ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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第十九話

「アハハハハ! あの妄想爺さん、余計なことを言わなければ死なずに済んだのに……アハハハハ!」

 

「……エリガン・アルスランド、これは何の真似かしら?」

 

「あら?」

 

 死んだバルパーを嘲笑するエリーにリアスが問う。その問いにエリーは、まるで今さっき気付いたかのようにリアスを見る。

 

「あらあら、誰かと思えばグレモリー家の次期当主さんじゃない。と言うかさっき私が言ったのを聞いてなかったの? この計画に元々あの妄想爺さんなんかいなくても別にいいのよ」

 

「………リューセーから聞いたけど、あなたは本当にコカビエルと手を組んでるみたいね」

 

 バカにするような言い方をするエリーに対し、リアスは顔を顰めながら睨みながら言い返した。するとさっきまで嘲笑うような笑みを浮かべていたエリーが途端に不機嫌そうな顔をする。

 

「ちょっと貴女、なに馴れ馴れしく私のダーリンを気安く名前で呼んでるの? 実に不愉快ね」

 

「っ!」

 

 リアスがエリーの逆鱗に触れたかどうかは知らんが、奴は途端に重圧と殺気を醸し出す。エリーからの殺気と重圧に直接受けているリアスだけでなく、朱乃達も気圧されそうになっていた。

 

「あ、あ……」

 

 リアスは何とか抵抗するも、エリーに気を呑まれかけていた。

 

 最上級悪魔クラスの力を持つエリー相手にああなるのは無理もない。だがリアスはまだ良いほうだ。これがそこら辺の上級悪魔だったらエリーの重圧と殺気で気を失うか、恐慌状態に陥っている。

 

「私の前でダーリンを名前で呼んだ罪、万死に値するわ。その綺麗な顔と身体をバラバラに――」

 

「下らん理由でリアスを殺そうとするのは止めてもらおうか、エリー」

 

「あら?」

 

 俺がリアスの前に出ると、エリーはさっきまで出していた重圧と殺気を引っ込めた。今度は膨れっ面になろうとする。

 

「ダーリン、どうしてそんな弱者(おんな)を守ろうとするの? ダーリンがその気になれば一撃で殺せるのに」

 

「リアスとは協力関係なんでな。弱肉強食思考のお前には分からんよ。それにリアスは俺の友人で、将来の義妹候補だからな」

 

「はぁ? ダーリンの義妹? なに訳の分からない事を言ってるの?」

 

 理解出来ないと言うような顔をしてるエリーだったが―― 

 

「部長、大丈夫ですか!?」

 

「え、ええ。ありがとう、イッセー……」

 

「……ああ、そう言う事ね」

 

 イッセーが駆けつけてきた事で安堵するイッセーを見て理解した。

 

「なるほどなるほど。リアス・グレモリーは人間のイッセー君に惚れてるのね。私が人間のダーリンを愛してるように」

 

「お前と一緒にしないでくれ。生憎俺は貴様の愛などいらん」

 

「つれないわね。私は本気でダーリンの事を愛してるのに……」

 

 俺は何度も断ってるのにコイツは本当に懲りないな。どうやったら諦めてくれるんだ?

 

 エリーの発言に呆れてると、宙に浮いていたコカビエルが地に降り立つ。

 

「おいエリガン、今はそんな事などどうでもいいだろう」

 

「そんな事って何よ、コカビエル。重要な事よ!?」

 

「……俺はお前等の痴話喧嘩に付き合うつもりはない。さっさと真面目にやれ」

 

「………アンタ、戦争が始まったら絶対に殺してやるから覚悟しておきなさいよ」

 

「それは楽しみだ」

 

 ……コイツ等って仲が良いのか悪いのか全く分からんな。あくまで同盟関係で悪魔と堕天使だから、決して仲が良いとは思えんが。

 

 コカビエルとエリーが会話を終えると、次に俺たちへと視線を移す。

 

「さて、余興も飽きた。そろそろ本番といこうか」

 

 その台詞を言った途端、コカビエルが圧倒的な重圧を放つ。更には凄まじいまでの自信とオーラを纏い、俺達の前に立った。そして不敵な笑みを浮かべ、奴は言う。

 

「――全力を出せ、兵藤兄弟」

 

「何?」

 

「何だと?」

 

