ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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漸く四巻です。

今回はプロローグ的な話ですので短いです。

それではどうぞ!


停止教室のヴァンパイア
第二十六話


「だぁっ! また負けたぁ!」

 

「君と対戦するために随分やりこんだからなぁ。ここのところ、ずっとご無沙汰だっただろ?」

 

「あ~、すみません。色々あったもんで」

 

 こんばんは、兵藤一誠です。

 

 今日は休日で悪友の松田や元浜と計画した半日遊び倒すプラン中、急に悪魔のお仕事が入ってしまいました。

 

 急と言ってもプラン終わり間近に電話が来たから、そこまで慌てることは無かったが。その後は俺と同じオカ研のアーシアと祐斗と小猫ちゃんには事情を話した後に抜け出し、即行で依頼者の元へ急いだ。

 

 因みに依頼者とは既に何度も会ってるから場所は既に分かっていた。だからすぐに前以て兄貴から貰った転移用の札を使って突然依頼者の家に入っても、向こうはもう分かってるように歓迎してくれる。

 

 名前はまだ知らないが、依頼者は黒髪のワルそうな風貌の男。しかも相当なイケメンだ。ワル系のイケメンが好きな女子だったら一発で落ちると思う。

 

 で、現在俺はその人と格ゲーをやっている。今回依頼者からの依頼は『ゲームの相手をして欲しい』からだ。

 

 悪魔代理の人間(おれ)とは言え、悪魔を呼ぶのにそんな理由で召喚するのはおかしいだろうと思われるだろう。だけどこの人の依頼は日常的なものばっかりだ。

 

 『酒の相手をして欲しい』とか、『夜釣りに行こう』とか、『ゲーセンに連れてって欲しい』等々あった。これって悪魔とか関係無くねって何度も思った。

 

 まぁ、未だ契約件数がワーストワンの俺が文句を言う訳にはいかない。部長の為にも、これは仕事だと思ってやんないとな。

 

 しかし、この人って毎回俺を指名するんだよな。堕天使コカビエルの件が起きる前に初めて会ったんだが、何故か俺を気に入ったらしい。どこを気に入ったかなんて未だに分からねぇけど。

 

「にしても、随分と大人買いしましたねぇ」

 

「君にゲーセンに連れて行ってもらってから、すっかり嵌っちまってな」

 

 床に置かれている大量のゲームソフトを見た俺がそう言うと、依頼主はアッサリと理由を話す。

 

 それを聞いた俺は次に棚へ視線を移すと、そこには大量のゲーム機が並べられている。

 

「あ、すっげ。ハードも新しいのから古い物まである。よほどのマニアでも、ここまでは揃ってませんよ」

 

「集め始めると止まらない性分でね。周りからは俺のコレクター趣味は異常だとか、よく言われるよ」

 

 ………ん? その台詞、確か前にコカビエルが言ってたような気が……。

 

 俺が依頼主の台詞にふと疑問を抱くと、ゲームは俺の負けとなってしまった。

 

「さあもうひと勝負しようか、悪魔代理くん――いや、赤龍帝の兵藤一誠」

 

 その直後、いつの間にか立って俺を見下ろすように見ている依頼主の背中から十二枚もの漆黒の翼が展開した。

 

「俺はアザゼル。堕天使どもの(かしら)をやってる」

 

 ………おいおいマジかよ。堕天使なのは分かってたけど、まさかその総督が俺の依頼主だったなんて。

 

 最初は堕天使が何のつもりでこの町に来たんだと警戒してたんだが、この人はいつもフランクに接してくるから、いつの間にか警戒感が薄れたんだよな。

 

「……その堕天使総督が正体を現したって事は、コカビエルの仇討ちする為に俺を呼んだのか?」

 

「まさか。俺はそのコカビエルの企みを察知して駒王町(ここ)に潜入したんだ。そのついでに、キミの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』にも興味があったしねぇ」

 

 そういや、アザゼルは神器(セイクリッド・ギア)を集めて研究に没頭してるってコカビエルが言ってたな。って事は俺が何度も指名されたのは、俺の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』目当てだったのか。それなら納得だ。

 

