ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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今回は3巻の終わり部分で、オーフィスが来た話の番外編になります。


番外編

「我、勧誘に来た。禍の団(カオス・ブリゲード)に来て欲しい」

 

「もうお決まりの台詞になってるな」

 

 オーフィスが来た理由を聞いて、俺――兵藤隆誠は呆れるように嘆息する。何度も断ってるのに相も変わらず懲りない竜神様だ。

 

「あのさぁ、オーフィス。俺はそんな組織に入らないって、何度も言ってる筈だぞ。勿論理由も含めて、だ」

 

「………………」

 

 断固拒否の姿勢を見せるが、それでもオーフィスは諦めようとする感じがしなかった。

 

「と言うか、何故そこまで聖書の神(わたし)に固執する? 今の聖書の神(わたし)はお前から見れば取るに足らない存在だと言うのに」

 

「……我にはどうしても、聖書の神が必要。次元の狭間に静寂を得たい」

 

「答えになってないんだが……」

 

 藁にも縋る感じで弱い聖書の神(わたし)に協力を求めてるってか? それはそれで余計に嫌なんだが。

 

 ま、それをコイツにそう言ったところで諦めようとしないんだよな。それだけコイツはグレートレッドを倒し、次元の狭間に戻って静寂を得たいと純粋に願ってるからな。

 

 けれど、前にも言ったように、今のコイツに次元の狭間を任せてしまったら大変な事になるだろう。

 

 俗世に長く居続けてる今のオーフィスは、何事にも無関心だった嘗てのオーフィスとは違う。下手したら次元の狭間のバランスを崩してしまう恐れがある。

 

「……まあいいか。取り敢えず再度言うが、聖書の神(わたし)禍の団(カオス・ブリゲード)に絶対入らないよ。興味無いからな」

 

「………なら、どうすれば来てくれる? 望むものあれば、我、最大限に叶える」

 

「だからぁ……」

 

 そろそろいい加減にして欲しい。オーフィスは一体、何度同じ事をすれば気が済むんだろうか。いくら純粋な願いだからって、聖書の神(わたし)でも流石に嫌になる。

 

 もうこれ以上の勧誘は嫌だから、いつものように帰ってもら………あ、そうだ。

 

「なぁ、オーフィス。これからご飯作るが、良かったら一緒に食べないか?」

 

「……何故?」

 

「折角家に来たんだ。この際だから、お前に食事の楽しみってやつを教えてやるよ」

 

 オーフィスは俗世に居続けても、次元の狭間で生まれ育ったから、食事を取る必要はない。益してや無限を司る神だから、腹が減るなんて事も断じて無い。

 

「我、人間になった聖書の神と違って食事など不要。我が必要なのは――」

 

「そう言うなって。食事ってのは存外バカに出来ないぞ。『無限の竜神(ウロボロス)』のお前でも絶対に嵌るからさ。さ、行こう」

 

「――だから、我には」

 

 断るオーフィスだが、俺は気にせず彼女の手を掴んでリビングへと連れていく。俺に手を繋がれて案内されるオーフィスは抵抗をせず、小動物のようにトコトコと歩いている。

 

 そしてリビングに着いた俺はオーフィスを椅子に座らせ、すぐに台所へ移動して料理を作ろうとする。

 

 台所にある材料を取り出したのは、パスタ、ピーマン、玉葱、ウインナー、ケチャップ、その他の調味料等々。これらの材料で作る料理はスパゲティナポリタンだ。

 

 コレを作るのに少しばかり時間を要するが、無理矢理連れてきたオーフィスを待たせる訳にはいかないので、今回は能力を使って仕込みの時間を省く事にした。乾麺状態のパスタを一瞬で茹で、ピーマンと玉葱とウインナーを切った状態にさせようと、パチンと指を鳴らしただけで一瞬で終わる。次に用意したフライパンを使って材料を炒め、ケチャップや調味料をかけて、あっと言う間に完成させた。

 

「さぁオーフィス、召し上がれ。そのフォークを使って食べるんだ。こんな風にな」

 

「………………」

 

 皿に乗ってるスパゲティナポリタンを運んで、オーフィスの眼前にあるテーブルの上に置いてすぐ食べるよう促す。向かいに座ってる俺は食べ方を教えようと、自分用に用意したスパゲティナポリタンをフォークで食べる。

 

 いきなり出された料理にオーフィスは無言になりながらも、俺に言われたままフォークを持って真似するように食べようとする。

 

「(モグモグモグ)……やはり我に食事など不要。食べても意味がない」

 

「そう言ってる割にはフォークを口に運ぶペースが早くなってるじゃないか」

 

 オーフィスは無表情でありながらも、スパゲティナポリタンを食べ続けている。しかも気に入ったのか、ずっとソレを注視しながら食べていた。

 

