に常勝している人物…と云う事になっている磯貝に対し、まるで憧れのアーティストかアスリートと逢ったかの様なテンションで話す2人の外国人。
え? 浅野に何時も勝ってる? 吉良で無く俺が?…
何やら勘違いしている様なので、訂正しようとする磯貝だが、その前に約2名が、それを阻止…もとい、便乗する様に持ち上げる。
事前に2人の勘違いを、律を介して響から知らされていた、カルマと中村である。
((((((((アイツ等、何を仕込んでんだよ?))))))))
殺せんせーとイリーナの授業の成果で、完璧と迄往かなくも、カナダ人特有の早口な英語も聞き取り、ある程度の会話の内容は理解出来ていたE組の面々。
頭から角を生やし、背中で羽をパタつかせている2人…否、3人を見て、心の中、心を1つにして突っ込みを入れるのだった。
((((((((((まあ、面白いから、黙っておくかwww))))))))
…彼等も、結構大概である。
≫≫≫
「Hey,
「ん~、ありがとね~。」
「カールマー! こっちの手の内、教えてんなー!!」
その後も和気藹々と話す中、ティッキーがバスケットボールのJr.代表という話題になり、無謀にも『1on1、やってみね? 負けたらアイスな♪』…な運びに。
先攻の響がボールを持ち、ティッキーが両腕を左右に大きく広げ、守りの構えを見せる中、カルマが この2㍍超えのアメリカ人にアドバイス。
「テメー、どっちの味方だ?!」
「…本当に、打つ気だったんだ。」
「きーちゃんだしね。」
少しばかりマジに響が抗議する中、『前科』を知っている、矢田と倉橋が呆れ顔。
「マジか、コイツ?」
「ぁー、無い、無いゎー…」
「浅野に負けず劣らずな卑怯者だな…!」
「ティッキー君、頑張れ~!♪」
「殺っちまっても構わんぞ~!www」
「何?何なの? このアウェイ?
…って、ゆーか、あの坊ちゃんと一緒にするのだけは止めろ!!?」
その後のクラスメートの追い討ちに…特に、『浅野と変わらない』の発言に対し、かなーりー、『真剣』と書いて『ガチ』と読むな如くに抗議する響。
≫≫≫
ドカァッ!
「ふじこっ?!」
カルマのアドバイスとE組の皆さんの声援も有ってか、響の『いきなり
続くティッキーのターン、ゴール下、身体全体を旋回させながらのハイジャンプから繰り出される豪快なダンクシュートが炸裂。
「「「「「うおぉおおぉっ!!!!」」」」」
「「「「凄ぇーっ!!」」」」
「「「「「パねぇーーっ!!!!」」」」」
その迫力に、男子を中心に、大歓声が沸き起こる。
「ちょっと待て! 今の、オフェンスファールじゃないのか?」
「No! No Foul!」
そのダンクに吹っ飛ばされた響が、審判役の菅谷に抗議するも、判定は覆らず。
「へっへ~ん♪ アイスクリーム、ゲッt…
…確か こうゆう時って、日本語では『GOCHIni・narimasu!』…だったかな~?」
「…………。 (T_T) 」
…まあ、間違ってはいない。
≫≫≫
「The Winner takes it all!」
どん!
