まぁそれでも更新しないだけマシなんですが……取り敢えずどうぞ!
「うまい! 日本の食事がここまでうまいとは思わなかったぞ!」
「最初は不気味なお店だと思ったけど、こんなに美味しい食事を食べれるなんて! これが故郷の味よ!」
ガツガツと俺が連れてきた店で頼んだメニューを次々と腹に収めていくゼノヴィアとイリナ。
随分と見事な食べっぷりな事で。本当にキリスト教本部からやってきた刺客とは思えないな。
あとこの二人、俺が案内する店に到着するまで、「リューセーくんは異端者だけど、幼馴染だから大丈夫」、「相手が異端者とは言え、これも信仰を遂行する為だ」などと失礼な事をぶつぶつ言っていたが。
「……リューセー先輩、本当にお金は良いんですか?」
「大丈夫大丈夫。俺はここの店長と知り合いだから、それなりにまけて貰えるよ」
ゼノヴィアとイリナが物凄い勢いでメニューを食べている事に、小猫は金額がバカにならないと思って自分もお金を出すと言ってるが無用な心配だ。無論小猫だけじゃなく、イッセーや匙からも金を出してもらう必要はない。
因みに――
「ひょ、兵藤……。お、俺はすぐにでもココから出たい……!」
「耐えろ。耐えるんだ、匙! 俺だって辛いんだ……!」
匙とイッセーは椅子に座りながらもすぐにでも動けるよう周囲を警戒していた。店に入ってる時から。
まぁ、この二人の行動はある意味正しいかもしれないな。
「はぁい。追加のハンバーグとスパゲティナポリタンよ」
「ひっ!」
何故なら此処はオカマのローズさんが経営してるオカマバーだから。因みに今のローズさんは化粧をしてても、服装はまともなものだ。
俺がこの店に来たのは当然理由がある。流石に一般のファミレスで聖剣破壊や堕天使などの話をしたら不味いので、裏事情に精通してるローズさんの店に来た訳だ。此処なら一般客の耳に入る事は無い。
もうついでに、このオカマバーはまだ営業時間外だが、俺がローズさんに事情を話して急遽特別営業をしてもらってる。今回のような裏関連の話ならOKだからな。
そして料理を運びながら現れたローズさんの登場に、耐性が付いてない匙は恐ろしい者をみるような悲鳴をあげる。ゼノヴィアとイリナは全く気にせず料理を食べているが。
ローズさんは料理を食べてるゼノヴィアとイリナの近くに料理を置いた後、すぐに匙の方を見た。
「ちょっとそこの坊やぁ。人の顔を見て悲鳴をあげるなんて失礼じゃなぁい?」
「え、えっと、そ、そんなつもりじゃ……」
必死に誤魔化そうとする匙に、ローズさんはジッと観察し――
「う~ん、よく見るとあなた可愛いから、今夜ワタシのお相手をしてくれたら許してあげるわ♪」
「いやいやいやいや是非とも遠慮します! お、俺には好きな女性がいますから!」
「あらそうなのぉ? 残念ねぇ~」
相手をするよう頼むも、匙は危険迫るようなマジ顔をしながら必死に断った。
「じゃあ代わりにイッセーちゃんを――」
「っ!」
「ローズさん。この後彼女達と大事な話をしますから、そう言った事はまた今度にして下さい」
イッセーが本気で
「あらごめんなさぁい。ワタシのお店に可愛い子たちが来てるからつい。それじゃ、ごゆっくりぃ」
そう言ってローズさんは奥へ引っ込むと、イッセーと匙は安堵するように思いっきり息を吐く。
「あ、危うく食われるかと思った……!」
「兵藤、お前さぁ……一体どう言う経緯であの巨漢なオカマと知り合ったんだ?」
「それは俺じゃなく兄貴に言ってくれ……。因みにあのオカマ店長は、悪魔のお前なんかとは比べ物にならねえ程に滅茶苦茶強ぇ。俺だってまだ勝てねぇんだから」
そうだな。いくらイッセーが腕を上げたとは言え、まだまだローズさんの相手にはならない。
「ふぅー、落ち着いた。まさかキミたち異端者や悪魔に救われるとは、世も末だな」
「おいコラ。飯を提供してもらってそれかよ」
ここまで失礼な態度を取られると、いくら
「はふぅー、ご馳走さまでした。ああ、主よ。心優しき異端者と悪魔たちにご慈――」
「おっとイリナ、それは止めてもらおうか」
胸で十字を切ろうとするイリナに、俺が空かさず彼女の腕を掴む。
「ちょっ! どうして主にお祈りをしちゃダメなの!?」
「この場には悪魔がいるんだ。それをやったらこの二人がダメージを受けるだろうが」
「え? ………あー、ゴメンなさい。つい十字を切りそうになって」
俺が言った理由にイリナは悪魔の小猫と匙を見て納得し、てへっとかわいらしく笑う。コイツもゼノヴィアと同様に悪びれた様子を全く見せないな。