 そして更にある料理がなくなると、途端に寂しそうな顔をした。まだ食べたりないんだろうか、今度は俺が食べてるスパゲティナポリタンをジッと見始める。

 

「……………………」

 

「コラコラ、人の皿にフォークを突っ込もうとするな。おかわりならあるよ。ってか、ちょっとは口を拭けって」

 

「ん……」

 

 おかわりを用意する為に空となった皿を運ぼうとする前に、オーフィスの口の周りがケチャップによって赤かった。その為、俺はティッシュで彼女の口を拭く。

 

 気のせいか? 何か今の俺、子供の世話をしてるような感じなんだが。

 

 

 

 

 

 

 昼食が終わり、用件が済んだオーフィスは帰ろうとしていた。

 

「我、帰る」

 

「そうか。で、食事の感想は?」

 

「…………興味深い。我、食事覚えた。聖書の神、我、いずれまた食事に来る」

 

「それは構わないけど、出来れば居候の悪魔(リアス)がいない時に来てくれ」

 

 家にオーフィスが来たなんてリアスが知ったら、真っ先に俺に抗議するだけじゃなく、冥界にいるサーゼクスにも報告して大騒ぎになるだろう。そんな面倒な事は出来るだけ避けたい。

 

「………………」

 

「どうした?」

 

 俺の発言に何か思い当たるところがあったのか、オーフィスはまたもや無言でジッと俺を見る。

 

「……我、不可解。聖書の神、何ゆえに滅さず、悪魔と共棲してる? 我が知る限り、悪魔と敵対していたはず」

 

「今の聖書の神(わたし)はもう悪魔と敵対する気なんてないよ。尤も、向こうが敵対するなら話は別だが」

 

「……やはり不可解。聖書の神、以前、神の力が制限されてると言ってた。それ故に悪魔と共棲? 制限されてるなら、我が力を与える」

 

 そう言いながら足元の影から蛇を出そうとするオーフィスに、俺はすぐ待ったをかけようとする。

 

「いやいや、そんな理由じゃないよ。だから蛇は戻せ」

 

 オーフィスが出した蛇は足に絡み付こうとするも、俺は直ぐに離れようとする。

 

「何故逃げる?」

 

「前も言ったが、俺はそんなのいらないよ。制限されてると言っても、俺は今のままで充分満足してる。それに人間の身である今の俺に、それを取り込める程の余裕な容量(キャパシティ)はない。もし取り込んだら最後、聖書の神(わたし)能力(ちから)が暴走する恐れがある」

 

「……暴走?」

 

「ああ。お前も知っての通り、聖書の神(わたし)能力(ちから)は人間がそう易々と使える物ではない。今は能力(ちから)の大半を抑えたまま、必要最低限までしか使えない状態だ。まぁ、鍛錬をする事によって使う範囲が少しずつ広がってきてるけどな」

 

「………成程」

 

 理由を言う俺にオーフィスはコクコクと納得するように頷いている。

 

 やっと分かってくれたかと俺が安堵してると――

 

 

 ギュウッ!

 

 

「……オーフィス、何のつもりだ?」

 

 何を考えたのか、オーフィスがいきなり宙に浮いてそのまま正面から俺に抱きついてくる。突然の事に俺は思わず固まってしまうも、すぐに問い質そうとした。

 

能力(ちから)が使い切れないなら、我が補う。聖書の神、食事の礼をする」

 

「いや、そんな礼はいらな――がっ!」

 

 

 ドクンドクンドクンッ!

 

 

 すると、抱きついてるオーフィスが俺の身体にオーラを流し込んできた。それは通常の物とは違い、神の力そのものだった。

 

 対象者の力を上昇させるオーフィスの蛇とは違い、これは『無限の竜神(ウロボロス・ドラゴン)』としての本来の力。その力を送り込んでる事によって、俺の身体――特に心臓が激しく鼓動していた。

 

「た、頼むオーフィス……! これ以上は……!」

 

 オーフィスを引き剥がそうとするが、力を送り込まれてる事によって俺は思うように動く事が出来ない。

 

 それどころか聖書の神(わたし)能力(ちから)が暴走するように活発化してきた為、今は抑えるのに必死だった。

 

「もう少し我慢。そうすれば、本来の力と姿を取り戻せる」

 

「止めてくれ……! 俺は……聖書の神(わたし)は……もうあの姿には……!」

 

 嘗て天界を君臨していた聖書の神(わたし)の姿に戻ったら――

 

 

「がああぁぁぁあああああ~~~~~~!!!」

 

 

 オーフィスの力を限界以上に流れ込まれた俺は、もう耐え切れなくなったかのように家の中で大きく叫んでしまった。その直後、リビングは俺から発した眩い光で埋め尽くされていく。