 コカビエルからの突然の指名に俺とイッセーは目を見開く。

 

「あの程度の余興で全力を出していないことはお見通しだ。おまえたちの全力を見てみたい」

 

 ……コイツ、俺たち兄弟と相手する事しか考えてないようだな。悪魔のリアス達は初めから眼中にないって事か。

 

 奴の台詞に当然リアスが激昂する。

 

「それはつまり、あなたは私たちと戦うに値しないというの!? ふざけないで!」

 

「ハハハ、ふざけているのは悪魔(おまえ)たちのほうだ。そこの人間二人に実力が劣ってる悪魔(おまえ)たちが俺を倒せると思っているのか?」

 

「少しは理解しなさいよ、リアス・グレモリー。あなた達がどんな手を使っても私達に勝てない事ぐらい分かっている筈よ」

 

『っ!』

 

 コカビエルとエリーからの眼光に、リアス達は再び気圧されそうになっている。

 

 流石にあの二人からのプレッシャーには敵わんか。当然といえば当然だが。

 

 だが確かに奴等の言うとおり、悪魔のリアス達や聖剣使いのゼノヴィアがどうやっても勝ち目はない。

 

 本来、悪魔と堕天使は相容れない存在だ。だがあの二人が同盟を結び協力関係になれば厄介極まりない。益してや戦争狂のコカビエルと戦闘狂のエリーだ。一筋縄で勝てる相手じゃない。

 

 この状況では流石に俺も全力を出さないと不味いか。下手に聖書の神(わたし)の力を使って正体がバレたら大変な事になるが、そうも言ってられない。

 

 今、この駒王町はコカビエルが施した大地崩壊の術が未だに作動中だ。下手に出し惜しみしてたら、気付いたら駒王町が崩壊してる。

 

 自分の正体を隠したい。大切な家族や友人を守りたい。その二つを比較するなら……聖書の神(わたし)は迷いなく後者を選ぶ。今の聖書の神(わたし)は駒王町にいる大事な家族や友人を守りたい。自分の正体など今は知った事か。

 

「……イッセー。全力(フルパワー)で奴らを倒すぞ」

 

 俺の言葉にイッセーは応じる。俺の隣で一緒に歩くイッセーは、コカビエルとエリーの前に立って対峙する。

 

(……リアス、朱乃、祐斗、小猫、ついでにゼノヴィア。俺がエリーと戦ってる時は絶対に手を出すな。代わりにイッセーが不利な状況になったら援護しろ。いいな?)

 

 俺が念話を送ると、悪魔のリアス達や聖剣使いのゼノヴィアは驚いたように俺を見ている。

 

「イッセー、コカビエルは任せたぞ。いいか? 絶対に油断なんかするなよ。そんな事をしたら命はないと思え」

 

 相手は堕天使の幹部コカビエル。イッセーがこれまで戦った堕天使レイナーレや上級悪魔ライザー・フェニックスとは桁外れだ。

 

「分かってる。あの野郎相手に、んなこと出来っかよ」

 

「結構だ」

 

 今のイッセーは一切の油断は無いようで安心した。これなら俺は心置きなく任せる事が出来る。

 

「エリー、場所を変えるぞ。コカビエルに邪魔されたくなかったら俺に付いて来い!」

 

「フフフ、ダーリンからのお誘いなら喜んで行くわよ。寧ろ私から誘うところだったのに」

 

「おいおい、そんなに俺が信用出来ないのか?」

 

 コカビエルの言葉を無視する俺とエリーは同時に宙に浮く。イッセー達から少し離れ、ある程度の高さまで浮いて止まると、エリーも俺と同じ位置で止まる。

 

「ダーリン、どこまで上がるつもりなの? あと少ししたら結界にぶつかっちゃうわよ」

 

「お前と戦う場所は空中(ここ)だ。空中戦は苦手かな?」

 

「……………」

 

 俺が戦おうとする場所が予想外だったのか、エリーは少しキョトンとした顔をする。

 

 地上(した)にいるイッセー達にもしもの事があったら、すぐさま駆けつけれるようにしないとな。

 

「………フフフフフフ」

 

 俺がチラリと地上を見てると、エリーが突然笑った。

 

「空中戦でやって大丈夫なの? 空中は私の十八番よ。ダーリンも知ってる筈なのに」

 