そして俺は腕を離すと二人は水を飲み、息をついたゼノヴィアは改めて俺に訊こうとする。
「それで、私たちに接触した理由は?」
おお、早速切り出すか。まぁ俺としてもそうしてくれた方がありがたい。
「単刀直入に言う。君たち聖剣使い二人、今夜から俺達の散歩に同行してもらうよ」
「え?」
「何だと?」
散歩に同行する、即ちエクスカリバーの破壊を合同でやると言う意味。
当然この意味を理解してるイリナとゼノヴィアは目を丸くさせて驚いている様子だ。
「どう言うつもりだ? 貴様が私たちに干渉するなと要求しておきながら、それが今になって同行しろなどと……」
ゼノヴィアは途端に睨むように言ってくる。
確かにそうだ。昨日の今日でいきなり同行しろと言われたら、彼女の反応は至極当然。
「実はなぁ、昨日の夜に――」
俺は昨日の散歩でエリーと遭遇した事を話す。当然エリーが悪魔である事は伏せて、な。
コカビエルに匹敵する実力者だと言った後、二人は驚いてる様子を見せるも、すぐには信じてくれそうになかった。
「俄かに信じられないな。それが事実だとしても、何故そのような情報を我々に教えようとする?」
「君達の任務失敗率と死亡率が100%だから」
「「っ!」」
俺の台詞に二人はカチンときたような顔をするも――
「二人掛りで俺に挑んでアッサリと負けた君達を考えれば尚更」
「「うぐっ!」」
昨日やった勝負の結果を持ち出した途端、すぐに言い返せなくなってしまう。
「それに君達が異端者と相容れないからって、分かりきった結果を知りながらもコカビエル達に殺されるのを黙って見過ごす訳にはいかない。いくら教会から与えられた任務とは言え、君達だってまだ死にたくはないだろう? ってか、俺としては君達に死んで欲しくない。特にイリナ。もし君が死んでしまったら、君の父親――トウジおじさんが物凄く悲しむ事になるぞ」
「っ……」
理由の他にイリナの父親について触れた途端、イリナは辛そうな顔をする。だがそれは一瞬で、すぐに気を引き締めようとする。
「そうね。リューセーくんの言うとおりかもしれない。でも、私たち信徒は覚悟を決めてこの国に来たの。全ては主の為に――」
「だったら神の為に生きて無事帰ろうとしないのか? それこそが本当の信仰だと俺は思うぞ。神の為に戦っている戦士の君なら尚更な。違うか?」
「!」
俺の台詞にゼノヴィアは驚くような顔をしているが、取り敢えず今は気にしないでおく。
「……確かに違わないわ。でもだからと言って――」
「良いだろう。貴様の提案を受け入れようじゃないか、異端者。いや、兵藤隆誠」
「ゼノヴィア!?」
イリナが言ってる最中、ゼノヴィアが割って入って急遽俺の共同戦線を受け入れた。その事にイリナが異を唱えようとする。
「ちょ、ちょっとゼノヴィア。あなた、何をそんな勝手に」
「イリナ、正直言って私たちだけではエクスカリバーの回収とコカビエルとの戦闘は辛い。益してやコカビエルに匹敵する敵もいれば敗北は決定だ」
「それはわかるわ。けれどリューセーくんやイッセーくんがいるからといっても、二人は悪魔側よ!」
「今の私たちが生きて無事帰る為には、彼らの力が必要だ」
イリナは未だに反対して説得しようとするも、ゼノヴィアは撤回しようとしない。
まさかゼノヴィアが、こうもアッサリと俺の提案を受け入れるとは思わなかったな。
てっきりイリナと同様、『異端者である貴様の手など借りたくない!』と反論して断ると予想したんだが。
「へぇ、意外だな。信仰が厚い君からそんな台詞が出るとは」
「私の信仰は柔軟でね。いつでもベストなカタチで動き出すのさ」
「それはそれは」
何とも素晴らしい信仰だ。今の俺にはとても好都合だよ。
「ゼノヴィア。前から思っていたけれど、あなたの信仰心は微妙におかしいわ!」
「否定はしないよ。任務を遂行して無事帰ることこそが本当の信仰だと私は信じる。生きて、これからも主の為に戦うと」
「……リューセーくんと同じこと言ってるわね。でも」
「俺や赤龍帝のイッセーが信用出来ないか、イリナ?」
「……ちょっと待って、リューセーくん。いま何て言ったの? イッセーくんが赤龍帝って……」
「あれ、言ってなかったか? イッセーは
「「っ!?」」
あっけらかんと答える俺にイリナは滅茶苦茶驚き、ゼノヴィアは驚きながらも未だにローズさんに警戒中のイッセーを注視する。
これを知ったゼノヴィアはドラゴンの力も借りれると分かり、イリナを説得するのであった。ゼノヴィアの説得により、イリナは渋々ながらも俺達と共同戦線をする事に承知してくれた。
次も早めに更新出来れば良いなぁと思ってます。