「「「ぅをっふ!?」」」
「あーっ!5人掛かりでも駄目かー!!???」
バスケの次は、アームレスリング。
教室に戻ったE組一同と留学生は、腕相撲大会に興じていた。
クラス内で屈指のパワー自慢の寺坂、カルマ、響を含む5人掛かりを瞬殺、難なく退けたリーヴ。
やはり北米Jr.チャンプの肩書きは伊達ではなく、当然な話だが、旧校舎に居合わせていた男衆は悉く、このカナダの力自慢の前に敗れ去って逝く。
「こうなったら…」
「…最後の手段よ!」
最終的に唯一、この男に土を着けたのは、倉橋と櫻瀬が半ば強引に腕を引っ張り連れてきた、正しく最後の砦の表現が似合う男、只1人だった。
…後にリーヴは語る。
「That Man is The Ogre!」
…と。
≫≫≫≫
「じゃね~♪」
「正直、日本には二度と来ない心算だったが、オマエ達と会うなら普通にアリだNA!」
「ああ、また逢おうぜ!」
こうして、不意の留学生E組来訪は、日-米-加の親睦良ろしく、何事とも無く、平和に終えるのだった。
「…ところで、吉良?」
「ん?」
「お前…俺の事、あの2人に一体どんな風に、吹き込んだんだ?」
「え゙…? いや…磯貝君? 顔、顔が怖いよ? イケメンが台無しだよ?」
▼▼▼
次の日。
「リーヴ、ティッキー、ちょっと話したいんだが、良いか?」
「「A゙a?!」」
教室に入る早々 不機嫌オーラを撒き散らし、席に着いた留学生2人に話し掛けるのは、浅野学秀。
「…昨日の放課後、E組の連中に、会いに行ったそうだな?」
その迫力に、若干 後退りしながら、浅野は話を続けるが、
「…で?」
「…だから?」
リーヴとティッキーは『それが どうした?』で返す。
「…彼等は校内の底辺に位置すr(ぐぃっ!)いががっ!??」
「…誰が、底辺だTO?」
「それなら その底辺とやらに、あんな卑怯な手段を使っても勝てないオマエって、一体何なの?」
「「「「「きゃあああああっ??!」」」」」
喋り終える前に胸座を掴み、その儘 持ち前の怪力を活かし、浅野の身体を高く持ち上げるリーヴ。
当然 教室内には、叫び声が響き渡る。
「オマエは『奴等は底辺の存在だから、関わるな』とでも、言いたいのKA?」
「うぐぐ…」
「あのさ~、オマエなんかに俺達の行動、口出しされたくないし~?
…ってゆーかぁ、あのクラスの皆、ナイスな連中だったし?
少なくともオマエ等なんかよりは、ず〜っとね。」
教室に悲鳴が響く中、宙に浮いている浅野に話す2人。
「………!」
ガタッ…
その光景に もう1人の留学生、レアオ・ミンタニアが仲裁に入ろうとするが、
「邪魔しないでよね?
I will twist & crush it?」
ティッキーが立ちはだかり、掌を前に突き出すと、クシャッと何かを握り潰す様なアクションを見せる。
「……。」
英語が殆ど解らないブラジル人も、その仕種で何を言ってるのかは大凡は理解。
要らぬ衝突は好まないのか、無言で自席に戻っていく。
「瀬尾、アイツ等、何を言ってんだよ?!
お前なら会話、聞き取れてたろ?」
「あぁ…あの2人、どうやら昨日、E組の奴等と仲良くなったみたいで…
それで、浅野が奴等をディスったら、キレたみたいだ…」
「何でアイツ等、E組なんかと!?」
「俺が知るかよ!」
他のクラスメートも、最初は浅野や瀬尾の通訳を介してフレンドリーに…特にティッキーに至っては、本当に互いに軽いノリで接していた。
しかし、体育祭の途中…正確には、棒倒しの始まる直前に突如 不機嫌モード全開となり、何人たりとも近寄り難いオーラを出している2人。
そんな2人に割って入ろうとする者は、この教室の中には居なかった。
≫≫≫
「ハァ…ハァ…」
漸くリーヴのリフトアップから解放された浅野。
そんな浅野に、冷めた目で見る2人は、
「Rubbish!」
「Scumu!!」
「な…」
各々が蔑ずむ罵声を浴びせると、『もう、話す事は無い』とばかり、自分の席に着く。
「浅野君!」
「大丈夫?浅野君!」
何時かのデジャヴの様に、倒れている浅野に駆け寄る数人の女子クラスメート。
それに対して、浅野は心配無用だと、立ち上がる。
そして自分が喚んだ筈の
「「A゙a? Whether the complaint?」」
「…!!」
即座に怒声と共に睨み返され、その迫力に押し黙ってしまう。
「な…何ば しょっとるとか?
2人共、少し落っ着くばい!!」
それを見ていた瀬尾が、ついに堪らず、横から英語で口を挟むが、
「Hold your tongue!」
「You're annoying!」
「ひぃいっ?!」
その、余りも訛りの効いた英会話に、留学生の2人は逆に怒り倍増。
大声で怒鳴られてしまい、体育祭の時と同じ様に、半泣き顔で退場となる。
「Huh! Chickens!