地上(した)でお前と戦えば、学園が無くなってしまうからな。生徒会長のソーナから『なるべく学園を壊さないように』って言われてるし」

 

「……ダーリン、折角二人っきりになってるのに、他の悪魔(おんな)の名前を出さないでくれる?」

 

 お? 何かエリーが珍しく俺に対して怒ってるな。

 

「リアス・グレモリーだけじゃなく、ソーナ・シトリーとまで名前で呼んでるなんて……。浮気をしてるダーリンには、少しばかりお仕置きが必要のようね」

 

「たかが名前で呼び合ってるだけで浮気かよ」

 

 ってか、それ以前に俺はお前と付き合ってなんかいないし。本当に自己中心的な女だな。

 

「ダーリン。あなたにはもう他の女の事なんか考えられないよう、後で私が閨でじっくりと気持ちいい事をしてあげるわ♪」

 

「んなもんお断りだ。お前の相手なんか死んでもゴメンだ。と言うか、もしそんな展開になったら俺は迷わず死を選ぶよ」

 

「ウフフフフ。私のココにダーリンの熱い子種を注ぎ込んで、私とダーリンの子供を作るのも良いかもね」

 

 自身の下腹部に手を当てながら恍惚とした顔をするエリー。

 

「だからお断りだって言ってんだろうが」

 

 ってか人の話を聞けよ。イッセーやコカビエル達には普通の対応をするのに、どうして俺相手だと人の話を全く聞かない超自己中になるんだよ。

 

 ………まあいいか。コイツのこう言うところは今に始まった事じゃない。それよりも戦いに集中しないとな。

 

 あの女はふざけた態度を取りながらも俺に隙を全く見せていない。俺がさり気なく距離を取る為に近づこうとするも、それに同調するように離れている。油断のない奴だ。

 

「お喋りはここまでだ。生憎時間が迫ってるんでな。お前とはそろそろ!」

 

 俺は以前のように超スピードでエリーの懐に入って、顔面目掛けて拳を――

 

 

 ガシィッ!

 

 

「んもうダーリンってば、昨日みたく同じことをしないでよ」

 

 ――当てようとしたが即座に反応したエリーがすぐに片手で受け止めた。

 

 

 ゴウッ!

 

 

「っ! この力は!?」

 

 エリーに攻撃を受け止められた俺は大して気にせず、次に全身から金色のオーラを出した。

 

 間近で感じたエリーは驚愕し、すぐに俺から離れて距離を取る。

 

「……なんてオーラなの。昨日戦った時以上の力じゃない。もしかして昨日のアレは本気じゃなかったの?」

 

「それはお前の想像に任せる」

 

 昨日の工場付近には住宅街があったから、エリーが言ったように本気は出さなかった。俺が周囲を考えずに全力を出したら工場や結界だけじゃなく、住宅街にも被害が及んでしまう。それだけは何としても避けたかったから、敢えて力をセーブして戦った。尤も、工場は完全に無くなってしまったが。

 

 けれど今の状況じゃ、もう周囲の事を考えてる余裕はない。コカビエルが施した大地崩壊の術によって、駒王町はもう少ししたら消えてしまう。

 

「エリー、お前とはここで決着(けり)をつけさせてもらうぞ。いい加減にウンザリしてるからな」

 

「そんな連れない事を言わないでよ。私とダーリンの関係はまだまだ続くんだから」

 

 その直後、俺とエリーは空中戦での大激突が始めた。拳の衝突による衝撃や、俺のオーラとエリーの魔力とのぶつかり合いで、駒王学園の空は凄まじい爆撃戦になっている。

 

 

 

 

 

 

「うわぁ……兄貴の奴、マジでやってやがる」

 

 突然上空から凄まじい衝撃音と爆発音が聞こえて、俺――兵藤一誠は思わず上を見て目を見開いた。兄貴とエリーが空中で格闘やったり、光弾や魔力弾を撃ち合ったりと、無茶苦茶な戦いを繰り広げていた。

 

「な……なんて戦い方をしてるのよ、リューセーは……!」

 

「これが、リューセーくんの力ですの……」

 

「……凄い」

 

「流石はリューセー先輩。あのエリガン・アルスランドと、互角にやれるなんて……!」

 