 何度も指名された理由を納得してると、アザゼルは気にせず話を続ける。

 

「俺が直接コカビエルに手を下すと色々不味いんで、アルビオンに事の収拾を頼んだ。尤も、お前たち兄弟がこの町にいる時点でコカビエルは倒されるだろうと予想してたが」

 

「………俺だけじゃなく、兄貴の事も知ってるのか?」

 

「ああ。と言うより、お前たち兄弟は今ちょっとした有名人だぞ。今までどの勢力にも所属せず、素性も一切不明で強大な力を持った人間の兄弟ってな。今は悪魔側についてるみたいだが、俺としては堕天使(こっち)側に来て欲しかったよ」

 

 堕天使側に来なかった事を残念そうに言うアザゼル。コイツ、俺や兄貴を勧誘するつもりでいたみたいだな。

 

「ところで赤龍帝。近い内にやる予定の首脳会談でも言うつもりなんだが、今からでも兄と一緒に堕天使(うち)に来ねぇか?」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「冗談じゃないわ!」

 

 リアスはチラシに書かれているアンケートを読み上げた後に声を荒げた。しかも眉を吊り上げて、怒りを露にした様子。

 

 それを見た俺――兵藤隆誠は苦笑していた。まぁ、リアスがああなるのは無理もないか。何せ今までイッセーを指名していた依頼者が堕天使総督のアザゼルだからな。昨日イッセーが帰った後に聞いた時は俺も思わず驚いたよ。

 

 リアスが見てるチラシは悪魔稼業をしたイッセーに対するアンケート結果を読んでいるんだが、どうやら余りよろしくない内容みたいだ。

 

「何そんなに怒ってるんだよ、リアス。変な事でも書かれていたのか?」

 

「……」

 

 何も言わずにリアスは俺にチラシを渡してくる。それを受け取った俺は内容を読んでみた。

 

『よぉ、リアス・グレモリー。俺は堕天使の頭をやってるアザゼルだ。聞いたぜ。赤龍帝を人間のまま眷族候補にしてるんだってな。俺の予想では、お前さんと赤龍帝では力の差があり過ぎて眷族にする事が出来なかったんじゃないかと思ってる。お前さんの事だからどうせ持て余してるだろ? 過ぎた力は身を滅ぼすって言うぜ。ならいっその事、赤龍帝と兵藤隆誠を堕天使側にくれないか? な、いいだろ?』

 

 ……成程。これは確かに怒るわけだ。

 

 アザゼルの奴、リアスが密かに気にしてる事をズケズケと書くとは。

 

 リアスは未だイッセーを自身の眷族に出来ない事でコンプレックスを抱いてるからな。それをあのバカ息子のアザゼルときたら……!

 

 知らないとは言え、リアスのコンプレックスを刺激するような文面を書くなよ。今度会ったらアイツの黒歴史でも公開してやろうか。

 

「あ~、リアス……。あんまり気にするのは――」

 

 

 ゴウッ!

 

 

「堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害をしていただなんて……! しかも私のかわいいイッセーにまで手を出そうだなんて、万死に値するわ! もし私の目の前で勧誘したら、滅びの爆裂玉(ルイン・ザ・バーストボム)で消し飛ばすわ!」

 

 うわぁ……。リアスは相当苛立っているな。激しい怒りによって全身から魔力を出してるよ。

 

「おいリアス、気持ちは分からんでもないが取りあえず魔力を抑えろ。部員達が恐がってるぞ」

 

「え? ……あ、ごめんなさい」

 

 俺の指摘を受けたリアスはすぐに魔力を抑えて元の状態に戻る。それを見たイッセー達は安堵の息を漏らす。

 

「あの、部長。俺はわぷっ!」

 

「イッセー、私の力はまだまだあなたに及ばないけれど、私がイッセーを絶対に守るから」

 

「そ、それはありがとうございます……」

 

 絶対手放さないような感じでイッセーを抱擁するリアス。その抱擁によって顔がリアスの胸に当たってるイッセーは少しだらしない顔をしていた。

 

 どうでも良いんだが、イッセーはダメで俺は堕天使側に行っても問題無いのか? これで『あなたは別に問題無いわ』とか言ったら、俺ちょっといじけるからな。

 