何か、文句あるのか?それなら…」
そう言うとリーヴは着ていたシャツの袖を捲り、二の腕を露わにすると、机の上に肘を置き、
「Come on!
この俺の、
瀬尾…そして浅野達、A組の者達にチョイチョイ…と、人差し指で誘い招く。
明らかに、自身の専門分野である、腕相撲の誘いである。
「何をバカな…」
「チャンピオンなんだろ、アイツ?!」
「勝てる訳無いだろ…」
「それ、なんて無理ゲーだよ?」
やはり、その台詞の全てを理解出来た訳では無いが、そのジェスチャーで何を言っているのか悟ったA組の…特に男子達は、余計に尻込んでしまう。
「Hey,どうした?誰も挑まないのか?
誰も勝てたら…なんて一言も言ってないんだがな?」
「昨日の
IsochinやKirachinには不利を強要させて高みの見物しといて、自分達が いざ、その位置に立つと、逃げちゃう訳?」
「勝てない迄も、自分が正しいと信じる信念が有れば、それは それなりに伝わるモンなんだがな…
所詮、優位なポジションでしか、物事を進めない、何も持たないへタレ共か。
…アイツ達とは大違いだNA!」
「な…?」
「何だと!!?」
完全にE組よりも下と捉える発言に、それを完全に聞き取れていた浅野と瀬尾が、過敏に反応。
「…んだば! やっちゃるってさあ!!」
「瀬尾!!?」
やはりE組よりも下に見られるのは我慢ならなかったか、腕力的に、浅野より勝る瀬尾が、顔を真っ赤にして、独特なアクセントの英会話でリーヴの手を取り挑み掛かろうとするが、
「Ah~? No,no.…Bring it all men!」
そのリーヴは、更なる要求…或いは挑発的な言葉。
「何ですとぉ~?!」
「リーヴ…それは、本気で言ってるのかぃ?」
リーヴの『クラス内の男子全員、1度に掛かって来いや!』の台詞に、「それは流石に、舐め過ぎじゃあないのか?」…と、ばかりに(一応は)英語堪能な2人は顔を顰めるが、それならば…と、最終的にはA組男子…2つ並べた机の上に肘を置ける、最大人数での変則的、ハンディキャップ・アームレスリングがスタートした。
「じゃ、行くよ~?Ready…Go!」
…どんっ!!!!
そして…
「うぅ…」
「そんな…」
「て、手が…」
「Huh!You're not,My Match !!」
それは正しく瞬殺の表現が相応しい。
結果、瀬尾を始めとした数人の生徒が手首や指、手の甲を傷め、長くて全治数週間の負傷をする事になるのだった。
「……………………。」
スゥ…
「ん?」
「へぇ~?♪」
そして、数人の男子生徒が右手を押さえて もがいている中、レアオ・ミンタニアが無言で机に肘を置き、その右手をリーヴに差し出す。
「…別に、アサノのリベンジ…って訳じゃ、ないみたいだな?」
「今のLeachinのMUSOUを見て、単に腕が うずうずしてきたって顔、してるよ~?♪」
「………………………。」
「HAH! 面白い!! オマエ、最高だよ!
上等だ! 掛かって来いやっ!
ティック、スタートの合図だ!」
その無言の挑戦に、リーヴは笑顔で応え、
「ん~。じゃ、行くよ~?
Ready…GO!!」
ガシィッ!
その掛け声と共に、アームレスリング北米Jr.チャンプと、ブラジルの柔術使いの腕が、激しく ぶつかり合うのだった。
≫≫≫
「「「………。」」」
「「「「「「「「「「………………。」」」」」」」」」」
この日、6時限終了後のA組のホームルーム。
リーヴ達の来日研修最終日だからこそ、通常ならば互いに名残を惜しむ場面が あるべきなのだが、
「…おぃ、お前等、何かあったのか?」
何も知らない、担任の大野が困惑気味な顔を浮かべる中、非常に険悪な雰囲気で終了したと云う。