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

「どうかしましたか、イッセーさん?」

 

「あ、いや……急に兄貴がバカでかいオーラを出した気がしてな」

 

「リューセーさんが、ですか?」

 

「ま、兄貴のことだから、一人で何かしらの実験する為に力を放出してるんだろうよ。それより次はアーシアの番だぞ。あのワンピン落とせばスペアだ」

 

「は、はい! 頑張りますぅ……」

 

「…………(にしてもさっき感じた兄貴のオーラ、今までとは全く別物だったな。何か遭ったのか?)」

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

 オーフィスが離れ、俺――兵藤隆誠は両膝と片手を床に付き、もう片方の手は心臓がある左胸を押さえていた。激しく鼓動していた心臓は落ち着いても、俺は未だに息が上がったままだ。

 

「聖書の神、本来の姿に戻った」

 

「……お、オーフィス、お前なぁ……っ!」

 

 オーフィスの台詞に俺は思わず怒鳴ろうとするが、近くにあった鏡を見た途端に驚愕した。

 

 鏡に映ってる俺の顔は人間の兵藤隆誠じゃない。嘗て天界を君臨していた聖書の神(わたし)の顔だった。しかも格好もさっきまで着ていた普段着じゃなく、純白のローブを身に纏い、頭には王冠を被っている。

 

「はぁっ、はぁっ……。まさか、聖書の神(じぶん)の姿を再び見る事になるとはな……」

 

 聖書の神(わたし)の姿だと認識した事により、段々冷静になっていく。そして呼吸も漸く落ち着き、俺はすくっと立ち上がりながらオーフィスを睨む。

 

「どうしてくれる、オーフィス? 食事の礼とは言え、これはいくらなんでもやり過ぎだ」

 

「だけど、これで聖書の神の能力(ちから)は制御できる。もう暴走の心配はない」

 

「そりゃそうだが……」

 

 確かに元の姿に戻った途端、完全とは言えないが能力(ちから)の大半を抑える必要がなくなった。もう暴走する恐れはない。今はこの姿で『終末の光』などの聖書の神(わたし)本来の能力(ちから)を何度も連射する事が出来る状態だ。

 

「聖書の神、食事の礼をした。我、また来る」

 

「おい! この状況で……ってもう帰ったし!」

 

 用件が済んだオーフィスは俺に背を向け、そのまま転移術を使って姿を消した。

 

 オーフィスとしては純粋に礼のつもりでやったんだろうが、こっちとしちゃ有り難迷惑だぞ! こんな姿を家族に見られたら大問題だよ!

 

 ったく。こんな事になるなら食事をさせるんじゃなかった! …………けどまぁ、オーフィスのやってくれた事は正直言って助かった。

 

 ここ最近、聖書の神(わたし)能力(ちから)は抑えるのに限界を感じてた。先日本気で戦ったエリーや、コカビエルを仕留める際に使った『光牢結界』を使った事が原因で、兵藤隆誠(おれ)の身体の崩壊が始まってきた。尤も、それは微々たる過ぎないが。

 

 今後もアイツ等のような強敵と戦い、聖書の神(わたし)能力(ちから)を使い続ければ、兵藤隆誠(おれ)は間違いなく死んでいただろう。だったら初めから使わなければ良いと思われるだろうが、聖書の神(わたし)赤龍帝(おとうと)アーシア(いもうと)、そして両親を守る為には必要な事だ。能力(ちから)があって何もしないなんて事をしたら、聖書の神(わたし)は自分自身を許せなくなる。

 

 けれど、その心配はもう無くなった。オーフィスによって神の力を与えられ、聖書の神(わたし)本来の姿に戻れば、自身の能力(ちから)の暴走による身体の崩壊は無い。

 

「……その前に、元の兵藤隆誠(おれ)に戻らないとな」

 

 いつまでもこんな姿でいる訳にはいかない。もし天使達が聖書の神(わたし)の存在を感知したら非常に不味いし。

 

 試しに能力(ちから)を抑えながら頭の中で念じると………簡単に人間の姿へ戻る事が出来た。思わず拍子抜けしたよ。

 

 てっきり難しい方法じゃなければ戻らないと思っていたが、実はそうでもないようだ。恐らくオーフィスは俺が今後の日常生活に支障をきたさないよう、神の力だけでなく人間の姿に戻れる手順も組み込んでおいたんだろう。

 

 取り敢えず、聖書の神(わたし)能力(ちから)を改めて確認する必要がありそうだ。今日はイッセー達や両親がいなくて本当に良かったよ。

 

 っと、確認する前に先ずは食器を片付けるか。ついでにオーフィスと食事をしてた痕跡も消さないと。




かなり無理矢理な展開だと思われるでしょうが、どうかご容赦下さい。
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