時刻にして昼食時前のAM11時、E組主催の漬け麺店はネット等の評判も手伝い、更には朝早い内に取材を受けたテレビ放送の影響も在るだろう…忙しさがピークに突入し始めた頃、
「吉良~!」
「吉良君~♪」
「ひ~ぃびっ…きぃ~~~~っい♡!!」
「おぉ、来たか!…って?」
…どんっ!
「ぅぉわい!?」
「「「「き、吉良ぁ?!」」」」
私服姿から察するに、余所の中学校と思われる少年少女が、響の名前を呼びながらやってきた。
そして その先頭を歩いていた長い白金の髪の少女が、高速の胴タックルさながらに響に飛び付く。
その図に、本人は基より、驚きたじろぐ其の場のE組生徒達。
「♡♡♡♡♡♡♡♡♡〜♪」
「ちょ…晴華、離れろって!」
「う~、久し振り…夏休み以来なのに~」
そんな彼女を、顔を赤くした響が無理矢理に引き剥がし、
「お~、晴華っち、雲仙ちゃんに白鳥君、久し振り!」
「あ、岡野さん!」
ぽかあーーーー( °Д° )ーーーーーーーーーん…
いきなりのダイビングハグに、その場の殆どの者が呆けている中、彼女達と面識の有る、岡野が話し掛ける。
「チャラ男さんも、久し振りですね♪」
「いや、前原だっての!」
そして響にダイヴしたのとは別な もう1人の少女が、やはり面識有る前原に挨拶。
その呼び名を必死に否定する前原だが、間違ってはいない。事実だ。
「とりあえずは吉良っち、でかした。」
「どーも。」
実は事前に、前の中学のクラスメートに学園祭の事を話していた響。
その甲斐有ってか、響の現在遠距離恋愛進行形の彼女…早乙女晴華や、当時から仲の良かった白鳥瑞樹、雲仙星乃が訪ねてきた訳である。
その地味な集客活動に、岡野から労われる響。
≫≫≫
「「「「「「ちっくしょおー!
リア充、爆死しろぉーー(T∆T)ーー!!」」」」」」」
響の彼女。
岡野と前原は5月の連休時に一緒に白鳥、雲仙と共に遊んだ事が有り、他のE組の面々も、彼女の存在は以前から、響の無自覚な然り気無い惚気やスマホの写真で顔は知っていた。
その彼女と響との(どちらかと言えば、晴華の一方的な)バカップル振りに、E組男子の殆どと来客男性陣の殆ど、ついでに一部女性陣がシンクロした。
「へぃ!E組特製どんぐり漬け麺3つとモンブラン2つ、お待ち!!」
晴華達の着いたテーブルに、注文された品を運んで来たのは勿論 響。
「これ食った後も、
「……!」
「ん? どした?」
話している途中、ほんの一瞬だが、顔を暗くした晴華。
それを逃さず気付いた響が、何かあったのか聞いてみると、
「実は晴華さぁ、コッチに来る途中、下の校舎でナンパ男みたいなのに絡まれてね~?」
「こっちには
「ほほぅ…?」
「ちょ…星乃? 白鳥?!」
それに答えたのは雲仙と白鳥。
既に昨日の烏間の如く、顔中に図太い血管を浮かべている響に、「済ました顔して、学校案内するとか言って、露骨に肩やら髪やら触ってきた」等と、更に詳しく説明を始める2人。
「悪いっけど、一番ムカつくタイプだったわね。
確かに ほんの少しだけ顔が良いのは認めてあげても良いけどさ、『エリートは何やっても許される』とか、勘違いしている典型…(サ…)あ…ん、コイツコイツ。」
「………………………。」
思い出し怒り…とでも言うべきか、やや呆れ気味に話し出した雲仙に、カルマが無言で自らのスマホを見せると、彼女は その画面に写っていた数人の内の1人を指差して、その
ごごごごごごごごごごごごごごごごご…
「悪ぃ…ちょっと急用を
「ま、待て吉良! 今日は外からも、沢山 人が来てるんだぞ?!
殺生沙汰は不味いって!?」
「今、一番忙しい時間帯だから!
だから、明日にしなさい!…ね?ね?」
それを見た響の、背中からドス黒い
「ちぃっ…!!」
(((((死亡フラグが立ちました! 〇〇、南無三!!)))))
説得に折れ、無念そうに舌打ちする響を見て、恐らくは明日…は振り替えの休校だから、明後日の朝一に起こり得るであろう惨劇を幻視したクラスメート達は、その元凶…中心となるであろう人物に向けて祈りを捧げた。
≫≫≫
「じゃね~♡♪」
「応~!」
それから暫くして、晴華達は下山。
「さ~て…」
「…殆ど彼女ちゃんに付きっきりだった、吉良っち君?」
「さあ、今迄の分を取り戻すべく、きっちり働いて貰おうか?」
「…は…はひ…」
そして それを見送った響の背後には、ブラック上司の様な女子3人。
その、先程 自身が放っていた以上の暗黒のオーラが如くの迫力の前に、顔を引き引き攣らせながら首を縦に振る響。
その後、彼は食材ストックが無くなって閉店する迄の間、1人だけ途中休憩無しで注文取りから品運び迄、馬車馬の如く働く事になり、最後は壁に背を預け、へたり込んでしまう。
「ぅ゙…」
「吉良…生きてるか?」
「…何だか口から、魂っぽいのが出てるわよ?」
彼の名誉?の為にフォローしておくが、決して響は晴華と ずっとイチャコラしていた訳では無く。
例えば…イリーナが外に顔を見せた際、この外国人教諭の授業スタイルをある程度、連休時に前原から聞いていた晴華が夜叉の形相で彼女に詰め寄り、
「ヌルフフフ…いや~、青春ですね~。」
「殺せんせー…バレたら殺されるよ?」
「いや、吉良君には、後で教えるけど…」
尚、一番最初の晴華⇨響の飛び付きの時から、カメラとメモ帳を持ったピンク色のタコがスタッフルーム内、閉められた暗幕の隙間から その様子をずっと観察していたのは、今更な話。
≫≫≫
そしてPM3時過ぎ。
「おっ疲れさん~!」
「村松君、お疲れ!」
「応ょ!」
学園祭閉幕迄、約2時間を残した時点で、用意していた食材を全て消費しきったE組の店は、
「さぁ、大将。皆さんに お礼の挨拶だ!」
「いや…俺は そーゆーのは、パスだし…」
「いやいや、こういうのは、調理の中心になった人がするのが、一番湧くから…」
「お前の今のカッコ、凄く分かり易いし、絶対にウケるぜ?」
…な、やり取りの末、
「み、皆さん、御陰様で全商品、完売する事が出来ました!
本日は本当に、有り難う御座いました!」
「「「「ぅおおぉ~~~~~!!」」」」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…
この2日に渡り…響達の 煽り 説得に折れ…初めて表側に顔を見せた村松シェフの言葉により、其の場に残っていた客の歓声と拍手の中、締められるのだった。
早乙女晴華…ラナー(オーバーロード)のイメージで