キーンコーンカーンコーン…
期末試験最終日。
4時限目の始まりを…つまり、最後の試験の開始を告げる予鈴が鳴った。
「次がラスト…ね。
…ねぇ、タコ? あのコ達、本当に大丈夫なの?」
「ヌルフフフフ…心配ですか、イリーナ先生?
まるで、本当の教師みたいですよ?」
「な…!? べべ、別に私は唯単に、一応は この私だって、随分と世話焼いてやったのだから…
だ、だから、きっちりと結果を出してくれないと、色々と面倒見てやった甲斐が無いって…唯、それだけよ!!」
「ヌルフフフフフフフ…そーですか~?
それじゃ そういう事に、しておいてあげますよ~♪」
「…殺す!!」
それは旧校舎の校庭から本校舎を見下ろしている、とある2人の やり取り。
▼▼▼
【数学】
2学期期末試験、その最後の科目である数学。
地中より沸き出てきた、黒い甲冑を纏った
そして そのE組の進軍を阻むべく、彼等の前に立ち塞がったのは、高く、広く、厚く、そして硬い…正に嘆き·絶望を突き付けるごとな巨大な壁。
しかし これも、E組の面々は連携で巨壁に巨大な風穴を穿ち、其処から その先へと進んで行った。
≫≫≫
「な、なんじゃぁ ありゃあ~!?」
「漸化式…だと…!?」
「中学校のテストなんかで、出す問題じゃあ無ぁ~いぃ!!」
「集中しろ! 少しでも気を緩めると、意識を全部 持って逝かれるぞ!!」
『『………………。』』
そんな彼等の前に、次に現れたのは黒のローブを纏い、片や金の髪に金の瞳、片や銀の髪に銀の瞳を持った双子の男。
『漸化式』。
生徒達の間で その存在を噂されていた難問が、ラスト問題前の刺客として、終焉を司る双子の神を象り、その姿を見せた。
ダッダダダダダダダダダ…
「い、いゃあああああぁっ!!」
「ぎょえーーーーーーーーっ!!」
「ひぇえええぇっ!?」
「ちょ…弾の用意が…」
高速浮遊しながら、無慈悲に、そして無表情で多量の光弾の浴びせてくる双子神。
そんな
…シュン!x2
『『……!??』』
その時、双子神に向けて左右から、投げ放たれたのは鋼縄製の大型
不意の攻撃に2柱は捕らわれ地に墜ち、身動きが取れなくなる。
ズドドドッ!
『『!!?』』
「「「「「「「へ!??」」」」」」」
更に次の瞬間、その場の地面が皹割れたかと思えば巨大な穴が空き、2柱は其の儘その穴に落ちてしまう。
『『???!』』
網で動きを封じられ、追い討ちの落とし穴のトラップ。
何が起きたのか判らず、先程迄の達観していたかの表情が嘘の様に、2柱は動揺、慌てふためいた顔を覗かせる。
スタ…
「先週 殺り方、教えたろ♪?」
「それ、特殊解に持ってくんだよ。」
「「「「「カルマぁ?」」」」」
「「「「「吉良君!」」」」」
投網に捕らわれ穴に落ち、身動き適わず雁字搦めになり もがいている双子神の頭上を踏みつける様に立ち現れたのは、鶴嘴とスコップを片手に担いだカルマと響。
「基礎問題は兎も角…」
「さっきの大壁に
「だから、皆は焦らずに解いてなって♪
「そして、皆の
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
ジャキッ!x2
「「…俺達が取る!」」
E組2トップが手にした光子ライフルの銃口を向けた先…
『…………………。』
その先、この闘技場に、ついに神々しい光と禍々しい威圧感と共に、数学ラスト問題が降臨した。
『………………………………………。』
病的な迄に透けた白い肌、艶のある長い黒髪、闇よりも暗く深く、だが澄みきっていると云う、相反する形容が似合う黒い瞳。
禍々しく、且つ神々しく煌めく漆黒の甲冑を纏った美丈夫…
それは正しく、冥府の神を連想させる。
数学最終問題。
A~E組の生徒の1/4は、此処迄すら辿り着けていなかった。
そして残る3/4の内の半数以上も、最後迄解ける余力は無いに等しく。
既に時間もギリギリな そんな中、残る時間内で完璧に解答を導き出せる可能性を持つのは…
「さあて…♪」
「どーやって、」
「…仕留めて殺るかな?」
…現時点で、3人に絞られていた。
≫≫≫
ス…
この数学最終問題が、腰に携えていた…鞘や柄は勿論の事、刀身すら鋭く光る黒で統一された剣を抜き、己に立ち向かう者達全員に向けて、その漆黒の刃を振り翳しす。
斬ッ!!!!
「「「「「「「「!!?」」」」」」」」
「な…!」
「ぬ?」
剣が振り抜かれた…即ち出題された瞬間、この最終問題に立ち向かっていた者達全て、各自 推定5㍍四方、壁床天井が まるで薄紫の結晶で創られた様な、
「これは…」
【問25】
1辺aの立方体が規則正しく周期的に重なり並び、其の各頂点と中心に原子が位置する結晶構造を"体心立方格子構造"と言い、Fr(フランシウム)やCs(セシウム)等、アルカリ金属の多くは この"体心立方格子構造"をとる。
この"体心立方格子構造"に於いて、ある原子Aoに刮目した時、a空間内の全ての点の内、他のどの原子よりもAoに近い点の集合が創る領域をXoとする。
この時のXoの体積を求めよ。
ボヮッ…
その箱の内部、床と天井の四隅に黒い火が灯ったかと思えば、其れ等は青い血管が血走る邪眼へと変貌する。
ビッ!