「リアス、一応訊いておきたいんだが俺は?」

 

「あなたが私を裏切るような真似をするとは微塵も思ってないわ」

 

 つまり俺を信用してるって事か。それなら別にいいけど。

 

 俺が納得してると、リアスの抱擁から解放されたイッセーが訊いてくる。

 

「なぁ兄貴、アザゼルってやっぱ俺の神器(セイクリッド・ギア)を狙っているのか?」

 

「それは本人に訊かないと分からんな」

 

 仮にそんな事をやろうとしたら、俺はアイツのライフポイントがゼロなるまで精神的ダメージを与え続けてやる。例えばアザゼルが天使時代に考案した、『ぼくが考えた最強の神器(セイクリッド・ギア)資料集』の内容を三大勢力に公表するとか。

 

 息子(アザゼル)の恥を公表する聖書の神(ちちおや)。そんな光景を傍から見ればどう思われるだろうか。すると、同じ男子部員の祐斗が口を開く。

 

「だいじょうぶですよ、リューセー先輩。もしアザゼルがイッセーくんを捕まえようとしても、僕がイッセーくんを守りますから」

 

 ……祐斗、お前の言い方には妙な違和感があるんだが。

 

「……なぁ祐斗、それはうれしいけどさ……。なんていうか、真顔でそんな事を男に言われると反応に困るんだが……」

 

「真顔で言うに決まってるじゃないか、イッセーくん。キミは僕を助けてくれた。そして大事な仲間だ。仲間の危機を救わないでグレモリー眷族の『騎士(ナイト)』は名乗れないよ」

 

 何か突っ込みどころ満載な台詞だな。その台詞はイッセーの言うとおり男に言うべきじゃなくて、普通はヒロインの女子に向けるものなんじゃないかと思う。

 

「そ、それは分かるけどさ、気持ちだけは受け取っておくよ。言っちゃ悪いが、いくらお前がいてもアザゼル相手じゃ……」

 

「問題ないよ。『禁手(バランス・ブレイカー)』となった僕の『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』とイッセーくんの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が合わさればどんな危機でも乗り越えられるような気がするんだ。……ふふ、少し前までこんな事を口にしなかったんだけどね。イッセーくんと付き合ってると心構えも変わってしまうよ。でも、それが嫌じゃないんだよ……。それにキミに『祐斗』って呼ばれると胸の辺りが熱いんだ」

 

 何だこの台詞は? 一部の女子が聞いたら絶対に誤解すること間違いないぞ。

 

「……おまえ、マジでキモいぞ……。ち、近寄るな! ふ、触れるな! やっぱお前の呼び方を『木場』に戻す!」

 

「そ、そんな、イッセーくん……」

 

 顔を青褪めながら離れるイッセーに気落ちする祐斗。

 

 …………取りあえず放っておくとしよう。決して関わりたくないとかじゃないからな。

 

「ところでリアス。イッセーの話でアザゼルが首脳(トップ)会談をやるとか言ってたが」

 

「ええ。さっき私のところにも連絡があったわ。一度トップ同士が集まり、今後の関係について話し合うことになったの」

 

「それはつまり、コカビエルとの戦いで三竦みの関係に影響を及ぼしてしまった、ってか?」

 

「そういうことよ。その事件に関わってしまった私たちも首脳会談に出席するよう招待されてるわ。そこで今回の報告をしなくてはいけないの」

 

 リアスの言葉に俺を除くイッセー達が驚いていた。まぁそうなるのは無理もない。トップ同士の会合に居合わせろと言われれば誰だって驚く。

 

「当然人間のあなたやイッセーたちも出席するのよ。リューセーは人間側のトップとしてね」

 

「ちょっと待て。首脳会談に出席するならまだしも、何で俺が人間代表で出なきゃなんないんだよ」

 

「トップからの強い要望だそうよ。特に天使側と堕天使側のトップが、リューセーに色々と訊きたいことがあると言ってたわ」

 

 天使(ミカエル)堕天使(アザゼル)が?

 

 何かすっごく嫌な予感がするんですけど。

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