 あの光景に俺だけじゃなく、部長や朱乃さん、小猫ちゃんに祐斗も驚いていた。部長達は兄貴が本気で戦ってる姿は見たことないから、あんな反応をするのは当然と言えば当然か。

 

「か、彼は本当に人間なのか……?」

 

「す、凄いです、リューセーさん……」

 

 ゼノヴィアとアーシアは驚きすぎてて目が点になっている。人間の兄貴が最上級悪魔クラスのエリーとガチンコバトルなんて、そりゃ信じられねぇよな。

 

「チッ。エリガンの奴、楽しそうな顔をしてるな」

 

 敵のコカビエルも上の音が気になったのか、俺たちと同じく上空で戦ってる兄貴とエリーの戦いを見ていた。何やら舌打ちをしてるが。

 

「本当なら俺も兵藤隆誠と戦ってみたかったが……まあいい」

 

「っ!」

 

 そう言ってコカビエルは次に俺の方へと視線を移す。その瞬間、俺は即座に構えた。

 

「一先ずお前で我慢してやるよ、小僧」

 

 チッ、舐められたもんだ。俺は前座かよ。

 

 だがまぁ、確かに今の俺じゃコカビエルに勝つ確率は低い。あの野郎が油断してても、すぐに攻撃出来ないし、即行で踏み込む事も出来なかった。

 

「さぁ、おまえの全力を見せてみろ」

 

 言われなくてもそのつもりだ。こっちは密かに『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』のチャージを済ませてるから全力(フルパワー)でいける!

 

「………ハアッ!!」

 

『explosion!』

 

 

 ドンッ!!

 

 

 チャージを解放すると、俺の闘気(オーラ)が最大限までに高まった。後ろにいる部長達が何か驚いてる声を出しているが、今は気にしてる暇はない。

 

「ほう……。人間にしては凄まじいオーラじゃないか」

 

 俺の全力(フルパワー)状態を見て、コカビエルは感心そうにみている。

 

「兵藤隆誠ほどではないにしろ、おまえもおまえで中々のものだ。流石は赤龍帝といったところか。さぁ小僧、この俺を楽しませろ」

 

「生憎俺は、テメェのような男相手を楽しませる趣味はねぇよ!」

 

 そう言って、俺は突進しながらコカビエルの顔面にパンチを当てようとする。だがそれはアイツが首を少し動かしただけで躱した直後、お返しと言わんばかりに俺の顔にパンチを当てようとしている。

 

 すぐに躱すが出来なかった俺はもう右手で受け止めながら、次に左肘打ちをかますも結局塞がれた。

 

「ぜりゃっ!」

 

「おっと」

 

 両手を塞がれた俺は次に回し蹴りをやったが、コカビエルは躱すと同時に後退する。

 

 それを見た俺は追撃しようと追いかけるも、後退してたコカビエルは即行で前進して俺の頬にパンチを繰り出す。

 

「ぶっ! ぐっ……!」

 

 コカビエルのパンチを頬にモロに喰らった俺は吹っ飛ぶも、何とか体勢を立て直そうとバク転して着地する。

 

「うそっ! イッセーが!」

 

「全力のイッセーくんが押されてる!?」

 

 部長と祐斗の台詞を気にしてられない俺は目の前の戦いに集中する。

 

 すぐさま前を見ようとすると、そこにはコカビエルの姿が見えなかった。辺りを見てもコカビエルは何処にもいない。

 

「どこを見ている!?」

 

「っ!」

 

 背後から現れたのを気付いた俺は、横に振ろうとするコカビエルの手刀を感知する。それに当たろうとする瞬間、俺は即座に躱し、コカビエルに反撃を繰り出す。

 

 けれど俺のパンチやキックをまるで予想してるように、コカビエルは両腕だけで全て防いだ。 

 

「どうした小僧!? そんな程度じゃないだろう!?」

 

「ぐっ!」

 

 コカビエルからの素早い連続パンチに俺は成す術も無く頬や胸部に当たられる。

 

「お前の実力はこんなものじゃない筈だ! さっさと奥の手を見せろ!」

 

「ぶっ!」

 

 またコカビエルのパンチが俺の頬に当たり、今度は少し勢いよく吹っ飛ばされた。

 

 吹っ飛ばされた俺は両足に地面を着けて、すぐさま体勢を整えるようにする。

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