「ひえっ!?」
その8つの邪眼が、箱の内部中央に立つ生徒を凝視、光弾の一生射撃。
「冗談じゃ無ぇぞ?!」
「何なのよ、一体?!」
「も~、訳解んないんですけど!?」
それに対して大半の生徒達は、自身が手に持っていた光子銃の弾丸で相殺するか、
…そう、
▶▶▶
「これは『原子』とか『体心立法格子構造』とか、そんな余計な言葉に惑わされては…騙されては いけない。」
「問題の要点その物は、至って
「八方を
「「「現状での、敵の攻撃と己の防御との境界線内側…
つまり、『自分自身の
…この出題の意味を理解出来ているのは、現状で3名のみ。
≫≫≫
「見えた!」
「引っ込んでろ、固羅!」
バシュッ!
ほぼ同じタイミングで、浅野と響が天井の一角、邪眼の1体を撃破。
その部分に、多角形で形成される、光の
「よし! とりあえず、1つ!」
「これで あの
…この
つまり、
ほぼ同時に、同じ結論に至る浅野と響。
この2人の出した結論は、オンリーワンの
「そうか…この結界は六角錐が1つ、そして三角錐が3つの集合体!」
「それさえ分かれば、その体積を計算して8掛けすれば!!」
…それは残り時間からして、その数式を完璧に仕上げ、答えを出せるかは微妙なライン。
だが難問故に…そして基本的、頭脳明晰な2人だからこそ気付いてしまった、その たった1つの導きに、頑なに拘ってしまう。
残り時間の少なさから、他の解答方法を探そうとする余裕が無い程に。
一方…
「…って、もしかしてさぁ?」
床の四隅と天井の四隅、八方向からの同時攻撃を巧みに防いでいるカルマ。
今、攻防のバランス、凄く取れてるよね?
少しでも気を抜くと、一気に殺られちゃうだろうけど、こっちがアッチに侵攻出来ない代わりに、それは向こうも同じ。
つまり現状は、
はは…はははははははははは!
何だ、凄く簡単じゃん!
難しい数式なんて、全然 要らないじゃん!!
「答え。【
パリィン…
その瞬間、カルマを閉じ込めていた
タタッ…
そして間髪入れず、場内に立つ最終問題本体に向かい、解放されたカルマが飛び込み、
ヴォオン…
「そぉ~れっとぉ!♪」
ドスッ!
『!!!!??』
光子ライフルの弾丸エネルギーを全放出、巨大な刃状に安定させ、その光の剣で、漆黒の甲冑を纏った冥府の神の胸元を貫いた。
キーンコーンカーンコーン…
「其処迄!」
「くっ…」
「ちぃっ…!!」
そして直後、この
≫≫≫
「浅野君…終わりだよ…」
「くそ…」
「吉良、終了だ!
「ちくショウ…あと、1行…」
「「…分かっていたのに…!!」」
数学最終問題
赤羽業 20/20点
吉良響 ?/20点
浅野学秀 ?/20点
???? 20/20点
▼▼▼
ざわざわざわざわ…
「いや、キツかった!」
「…鬼畜問題。」
「数学のラストなんかもな~」
「吉良君はアレ、どうだったの?」
「応…解き方は分かってたけど、式が長過ぎて時間切れだったぜ…」
試験終了後、試験教室で互いの出来具合を語り合うE組の皆さん。
「え~? 吉良っちぃ? アレ、凄く簡単だったじゃん?
長い式なんて、全然要らなかったしぃ♪」
「「「「「「「えぇっ!!????」」」」」」」
そんな中、このカルマの発言に、教室内の殆どが、驚きの声を上げる。
「カ、カルマ、おま…アレ、暗算で解いたってのか?」
「どーゆー脳味噌なのよ!?」
「いや~、暗算以前にさ~…」
カルマの『簡単でした♪』の発言に響や片岡が問い詰めるが、
「いや、アレ…マジに簡単だったぜ?」
「「「「「「はぁああぁ!?????」」」」」」
此処でカルマに同調する意見が1つ。
その意見 其の物でなく、その意見を発した人物に、その場全員が驚きの声を上げた。
「テメー等、驚き過ぎだ!!!!」
それは寺坂竜馬。
「…参考迄に、答えは?」
「【α³/2】。」
「ん。寺坂、正解~♪」
そしてカルマが、その寺坂の出した答えを正解と告げた。
「まあ、アレは直感とか閃きとか、そーゆーのが有ったのが良かったかもね。
その点そーゆー意味じゃ、寺坂みたいな単純なヤツのが有利だったんだよ。」
「た…単純とは何だ!!? テメーッ!」
「ちょ…誉めてんだけど?!」
ガタッ…
「……………………………………orz」
「き、きーちゃん?」
「何故だか分かりませんが、吉良っち君が急に、orzりましたわ!?」
「寺坂ですら解けた問題が出来なかったのが、そんなにショックかよ…」
「
▼▼▼
そして、3日後のE組教室。
「ヌルフフフフ…今回は前振りや説明は無しです。
いきなり結果発表と行きましょう!」
朝のホームルーム、殺せんせーは国・社・理・英・家・数・技・美・音・保の10教科、正誤と点数が記された答案用紙を各々30人分、封筒に詰めてマッハで配り終えると、自らが模造紙に書き込み製作した、期末試験トップ50迄の順位表(5教科総合)を黒板に張り付けた。
「「「「「「「「!!?」」」」」」」」